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物理/極限と微分
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= 極限と微分 = ==集合== 集合論の初歩の知識は前提にして記述するので、<br/> なじみのない方は、下記を参考に、<br/> 集合の素朴な定義、集合の表記法、集合の和集合や共通集合、集合の包含関係<br/> などについて学習してほしい。 *[[wikipedia_ja:集合 |ウィキペディア(集合)]] == 実数の連続性と極限 == 実数の連続性は、色々な極限の存在の根拠を与えるもので、<br/> 実数の持つ最も重要な性質の一つである。 ===上界、下界と有界集合=== ${\bf R}$を、全ての実数を要素とする集合とし、<br/> $A$をその部分集合とする。<br/> 実数$u$が$A$の'''上界'''(upper bound)とは、<br/> 任意の$a \in A$に対して、$a \leq u$がなりたつこと。<br/> 実数$l$が$A$の'''下界'''(lower bound)とは、<br/> 任意の$a \in A$に対して、$l \leq a$がなりたつこと。<br/> $U_A$を$A$の上界をすべて集めた集合、<br/> $L_A$を$A$の上界をすべて集めた集合とする。<br/> $U_A$が空集合$\emptyset$でない(すなわち、$A$の上界が少なくとも一つ存在する)とき、<br/> $A$は'''上に有界'''であるといい、<br/> $L_A\neq \emptyset$の時、$A$は'''下に有界'''であるという。<br/> 上に有界で、下にも有界な集合($\subset {\bf R})$は、'''有界'''という。 ===実数の連続の公理と上限、下限=== $A \subset {\bf R}$とする。<br/> 実数の連続性の公理<br/> もし、$U_A \neq \emptyset$ならば、$U_A$は、最小元を持つ。<br/> もし、$L_A \neq \emptyset$ならば、$L_A$は、最大元を持つ。<br/><br/> 上限と下限の定義<br/> $U_A$の最小元を$A$の'''上限(supremum)'''あるいは'''最小上界(least upper bound)'''という。<br/> また、$L_A$の最大元を$A$の'''下限(infimum)'''あるいは'''最大下界(greatest lower bound)'''という。<br/><br/> 命題1<br/> $u$が$A(\subset {\bf R})$ の上限となるための必要十分条件は、<br/> ⅰ)$u$は$A$の上界。すなわち任意の$a\in A$にたいして$a \leq u$ <br/> ⅱ)$x<u$である任意の$x$は$A$の上界ではない。すなわち、$x<a$となる$a\in A$が存在。<br/> ⅲ)$A$が最大値を持つ場合には、上限は最大値と一致する。<br/> 同様に、$l$が$A$ の下限となるための必要十分条件は、<br/> ⅰ)$l$は$A$の下界。すなわち任意の$a\in A$にたいして$l\leq a$ <br/> ⅱ)$l<x$である任意の$x$は$A$の下界ではない。すなわち、$a<x$となる$a\in A$が存在。<br/> ⅲ)$A$が最小値を持つ場合には、下限は最小値と一致する。<br/><br/> $A$ の上限を$\sup A$、下限を$\inf A$と書く。<br/><br/> 証明は、上限、下限の定義から、明らかなので省略する。<br/> 例;$A=(0,1)$のとき、$\sup A=1$,$\inf A=0$。<br/> これらは、ともに$A$の要素でないので、<br/> 上限1は$A$の最大元(最大値)ではなく、下限0は$A$の最小元(最小値)ではない。<br/> $A=[0,1]$のとき、$\sup A=1$,$\inf A=0$。<br/> これらは、ともに$A$の要素なので、<br/> 上限は最大限であり、下限は最小限となる。<br/> 命題2<br/> $A \subset B \subset {\bf R}$で、$B$は有界集合とする。<br/> このとき、$\inf B \leq \inf A \leq \sup A \leq \sup B$<br/> 証明は容易である。<br/><br/> 命題3<br/> $A \subset {\bf R}$で、$A$は有界集合とする。<br/> $s:=\inf A,\quad S:=\sup A,\quad d(A):=\sup_{x,y\in A}(x-y)$とおくと、<br/> $S-s=d(A)$<br/> 証明<br/> 1)$d(A)\leq S-s$を示す。<br/> 下限と上限の定義から、任意の$a,b\in A$に対して、$s \leq a,b \leq S$<br/> これより、$|a-b| \leq S-s$。故に$d(A)=\sup_{a,b\in A}(a-b)\leq S-s$<br/> 2)$S-s\leq d(A)$を示す。<br/> $d(A)<S-s $だと仮定する。<br/> この仮定から矛盾が生じれば、誤謬法により、2)が成立することが分かる。<br/> 仮定により、ある十分に小さい正数$\epsilon$を取れば、<br/> $d(A)<S-s-\epsilon=(S-\frac{1}{2}\epsilon)-(s+\frac{1}{2}\epsilon)\qquad (1) $<br/> が成り立つ。<br/> $S-\frac{1}{2}\epsilon$はAの最小上界$S$より小さいのでAの上界ではない。<br/> そのため、ある$a_{0}\in A$が存在して<br/> $S-\frac{1}{2}\epsilon < a_{0} \qquad \qquad (2)$<br/> $s+\frac{1}{2}\epsilon$は、同様に、Aの下界ではないので、ある$b_{0}\in A$が存在して<br/> $b_{0}<s+\frac{1}{2}\epsilon \qquad \qquad (3)$<br/> 式(1),(2),(3)から、<br/> $d(A)<a_{0}-b_{0}$<br/> これは、$d(A)=\sup_{a,b\in A}(a-b)$と矛盾する。