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目次 |
質点の運動の表し方
高校では主に質点 （大きさがなく重さだけがある点状の物体）の運動を学び、
その法則を明らかにします。
なぜ質点の運動から、学ぶのか
大きさのある物体は、物体の箇所によって位置がことなる。また大きさのある物体は変形する。
このため、その位置を表すのが難しい。
さらに運動も平行移動だけでなく回転などを行い複雑となる。
質点は、大きさのない点なので位置は明確で、その場所を簡単に表示できる。しかも変形も回転もない。
このため、その取り扱いは、大きさのある物体に比べて、格段に、易しくなる。
しかし、重さがあって大きさのない、仮想の物質である質点の運動法則など何の役にも立たないと思う人もいるでしょう。
ところが、応用範囲は結構広いのです。
例えば、地球の公転運動(太陽の周りの回転）は、地球を質点とみなして解析してもほぼ正しい。
さらに、大きさを考慮して解析しなければならない物体の運動も、質点の運動法則を利用して解明できる。
これには高校数学より高度な数学を必要とする。
そこで、大きさのある物体の運動は主に、大学で学ぶ。
質点の運動を数式で表すにはどうするか？
我々が住む世界は、３次元 の空間 であり、縦、横、高さという3つの方向がある。この空間には距離という概念がある(注参照）。
また時間という時の経過が存在する。
。
この世界の物質は運動していて、その場所を時間とともに変える。
１章の４節で紹介したように近代の力学は、
運動を質点の位置の時間変化と考え、質点の位置や速度を正確に測定し、それらの変化の法則を明らかにして、数式で正確にあらわすという方法で発展した。
まず、時間と距離の測り方から紹介する。
（注）空間について、もう少し詳しく知りたい方は、
「８章、物理数学」の「平面と空間のベクトル」を御覧ください。
時間と距離の測り方
時間は時計で正確に測れる。
詳しくはウィキペディア（時間） の4.1 ニュートン力学での時間
を参照のこと。
また距離（あるいは長さ）は、距離の原器を使って正確に測れる。
詳しくは、
空間の点の位置の表現
位置ベクトルとベクトル
3次元空間UNIQbb300918f75d13-MathJax-333-QINUの適当な点UNIQbb300918f75d13-MathJax-334-QINUをとり、原点と呼ぶ。
空間の任意の点UNIQbb300918f75d13-MathJax-335-QINUに対し,原点UNIQbb300918f75d13-MathJax-336-QINUと点UNIQbb300918f75d13-MathJax-337-QINUを結ぶ線分を引き、UNIQbb300918f75d13-MathJax-338-QINUから点UNIQbb300918f75d13-MathJax-339-QINUにむけ向きをいれる。
この向きを図示するため、点UNIQbb300918f75d13-MathJax-340-QINUに向きを示す矢印を付ける。
この向き付きの線分(有向線分)を点UNIQbb300918f75d13-MathJax-341-QINUを表す位置ベクトルといい、UNIQbb300918f75d13-MathJax-342-QINUで表現する。図参照。
これは、点Ｏから見た点Ｐの位置を、向きのついた線分[OP]の方向・向きと、線分の長さを用いて表示するものである。
始点が違った有向線分UNIQbb300918f75d13-MathJax-343-QINUでも、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-344-QINUと方向・向きと大きさが等しければ、
点Ｏから、UNIQbb300918f75d13-MathJax-345-QINUの示す方向・向きと大きさの点は、
同じく点Ｐとなるので、始点の違いを無視出来る。
そこで、有向線分UNIQbb300918f75d13-MathJax-346-QINUと始点は異なるが、
方向・向きと大きさの等しい有向線分の全体を纏めて、
ベクトルUNIQbb300918f75d13-MathJax-347-QINUと呼ぶ。
これは、有向線分を平行移動して得られる有向線分をすべて集めて出来る集合である。
通常、表示を簡潔にするため、
有向線分と同じ記号UNIQbb300918f75d13-MathJax-348-QINUを使う。
ベクトル演算では、
そのベクトルに属す便利な有向線分を選んで、有向線分としての演算を行い、
得られた有向線分をベクトルとみなせばよい。
有向線分UNIQbb300918f75d13-MathJax-349-QINUの矢の根元に当たる端点UNIQbb300918f75d13-MathJax-350-QINUを有向線分の始点、
矢先の端点UNIQbb300918f75d13-MathJax-351-QINUを有向線分の終点と呼ぶ。
位置ベクトルUNIQbb300918f75d13-MathJax-352-QINUは、始点がＯの有向線分と考えると、
その終点がUNIQbb300918f75d13-MathJax-353-QINUなので点UNIQbb300918f75d13-MathJax-354-QINUと同一視する。
すると、点の位置は、その位置ベクトルで表示出来ることになる。
物理学では、位置ベクトル以外にも、
速度や、加速度、力などは、大きさと方向、向きを持つ量なのでベクトルである。
物理学では、ある程度のベクトルの知識が必要である。
以下に、ベクトルについて、簡単に紹介する。
まったくベクトルについて学習してない方は次の文献をご覧ください。
- [[wikibooks_ja:高等学校数学B ベクトル|ウィキブックス（高等学校数学B ベクトル）]
２つのベクトルの和
定義；２つのベクトルUNIQbb300918f75d13-MathJax-355-QINUとベクトルUNIQbb300918f75d13-MathJax-356-QINUの和を、次のように定義する。
・UNIQbb300918f75d13-MathJax-357-QINUを表す有向線分UNIQbb300918f75d13-MathJax-358-QINUとUNIQbb300918f75d13-MathJax-359-QINUを表す有向線分UNIQbb300918f75d13-MathJax-360-QINUを用いて、
