物理/解析学入門(1)実数の性質、連続関数、導関数と微分
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目次 |
8.2 解析学入門 (1)
序
一変数関数の解析学を紹介する。
解析学は実数の連続性と極限の概念を用いる無限算法(微分、積分)を扱う
数学の基幹分野の一つである。
高校でならう解析学の概略だけを知りたい方は、以下の教科書で学習してください。
(1)関数や方程式の知識
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-583-QINU物理学では、指数関数をはじめ色々な関数をよく使う。
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-584-QINUこれについては下記の本に要約が説明されている。
指数関数や対数関数の上記の本の解説は不十分なので、
興味ある方は、本テキストの
をご覧ください。
(2)ネイピア数 e の理解に必要な数学
微分や積分で重要な役割を演じる実数にネイピア数eがある。
本テキストでも頻繁に登場する。
この数は、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-585-QINU で定義される。
この極限が存在し、2と3の間の数になることを証明するには、2項定理が必要になる。
これについては
問題1
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-586-QINU は、いくつか?
(3)微分・積分
物理の学習には微分と積分が必須である。
関数の微分は、極限を利用して定義される。
極限がよくわからない場合には、高等学校数学III/極限(ウィキブックス)を概略理解してから、
高等学校数学II 微分・積分の考え(ウィキブックス)に進むと良いだろう。
問題2
問題
問題
問題
問題
問題
問題
問題
問題
問題
問題
問題
問題
問題
問題
問題
問題
(3)大学教養課程程度の解析学の基礎
この節は、解析学の基礎(実数の連続性とリーマン積分)について、さらに知りたい方のために書かれている。
厳密さをかなり重視し、程度は大学専門課程の入り口に相当する。
多変数関数の解析学については次章の「9章 物理数学2」で紹介する。
実数の連続性と極限
実数の連続性は、様々な極限の存在に根拠を与えるもので、
実数の持つ最も重要な性質といってもよい。
上界、下界と有界集合
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-587-QINUを、全ての実数を要素とする集合とし、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-588-QINUをその部分集合(A \subset R)とする。
実数UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-589-QINUがUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-590-QINUの上界(upper bound)とは、
任意のUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-591-QINUに対して、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-592-QINUがなりたつことUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-593-QINU。
実数UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-594-QINUがUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-595-QINUの下界(lower bound)とは、
任意のUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-596-QINUに対して、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-597-QINUがなりたつこと。
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-598-QINUをUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-599-QINUの上界をすべて集めた集合UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-600-QINU、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-601-QINUをUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-602-QINUの下界をすべて集めた集合とする。
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-603-QINUが空集合UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-604-QINUでない(すなわち、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-605-QINUの上界が少なくとも一つ存在する)とき、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-606-QINUは上に有界であるといい、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-607-QINUの時、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-608-QINUは下に有界であるという。
上に有界で、下にも有界な集合(UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-609-QINUは、有界という。
実数の連続の公理と上限、下限
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-610-QINUとする。
実数の連続性の公理
もし、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-611-QINUならば、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-612-QINUは、最小元を持つ。
もし、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-613-QINUならば、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-614-QINUは、最大元を持つ。
上限と下限の定義
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-615-QINUの最小元をUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-616-QINUの上限(supremum)あるいは最小上界(least upper bound)という。
また、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-617-QINUの最大元をUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-618-QINUの下限(infimum)あるいは最大下界(greatest lower bound)という。
命題1
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-619-QINUがUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-620-QINU の上限となるための必要十分条件は、
ⅰ)UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-621-QINUはUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-622-QINUの上界。すなわち任意のUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-623-QINUにたいしてUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-624-QINU
ⅱ)UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-625-QINUである任意のUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-626-QINUはUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-627-QINUの上界ではない。すなわち、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-628-QINUとなるUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-629-QINUが存在
である。
同様に、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-630-QINUがUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-631-QINU の下限となるための必要十分条件は、
ⅰ)UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-632-QINUはUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-633-QINUの下界。すなわち任意のUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-634-QINUにたいしてUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-635-QINU
ⅱ)UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-636-QINUである任意のUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-637-QINUはUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-638-QINUの下界ではない。すなわち、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-639-QINUとなるUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-640-QINUが存在
である。
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-641-QINU の上限をUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-642-QINU、下限をUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-643-QINUと書く。
さらに、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-644-QINUが最大値を持つ場合には、Aの上限はAの最大値と一致し、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-645-QINUが最小値を持つ場合には、Aの下限はAの最小値と一致する。
証明は、上限、下限の定義から、明らかなので省略する。
例;UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-646-QINUのとき、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-647-QINU,UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-648-QINU。
これらは、ともにUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-649-QINUの要素でないので、
上限1はUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-650-QINUの最大元(最大値)ではなく、下限0はUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-651-QINUの最小元(最小値)ではない。