<br/> 証明終わり。<br/><br/> ===実数列の収束と極限、極限の性質 === 順番に並んだ実数の列<br/> $a_1,a_2,,,a_n,,,,,$<br/> を実数列といい、<br/> 実数列$\{a_n\}_{n=1}^{\infty},\{a_n\}_{n\in {\bf N}}, \{a_n\}$<br/> などとも書く。ここで${\bf N}$は、すべての自然数を要素とする集合である。<br/> ==== 数列の収束と極限 ==== 定義<br/> 実数列$\{a_n\}_{n=1}^{\infty}$が実数$c$に収束するとは、<br/> nを大きくしていくとき$a_n$が$c$に限りなく近づいていくこと(一致してもよい)。<br/> 厳密に述べると、<br/> どんなに小さい正数$\epsilon$を選んでも、<br/> それに対応する自然数$n_{\epsilon}$が存在して、<br/> $n\geq n_{\epsilon}$というどのような自然数nに対しても、<br/> $|c-a_n|<\epsilon$<br/> が成立すること。<br/> この時、$c$を数列$\{a_n\}_{n}$の極限といい、$c=\lim_{n\to \infty}a_n$と記す。<br/> =====極限の性質 ===== 命題<br/> $\alpha ,\beta$を任意の実数とし、<br/> 実数列$\{a_n\}_{n=1}^{\infty}$と実数列$\{b_n\}_{n=1}^{\infty}$は収束すると仮定する。<br/> このとき、以下の諸性質がある。<br/> (1)実数列$\{\alpha a_n+\beta b_n\}_{n=1}^{\infty}$は収束し、<br/> $\lim_{n\to \infty}(\alpha a_n+\beta b_n) =\alpha\lim_{n\to \infty}a_n +\beta \lim_{n\to \infty}b_n$<br/> (2)実数列$\{ a_n b_n\}_{n=1}^{\infty}$は収束し、<br/> $\lim_{n\to \infty}a_n b_n=\lim_{n\to \infty}a_n\lim_{n\to \infty} b_n=$ <br/> これらの性質は、極限への収束の定義から明らかである。 *[[wikipedia_ja:極限 |ウィキペディア(極限)]] ==== 有界な単調数列は収束する==== 定義;単調数列<br/> 実数列$\{a_n\}$が単調増加とは$a_i\leq a_{i+1},(i=1,2,3,,,,)$がなりたつこと。<br/> 実数列$\{a_n\}$が単調減少とは$a_i\geq a_{i+1},(i=1,2,3,,,,)$がなりたつこと。<br/> 実数列$\{a_n\}$が単調とは、単調増加か単調減少のこと。<br/> '''実数列の単調収束定理'''<br/> 1)上に有界な単調増加の実数列$\{a_n\}$は収束し、<br/> その極限は$\sup_{n\in {\bf N}}a_n$に等しい。<br/> 2)下に有界な単調減少の数列$\{a_n\}$は収束し、<br/> その極限は$\inf_{n\in {\bf N}}a_n$に等しい。<br/> 証明;<br/> 1)。上に有界な数列は、実数の連続の公理から、<br/> 上限$s=\sup_{n\in {\bf N}}a_n$を持つ。<br/> 上限の定義から、どんなに小さい正数$\epsilon$を選んでも、<br/> $s-\epsilon < a_{n_{0}}\leq s$をみたす数列の要素$a_{n_{0}}$が存在する。<br/> 数列は単調増加なので、$n\geq n_{0}$ならば$a_{n_{0}}\leq a_n \leq s$.<br/> ゆえに、任意の正数$\epsilon$にたいして、ある番号$n_0$が存在して、<br/> 任意の$ n\geq n_{0}$にたいして、<br/> $s-\epsilon < a_{n_{0}}\leq a_n \leq s$<br/> が言えた。ゆえに、この数列はsに収束する。<br/> 2)の証明も同様に行えるので省略。 ====収束する部分列==== 定任意の$\epsilon>0$に対して、ある番号$n_0$が存在し、<br/> 任意の自然数$n(\geq n_0)$に対して、$\|f(a)-f(x_n)\|<\epsilon$義; 数列$\{b_n\}_{n=1}^{\infty}$が<br/> 数列$\{a_n\}_{n=1}^{\infty}$の部分列$\{b_n\}_{n=1}^{\infty}$であるとは、<br/> 全ての自然数を要素とする集合${\bf N}$から、${\bf N}$への 関数$g$が存在して、<br/> $b_n=a_{g(n)},(n=1,2,3,,,)$となること。<br/> ここで、$g$は $i \leq g(i)\leq g(i+1),(i=1,2,3,,,)$をみたすものとする。<br/> (注)本来の部分列の定義はもう少し緩いが、本テキストでは議論の簡略化のため 、少し強い仮定を課した。<br/> [[wikipedia_ja:ボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理 |'''ボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理''']]<br/> 有界な実数列$\{x_n\}_{n=1}^{\infty}$は収束する部分列を持つ。<br/> 証明;<br/> 数列の各項$x_n$を要素とする集合$\{x_1,x_2,x_3,,, \}$は有界集合なので、<br/> 実数の連続性の公理から、<br/> 上限$b:=sup\{x_n\mid n=1,2,3,,,\}$と<br/> 下限$a:=sup\{x_n\mid n=1,2,3,,,\}$をもつ。<br/> $I:=[a,b]$という閉区間を考えると、数列の全ての要素はこの区間に含まれる。