有向線分UNIQbb300918f75d13-MathJax-361-QINUに対応するベクトルを、ベクトルUNIQbb300918f75d13-MathJax-362-QINUとベクトルUNIQbb300918f75d13-MathJax-363-QINUの和という。ベクトル和の図参照。
すなわち、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-364-QINU；
ベクトルUNIQbb300918f75d13-MathJax-365-QINUとUNIQbb300918f75d13-MathJax-366-QINUを
始点の同じ有向ベクトルUNIQbb300918f75d13-MathJax-367-QINU とUNIQbb300918f75d13-MathJax-368-QINUで表すと、
これを２辺とする平行四辺形UNIQbb300918f75d13-MathJax-369-QINUの対角線UNIQbb300918f75d13-MathJax-370-QINUに向きを付けたUNIQbb300918f75d13-MathJax-371-QINUの表すベクトルは、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-372-QINUに等しいことが容易に分かる。ベクトル和の図参照のこと。
ベクトル和の定義から、
必要ならば適切に平行移動しユークリッド幾何の知識を使うと、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-373-QINU ; 交換法則
UNIQbb300918f75d13-MathJax-374-QINU ；結合法則
零ベクトル
UNIQbb300918f75d13-MathJax-375-QINUという特殊な場合、UNIQbb300918f75d13-MathJax-376-QINUは、
Ｐ点から見たＱ点の位置(同じ位置)であることを示すので、有向線分として認める。
このように長さが０で一点に退化した有向線分は
平行移動で互いに移ることが出来るので,
同一とみなして、零ベクトルと呼ぶ。
UNIQbb300918f75d13-MathJax-377-QINU；零元の存在
すると
UNIQbb300918f75d13-MathJax-378-QINU
であることが、容易に証明できる。
逆ベクトル
ベクトルUNIQbb300918f75d13-MathJax-379-QINUに対し、その逆ベクトルUNIQbb300918f75d13-MathJax-380-QINUとは、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-381-QINUを加えるとUNIQbb300918f75d13-MathJax-382-QINUになる、ベクトルのことである。
どんなUNIQbb300918f75d13-MathJax-383-QINUも、逆ベクトルを一つ、そして一つだけ持つ。；逆元の存在
それは、UNIQbb300918f75d13-MathJax-384-QINUと大きさ、方向が同じで、向きが逆のベクトルである。
証明は容易。
以後、UNIQbb300918f75d13-MathJax-385-QINUを、UNIQbb300918f75d13-MathJax-386-QINUで表す。
ベクトルの実数倍
UNIQbb300918f75d13-MathJax-387-QINUを任意の実数とする。
UNIQbb300918f75d13-MathJax-388-QINUが零ベクトルでない時、そのUNIQbb300918f75d13-MathJax-389-QINU倍、UNIQbb300918f75d13-MathJax-390-QINUは次のように定義する。
・UNIQbb300918f75d13-MathJax-391-QINUが正数のとき；UNIQbb300918f75d13-MathJax-392-QINUは、UNIQbb300918f75d13-MathJax-393-QINUと方向・向きは同じで、大きさがUNIQbb300918f75d13-MathJax-394-QINU倍であるベクトルで定義する。
・UNIQbb300918f75d13-MathJax-395-QINUのとき；UNIQbb300918f75d13-MathJax-396-QINUで定義する。
・UNIQbb300918f75d13-MathJax-397-QINUのとき；UNIQbb300918f75d13-MathJax-398-QINU
UNIQbb300918f75d13-MathJax-399-QINUのときは、UNIQbb300918f75d13-MathJax-400-QINUとする。
このように定義すると、
ベクトルの実数倍がベクトルとして定まる。
次の諸規則が証明できる。
UNIQbb300918f75d13-MathJax-401-QINU
UNIQbb300918f75d13-MathJax-402-QINU
UNIQbb300918f75d13-MathJax-403-QINU
UNIQbb300918f75d13-MathJax-404-QINU
位置の座標とベクトルの座標成分表示
ベクトルの記号（例えばUNIQbb300918f75d13-MathJax-405-QINU）を用いた力学の法則の表示や演算は、ベクトル記号のまま扱うと、大変簡潔で、見通しが良い。
しかし、ベクトル記号のままでは、具体的な問題で、質点がどこにいるか、その速度は、どの方向で、いくらか、などを求めたいときには、大変である。
ベクトルを図示し、図を使って、ベクトル演算をしなければならなくなるからである。
平面の場合でさえ、ベクトルを正確に図示することはできず、手間も大変である。
3次元空間では、平面である紙の上には、正確に書くことは出来ない。
そこで点UNIQbb300918f75d13-MathJax-406-QINUの位置、位置ベクトルUNIQbb300918f75d13-MathJax-407-QINUやその他のベクトルを、いくつかの数字が順番に並んだ、数字の組で表わす方法が考えだされた。
図ではなく数字を使って位置やベクトルを表せるなら、数学で知られた色々な計算方法が利用でき、具体的な計算は飛躍的に進化する。
点の位置をいくつかの数字の組で表示するのは座標表示と呼ばれ、
ベクトルをいくつかの数字の組で表現することはベクトルの座標成分表示と呼ばれる。