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-652-QINUのとき、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-653-QINU,UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-654-QINU。
これらは、ともにUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-655-QINUの要素なので、
上限は最大限であり、下限は最小限となる。
命題2
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-656-QINUで、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-657-QINUは有界集合とする。
このとき、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-658-QINU
証明は容易である。
実数列の極限
実数列UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-659-QINUとは、
xが、自然数全体のなす集合Nから実数全体の作る集合Rへの写像であることと定義する。
論理記号で書けば、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-660-QINU
定理1;
1) 単調増加で上に有界な数列UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-661-QINU(注参照)は収束する(極限値を持つ)。
2)単調減少で下に有界な数列は収束する。
(注)数理論理学における論理の数学的モデルの一つであり、命題論理を拡張した一階述語論理で表現すると、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-662-QINU
証明
1)だけ示す。
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-663-QINUとおくと、仮定からAは上に有界な集合なので、
実数の連続性から上限(最小上界)UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-664-QINU を持つ。
この UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-665-QINU が数列xの極限であることを示そう。
任意の小さい正数 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-666-QINU をとると、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-667-QINU は集合Aの上界ではなくなるので
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-668-QINU
数列は単調増加なので、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-669-QINU
他方、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-670-QINU は数列xの上界なので、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-671-QINU
式(1)と(2)から、
どんなに小さな正数 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-672-QINU をとってもある自然数mが定まり、
それより大きな自然数n に対して、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-673-QINU が示せた。
収束の定義から、数列xがUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-674-QINUに収束することが示せた。
2)の証明も同様である。
数列UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-675-QINU の項の中から番号の小さい順に次々と無限個を取り出すことにより、
新しい数列が得られる。
このようにして作られる新しい数列を、元の数列の部分列という。
定義1 部分列
自然数の集合NからNの中への狭義の単調増加関数 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-676-QINU を用いて(注参照)
数列 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-677-QINU からつくる数列 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-678-QINU を、数列 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-679-QINU の部分列という。
(注)UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-680-QINU が狭義単調増加とは、任意の自然数kと、それより大きい全ての自然数lに対してUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-681-QINU
定理2
有界な数列 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-682-QINU は、収束する部分列をもつ。
証明
数列が有界なので、2つの実数l,uが存在して、全ての自然数nに対し、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-683-QINU
閉区間UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-684-QINU の中に、数列の無限個の項が含まれているので、
この区間を2等分した区間のいずれかには、数列の無限個の項が含まれる。
その区間を UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-685-QINU と書く。(注参照)
すると この区間は UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-686-QINU,長さは UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-687-QINU
この区間 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-688-QINU を2等分しても、いずれかの部分区間は、数列の無限の項を含む。
そこでその部分区間を UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-689-QINU とする。 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-690-QINU、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-691-QINU
これを続けると閉区間の縮小列 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-692-QINU を得る(n=1,2,3,4,,,,)。
すると、
数列 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-693-QINU は単調増加で有界な数列、
数列 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-694-QINU は単調減少で有界な数列、
定理1から、どちらの数列も収束する。
しかも、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-695-QINU なので
それぞれの極限を UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-696-QINU ,UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-697-QINU とかくと、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-698-QINU
この点を UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-699-QINU とかく。
・最後に、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-700-QINU に収束する、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-701-QINU の部分列を選び出そう。
部分区間UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-702-QINU の中には数列UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-703-QINUの無限の項があるので、その中で最小の項順UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-704-QINUを選び、部分列の初項UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-705-QINU に選ぶ。
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-706-QINU にはUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-707-QINUのなかの数列UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-708-QINUの項が無限に含まれるので、
その中で、項順mが UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-709-QINU を満たすものも無限にある。
その中で最小の項順のものを選び、第2項 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-710-QINU とする。
すると、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-711-QINU
これを繰り返すと任意の自然数iに対して
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-712-QINU であって、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-713-QINU である,
数列UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-714-QINUを得る。
この数列が元の数列の部分列であり、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-715-QINU
であることは明らかである。
(注)2つの部分区間のどちらも無限個の項を含むときは、どちらの部分区間を採用してもよい。
数列が収束するための条件を求めるためには、コーシー列という概念が必要になる。
定義
実数列UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-716-QINUがコーシー列(または基本列)とは
任意のUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-717-QINU に対して、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-718-QINU が存在して、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-719-QINU ならば UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-720-QINU となること。
定理3
(1)実数列 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-721-QINU がコーシー列ならば、収束する。
(2)逆に、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-722-QINU が収束するならば、コーシー列である。
証明
(1)を証明する。
ⅰ)UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-723-QINU がコーシー列ならば、有界である。
