物理/電気と磁気(1) 静電気と電界、電流と磁界

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== 電磁気現象の根源 ==
== 電磁気現象の根源 ==
物質をつくっている原子は、原子核と電子から出来ている。詳しいことは11章で学ぶが、原子核はいくつかの陽子と中性子からできている。電子の個数は陽子と同数である。
物質をつくっている原子は、原子核と電子から出来ている。詳しいことは11章で学ぶが、原子核はいくつかの陽子と中性子からできている。電子の個数は陽子と同数である。
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陽子は正の電荷+eをもち、電子はこれと同じ大きさで符号が反対の負の電荷-eを持つ。
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陽子は正の電荷+eをもち、電子はこれと同じ大きさで符号が反対の負の電荷-eを持つ。同符号の電荷は互いに反発し、異符号の電荷は互いに引き合う。
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この陽子と電子の存在がすべての電気および磁気の現象の根源である。
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同じ符号の電荷は互いに反発し、異なる符号の電荷は互いに引き合う。
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陽子と電子の存在により、原子や分子、固体・液体など物体は生成され、電荷、電流、磁石、電磁場、電磁波などの現象が生じる。この章と次章でこれらについて学ぶ。
==静電気==
==静電気==
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この節では、静止した電荷(静電気という)の性質を学ぶ。
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この節では、まず、静止した電荷(静電気という)の性質を学ぶ。
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===電荷===
===電荷===
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原子は正負等しい電荷をもつので、離れた所から観測すれば、正と負の電荷が打ち消しあっている(電荷をもたない)。したがって、物質は通常は電荷を持たない。物質が電子をいくつか失ったり、獲得すると、物質は電荷を帯びる。帯電するという。したがって全ての電荷は、e の整数倍である。e を電気素量という。
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原子は正負等しい電荷をもつので、離れた所から観測すれば、正と負の電荷が打ち消しあっている(電荷をもたない)。したがって、物質は通常は電荷を持たない。物質が電子をいくつか失ったり、獲得すると、物質は電荷を帯びる。帯電するという。したがって全ての電荷はe の整数倍である。eを電気素量という。
====電荷の単位====
====電荷の単位====
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====クーロンの法則====
====クーロンの法則====
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静止した同じ符号の電荷は互いに反発し、異なる符号の電荷は互いに引き合う。この力の向きは、2つの電荷を結ぶ直線の方向と一致し、その大きさはクーロンが実験により、明らかにした。
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静止した同符号の2つの電荷は互いに反発し、異符号の電荷は互いに引き合う。この力の向きは、2つの電荷を結ぶ直線の方向と一致し、その大きさは2つの電荷の積に比例し、その距離の2乗に反比例する。具体的には、
*[[wikipedia_ja:クーロンの法則|ウィキペディア(クーロンの法則)]]
*[[wikipedia_ja:クーロンの法則|ウィキペディア(クーロンの法則)]]
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を参照のこと。向きも考慮したベクトル表示にも慣れたおくと良い。
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<tex> \boldsymbol{\mathit{F}}=\frac{q_1q_2}{4 \pi \varepsilon_0}\frac{1}{r^2}\boldsymbol{\mathit{\hat{r}}}
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\qquad :\boldsymbol{\mathit{\hat{r}}}=\frac{\boldsymbol{\mathit{r}}}{|\boldsymbol{\mathit{r}}|}=
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N 個(>2)の電荷<tex> q_1,,,,q_N </tex> があるとき、<tex> q_1 </tex> に作用する電気力は、<tex> q_2,,,,q_N </tex> のそれぞれから<tex> q_1 </tex>が受けるクーロン力(ベクトル表示)の和になることが実験で確かめられている。
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これを、クーロン力の重ね合わせ原理という。
====電気力と重力の比較====
====電気力と重力の比較====
===電界(あるいは電場)===
===電界(あるいは電場)===
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電荷間に作用する力を近接作用の考え方で考察して電界(電場ともいう)という重要な概念を得る。クーロンの法則を電界の概念でいいかえると、電界にかんするガウスの法則が得られる。電界から電位や電圧という重要な概念も得られる。
====遠隔作用と近接作用====
====遠隔作用と近接作用====
電荷の間のクーロン力はどのようにして働くのだろうか。遠隔作用と近接作用の二通りの考え方がある。遠隔作用では、電荷が互いに直接力を及ぼしていると考え、近接作用では、電荷が空間を歪ませ、この歪んだ空間がもう一つの電荷に力を及ぼすと考える。現在は近接作用が自然の法則と考えられている。
電荷の間のクーロン力はどのようにして働くのだろうか。遠隔作用と近接作用の二通りの考え方がある。遠隔作用では、電荷が互いに直接力を及ぼしていると考え、近接作用では、電荷が空間を歪ませ、この歪んだ空間がもう一つの電荷に力を及ぼすと考える。現在は近接作用が自然の法則と考えられている。
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====点電荷のつくる電界====  
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====電界(あるいは電場)====  
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大きさの無視できる電荷を点電荷という。点電荷のつくる電界については
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*[[wikipedia_ja:電場|ウィキペディア(電場)]]
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*[[wikipedia_ja:電場|ウィキペディア(電場)]] の2.1 クーロンの法則
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を参照のこと。
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==== 2つ以上の電荷の作る電界
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=====電界(あるいは電場)=====
====電位====
====電位====