<br/> 1)閉区間Iを2等分し部分列の最初の項をきめる。<br/> 閉区間Iを2等分して<br/> 2つの閉区間$[a,\frac{a+b}{2}],[\frac{a+b}{2},b]$に分ける。<br/> どちらかの区間には数列$\{x_n\}_{n=1}^{\infty}$の項が無限に沢山含まれる。<br/> それを$I_1=[a_1,b_1]$と表現する。<br/> 数列$\{x_n\}_{n=1}^{\infty}$の中で<br/> $I_1$に含まれる、最も番号の小さいもの$x_g(1)$を取り出す。$g(1)\geq 1$である。<br/> 2)この手順を繰り返し部分列を作る。<br/> 次に$I_1$を2等分する。このどちらかの区間に数列$\{x_n\}_{n=1}^{\infty}$の項が無限に沢山含まれる。<br/> そこで、数列要素を無限に多く含む方の区間を選び、$I_2=[a_2,b_2]$と表現する。<br/>$\{n\in {\bf N}\mid a_n\in I_2$のなかで、$g(1)$より大きいもののなかで最小のもの$g(2)$を取り出す。<br/> これを無限に続けていくと、 数列の部分列$\{x_{g(i)}\}_{i=1}^{\infty}$が得られる。<br/> ここで、作り方から、<br/> $\quad g$は${\bf N}$から${\bf N}$への増加関数<br/> $\quad a_1\leq a_2 \leq \cdots\leq a_n\leq \cdots\leq b_n \leq \cdots\leq b_2\leq b_1$<br/> $\quad a_i\leq x_{g(i)}\leq b_i,(i=1,2,3,,,,,)$、すなわち$x_{g(i)}\in I_i,(i=1,2,3,,,)$<br/> $\quad d(I_i)=b_i-a_i=\frac{b-a}{2^i}$<br/> である。<br/> $y_i:=x_{g(i)},(i=1,2,3,,,)$で数列$\{y_i\}_{i=1}^{\infty}$をきめる。<br/> この数列は、数列$\{x_i\}_{i=1}^{\infty}$の部分列である。<br/> 3)部分列$\{y_i\}_{i=1}^{\infty}$は収束する<br/> $a_i\leq x_{g(i)}=y_i \leq b_i,(i=1,2,3,,,,,) \qquad (1)$<br/> 数列$\{a_i\}_{i=1}^{\infty}$は有界な単調増加数列、<br/> 数列$\{b_i\}_{i=1}^{\infty}$は有界な単調減少数列<br/> なので、単調収束定理により、<br/> 其々極限$s:=\lim_{i\to \infty}a_n$と$S:=\lim_{i\to \infty}b_n$に収束する。<br/> $S-s\leq b_i-a_i=\frac{b-a}{2^i}$がすべての自然数iに対してなるたつので<br/> $S=s \qquad \qquad (2)$<br/> 式(1)と(2)から、<br/> $\lim_{i\to \infty}y_i=s=S$<br/> ==== コーシー数列は収束する==== コーシー数列の定義<br/> 実数列$\{a_n\}$が'''コーシー列とは、<br/> どんなに小さい正数$\epsilon$を選んでも、<br/> ある番号$n_0$が存在して、<br/> $m,n \geq n_{0}$ならば、$|a_m-a_n|<\epsilon$<br/> となること。<br/> 定理(コーシー)<br/> 実数列$\{a_n\}$に対して<br/> 数列が収束する $\Leftrightarrow$ コーシー列である。<br/> 証明;<br/> (=>)実数列$\{a_n\}$が極限$s$に収束すると仮定する。 どんなに小さい正数$\epsilon$を選んでも、<br/> ある番号$n_0$が存在して、<br/> $n \geq n_{0}$ならば$|a_n-s|<\frac{\epsilon}{2}$<br/> そこで、$m,n \geq n_{0}$ならば、$|a_m-a_n|\leq |a_m-s|+|s-a_n|<\epsilon$<br/> ゆえに、コーシー列である。<br/> (<=)実数列$\{a_n\}$がコーシー列とする。<br/> 1)数列は有界<br/> 何故なら、正数1に対して、ある番号$n_0$が存在して、<br/> $m,n \geq n_{0}$ならば、$|a_m-a_n|<1$<br/> これより、$m \geq n_{0}$ならば、$|a_m-a_{n_{0}}|<1$<br/> これより、$a_{n_{0}}-1<a_m<a_{n_{0}}+1$<br/> すると数列の全ての要素は<br/> $M:=\max{a_1,a_2,,,a_{n_{0}-1},a_{n_{0}}+1}$<br/> 以下となり上に有界である。<br/> 下に有界であることも、同様にして分かる。<br/> 2)収束する部分列の存在<br/> 数列が有界なので、ボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理より、<br/> 収束する部分列$\{y_i:=x_{g(i)}\}_{i=1}^{\infty}$がある。<br/> その極限を$s:=\lim_{i\to \infty}y_i$とおく。<br/> 3)$s:=\lim_{n\to \infty}a_n$を示す。<br/> 数列$\{a_n\}$がコーシー列なので、<br/> どんなに小さい正数$\epsilon$をとっても、<br/> ある番号$n_0$が存在して、$m,n\geq n_0$である自然数m、nに対して<br/> $|a_m-a_n|\leq \epsilon$<br/> $s=\lim_{i\to \infty}y_i$なので<br/> ある番号$i_0$が存在して$j\geq i_0$である自然数$j$に対して、<br/> $|y_j-s|\leq \epsilon$<br/> すると、$i_1:=\min{i\in {\bf N}\mid g(i)\geq n_0,i\geq i_0}$とおくと、<br/> $n\geq g(i_1)$である自然数nに対して<br/> $|a_n-s|\leq |a_n-a_{g(i_1)}|+|a_{g(i_1)}-s|\leq 2\epsilon$<br/> 故に数列$\{a_n\}$は収束しその極限がsであることが証明された。 ====閉区間の中の数列の極限 ==== 命題;<br/> 収束する実数列$\{a_n\}$の各項$a_n$が閉区間$I=[a,b]$に含まれれば、<br/> その極限$x_0:=\lim_{n\to \infty}a_n$も$I$に含まれる。<br/> 証明<br/> もし$x_0\notin [a,b]$とすると、$x_0>b$ か $x_0<a$である。<br/> 前者のとき、$\epsilon:=\frac{x_0-b}{2}$とえらぶと、<br/> $x_0:=\lim_{n\to \infty}a_n$なので、<br/> ある番号から先はすべて$|x_0-a_n|<\epsilon$,<br/> これより$a_n >b$,$a_n\notin I$<br/> となり$a_n\in I_n \subset I$に矛盾してしまう。<br/> 後者の場合も、同様に、矛盾が生じる。 == 関数の連続性 == 関数の連続性の定義;<br/> 実数の区間$I$で定義された実数値あるいはベクトル値の関数 $f(x)$ がある点''' $x_0\in I$で連続'''であるとは、<br/> $x\in I$が$x_0$ に限りなく近づくならば、$f(x)$ が $f(x_0)$ に限りなく近づく<br/> ことを言う。<br/> $\lim_{x\to x_0} f(x) = f(x_0)$と記す。<br/> これはイプシロン-デルタ論法(ε-δ論法)を用いれば次のように定式化できる。<br/> (小さな)正の数 ε が任意に与えられたとき、<br/> (小さな)正の数 δ を適切にえらべば、<br/> $x_0$ と δ 以内の距離にあるどんな $x\in I$ に対しても、<br/> $f(x_0)$ と $f(x)$ の差が ε より小さいようにすることができる。<br/> 記号でかくと$(|x-x_0|<\delta,x\in I) \implies |f(x)-f(x_0)|<\epsilon$<br/> (注)関数がn次元空間${\bf R^n}$の区間$I^n$で定義され<br/> 関数値がベクトルのときも、関数の連続性の定義は変わらない。<br/> この場合には、$|\bullet|$は$\bullet$のノルムを表す。 ==== 数列の極限を用いた連続性の表現==== 命題<br/> 関数$f$は<br/> n次元の開区間$I^n=\prod_{i=1}^{n}[a_i,b_i]:=\{(x_1,x_2,,,X_n)\mid x_i\in [a_i,b_i],(i=1,2,,,n)\}$で定義され、<br/> m次元ベクトルに値を取る関数とする。<br/> すると任意の$a\in I^n$に対して、次の(1)と(2)は同値である。<br/> (1)$\lim_{x\to a} f(x) = f(a)$<br/> (2)$x_n\in I^n,(n=1,2,3,,,,)$を$a\in I^n$に収束する任意の点列とすると<br/> $\lim_{n\to \infty}f(x_n)=f(a)$<br/> 証明<br/> (1)ならば(2)を示す。<br/> (1)を仮定したとき、<br/> 任意の$\epsilon>0$に対して、ある番号$n_0$が存在し、<br/> 任意の自然数$n(\geq n_0)$に対して、$\|f(a)-f(x_n)\|<\epsilon$を示せばよい。<br/>仮定から、この$\epsilon$に対して、正数$\delta$が存在して、<br/> $\|a-x\|<\delta$を満たす任意の$x\in I^n$に対して<br/> $\|f(a)-f(x)\|<\epsilon \quad \qquad (1)$<br/> $x_n\in I^n,(n=1,2,3,,,,)$は$a\in I^n$に収束するので、<br/> ある番号$n_0$が存在して,$n\geq n_0$である任意の自然数nに対して、<br/> $\|a-x_n\|<\delta$<br/> 故に、式(1)から$\|f(a)-f(x_n)\|<\epsilon$<br/> (2)ならば(1)を示す。<br/> 背理法を用いる。 (1)が成り立たないと仮定する。 すると、 ===連続関数の性質 === 命題1. 命題2.有界閉区間$I=[a,b]$で定義された実数値の連続関数$f$は有界である。<br/> 但し、$f$が有界とは$\{f(x)\mid x\in I\}$が有界集合のこと。<br/> 証明;<br/> 上に有界でないと仮定して矛盾が生じることを示せば良い。<br/> 下に有界でない場合も全く同じように証明できる。<br/> fが上に有界でないので、任意の自然数nにたいして、 $f(x_n)\geq n$となる点$x_n\in I$が存在する。<br/> 数列$\{x_n\}_{n=1}^{\infty}$は有界なので ボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理から、 収束する部分列$\{x_{g(i)}\}_{i=1}^{\infty}$が存在する。 その極限を$\xi$とおく。 すると関数値から作られる数列$\{f(x_{g(i)})\}_{i=1}^{\infty}$は、 関数の連続性から、収束し$f(\xi)=\lim_{i\to \infty}f(x_{g(i)})$ ところが、$f(x_{g(i)})\geq g(i)\geq i$なので、 この極限は存在せず無限大に発散。矛盾が生じる。 証明終わり。 命題3<br/> $f$は、有界閉区間$I=[a,b]$で定義された実数値の連続関数とする。<br/> すると、$f$は、I上で最大値と最小値を持つ。<br/> 証明;<br/> 1)命題2から$f$は有界関数なので、${\bf R(f)}:=\{f(x) \mid x\in I\}$は実数からなる有界集合。