∵ コーシー列なので、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-724-QINU のとき、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-725-QINU が存在して、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-726-QINU ならば UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-727-QINU
故に、この数列の全ての項は、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-728-QINUとUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-729-QINU の間にある。
ⅱ)UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-730-QINU がコーシー列ならば、収束する。
∵
数列がコーシー列なので,
任意の正数 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-731-QINU に対して、ある自然数 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-732-QINU が存在して、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-733-QINU ならば、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-734-QINU
また、コーシー列は有界なので、定理2から、収束する部分列 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-735-QINU を持つ。
この極限値を UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-736-QINU とおくと、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-737-QINU を満たす或る番号 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-738-QINU が定まって、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-739-QINU なる任意のkに対して
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-740-QINU
すると任意の UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-741-QINU に対して、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-742-QINU
故に、元の数列は UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-743-QINU に収束する。
(2)の証明は簡単なので、略す。
証明終わり。
収束に関連するさらなる情報は下記を参照のこと。
定理の応用;ネイピア数 e
次の命題は、高等学校数学III/微分法(ウィキブックス)では証明せず利用しているものである。
命題
数列 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-744-QINU は、
2より大きく3より小さい実数 e に収束する。
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-745-QINU
この e をネイピア数と呼ぶ。
練習問題
上の命題を証明してください。
ヒント;
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-746-QINU を2項展開して、nとともに単調に増大すること、
常に2と3の間の実数であることを示せばよい。
解答は、8.3 8章の付録の 問の解答
関数とその連続性
関数の定義
ある範囲内の任意の数値をとりえる文字を変数という。
2つの変数x、yがあって、xの値を定めれば、ある規則により、yの値が決まるようになっているとき、
yはxの関数といい、
xにより決まるyの値を、 関数記号 f,g などを用いて、y=f(x) ,y=g(x) などと書く。
変数xは独立変数、yは従属変数という。
実は、或るものに何かを対応させるという操作は社会に満ち溢れてる。
人々に名前を付ける、あるスーパーで売っている各食品に100g当たりの価格やカロリー量を対応させて表示する等。
そこで広くこうした場合にも対応できるように、上記の関数の概念を拡張する。
定義
2つの非空の集合A、Bを考える。
集合Aの非空の部分集合 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-747-QINU の各要素に対して、
集合 B の一つの要素を定める規則を関数という。
この規則により UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-748-QINU の任意の要素 a に対応するBの要素bを、
この規則を表す関数記号(例えば)fを用いて、b=f(a) と表す(注1参照のこと)。
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-749-QINU を関数fの定義域、Bを関数fの値域(注2参照)という。
スーパーの例では、そのスーパーで扱っている商品の種類の集合をAとし、
食品という商品の部分集合を UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-750-QINU
各食品に100g当たりのエネルギーを対応させる規則を、
100gあたりのカロリー関数f、
値域Bは自然数の集合(円)とすればよい。
(注1)この定義は若干不明瞭である。厳密には、
関数fは、直積集合 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-751-QINU の部分集合 f であって、
任意の UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-752-QINU に対して、唯一のB の要素 b が存在して、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-753-QINU を満たすものと定義する。
この唯一のbのことを、f(a) と書く。
(注2)本によっては 値域をBの部分集合 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-754-QINU で定義することもあるので注意が必要である。
開集合と閉集合
関数の連続性
(1) 定義域が全空間に等しい関数の連続性
定義域が、n次元実空間 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-755-QINU に一致する関数を考える。
実数値関数 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-756-QINU がある点 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-757-QINUで連続であるとは、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-758-QINUがUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-759-QINU に限りなく近づくならば、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-760-QINU が UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-761-QINU に限りなく近づく
ことを言う。
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-762-QINUと記す。
これはイプシロン-デルタ論法(ε-δ論法)を用いれば次のように定式化できる。
任意の(小さな)正の数 ε 与えられたとき、
(小さな)正の数 δ をうまくとってやれば、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-763-QINU と δ 以内の距離にあるどんな UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-764-QINU に対しても、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-765-QINU と UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-766-QINU の差が ε より小さくなる。
(2) 定義域Dが全空間UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-767-QINU の真の部分集合である関数の連続性
定義
D を n次元空間UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-768-QINU の部分集合、
関数fを、定義域Dの実数値関数とする。
関数fが、点 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-769-QINU で連続とは
Dの中の点UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-770-QINUがUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-771-QINU に限りなく近づくならば、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-772-QINU が UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-773-QINU に限りなく近づく
ことを言う(注参照)。
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-774-QINU と記す。
関数 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-775-QINU が連続であるとは、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-776-QINU のすべての点で連続であることを言う。
(注)ε-δ論法を用いれば次のように述べることができる。
任意の正数εに対して、ある正数δが存在して、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-777-QINU と δ 以内の距離にあるどんなDの中の点UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-778-QINU に対しても、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-779-QINU と UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-780-QINU の差が ε より小さくなる。
連続関数は多くの重要な性質を持つ。
その一つを紹介する。
命題
有界閉区間 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-781-QINU 上で連続な関数fは、この上で最大値と最小値をとる。
一変数の実数値関数とベクトル値関数の微分
このテキストを理解するための必要最小限のことを記述する。
以下の文献も必要に応じて参考にしてください。
一冊では不十分なので色々あげておく。
実数値関数の微分
実数の開区間UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-782-QINU上で定義された実数値関数UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-783-QINUを考える。
定義;微分可能性
関数UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-784-QINUがUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-785-QINUで微分可能であるとは、極限
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-786-QINU
が存在することである。