色々な座標を使った表示法がみつかっている。
最も広く利用されている方法を説明しよう。
直交座標を用いる表示
空間に定めた原点UNIQbb300918f75d13-MathJax-408-QINUをとおる、縦と横と高さ方向の直交する３つの直線を引く。
各直線上の原点から単位の距離にある点(原点の両側にある）の一方に＋１を、他方にー１を振る。
他の点にも、原点からの距離に＋－符合(原点に関して、＋１と同じ側の点には＋）をつけた数字(実数）を割り振る。
このように、各点に数字が割り振られた直線に、数字が増大する向きに矢印をつける。
この直線を数直線と呼び、各点に割り振られた数字をこの点の座標と呼ぶ。図＿数直線参照。
縦(手前と奥)方向の数直線をｘ軸、横(左右)方向の数直線をy軸、高さ(上下)方向の数直線をz軸と呼ぶ。
任意の点UNIQbb300918f75d13-MathJax-409-QINUの位置や３次元ベクトルは、これ等の数直線を利用して、以下のようにして、３つの実数の組で表示できる。
（１）点の位置の座標表示
任意の点UNIQbb300918f75d13-MathJax-410-QINUから、x軸に下ろした垂線の足の座標UNIQbb300918f75d13-MathJax-411-QINU,
y軸に下ろした垂線の足の座標UNIQbb300918f75d13-MathJax-412-QINU,z軸に下ろした垂線の足の座標UNIQbb300918f75d13-MathJax-413-QINUを求める。
UNIQbb300918f75d13-MathJax-414-QINU、UNIQbb300918f75d13-MathJax-415-QINU、UNIQbb300918f75d13-MathJax-416-QINUをそれぞれ、点Pのx座標、y座標、ｚ座標と呼ぶ。
点UNIQbb300918f75d13-MathJax-417-QINUにたいして３つの数字の組UNIQbb300918f75d13-MathJax-418-QINUが、唯一つ定まる。これを点UNIQbb300918f75d13-MathJax-419-QINUの座標と呼ぶ。
ここで、数字は、x座標、ｙ座標、ｚ座標の順序で並べなければならない。
逆に３つの実数の組UNIQbb300918f75d13-MathJax-420-QINUに対して、それを座標にもつ点UNIQbb300918f75d13-MathJax-421-QINUが、唯一つ決まる。図＿座標表示を参照のこと。
（２）ベクトルの座標成分表示
・ベクトルは平行移動しても同じものなので、平行移動して、始点を原点とするベクトルUNIQbb300918f75d13-MathJax-422-QINUを考える。
位置ベクトルは、初めから始点が原点に固定された束縛ベクトルなので移動しなくて良い。
・ベクトルUNIQbb300918f75d13-MathJax-423-QINUの終点UNIQbb300918f75d13-MathJax-424-QINUの座標UNIQbb300918f75d13-MathJax-425-QINUを、ベクトルUNIQbb300918f75d13-MathJax-426-QINUの座標成分表示という。
位置ベクトルUNIQbb300918f75d13-MathJax-427-QINUでは、その成分は、点UNIQbb300918f75d13-MathJax-428-QINUの座標成分と同じである。
・このように、すべてのベクトルにひと組の数字の組が定まること、
逆に３つの実数の組を与えると、唯一つのベクトルが決まることが分かるであろう。
ｘ軸、y軸、z軸は、座標を決めるときに使われるので、座標軸と呼ばれる。
紹介した座標表示法では、3本の軸は直交するようにとってあるので、それを明示したいときは直交という形容をつけて、直交座標成分、直交座標軸などと呼ぶ。
(3)ベクトルと、その直交座標成分表示の関係について
ｘ軸上に、長さが１で、正の向き（座標の増加する向きのこと）の有向線分をとり、これによって決まるベクトルをUNIQbb300918f75d13-MathJax-429-QINUとおく。
同様に、ｙ軸上の長さ１で正の向きの有向線分に対応するベクトルをUNIQbb300918f75d13-MathJax-430-QINU,
ｚ軸上に、長さ１で正の向きの有向線分に対応するベクトルをUNIQbb300918f75d13-MathJax-431-QINUとおく。
すると、任意のベクトルUNIQbb300918f75d13-MathJax-432-QINUは、その直交座標成分UNIQbb300918f75d13-MathJax-433-QINUを用いて、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-434-QINU
と表せることが、簡単に証明できる。
このように、どんなベクトルも、3つのベクトルUNIQbb300918f75d13-MathJax-435-QINUを用いて表示できるので、
これらを順番に並べた
UNIQbb300918f75d13-MathJax-436-QINUを、3次元空間の基底と呼ぶ。
直交していることを明示したいときは、直交基底という。
さらに、基底ベクトルの大きさが１にとってあるので、
これを明示したいときには、正規直交基底と呼ぶ。
逆に、
直交基底UNIQbb300918f75d13-MathJax-437-QINUが与えられると、
直交座標系が決まる。
直交座標系には右手系と左手系の2種類がある
（１）3次元空間の場合；
空間に一つの直交座標系をとる。
3つの座標軸のうち、一つの座標軸の正負を逆にした座標系をつくる。たとえばz軸の正負を逆にしてみよう。
右手の親指、人差し指、中指をそれぞれ直角になるように延ばし、親指をx軸の正部分に、人差し指をｙ軸の正部分に重ねる。
すると中指はz軸と重なるが、
片方の座標系では、向きまで一致する。
もう一方の座標系では、向きは逆になってしまう。
一致するほうの座標系を右手系、逆向きの座標系を左手系とよぶ。図参照。
x軸やy軸の向きを変える場合でも全く同じことが起こることを確かめてほしい。
（２）平面の場合；
ｘ軸を原点を中心に90度だけ反時計回りに回転してx軸とy軸を重ねたときb、向きまで一致する座標系を右手系といい、逆向きになる時左手系という。
（３）物理では右手系を用いる。
どちらの座標系を使っても、あらゆることが、同じように議論できるが、