<br/> 実数の連続性の公理から、${\bf R(f)}$の下限と上限$m:=\inf {\bf R(f)},M:=\sup{\bf R(f)}$が存在。<br/> 2)Mは$f$のI上の最大値、<br/> Mが${\bf R(f)}$の上界なので任意のIの要素xに対して$f(x)\leq M$。<br/> <br/> $f(\xi)=M$となる$\xi\in I$が存在することを証明すれば良い。以下に、これを示す。 1)任意の自然数nにたいして$M-\frac{1}{n}$は${\bf R(f)}$の上界でなくなるので、<br/> $M-\frac{1}{n}<f(x_n)$を満たす$x_n\in I$が存在する。<br/> これらの数の作る数列$\{x_n\}_{n=1}^{\infty}$は、有界なので、<br/> ボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理から、<br/> 収束する部分列$\{x_{g(i)}\}_{i=1}^{\infty}$が存在する。<br/> この極限を$\xi:=\lim_{i\to \infty}x_{g(i)}$とおく。<br/> 閉区間の数列の極限なので、すでに証明した命題から、<br/> すると関数の連続性から、<br/> $\xi\in I \qquad \qquad (1)$<br/> 数列$\{f(x_{g(i)})\}_{i=1}^{\infty}$は収束し、その極限は<br/> $f(\xi)=\lim_{i\to \infty}f(x_{g(i)}) \qquad \qquad (2)$<br/> ところが、全ての自然数nに対して、$M-\frac{1}{n}<f(x_n)\leq M$,$g(n)\geq n$なので<br/> $M-\frac{1}{i}<f(x_{g(i)})\leq M,(i=1,2,3,,,)$<br/> この式のiについての極限をとると<br/> $\lim_{i\to \infty}f(x_{g(i)})=M$<br/> この式と式(2)から、<br/> $f(\xi)=M \qquad \qquad (3)$<br/> 式(1)と式(3)から、Mが最大値であることが示せた。<br/> 証明終わり。<br/> == 実数値関数とベクトル値関数の微分 == このテキストを理解するための必要最小限のことを記述する。<br/> 以下の文献も必要に応じて参考にしてください。<br/> 一冊では不十分な内容なので色々あげてある。 *[[wikibooks_ja:高等学校数学II 微分・積分の考え|ウィキブックス(高等学校数学II 微分・積分の考え)]] *[[wikibooks_ja:高等学校数学III 微分法|ウィキブックス(高等学校数学III 微分法)]] *[[wikibooks_ja:物理数学I 解析学|ウィキブックス(物理数学I 解析学)]] *[[wikibooks_ja:物理数学I ベクトル解析|ウィキブックス(物理数学I ベクトル解析)]] === 実数値関数の微分 === 実数の開区間$I=(a,b)$上で定義された実数値関数$y=f(x)$を考える。<br/> 定義;微分可能性<br/> 関数$f$が$s\in I$で微分可能であるとは、極限<br/> $\lim_{h \to 0,h\neq 0}\frac{f(s+h)-f(s)}{h}=c \qquad \qquad (1)$<br/> が存在することである。<br/> この時$c$を$f$の$s$における微分係数あるいは導値といい、<br/> $f'(s)、\frac{df}{dt}(s)、(Df)(s)$<br/> などと書く。<br/> $I=(a,b)$の各点で$f$が微分可能であるとき、$f$は'''微分可能関数'''(あるいは 微分可能)という。<br/> この時、任意の$s\in I$に対して、$f'(s)$が定まるので、<br/> 関数$f'$が定まる。これを$f$の${\bf 導関数}$(derivative)という。<br/> ==== 微分係数の意味 ==== (1)$\frac{f(s+h)-f(s)}{h}$は、区間$[s,s+h]$における関数値の平均変化率である。<br/> その極限である微分係数$f'(s)$は、関数値の$s$における瞬間的な変化率と考えられる。<br/> (2)2次元空間(平面のこと)に直交座標座標系$O-xy$をいれ、<br/> 関数$y=f(x)$のグラフ$G=\{(x,y)\mid x\in I,y=f(x)\}$を描く。<br/> すると、<br/> $f'(s)$が存在することは、$x=s$においてグラフ$G$が接線をもつことと同等であり、<br/> 接線の方程式は<br/> $y=f'(s)(x-s)+f(s)$である。<br/> これは、[[wikipedia_ja:接線 |接線]]の定義からただちに分かる。<br/> (3)$h$を零に近づけていったときの極限の意味をさらに深めるため<br/> 微分可能の定義を、それと同等の別の表現に変換しよう。<br/> (1)式の右辺の定数を左辺に移行すると<br/> $\lim_{h \to 0,h\neq 0}\frac{f(s+h)-f(s)-ch}{h}=0$<br/> 次に、<br/> $o_{s}(h):=\frac{f(s+h)-f(s)-ch}{h}\qquad \qquad (2)$<br/> という、変数hの関数を定義する。<br/> すると関数$f$が$s\in I$で微分可能で、微分係数が$c$である必要十分条件は<br/> $\lim_{h \to 0,h\neq 0}o_{s}(h)=0$<br/> である。<br/> (2)式を変形すると<br/> $f(s+h)=f(s)+ch+o_{s}(h)h$<br/> ゆえに次の命題が証明できた。<br/> 命題;<br/> 次の3つの条件は同等である。<br/> 1)関数$f$は$s\in I$で微分可能で、微分係数は$c$である<br/> 2)関数$f$は、<br/> $f(s+h)=f(s)+ch+o_{s}(h)h \qquad \qquad (3)$<br/> と表現できる。