この時UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-787-QINUをUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-788-QINUのUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-789-QINUにおける微分係数あるいは導値といい、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-790-QINU
などと書く。
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-791-QINUの各点でUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-792-QINUが微分可能であるとき、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-793-QINUは微分可能関数(あるいは
微分可能)という。
この時、任意のUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-794-QINUに対して、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-795-QINUが定まるので、
関数UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-796-QINUが定まる。これをUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-797-QINUのUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-798-QINU(derivative)という。
命題
関数 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-799-QINU が微分可能ならば、連続である。
微分係数の意味
(1)UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-800-QINUは、区間UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-801-QINUにおける関数値の平均変化率である。
その極限である微分係数UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-802-QINUは、関数値のUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-803-QINUにおける瞬間的な変化率と考えられる。
(2)2次元空間(平面のこと)に直交座標座標系UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-804-QINUをいれ、
関数UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-805-QINUのグラフUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-806-QINUを書く。
すると、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-807-QINUが存在することは、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-808-QINUにおいてグラフUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-809-QINUが接線をもつことと同等であり、
接線の方程式は
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-810-QINUである。
これは、接線の定義からただちに分かる。
(3)UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-811-QINUを零に近づけていったときの極限の意味をさらに深めるため
微分可能の定義を、それと同等の別の表現に変換しよう。
(1)式の右辺の定数を左辺に移行すると
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-812-QINU
次に、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-813-QINU
という、変数hの関数を定義する。
すると関数UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-814-QINUがUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-815-QINUで微分可能で、微分係数がUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-816-QINUである必要十分条件は
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-817-QINU
である。
(2)式を変形すると
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-818-QINU
ゆえに次の命題が証明できた。
命題;
次の3つの条件は同等である。
1)関数UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-819-QINUはUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-820-QINUで微分可能で、微分係数はUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-821-QINUである
2)関数UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-822-QINUは、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-823-QINU
と表現できる。
ここで、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-824-QINUは
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-825-QINU
を満たす関数
3) 関数UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-826-QINUは、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-827-QINUの近傍の点UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-828-QINUで
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-829-QINU
ここで、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-830-QINUは
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-831-QINU
を満たす関数
この定理の3)により、
「関数がUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-832-QINUで微分可能であり、微分係数がcであること」は、
「この関数がUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-833-QINUの近傍の点UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-834-QINUで直線UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-835-QINUで近似でき、
誤差UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-836-QINUが,
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-837-QINUをUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-838-QINUに近づけていくとき、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-839-QINUより高次で0に収束する(注参照)
ことと同等であることが分かる。
(注)UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-840-QINU
命題の系;関数がUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-841-QINUで微分可能であれば、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-842-QINUで連続である。
証明;命題の2)を用いると、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-843-QINU
この式から、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-844-QINU
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-845-QINUなのでUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-846-QINU。
ゆえに、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-847-QINU
これは、関数がUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-848-QINUで連続であることの定義そのものである。
導関数の性質
定理1(線形性)
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-849-QINUがUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-850-QINU上で定義された、微分可能な実数値関数で、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-851-QINUが任意の実数ならば
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-852-QINU、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-853-QINUは微分可能で
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-854-QINU
証明は、微分の定義式と極限の性質から容易に導ける。
定理2 (積の導関数)
2つの関数UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-855-QINUが微分可能ならば、それらの積 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-856-QINU も微分可能で
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-857-QINU
定理3(商の導関数)
定理4 (合成関数の導関数)
三角関数、指数関数の微分
対数関数、逆三角関数の微分
平均値の定理
平均値の定理(へいきんちのていり、英: mean-value theorem)または有限増分の定理とは、
実函数に対して有界な領域上の積分に関わる大域的な値を、微分によって定まる局所的な値として実現する点が領域内に存在することを主張する。
平均値の定理にはいくつかバリエーションがあるが、単に 「平均値の定理」 と言った場合は、ラグランジュの平均値の定理と呼ばれる微分に関する平均値の定理のことを指す場合が多い。
平均値の定理は微積分学の他の定理の証明(例えば、テイラーの定理、微分積分学の基本定理)にしばしば利用される、大変有用なものである(ウィキペディア;平均値の定理 より)。
ロルの定理
平均値の定理の準備として、ロルの定理を用いる。
この定理自体も有用である。
平均値の定理
テイラー展開とテイラーの定理
微分可能な関数 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-858-QINU の導関数 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-859-QINU が微分可能ならば、
その導関数 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-860-QINU が考えられる。
これをfの2階の導関数という。