どちらの座標系を使っているかで法則の表現が違ったり、
２種の座標系を混在させて使うと過ちになるなど、
不具合が生じてしまうので、
物理の世界では、右手系を使うことにしている。
直交座標系については、
ウィキペディア（直交座標系）
を参照のこと。
色々な座標
ベクトルを実数の組で表示する、座標表示の方法は、色々考案されている。
それは、運動の種類に応じて、使いやすい座標と使いにくい座標があるからである。
直交座標は最も多く使われるが、円運度や楕円運動では極座標が便利である。
極座標については、ウィキペディア（極座標系）
その他の座標系も含む色々な座標系についてはウィキペディア（座標）
を参照のこと。
（注）座標系をつかい、数字の計算で図形等の性質を調べることは１６世紀にデカルトが見つけた偉大な方法である。
この方法が、運動を法則を解明する時に、不可欠の役割を果たしている。
座標表示の欠点
座標系を定めて位置を数値化すのため、当然のことながら、
位置を表示する数値は座標系に依存する。
このため、異なる座標系で表現したいときには、正しい数値にするため、
場合によってはかなり複雑な変換をする必要が起こる。
ベクトル表示は、座標を用いないので、この種の煩わしさは無い。
物理で利用するベクトルの演算についての注意
数学で扱うベクトルは、文字通り、大きさと方向・向きの等しいベクトルは皆同じものとみなし、平行移動したり、ベクトル同士の演算も自由にできる。自由ベクトルと呼ばれる。
ところが
力は大きさと方向・向きを持つのでベクトルだが、作用する場所が変われば、その効果もまったく異なる。すなわち、ベクトルの始点がどこにあるかが、重要なベクトルである。そこで平行移動や始点の異なるベクトルの和は許さない。このようなベクトルは束縛ベクトルという。
物理に現れるベクトルは束縛ベクトルであることが良く起こるので、
物理的意味を考えて、数学を利用する必要がある。
質点の速度と加速度
空間に原点を決め、質点の位置Pを時間の関数としてUNIQbb300918f75d13-MathJax-438-QINUと表わせば、質点の動き方がわかるので、その速度や加速度（速度の増加の仕方）も計算できる。
位置ベクトルは必要ならば座標系を定め座標成分表示しておく。
例えば、xyz直交座標系ならば、UNIQbb300918f75d13-MathJax-439-QINU,
極座標系ならばUNIQbb300918f75d13-MathJax-440-QINUという形で表せる。
速度
質点の速度は、質点の位置が単位時間あたり幾ら変化するかを表わす。大きさと方向・向きを持つのでベクトルである。
平均速度
任意の時刻UNIQbb300918f75d13-MathJax-441-QINUにおける質点の位置がUNIQbb300918f75d13-MathJax-442-QINUで表される時、
時刻UNIQbb300918f75d13-MathJax-443-QINUと時刻UNIQbb300918f75d13-MathJax-444-QINUの間の平均の速度は、 UNIQbb300918f75d13-MathJax-445-QINU で定義する。平均速度はベクトルである。（注意）UNIQbb300918f75d13-MathJax-446-QINUはUNIQbb300918f75d13-MathJax-447-QINUの前後どちらでもよい。
ベクトルUNIQbb300918f75d13-MathJax-448-QINU を直交座標系xyzにかんして座標表示し、UNIQbb300918f75d13-MathJax-449-QINU と表すと、
平均の速度は、UNIQbb300918f75d13-MathJax-450-QINU となる。
瞬間速度(略して速度)とベクトル値関数の微分
落下する物体は時々刻々速さを増し、一定の速さに留まることはない。
そのような運動の速度を正確にとらえようとして、ガリレオは、平均速度をとる時間間隔t-sを無限に小さくした時の、平均速度を考えた(微分学の始まり）。
これを瞬間速度という。物理学では、単に速度と言えば、瞬間速度のことをいう。
高校の数学で学ぶ微分を、ベクトルに値をとる関数に拡張すると、時刻UNIQbb300918f75d13-MathJax-451-QINUの速度UNIQbb300918f75d13-MathJax-452-QINUは、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-453-QINU
で表せる。
ベクトルUNIQbb300918f75d13-MathJax-454-QINU をxyz直交座標の成分で表示（UNIQbb300918f75d13-MathJax-455-QINU）すると、上記の速度は、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-456-QINU
UNIQbb300918f75d13-MathJax-457-QINU
UNIQbb300918f75d13-MathJax-458-QINU
UNIQbb300918f75d13-MathJax-459-QINU
と表せる。
速度については、下記の記事も参考のこと。
ウィキペディア(速度)
瞬間速度(略して速度)とベクトル値関数の微分
落下する物体は時々刻々速さを増し、一定の速さに留まることはない。
そのような運動の速度を正確にとらえようとして、ガリレオは、平均速度をとる時間間隔UNIQbb300918f75d13-MathJax-460-QINUを無限に小さくした時の、平均速度を考えた(微分学の始まり）。
これを瞬間速度という。物理学では、単に速度と言えば、瞬間速度のことをいう。
高校の数学で学ぶ微分を、ベクトルに値をとる関数に拡張すると、時刻UNIQbb300918f75d13-MathJax-461-QINUの速度UNIQbb300918f75d13-MathJax-462-QINUは、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-463-QINU
で表せる。
ベクトルUNIQbb300918f75d13-MathJax-464-QINU をxyz直交座標の成分で表示（UNIQbb300918f75d13-MathJax-465-QINU）すると、上記の速度は、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-466-QINU
