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物理/電気と磁気(2) 電流と磁界
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[[物理]] > [[物理/電気と磁気(2) 電流と磁界|10章 電気と磁気(2) 電流と磁界]] ==電流と磁界== この節では静止した電荷でなく動く電荷の性質をしらべる。 ===電流=== 電荷の流れを電流という。多くの場合は、導体中の自由電子が動いて電流となる。[[wikipedia_ja:電解液|電解液(イオン溶液ともいう)]]では、正負のイオンが動いて電流となる。<br/> 電流によって電荷は移動し、後で学ぶように、磁場を発生する。 ====定常電流==== 時間がたっても流れ方が変化せず、一定に流れる電流のこと。'''この章では、単に電流といえば定常電流をさす'''。 ====電流の向きと大きさの単位==== 電流の向きは、正の電荷の流れる向きと定めている。電子が移動する電流のばあい、電流の向きとは逆に電子が動いていることになる。<br/> 電流の大きさ(略して電流)は、平行電流が及ぼしあう力(後で学ぶ)によって、定められ、アンペア[A]という単位でよばれる。 *[[wikipedia_ja:アンペア|ウィキペディア(アンペア)]] ===電流が作る磁界=== 電流は磁界をつくる。エルステッドは1820年に電流は方位磁針を動かす磁界を作り出すことを発見。 ====無限に長い直線導線に電流Iを流す時にできる磁界<tex> \vec{H} </tex> ==== 実験によると、任意の点Pの磁界<tex> \vec{H(P)} </tex> は、大きさは、P点から電流までの距離rに反比例し、向きは、電流を中心としP点を通る円の接線の右ねじの方向(電流の方向に右ねじが進むときの、ねじの回転方向)である。 ====アンペールの研究 ==== [[wikipedia_ja:アンドレ=マリ・アンペール|アンペール]]が、詳しい実験と考察により、任意の形状の電流の作る磁界に関するアンペールの法則を明らかにした。 この過程で次の重要な原理を、実験により発見した。 =====磁界の重ね合わせの原理===== 電流<tex> I_1</tex> がP点に作る作る磁界を<tex> H_1(P)</tex>,電流<tex> I_2</tex> がP点に作る作る磁界を<tex> H_2(P)</tex> とすると、2つの電流<tex> I_1</tex>と <tex> I_2</tex> が同時に流れた時にP点に作る作る磁界は<tex> H_1(P)+H_2(P)</tex> =====環状の電流は磁石のようにふるまう===== 電流が流れている環状の線が作る磁場は、環の大きさに比べて十分離れたところでは、この環を縁とする板磁石のつくる磁界と同じになる。 ====アンペールの法則==== 実験で明らかにした以上の事実から、アンペールは次のような重要な法則を導いた。 *[[wikipedia_ja:アンペールの法則|ウィキペディア(アンペールの法則)]] この記述中の「閉じた経路にそって磁場の大きさを足し合わせ」た値は、この経路にそって1Wbの磁荷を一周するとき磁荷が磁界から受ける仕事と同じ値である。この値がこの閉路を貫く電流(右ねじの回転方向が磁荷の回転方向と一致するように回したときの、右ねじの進行方向の電流を正とする)に等しくなる、というのがアンペールの法則である。なお、導出は少し難しいので、高校では扱いません。 ====アンペールの法則の応用==== アンペールの法則を用いると、対称性をもついろいろな電流の作る磁界が、実験をしなくても、数式の計算だけで求められる。<br/> 例1.無限に長い直線導線に電流Iを流す時にできる磁界<tex> \vec{H} </tex>: <br/>直線電流を軸とした回転で対称な現象なので、<tex> \vec{H} </tex>は、導線からの距離rが等しい場所では大きさはすべて等しい。任意の点Pに電流Iがつくる磁界を<tex> \vec{H_I}</tex>とすると重ね合わせの原理から、同じ大きさの電流を逆に流すとき、P点の磁界は<tex> \vec{H_{-I}} = \vec{-H_I}</tex>。 これを上下逆にしてながめると、対称性から<tex> \vec{H_I}</tex> とおなじにみえなければならないので、<tex> \vec{H_I}</tex>は、P点を始点として、<tex> \vec{O(P)P} </tex>と直交したベクトル(ここでO(P)はP点から直線電流におろした垂線の足)。