例えば、変数tの関数 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-861-QINU が時刻tの質点の位置とすると、
その導関数は速度、2階導関数は加速度を表すことを第2章の力学で学んだ。
さらに高階の微分が可能な関数を考え、その性質を考察しよう。
テイラー展開とテイラーの定理
微分可能な関数 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-862-QINU の導関数 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-863-QINU が微分可能ならば、
その導関数 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-864-QINU が考えられる。
これをfの2階の導関数という。
例えば、変数tの関数 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-865-QINU が時刻tの質点の位置とすると、
その導関数は速度、2階導関数は加速度を表すことを第2章の力学で学んだ。
さらに高階の微分が可能な関数を考え、その性質を考察しよう。
テイラー展開とテイラーの定理
テイラー展開、テイラー級数についての入門書は
より高度なテイラーの定理などは以下の記事を。但し証明はない。
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-866-QINU級の関数
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-867-QINU上の関数 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-868-QINU が連続的微分可能(continuously differentiable)であるとは,
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-869-QINU上で導関数 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-870-QINU が存在して、しかもUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-871-QINU がUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-872-QINU上で連続であることをいう。
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-873-QINU上で連続的微分可能である関数をUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-874-QINU級関数という。
ベクトル値関数の微分
実数の開区間UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-875-QINU上で定義され,n次元の実ベクトル(UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-876-QINU)に
値をとる関数UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-877-QINUを考える。
定義;微分可能性
実数値関数の場合と同じである。
導関数の線形性の性質も成り立つ。
ベクトル値関数の微分とその成分関数の微分の関係
関数値UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-878-QINUはUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-879-QINUの要素なので
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-880-QINU
と表示できる。
するとUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-881-QINUのn個の成分関数
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-882-QINU
が得られる。
命題;
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-883-QINUがUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-884-QINUで微分可能UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-885-QINUUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-886-QINUがUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-887-QINUで微分可能。
この時、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-888-QINU
ベクトル積の微分
命題
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-889-QINU と UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-890-QINUは、開区間I上で定義され、
微分可能なベクトル値関数とする。すると、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-891-QINU は微分可能で、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-892-QINU
証明
すでにこのテキストで紹介した、ベクトル値関数の微分の定義
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-893-QINU UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-894-QINU (1)
を用いて証明する。
この極限が存在し、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-895-QINU
になることを示せば命題は証明できたことになる。
極限の計算が進むよう、右辺の式の分母は変形しよう。
関数の積の微分公式の証明と同じ技巧を用いる。
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-896-QINU
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-897-QINU
ベクトル積の命題3を利用すると、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-898-QINU
この式を式(1)の右辺の分子の項に代入し整頓すると
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-899-QINU
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-900-QINU
ベクトル積の命題4を使い、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-901-QINU
極限の命題を使って、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-902-QINU
式中の極限は、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-903-QINUが、微分可能なので存在し、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-904-QINU
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-905-QINU
リーマン積分
この節は、区間上で定義された関数のリーマン積分の初歩を述べる。
具体的には、リーマン積分の定義とリーマン積分が存在する(可積分)条件
について、数学的厳密性を保つように記述する。
参考記事
区間上の関数のリーマン和
区間UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-906-QINUで定義され、実数に値をとる関数UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-907-QINUを考える。
この区間の分割
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-908-QINU
と、その代表点UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-909-QINUに関する、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-910-QINUのリーマン和とは、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-911-QINU
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-912-QINU
で定義する。
リーマン和の意味
リーマン和は、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-913-QINUのグラフを、棒グラフで近似したときの
棒グラフの作る面積(各角柱の面積和)であることが分かる。図参照。
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-914-QINUのグラフとx軸、および2直線UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-915-QINU、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-916-QINUで囲まれる部分の面積を近似している。
リーマン可積分とリーマン積分の定義
分割を細かくしていくとき、
分割の仕方や代表点の選び方に関係なく
リーマン和がある一定値に収束するとする。
すると、この値は
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-917-QINUのグラフとx軸、および2直線UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-918-QINU、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-919-QINUで囲まれる部分の面積
と考えられる。
定義;
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-920-QINUの大きさUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-921-QINUとは、
この分割で得られた小区間の長さの、最大値で定義する。
記号で書くと
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-922-QINU
定義;リーマン可積分
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-923-QINUを、有界閉区間UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-924-QINU上で定義され、実数の値をとる関数とする。
もし、ある実数UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-925-QINUが存在して、
どんな分割UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-926-QINUと
代表点UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-927-QINUであっても、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-928-QINU
が成り立つ時、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-929-QINUはUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-930-QINU上で(リーマン)可積分であるという。
このとき、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-931-QINU をUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-932-QINUのUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-933-QINU上でのリーマン積分といい、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-934-QINU