<br/> ここで、$o_{s}(h)$は<br/> $\lim_{h \to 0,h\neq 0}o_{s}(h)=0 \qquad \qquad (4)$<br/> を満たす関数<br/><br/> 3) 関数$f$は、<br/> $s$の近傍の点$x$で $f(x)=f(s)+c(x-s)+\left(o_{s}(x-s)\right)(x-s) \qquad \qquad (3)$<br/> ここで、$o_{s}(x-s)$は<br/> $\lim_{x \to s,x\neq s}o_{s}(x-s)=0 \qquad \qquad (4)$<br/> を満たす関数<br/><br/> この定理の3)により、<br/> 「関数が$s$で微分可能であり、微分係数がcであること」は、<br/> 「この関数が$s$の近傍の点$x$で直線$y=f(s)+c(x-s)$で近似でき、<br/> 誤差$|f(x)-(f(s)+c(x-s))|=|\left(o_{s}(x-s)\right)(x-s)| $が,<br/> $x$を$s$に近づけていくとき、$h=x-s$より高次で0に収束する(注参照)<br/> ことと同等であることが分かる。<br/> (注)$\lim_{h\to 0,h\neq 0}\frac{o_{s}(h)h}{h}=0$ 命題の系;関数が$s$で微分可能であれば、$s$で連続である。<br/> 証明;命題の2)を用いると、<br/> $f(s+h)=f(s)+ch+o_{s}(h)h $<br/> この式から、$|f(s+h)-f(s)|=|(c+o_{s}(h))h|$<br/> $\lim_{h \to 0,h\neq 0}o_{s}(h)=0$なので$\lim_{h \to 0,h\neq 0}|(c+o_{s}(h))h|=0$。<br/> ゆえに、$\lim_{h \to 0,h\neq 0}|f(s+h)-f(s)|=0$<br/> これは、関数が$s$で連続であることの定義そのものである。 ====導関数の性質==== (1)$f,g$が$I=(a,b)$上で定義された、微分可能な実数値関数ならば<br/> $\alpha f+\beta g$、$fg(s):=f(s)g(s)$は微分可能で<br/> それらの導関数の間には、<br/> $(\alpha f+\beta g )'=\alpha f'+\beta g'$(線形性)ここで$\alpha,\beta$は任意の実数。<br/> (2) $(fg)'=f'g+fg'$<br/> 証明は、微分の定義式と極限の性質から容易に導ける。 ====平均値の定理==== '''ロールの定理'''<br/> $f$を有界閉区間$I=[a,b],(b>a)$で定義された実数値関数とする。<br/> $f$が$I=[a,b]$で連続、開区間$I^{\circ}=(a,b)$で微分可能,しかも$f(a)=f(b)$ならば、<br/> $f'(\xi)=0$を満たす$\xi\in (a,b)$が存在する。<br/> 証明;<br/> 「関数の連続性」の命題2から、閉区間上の連続関数は最大値Mと最小値mをもつ。<br/> すると、$m \leq f(a)=f(b)\leq M$<br/> 1)$m =f(a)=f(b)=M$の場合<br/> I上で$f\equiv f(a)$<br/> すると、$f'\equiv 0$なのでこの定理は成り立つ。<br/> 2)$f(a)=f(b)<M$の場合<br/> $f(\xi)=M$となる数$\xi\in (a,b)$が存在する。<br/> $a<\xi+h<b$をみたす、絶対値が十分小さい数$h$にたいして<br/> $f(\xi+h)\leq f(\xi)=M $なので、$f(\xi+h)-f(\xi)\leq 0$<br/> $h$が正のとき<br/> $\frac{f(\xi+h)-f(\xi)}{h}\leq 0 \qquad \qquad (1)$<br/> $h$が負のとき<br/> $\frac{f(\xi+h)-f(\xi)}{h}\geq 0 \qquad \qquad (2) $<br/> 関数は、$\xi\in (a,b)$で微分可能なので、<br/> $\lim_{h\to 0,h>0}\frac{f(\xi+h)-f(\xi)}{h}=\lim_{h\to 0,h<0}\frac{f(\xi+h)-f(\xi)}{h}=f'(\xi)$<br/> ところが式(1)から<br/> $\lim_{h\to 0,h>0}\frac{f(\xi+h)-f(\xi)}{h} \leq 0$<br/> 式(2)から<br/> $\lim_{h\to 0,h>0}\frac{f(\xi+h)-f(\xi)}{h} \geq 0$<br/> なので<br/> $f'(\xi)=0$<br/> 3)$f(a)=f(b)>m$の場合<br/> 2)と同様に証明できる。<br/> 証明終わり。<br/> '''平均値の定理'''<br/> $f$を有界閉区間$I=[a,b],(b>a)$で定義された実数値関数とする。<br/> $f$が$I=[a,b]$で連続で、開区間$I^{\circ}=(a,b)$で微分可能ならば、<br/> ある数$\xi\in (a,b)$が存在して、<br/> $f(b)-f(a)=f'(\xi)(b-a)$<br/> 証明;<br/> 関数gを次式で定義する。<br/> $g(x):=f(x)-\frac{f(b)-f(a)}{b-a}(x-a)$<br/> すると、<br/> $g$は$I=[a,b]$で連続で、開区間$I^{\circ}=(a,b)$で微分可能<br/> $g(a)=g(b)=f(a)$<br/> $g$はロールの定理の仮定を満たす。<br/> そこでロールの定理から、<br/> $g'(\xi)=0$を満たす$\xi\in (a,b)$が存在する。<br/> gの定義から<br/> $g'(\xi)=f'(\xi)-\frac{f(b)-f(a)}{b-a}$<br/> 故に、<br/> $0=f'(\xi)-\frac{f(b)-f(a)}{b-a}$<br/> が得られる。この式を整頓すると<br/> $f(b)-f(a)=f'(\xi)(b-a)$<br/> 証明終わり。