UNIQbb300918f75d13-MathJax-467-QINU
UNIQbb300918f75d13-MathJax-468-QINU
UNIQbb300918f75d13-MathJax-469-QINU
と表せる。
速度については、下記の記事も参考のこと。
ウィキペディア(速度)
極限と微分について解説
極限と微分についての基本事項をまだ学んでいない方むけに、要点のみを記載する。
瞬間速度を求めるとき、UNIQbb300918f75d13-MathJax-470-QINU間の平均速度UNIQbb300918f75d13-MathJax-471-QINUに対してUNIQbb300918f75d13-MathJax-472-QINUという操作を行った。
この操作を極限をとるという。
また、ベクトルに値をとる関数UNIQbb300918f75d13-MathJax-473-QINUに対して
UNIQbb300918f75d13-MathJax-474-QINU をもとめる操作を、
関数を微分するとか、関数の微分をとるという。
ここでは、極限と微分について、その基礎を紹介する。
(1)変数と関数
色々な値をとりえる文字を、変数という。
変数のとり得る値の範囲は、定めておく。
この範囲が、実数のときは実変数、複素数のときは複素変数、ベクトルのときはベクトル変数などと、明示することがある。
２つの変数UNIQbb300918f75d13-MathJax-475-QINUのあいだに、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-476-QINUの値が決まると、それに対応してUNIQbb300918f75d13-MathJax-477-QINUの値が一つ決まる時、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-478-QINUはUNIQbb300918f75d13-MathJax-479-QINUの関数であるという。
UNIQbb300918f75d13-MathJax-480-QINUがUNIQbb300918f75d13-MathJax-481-QINUの関数であっても、UNIQbb300918f75d13-MathJax-482-QINUのとり得る範囲の一部に対してはUNIQbb300918f75d13-MathJax-483-QINUの値が定まらない場合もある。
この場合も考慮して、UNIQbb300918f75d13-MathJax-484-QINUの値がきまるUNIQbb300918f75d13-MathJax-485-QINUの値の全体（集合）を、この関数の定義域という。
多くの関数は、その定義域は、変数UNIQbb300918f75d13-MathJax-486-QINUの取り得る範囲と一致しており、
すべてのUNIQbb300918f75d13-MathJax-487-QINUの値に対して、UNIQbb300918f75d13-MathJax-488-QINUの値が対応している。
UNIQbb300918f75d13-MathJax-489-QINUは、関数の定義域のなかのどの値も代入できるので、独立変数と呼ばれる。
UNIQbb300918f75d13-MathJax-490-QINUは、UNIQbb300918f75d13-MathJax-491-QINUの値が決まると自動的に値がきまるので従属変数と呼ばれる。
（２）変数と関数の記号
変数はUNIQbb300918f75d13-MathJax-492-QINU以外にも、必要に応じて色々なものが使われる。
例えば、とり得る値が時間(time)である実変数は、それを表すためUNIQbb300918f75d13-MathJax-493-QINUが使われる。
また、とり得る値が位置ベクトルである、ベクトル変数はUNIQbb300918f75d13-MathJax-494-QINUが良く使われる。
UNIQbb300918f75d13-MathJax-495-QINUの関数UNIQbb300918f75d13-MathJax-496-QINUのことを、関数記号UNIQbb300918f75d13-MathJax-497-QINUを用いて、UNIQbb300918f75d13-MathJax-498-QINUと書く。
関数記号はこれ以外にもUNIQbb300918f75d13-MathJax-499-QINUなど、必要に応じて、色々な文字が使われる。
物理学では、従属変数が何か明示でき、記号数を減らせるという理由で、
従属変数の記号を関数記号に用いる。
例えば独立変数が時間UNIQbb300918f75d13-MathJax-500-QINUで従属変数が位置ベクトルUNIQbb300918f75d13-MathJax-501-QINUである関数は、UNIQbb300918f75d13-MathJax-502-QINUと書く。
（３）関数の極限
独立変数と従属変数が実数や複素数、３次元ベクトルの値をとる時のように、２つの値の間の距離が定義されているとき、極限の概念が重要な役割を果たす。
定義：関数の極限
関数UNIQbb300918f75d13-MathJax-503-QINUにおいて、独立変数UNIQbb300918f75d13-MathJax-504-QINUが、UNIQbb300918f75d13-MathJax-505-QINUと異なる値をとりながらUNIQbb300918f75d13-MathJax-506-QINUに限りなく近づくとき、
それに対応する従属変数の値UNIQbb300918f75d13-MathJax-507-QINUが、ある一つの値UNIQbb300918f75d13-MathJax-508-QINUに限りなく近づくとき、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-509-QINUを、UNIQbb300918f75d13-MathJax-510-QINUがUNIQbb300918f75d13-MathJax-511-QINUに限りなく近づくときの関数UNIQbb300918f75d13-MathJax-512-QINUの極限(あるいは極限値）という。
これを、UNIQbb300918f75d13-MathJax-513-QINUと記号で表示する。