などと書く。
リーマン積分の命題
命題1 線形性
命題2 積分の単調性
命題3 平均値定理
命題4 三角不等式
命題5 積分区間に関する加法性
可積分条件(RT;短縮化)
どのような関数は、積分できるだろうか。
積分出来ない関数はあるのか。
これらについて考察しよう。
不足リーマン和と過剰リーマン和によるリーマン和の評価
リーマン和を、代表点の選び方を変えて求めるとその値は変化する。
そこで、その最小値と最大値を求め、差を計算する。
もしこの差が分割を細かくしていくと零に収束するならば、可積分となろう。
以下、この方針で議論を進める。
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-935-QINUを分割して得られた小区間UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-936-QINUを考える。
関数UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-937-QINUをこの小区間上に限定した時、
関数は、この区間上の点で最大値と最小値をとると仮定する(注参照)。
関数の最大値UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-938-QINUと最小値UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-939-QINUを、
それぞれ、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-940-QINUと書く。
(注) 区間上で最大値、最小値を取らない関数では、
有界な関数でありさえすれば、最大値、最小値と殆ど同じ性質をもつ
上限、下限に置き換えれば以後の、議論は成り立つ。
すると、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-941-QINUの任意の点UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-942-QINU に対して、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-943-QINU
故に、
補題1
ⅰ)どのような代表点UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-944-QINUに対しても
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-945-QINU
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-946-QINU
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-947-QINU
そこで、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-948-QINUをUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-949-QINUに関するUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-950-QINUの不足リーマン和、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-951-QINUを過剰リーマン和と呼ぶ。
ⅱ)UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-952-QINU
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-953-QINU
証明は明らかなので省略。
分割の細分とリーマン和の評価式
定義;分割の細分
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-954-QINUの分割UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-955-QINUが分割UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-956-QINUの細分というのは、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-957-QINUの分点の集合UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-958-QINUが、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-959-QINUの分点の集合UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-960-QINUに真に含まれることと定義する。
記号でかけば、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-961-QINU。
記号では、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-962-QINUと記す。
補題2
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-963-QINUという分割に対し、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-964-QINU
が成り立つ。
(証明)
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-965-QINUの小区間UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-966-QINUが分割UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-967-QINUでは、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-968-QINUの2つに分割されたとする。
すると、区間上の関数の最大値と最小値の定義から、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-969-QINU UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-970-QINU
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-971-QINU UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-972-QINU
これらから、命題は成立することが分かる。
不足リーマン和の上限と過剰リーマン和の下限
補題2から、分割の細分を繰り返していくと、その分割に対応する、
不足リーマン和は、広義増加(増加するか、同じ値にとどまる)し、
過剰リーマン和は、広義減少する。
分割を細かくしていったとき、これらの極限が一致すれば、補題1から、
リーマン和の極限値は、代表点に無関係に、定まることになる。
そこで色々な分割に対応する不足リーマン和のなかの最大値と
過剰リーマン和の最小値を求めることが、重要になる。
しかし一般にはこれらは存在しないことが示せる。
そこで最大値に近い命題を持つ上限と最小値に近い下限という概念を利用する。
2つの分割の共通の細分
分割UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-973-QINUの分点の集合UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-974-QINUと、
分割UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-975-QINU の分点の集合UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-976-QINUの
和集合UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-977-QINUを分点とする分割をUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-978-QINUと書く。
すると新しい分割は
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-979-QINU と
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-980-QINU
を満たす。
これを用いると、
不足リーマン和の上限UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-981-QINUと
過剰リーマン和の下限UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-982-QINUが存在することが証明できる。
補題5
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-983-QINUを区間UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-984-QINUで定義され実数値をとる有界関数
すなわち、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-985-QINUがUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-986-QINUの有界部分集合となる関数とする。
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-987-QINUの分割を全て集めて作った集合をUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-988-QINUと書く。
すると、
ⅰ)任意のUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-989-QINUに対して、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-990-QINU
ⅱ)集合UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-991-QINUは上に有界、
集合UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-992-QINUは下に有界
ⅲ)UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-993-QINUと
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-994-QINUは存在し、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-995-QINU
証明;
ⅰ)UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-996-QINU なので、補題2から、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-997-QINU
ⅱ)1)で証明した不等式で、分割UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-998-QINU は固定する。
すると全ての分割 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-999-QINUに対して、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1000-QINUなので
集合UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1001-QINUは、上界UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1002-QINUを持ち、上に有界である。
後者も同様にして下に有界であることが示せる。
ⅲ)従って、実数の連続性の公理から、
集合UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1003-QINUは上限UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1004-QINUをもち、
集合UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1005-QINUは下限UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1006-QINUをもつ。