<br/> 系;$f$が$I=(a,b)$上で定数$\Leftrightarrow$ $I$上で恒等的に$f'(t)=0$<br/> ===ベクトル値関数の微分=== 実数の開区間$I=(a,b)$上で定義され,n次元の実ベクトル($\in {\bf R^n}$)に 値をとる関数$\vec f$を考える。<br/> 定義;微分可能性<br/> 実数値関数の場合と同じである。<br/> 導関数の線形性の性質も成り立つ。<br/> ==== ベクトル値関数の微分とその成分関数の微分の関係==== 関数値$\vec f(s)$は${\bf R^n}$の要素なので<br/> $\vec f(s)=(f_1(s),f_2(s),\cdots f_n(s))$<br/> と表示できる。<br/> すると$\vec f$のn個の成分関数<br/> $f_i,(i=1,2,\cdots n)$<br/> が得られる。<br/> 命題;<br/> $\vec f$が$s\in I$で微分可能$\Leftrightarrow$$f_i(i=1,2,\cdots n)$が$s\in I$で微分可能。<br/> この時、${\vec f}'(s)=({f_1}'(s),{f_2}'(s)\cdots {f_n}'(s))$<br/> ====ベクトル積の微分 ==== 命題<br/> $ \vec{a(t)} $ と $\vec{b(t)} $は、開区間I上で定義され、 微分可能なベクトル値関数とする。すると、<br/> $ \quad \vec{a(t)} \times \vec{b(t)}$ は微分可能で、<br/> $ \quad \frac{d}{dt}(\vec{a(t)} \times \vec{b(t)}) =(\frac{d}{dt}\vec{a(t)} )\times \vec{b(t)}+\vec{a(t)}\times (\frac{d}{dt}\vec{b(t)})$ 証明<br/> すでにこのテキストで紹介した、ベクトル値関数の微分の定義<br/> $ \quad \frac{d}{dt}(\vec{a(t)} \times \vec{b(t)}) =\lim_{\delta t \to 0} (\vec a(t+\delta t)\times \vec{b(t+\delta t)}- \vec{a(t)} \times \vec{b(t)})/\delta t$ $\qquad $ (1) <br/> を用いて証明する。<br/> この極限が存在し、<br/> $\frac{d}{dt}\vec{a(t)} \times \vec{b(t)}+\vec{a(t)}\times \frac{d}{dt}\vec{b(t)}$<br/> になることを示せば命題は証明できたことになる。<br/> 極限の計算が進むよう、右辺の式の分母は変形しよう。<br/> 関数の積の微分公式の証明と同じ技巧を用いる。<br/> $ \vec a(t+\delta t)\times \vec{b(t+\delta t)} - \vec{a(t)} \times \vec{b(t)}$ <br/> $ = \vec a(t+\delta t)\times \vec{b(t+\delta t)} -\vec a(t)\times \vec{b(t+\delta t)} +\vec a(t)\times \vec{b(t+\delta t)} - \vec{a(t)} \times \vec{b(t)}$ <br/> ベクトル積の命題3を利用すると、 <br/> $ = \left(\vec a\left(t+\delta t\right) -\vec a\left(t\right)\right) \times \vec b\left(t+\delta t\right) +\vec a\left(t\right)\times \left(\vec b\left(t+\delta t\right)- \vec b\left(t\right)\right) $ この式を式(1)の右辺の分子の項に代入し整頓すると<br/> $ \quad \frac{d}{dt}(\vec{a(t)} \times \vec{b(t)}) =\lim_{\delta t \to 0} \frac{\vec a(t+\delta t)\times \vec b(t+\delta t)- \vec a(t) \times \vec b(t)} {\delta t}$ <br/> $=\lim_{\delta t \to 0} \frac{\left(\vec a\left(t+\delta t\right) -\vec a\left(t\right)\right) \times \vec b\left(t+\delta t\right) +\vec a\left(t\right)\times \left(\vec b\left(t+\delta t\right)- \vec b\left(t\right)\right) } {\delta t} $ <br/> ベクトル積の命題4を使い、<br/> $=\lim_{\delta t \to 0}\left( \frac{\vec a(t+\delta t) -\vec a(t)}{\delta t} \times \vec b\left(t+\delta t\right) + \vec a(t)\times \frac{\vec b(t+\delta t)- \vec b(t)} {\delta t} \right)$ <br/> 極限の命題を使って、<br/> $=\lim_{\delta t \to 0} \frac{\vec a(t+\delta t) -\vec a(t)}{\delta t} \times \lim_{\delta t \to 0}\vec b(t+\delta t) + \vec a(t)\times \lim_{\delta t \to 0}\frac{\vec b(t+\delta t)- \vec b(t)}{\delta t} $ <br/> 式中の極限は、$\vec a,\vec b$が、微分可能なので存在し、 <br/> $\lim_{\delta t \to 0} \frac{\vec a(t+\delta t) -\vec a(t)}{\delta t} =\frac{d\vec a(t)}{dt}$ <br/> $\lim_{\delta t \to 0} \frac{\vec b(t+\delta t) -\vec b(t)}{\delta t} =\frac{d\vec b(t)}{dt}$ ==== $C^{1}$級の関数==== 開$I=(a,b)$上の関数 $f$ が連続的微分可能(continuously differentiable)であるとは,<br/> $I$上で導関数 $f'$ が存在して、しかも$f'$ が$I$上で連続であることをいう。