あるいは、UNIQbb300918f75d13-MathJax-514-QINUのとき UNIQbb300918f75d13-MathJax-515-QINU とも書く。
（注）この極限の定義は直観的すぎて正確には分からない。正確にしてほしいという方に
どんなに小さい正数UNIQbb300918f75d13-MathJax-516-QINUをとっても、
(十分小さい）適当な正数UNIQbb300918f75d13-MathJax-517-QINUをとれば、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-518-QINU,UNIQbb300918f75d13-MathJax-519-QINUならば、常に、UNIQbb300918f75d13-MathJax-520-QINUが成り立つ時、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-521-QINUを、UNIQbb300918f75d13-MathJax-522-QINUがUNIQbb300918f75d13-MathJax-523-QINUに限りなく近づくときの関数UNIQbb300918f75d13-MathJax-524-QINUの極限(あるいは極限値）といい、
記号では、UNIQbb300918f75d13-MathJax-525-QINUと表す。
の中の関数の極限を参照のこと
（４）関数の極限の性質
今後は、表現を短くするため、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-526-QINUに限りなく近づく」ことを、
単に「UNIQbb300918f75d13-MathJax-527-QINUに限りなく近づく」と書く。
UNIQbb300918f75d13-MathJax-528-QINUは任意の実数とする。
関数UNIQbb300918f75d13-MathJax-529-QINUとUNIQbb300918f75d13-MathJax-530-QINUは、UNIQbb300918f75d13-MathJax-531-QINUがUNIQbb300918f75d13-MathJax-532-QINUと異なる値をとりながらUNIQbb300918f75d13-MathJax-533-QINUに限りなく近づく時、極限を持つ
と仮定する。
この時以下の性質が成り立つ。
性質ⅰ）線形性
UNIQbb300918f75d13-MathJax-534-QINUも、UNIQbb300918f75d13-MathJax-535-QINUがUNIQbb300918f75d13-MathJax-536-QINUと異なる値をとりながらUNIQbb300918f75d13-MathJax-537-QINUに限りなく近づく時極限を持ち
UNIQbb300918f75d13-MathJax-538-QINU
性質ⅱ）
UNIQbb300918f75d13-MathJax-539-QINUは、UNIQbb300918f75d13-MathJax-540-QINUがUNIQbb300918f75d13-MathJax-541-QINUと異なる値をとりながらUNIQbb300918f75d13-MathJax-542-QINUに限りなく近づく時、極限を持ち、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-543-QINU
性質ⅲ）
UNIQbb300918f75d13-MathJax-544-QINUならば、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-545-QINUは、UNIQbb300918f75d13-MathJax-546-QINUがUNIQbb300918f75d13-MathJax-547-QINUと異なる値をとりながらUNIQbb300918f75d13-MathJax-548-QINUに限りなく近づく時、極限を持ち、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-549-QINU
（５）ベクトルに値をとる関数の極限；
UNIQbb300918f75d13-MathJax-550-QINUを実変数とする。実変数のベクトル値関数 UNIQbb300918f75d13-MathJax-551-QINUにおいて、独立変数UNIQbb300918f75d13-MathJax-552-QINUが、UNIQbb300918f75d13-MathJax-553-QINUと異なる値をとりながらUNIQbb300918f75d13-MathJax-554-QINUに限りなく近づくとき、
それに対応する従属変数の値UNIQbb300918f75d13-MathJax-555-QINUが、限りなく、ある一つのベクトルUNIQbb300918f75d13-MathJax-556-QINUに近づくとき、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-557-QINUを、UNIQbb300918f75d13-MathJax-558-QINUが限りなくUNIQbb300918f75d13-MathJax-559-QINUに近づく時の関数UNIQbb300918f75d13-MathJax-560-QINUの極限といい、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-561-QINUと記号で表示する。
（６）ベクトル値関数の極限の性質
ⅰ）線形性
UNIQbb300918f75d13-MathJax-562-QINUは任意の実数で、
関数UNIQbb300918f75d13-MathJax-563-QINUとUNIQbb300918f75d13-MathJax-564-QINUは、UNIQbb300918f75d13-MathJax-565-QINUがUNIQbb300918f75d13-MathJax-566-QINUと異なる値をとりながらUNIQbb300918f75d13-MathJax-567-QINUに限りなく近づく時、極限を持つ
と仮定する。すると
UNIQbb300918f75d13-MathJax-568-QINUも、UNIQbb300918f75d13-MathJax-569-QINUがUNIQbb300918f75d13-MathJax-570-QINUと異なる値をとりながらUNIQbb300918f75d13-MathJax-571-QINUに限りなく近づく時極限を持ち