上限は、上界の中の最小値なので、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1007-QINU
この式は任意のUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1008-QINUについて成立するので、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1009-QINUは、集合UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1010-QINUの下界である。
下限UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1011-QINUは、下界のなかの最大値なのでUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1012-QINUを得る。
分割を細かくしていくときの不足リーマン和と、過剰リーマン和の極限
定理(ダルブー;Darboux)
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1013-QINU
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1014-QINUを、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1015-QINUで定義され、実数に値を取る有界関数とする。
このとき、
ⅰ)UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1016-QINU
ⅱ)UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1017-QINU
証明;
ⅰ)を示す。( ⅱ)は同じようにして証明できるので略す)
これを示すには、
どんなに小さい正の実数UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1018-QINUに対しても、それに応じた小さい正の実数UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1019-QINUを適切に選べば、
分割の大きさがUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1020-QINUより小さい、どんな分割UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1021-QINUも、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1022-QINU
であることを示せばよい。
以下に、数段階に分けて、これを証明する。
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1023-QINU上限の命題(補題3)から、
ある分割
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1024-QINU
が存在して、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1025-QINU
今後このUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1026-QINUを使って、証明を進める。
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1027-QINU
分割UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1028-QINUの小区間UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1029-QINUの長さUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1030-QINUの
最小値をUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1031-QINUとおくと
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1032-QINU
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1033-QINUに比べて非常に小さい大きさを持つ分割、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1034-QINU、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1035-QINU
を考える。
もし、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1036-QINUならば補題2より、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1037-QINU、
するとUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1038-QINU
通常、分割UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1039-QINUは、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1040-QINUの細分になっていない。
この場合は、高々(n-1)個のUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1041-QINUの小区間が、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1042-QINUの小区間には含まれず、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1043-QINUの分点UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1044-QINUをまたぐことになる。図参照のこと。
議論を簡単にするため、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1045-QINUの分点UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1046-QINUが全て、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1047-QINUの小区間によって跨がれている
と仮定し、議論を進める。
他のケースでも、証明はおなじようにできるので、
このように仮定しても何の問題も起こらない。
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1048-QINUの分点UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1049-QINUを跨ぐUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1050-QINUの小区間をUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1051-QINUとする(i=1,2,,,n-1)。
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1052-QINU
2つの分割UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1053-QINUからUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1054-QINUを作る。
すると
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1055-QINU
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1056-QINU
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1057-QINU
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1058-QINU
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1059-QINU
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1060-QINU
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1061-QINU
と書ける。
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1062-QINUで、 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1063-QINU なので、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1064-QINU, UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1065-QINU
後者の式から、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1066-QINU
この式と(1)式から、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1067-QINU
そこで、
「UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1068-QINUならば、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1069-QINU
が示せれば、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1070-QINU
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1071-QINU
が示され、証明が終わる。
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1072-QINU
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1073-QINU
であり、
(2)式から、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1074-QINU
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1075-QINU
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1076-QINU
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1077-QINU
なので、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1078-QINU
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1079-QINU
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1080-QINU
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1081-QINU
関数はUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1082-QINU上で有界なので、適切に正の実数UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1083-QINUを選ぶと、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1084-QINUがUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1085-QINUの要素ならば
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1086-QINUが成立する。
するとUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1087-QINU
が成り立つ。また
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1088-QINUで、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1089-QINU