さらにアンペールの法則を用いると<tex>\vec{ H_I}</tex>は、Iと平行な成分を持たないことが示せる。従っては、<tex> \vec{H(P)} </tex>は、電流までの距離rが等しい場所では大きさはすべて等しい。この値を<tex> \vec{H(r)} </tex>と書く。その向きは、電流と垂直に交わり、かつ、電流を中心とする半径rの円の接線の、(電流の方向に進む)右ねじの回転方向である。従って、この円に沿って1Wbの磁荷を一周させるとき、磁荷の受ける仕事は、<tex> 2\pi r |\vec{H(r)}| </tex>となる。アンペールの法則から、 <tex> I=2\pi r|\vec{H(r)}|</tex> ∴<tex> |\vec{H(r)}|=I/2 \pi r</tex> <br/> 例2.円筒形の長い中空の筒に導線を一様に密にまいたコイル(ソレノイドという。1mあたりn巻き)に、電流Iを流した時にできる磁界: <br/> 厳密な解は難しいので、近似解をアンペールの法則から求めよう。<br/>コイルを流れる電流はコイルの各場所で右ねじの方向の磁界を発生させる。これらがある場所では強めあい、他の場所では弱めあって、現実の磁界が出来る。<br/> ソレノイドの外側の側面の近くの磁界は、反対側の側面の電流のつくる磁界と弱めあい、ほぼ零。<br/> ソレノイドの内側の磁界はつよめあうので大きい。ソレノイドが、その軸のまわりの回転に関して対称なので、磁界の方向はソレノイド軸と平行で、磁界の大きさは、軸からの距離の等しいところでは同じ。<br/> さらに軸からの距離に関係なく同じ大きさ(Hと書く)であることが、アンペールの法則から、次のように証明できる。<br/>軸に平行で、軸からの距離<tex> r_1</tex>と軸からの距離<tex> r_2</tex>の長さlの線分を対辺とする、ソレノイド内部の長方形を考えろ。これにそって1Wbの磁荷を動かす時に磁荷の受けるエネルギーは、この長方形を貫く電流の大きさ零に等しい。これより導ける。<br/> 内側の磁界の大きさは、'''H=nI'''。 何故なら、ソレノイドの軸と平行で長さがlの2本の線分(一方はソレノイドの外側で側面に近いもの、他方はソレノイド内部)を対辺とする長方形を考え、これにアンペールの法則を適用すれば、これを一周する1Wbの磁荷のうける仕事=Hl,これがこの長方形を貫く電流総和=nlI に等しい。 =====もっと一般の電流の作る磁界===== アンペールの法則から直接計算するのは難しい。アンペールの法則と磁界の重ね合わせの原理から、磁界計算に大変都合のよい、ビオ・サバールの法則がえられるが、これについては大学で学ぶ。興味のある方は *[[wikipedia_ja:ビオ・サバールの法則|ウィキペディア(ビオ・サバールの法則)]] をご覧ください。 ===磁界が電流に及ぼす力=== アンペールは、電流は磁石に力を与えるので、(作用・反作用の原理から)磁石は電流に力を与えるはずであると考えた。さらに電流は磁石と同じ作用を持つので、電流は電流に力を及ぼすと考え、実験で次の事実を明らかにした。 ====2本の平行な直線状の電流が及ぼしあう力==== 電流の正の向きを、2本の平行線で共通にさだめ、それぞれに電流<tex>I_1,I_2</tex> を流すと、それらの電流の単位長さあたりには、次のような力Fが働く。<br/> <tex>F = k\frac{I_1 ,I_2}{R}</tex> 。ここでR は平行線間の距離、kは正の比例定数、さらにFが正のときは引力、負のときは斥力を表すとする。<br/> 電流の単位アンペア[A]は、この法則を用いて定められている。すなわち、等しい強さの2本の平行電流を1m 離しておいた時、それぞれの平行線に1mあたり、<tex>2 \vartimes 10-_7 N/m </tex> の力が作用する時、1A と決める。<br/>MKSA単位系のもとでは、比例定数kは、<tex>\frac{\mu _0}{2 \pi}</tex> =====平行電流に働く力の近接作用による表現===== ====磁界中の電流がうける力==== 磁界中の導線に電流を流すと導線は力を受ける。 ====ローレンツ力==== ====磁界中を動く導線と誘導起電力==== ====磁界中を動く導線と電界==== ===磁束密度と物質の透磁率=== ====磁束密度==== ===物質の透磁率=== ====磁界と磁束密度====
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