2011年5月5日 (木) 04:56時点における版

物理9章 電気と磁気(1) 静電気と電界、電流と磁界

テレビ、電話、携帯電話、冷蔵庫、パソコン、コピー機。現代社会は電気や磁気を利用した製品に満ちている。この章と次の章では、電気・磁気は何か、どのような性質を持つかについて学ぶ。

目次

 電磁気現象の根源 

物質をつくっている原子は、原子核と電子から出来ている。詳しいことは11章で学ぶが、原子核はいくつかの陽子と中性子からできている。電子の個数は陽子と同数である。 陽子は正の電荷+eをもち、電子はこれと同じ大きさで符号が反対の負の電荷-eを持つ。同符号の電荷は互いに反発し、異符号の電荷は互いに引き合う。

陽子と電子の存在により、原子や分子、固体・液体など物体は生成され、電荷、電流、磁石、電磁場、電磁波などの現象が生じる。この章と次章でこれらについて学ぶ。

静電気

この節では、まず、静止した電荷(静電気という)の性質を学ぶ。

電荷

原子は正負等しい電荷をもつので、離れた所から観測すれば、正と負の電荷が打ち消しあっている(電荷をもたない)。したがって、物質は通常は電荷を持たない。物質が電子をいくつか失ったり、獲得すると、物質は電荷を帯びる。帯電するという。したがって全ての電荷はe の整数倍である。eを電気素量という。

電荷の単位

電荷保存法則

電荷は消滅も生成もしないことが、経験によって確かめられている。これを電荷保存法則という。

摩擦電気

2つの物質をこすりあわせると、このエネルギーで、電子が一方の物質から他方の物質に移動して、前者は正の電荷を帯び、(電荷保存法則より)後者はそれと同じ大きさの負の電荷を帯びる。この帯電した電気を摩擦電気という。

クーロンの法則

静止した同符号の2つの電荷は互いに反発し、異符号の電荷は互いに引き合う。この力の向きは、2つの電荷を結ぶ直線の方向と一致し、その大きさは2つの電荷の積に比例し、その距離の2乗に反比例する。具体的には、

を参照のこと。向きも考慮したベクトル表示にも慣れたおくと良い。  \boldsymbol{\mathit{F}}=\frac{q_1q_2}{4 \pi \varepsilon_0}\frac{1}{r^2}\boldsymbol{\mathit{\hat{r}}}
\qquad :\boldsymbol{\mathit{\hat{r}}}=\frac{\boldsymbol{\mathit{r}}}{|\boldsymbol{\mathit{r}}|}=
\frac{\boldsymbol{\mathit{r}}}{r}にも慣れたおくと良い。 </br>

3つ以上の電荷に働く力

N 個(>2)の電荷 q_1,,,,q_N があるとき、 q_1 に作用する電気力は、 q_2,,,,q_N  のそれぞれから q_1 が受けるクーロン力(ベクトル表示)の和になることが実験で確かめられている。 これを、クーロン力の重ね合わせ原理という。

電気力と重力の比較

電界(あるいは電場)

電荷間に作用する力を近接作用の考え方で考察して電界(電場ともいう)という重要な概念を得る。クーロンの法則を電界の概念でいいかえると、電界にかんするガウスの法則が得られる。電界から電位や電圧という重要な概念も得られる。

遠隔作用と近接作用

電荷の間のクーロン力はどのようにして働くのだろうか。遠隔作用と近接作用の二通りの考え方がある。遠隔作用では、電荷が互いに直接力を及ぼしていると考え、近接作用では、電荷が空間を歪ませ、この歪んだ空間がもう一つの電荷に力を及ぼすと考える。現在は近接作用が自然の法則と考えられている。

====点電荷のつくる電界====   大きさの無視できる電荷を点電荷という。点電荷のつくる電界については

を参照のこと。 ==== 2つ以上の電荷の作る電界

電界(あるいは電場)

電位

電流

電流と磁界

磁界が電流に及ぼす力

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