UNIQbb300918f75d13-MathJax-572-QINU
ⅱ）ある直交座標系を定め、ベクトルを第一成分（ｘ軸成分）、第２成分（ｙ軸成分）、第３成分（ｚ軸成分）で表示する。この時、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-573-QINUであることの必要十分条件は
すべてのi=1,2,3に対してUNIQbb300918f75d13-MathJax-574-QINU
これ等の性質は、実数値関数の場合にも成り立つ。
証明は各自試みてください。
ベクトル値関数の場合も、全く同じように証明できる。
（７）微分可能と導関数
実変数ベクトル値関数UNIQbb300918f75d13-MathJax-575-QINUが
UNIQbb300918f75d13-MathJax-576-QINUにおいて微分可能とは、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-577-QINUがUNIQbb300918f75d13-MathJax-578-QINUと異なる値をとりながらUNIQbb300918f75d13-MathJax-579-QINUに限りなく近づく時、
実変数ベクトル値関数UNIQbb300918f75d13-MathJax-580-QINUが、極限を持つこと。
この極限UNIQbb300918f75d13-MathJax-581-QINUを
関数 UNIQbb300918f75d13-MathJax-582-QINUのUNIQbb300918f75d13-MathJax-583-QINUにおける微分係数といい、
記号ではUNIQbb300918f75d13-MathJax-584-QINUあるいはUNIQbb300918f75d13-MathJax-585-QINUなどと書く。
性質
実変数ベクトル値関数UNIQbb300918f75d13-MathJax-586-QINUを、直交座標系ＸＹＺの成分で、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-587-QINUと表示しておく。
関数UNIQbb300918f75d13-MathJax-588-QINUが
UNIQbb300918f75d13-MathJax-589-QINUにおいて微分可能のとき、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-590-QINUにおける微分係数UNIQbb300918f75d13-MathJax-591-QINUを、直交座標系ＸＹＺの成分で表示すると、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-592-QINU
（８）微分係数の幾何学的意味
接線の傾き。
接点
関数の接線は、接点の近くで、この関数を近似する。
（９）導関数と微分
今後は、関数UNIQbb300918f75d13-MathJax-593-QINUを、単にUNIQbb300918f75d13-MathJax-594-QINUと書くこともある。
この記法では、UNIQbb300918f75d13-MathJax-595-QINUが独立変数、UNIQbb300918f75d13-MathJax-596-QINUが、対応する従属変数の値を表す。
実変数ベクトル値関数UNIQbb300918f75d13-MathJax-597-QINUにおいて、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-598-QINUの任意の値UNIQbb300918f75d13-MathJax-599-QINUに対して、微分係数UNIQbb300918f75d13-MathJax-600-QINUが存在するならば、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-601-QINUにUNIQbb300918f75d13-MathJax-602-QINUを対応させると、実変数ベクトル値関数が得られる。
この関数を関数UNIQbb300918f75d13-MathJax-603-QINUの導関数といい、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-604-QINU、UNIQbb300918f75d13-MathJax-605-QINU、UNIQbb300918f75d13-MathJax-606-QINUなどと書く。
関数UNIQbb300918f75d13-MathJax-607-QINUの導関数UNIQbb300918f75d13-MathJax-608-QINUを求めることを、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-609-QINUをUNIQbb300918f75d13-MathJax-610-QINUについて微分するという。
（１０）微分の性質
１） 線形性、
実数値関数の場合；
ベクトル値関数に場合；
２）２つの実数値関数の積の微分
３）２つのベクトル値関数の内積の微分
４）２つの実数値関数の合成関数の微分
５）ベクトル値関数と実数値関数の合成関数の微分
６）2つの実数値関数の商の微分
初等関数の導関数
物理学で良く使う関数の導関数だけ紹介する。
・UNIQbb300918f75d13-MathJax-611-QINU
・UNIQbb300918f75d13-MathJax-612-QINU
・UNIQbb300918f75d13-MathJax-613-QINU
・UNIQbb300918f75d13-MathJax-614-QINU UNIQbb300918f75d13-MathJax-615-QINU
・UNIQbb300918f75d13-MathJax-616-QINU UNIQbb300918f75d13-MathJax-617-QINU
・自然数UNIQbb300918f75d13-MathJax-618-QINUと自然対数
接線
微分可能関数は任意の点の近くで接線で近似できること。
等速円運動の速度