なので
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1090-QINU
そこで、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1091-QINU
と選べば、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1092-QINUをみたすどのような分割UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1093-QINUも、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1094-QINU
を満たすことが証明できた。証明終わり。
可積分条件
定理;可積分条件
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1095-QINU
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1096-QINUを、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1097-QINUで定義され、実数に値を取る有界関数とする。
次の条件のうち1つが成立すれば、残り2つは成立する(互いに同値という)。
ⅰ)UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1098-QINUはUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1099-QINU上で(リーマン)可積分
ⅱ)UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1100-QINU
ⅲ)UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1101-QINU
証明
ⅰ)を仮定する。ⅱ)が成立することを示そう。
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1102-QINUの積分値をUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1103-QINUとおくと、可積分の定義から、
任意のUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1104-QINUに対して、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1105-QINUが存在して、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1106-QINUである任意の分割と、その分割の任意の代表点UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1107-QINUに対し,
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1108-QINU
が成立する。
変形すると
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1109-QINU
ここで、補題1のⅱ)から、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1110-QINU
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1111-QINU
なので、
(1)式から、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1112-QINU
これより、任意のUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1113-QINUに対して、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1114-QINUが存在して、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1115-QINU
ⅱ)が示せた。
ⅱ)を仮定する。 ⅲ)が成り立つことを示す。
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1116-QINU
なので、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1117-QINU
故に、分割を細かくしていき、極限をとると、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1118-QINU
ⅱ)が成立するので、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1119-QINU
ⅲ)が示せた。
ⅲ)を仮定する。 UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1120-QINUとおく。
ⅰ)が成り立つことを示そう。
補題1のⅰ)から、どのような分割UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1121-QINUと、その代表点UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1122-QINUに対しても
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1123-QINU
ここで、ダルブーの定理から、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1124-QINU,
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1125-QINU
が成り立つので、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1126-QINU
が成り立つ。
ⅰ)が示せた。
区分的に連続(有限個の点を除いて連続)な閉区間上の関数は積分可能
色々な関数のグラフを書くとつながっているところを、跳んでいるところが出来る。
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1127-QINUのグラフはずっとつながっている。
関数UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1128-QINUを、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1129-QINUのとき UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1130-QINU, UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1131-QINUのとき UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1132-QINU
で定義すると、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1133-QINUのところでそのグラフは跳んでいる。
連続や不連続は関数の非常に重要な性質であり、
それを調べることはとても豊かな知識をもたらす。
定理
有界閉区間上UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1134-QINUで定義され、実数に値を取る連続関数UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1135-QINUは、V上で可積分である。
略証;
有界閉区間上の連続関数は一様連続なので、
任意のUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1136-QINUに対して、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1137-QINUが存在して、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1138-QINUを満たすUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1139-QINUの任意の2点に対して、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1140-QINU
が成立する。
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1141-QINUの分割UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1142-QINUを細かくして、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1143-QINU
を満たすようにする。
すると、その分割によって得られた小区間UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1144-QINUの長さは、
全てUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1145-QINUより小さくなるので、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1146-QINU
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1147-QINUの定義から
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1148-QINU
これを用いると、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1149-QINU
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1150-QINU
故に、
任意のUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1151-QINUに対して、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1152-QINUが存在して、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1153-QINUを満たす任意の分割UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1154-QINUにたいして、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1155-QINUが示せた。
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1156-QINU
なので
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1157-QINU
が任意のUNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1158-QINUにたいして成立する。故に
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1159-QINU
可積分条件のⅲ)が示せた。証明終わり。
定理の系;有界閉区間上で定義され、区分的に連続な(有限個の不連続点をもつ)実数値関数UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1160-QINUは積分可能である。
証明は容易なので略す。
ベクトル値関数の場合
ベクトル値関数UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1161-QINUの場合も、リーマン和とリーマン可積分の定義は実数値関数の場合と変わらない。
可積分条件については、
座標系をいれ、関数の各座標成分UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1162-QINUを考える。ここで、UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1163-QINUである。他も同様。
すると区分的連続なベクトル値関数の各成分は区分的連続なので積分可能となり、
UNIQ70459dcd2efa6d2a-MathJax-1164-QINUの積分可能性が示せる。
リーマン積分の性質
命題1 線形性
命題2 積分の単調性
命題3 平均値定理
命題4 三角不等式
命題5 積分区間に関する加法性
リーマン積分の計算法
原始関数を用いるリーマン積分の計算
一変数関数の変数変換
積分計算を便利にする記号法
部分積分法
未完
不定積分の計算法
未完