<br/> $I=(a,b)$上で連続的微分可能である関数を$C^{1}$級関数という。<br/> ===多変数の実数値関数の微分 === ${\bf R^n}=\{(x_1,x_2,,,x_n) \mid x_i\in{\bf R},i=1,2,\cdots n\}$ の開区間 $I^n=\prod_{i=1}^{n}(a_i,b_i)$上で定義された実関数$y=f(x_1,x_2,,,x_n)$ を考える。 一変数関数の議論から類推しやすくするため、以後<br/> ${\bf x}:=(x_1,x_2,,,x_n)$とおき、$y=f({\bf x})$と書くこともある。<br/> この上で定義された実数値関数$y=f({\bf x})=f(x_1,x_2,,,x_n)$の微分について説明する。<br/> 最初に思いつくのは、一変数のときと同じ定義をもちいることであり<br/> $\lim_{{\bf h} \to 0,{\bf h}\neq 0}\frac{f({\bf s}+{\bf h})-f({\bf s})}{{\bf h} }=c$<br/> が存在するときsで微分可能と定義すること。<br/> しかし、<br/> ${\bf h}$はn次元ベクトルなので割り算は不可能。 ====方向微分==== そこで、${\bf p}\in {\bf R^n}、{\bf p}\neq 0$を用いて、<br/> この方向にそって$h=t{\bf p}$が零に近づく($t \to 0$)ときの<br/> 関数値の瞬間的変化率を考える。 定義;${\bf p}$方向の微分可能性<br/> 関数$f$が${\bf s}\in I^n$で'''${\bf p}$方向に微分可能'''であるとは、極限<br/> $\lim_{t \to 0,\neq 0}\frac{f({\bf s}+t{\bf p})-f({\bf s})}{t}=c \qquad \qquad (1)$<br/> が存在することである。<br/> この時$c$を$f$の${\bf s}$における'''${\bf p}$方向の微分係数'''あるいは${\bf p}$方向の導値といい、<br/> $\frac{\partial f}{\partial{\bf p} }({\bf s})、(D_{\bf p}f)({\bf s})$<br/> などと書く。<br/> $I^n=\prod_{i}(a_i,b_i)$の各点で$f$が${\bf p}$方向に微分可能であるとき、 $f$は'''${\bf p}$方向に微分可能関数'''という。<br/> この時、任意の${\bf s}\in I^n$に対して、$\frac{\partial f}{\partial{\bf p} }({\bf s})$が定まるので、<br/> 関数$\frac{\partial f}{\partial{\bf p} }$が定まる。 これを$f$の${\bf p}$方向の${\bf 導関数}$という。<br/> =====偏微分===== ${\bf R^n}$の自然基底${\bf e_1}=(1,0,\cdots 0),,,,,{\bf e_n}=(0,0,,,1)$を、<br/>方向に選んだときの方向微分は、良くつかわれる。<br/> 定義;偏微分<br/> 関数$f$が${\bf s}\in I^n$で'''${\bf e_i}$方向に微分可能'''であるとき、<br/> $f$は、${\bf s}\in I^n$で第i座標$x_i$にかんして偏微分可能という。<br/> $(D_{\bf e_i}({\bf s})$を, $f$の ${\bf s}$における $x_i$ についての偏微分係数といい、<br/> $\frac{\partial f}{\partial x_i}({\bf s}),f_{x_{i}}({\bf s}),(D_if)({\bf s})$ などと書く。 *[[wikipedia_ja:偏微分 |ウィキペディア(偏微分)]] ==== $C^{1}$級の関数==== $I^n=\prod_{i=1}{n}(a_i,b_i)$上の関数 $f$ が連続的微分可能(continuously differentiable)であるとは,<br/> $I$上ですべての偏導関数 $\frac{\partial f}{\partial x_i},(i=1,2,,,n)$ が存在して、しかも$I$上で連続であることをいう。<br/> 連続的微分可能な関数を$C^{1}$級関数という。<br/> n次元開区間$I^n$上の$C^{1}$級関数を全て集めた、(関数)集合を$C^{1}(I^n)$と記す。<br/> 定理; $I^n$をn次元開区間<br/> $f$を$I^n$で定義されたn変数の実関数<br/> ${\bf p}$をn次元の零でない任意のベクトル<br/> とする。<br/> もし$f\in C^{1}(I^n)$ならば、<br/> (1)$f$は$I^n$上で${\bf p}$方向に微分可能<br/> (2)$(D_{\bf p}f)({\bf s})=\sum_{i=1}^{n} p_{i}\frac{\partial f}{\partial x_i}({\bf s})$<br/> ここで、$p_{i}$は ${\bf p}$の第i成分。<br/> 証明<br/> ====微分(全微分) ==== 定義1;微分可能(全微分可能ともいう)、導値(微分係数)、導関数<br/> 定理1;<br/> 微分可能ならば、偏微分可能<br/><br/> 定理2<br/> $C^{1}$級の関数は微分可能<br/>
物理/極限と微分
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