質点がUNIQbb300918f75d13-MathJax-619-QINU 平面上の原点 O を中心とする半径 UNIQbb300918f75d13-MathJax-620-QINUの円上を等速UNIQbb300918f75d13-MathJax-621-QINUで運動するとする。
質点の角速度UNIQbb300918f75d13-MathJax-622-QINUは、UNIQbb300918f75d13-MathJax-623-QINU（ラジアン／単位時間）である。
時刻UNIQbb300918f75d13-MathJax-624-QINUの質点の位置ベクトルUNIQbb300918f75d13-MathJax-625-QINUのUNIQbb300918f75d13-MathJax-626-QINU座標をUNIQbb300918f75d13-MathJax-627-QINU、極座標を(ｒ、UNIQbb300918f75d13-MathJax-628-QINUと書くと、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-629-QINU
UNIQbb300918f75d13-MathJax-630-QINU
ここでUNIQbb300918f75d13-MathJax-631-QINU は、時刻0における質点の位相角である。
これらを時間ｔで微分すると、速度のx成分とy成分
UNIQbb300918f75d13-MathJax-632-QINU
UNIQbb300918f75d13-MathJax-633-QINU
が得られる。
但し、UNIQbb300918f75d13-MathJax-634-QINU は、関数UNIQbb300918f75d13-MathJax-635-QINU を時間変数UNIQbb300918f75d13-MathJax-636-QINUで微分したことを意味する記法で、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-637-QINU ということである。
UNIQbb300918f75d13-MathJax-638-QINUなので
速度ベクトルはUNIQbb300918f75d13-MathJax-639-QINU,
このベクトルは、質点の位置ベクトルUNIQbb300918f75d13-MathJax-640-QINU
と直交している。
何故なら、UNIQbb300918f75d13-MathJax-641-QINUの傾きはUNIQbb300918f75d13-MathJax-642-QINU、UNIQbb300918f75d13-MathJax-643-QINUの傾きはUNIQbb300918f75d13-MathJax-644-QINUなので、傾きの積が－1となるからである。
関連事項については次の記事を参照のこと。
ウィキペディア(円運動)
加速度
質点の加速度は、速度が単位時間あたり幾ら変化するかを表わす、ベクトルである。
速度と同じように平均加速度と瞬間加速度が考えられるが、単に加速度といえば瞬間加速度のことである。
平均加速度
任意の時刻UNIQbb300918f75d13-MathJax-645-QINUにおける質点の速度がUNIQbb300918f75d13-MathJax-646-QINUで表される時、
時刻UNIQbb300918f75d13-MathJax-647-QINUと時刻UNIQbb300918f75d13-MathJax-648-QINUの間の平均の加速度は、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-649-QINU
で定義する。平均加速度はベクトルである。
瞬間加速度、略して加速度
落下する物体は、速度を増すが、その増し方も絶えず増加する。
そのような運動の速度の増加の仕方を正確にとらえるためには、平均加速度をとる時間間隔s-tを無限に小さくした時の、平均加速度を考える必要がある。
これを時刻UNIQbb300918f75d13-MathJax-650-QINUにおける瞬間加速度というが、物理学では、単に加速度と言えば、瞬間加速度のことをいう。
数式を用いると、時刻UNIQbb300918f75d13-MathJax-651-QINUの加速度UNIQbb300918f75d13-MathJax-652-QINUは、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-653-QINU
UNIQbb300918f75d13-MathJax-654-QINUなので、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-655-QINU と書ける。
加速度については、下記の記事も参照のこと。
ウィキペディア(加速度)
等速円運動の加速度
質点が xy 平面上で原点 O を中心とする半径 r の円上を等速で運動するとき、加速度はどうなるか？
速度ベクトルはUNIQbb300918f75d13-MathJax-656-QINU であった。すると加速度はUNIQbb300918f75d13-MathJax-657-QINU となる。すなわち大きさがUNIQbb300918f75d13-MathJax-658-QINUで向きは、質点の位置から運動の中心である原点Oに向いた、ベクトルである。
以下の記事も参考にしてください。
ウィキペディア(円運動)
時間、長さ、速度、加速度の単位
色々な単位系があるが、通常はSI国際単位系が用いられる。
この単位系では時間や長さ等、基本的なものを基本単位として定める。
その他の速度や加速度、力等の単位は、それぞれの定義や物理法則を利用して、基本単位を用いて組み立てる。
これらはSI組み立て単位と呼ばれる。
例えば、速度の定義は、
UNIQbb300918f75d13-MathJax-659-QINU
なので、単位は距離の単位UNIQbb300918f75d13-MathJax-660-QINU（メートル）を時間の単位UNIQbb300918f75d13-MathJax-661-QINU（秒）で割った、UNIQbb300918f75d13-MathJax-662-QINU である。
加速度の単位は、その定義が
UNIQbb300918f75d13-MathJax-663-QINU
なので、UNIQbb300918f75d13-MathJax-664-QINU である。
