物理/速度・加速度・ベクトル

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*[[Wikipedia_ja:速度|ウィキペディア(速度)]]
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=====等速円運動の速度=====
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質点が xy 平面上で原点 O を中心とする半径 r の円上を等速<tex>v</tex>で運動するとする。質点の角速度<tex>\omega</tex>は、<tex>\omega=v/r</tex>から求められる。
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質点が xy 平面上で原点 O を中心とする半径 r の円上を等速<tex>v</tex>で運動するとする。質点の角速度<tex>\omega</tex>は、<tex>\omega=v/r</tex>である。
時刻tの質点のx、y座標を<tex>x(t),y(t)</tex>、極座標をr、<tex>\theta(t)</tex>と書くと、<br/>
時刻tの質点のx、y座標を<tex>x(t),y(t)</tex>、極座標をr、<tex>\theta(t)</tex>と書くと、<br/>
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これらを時間tで微分すると、<br/>
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これらを時間tで微分すると、速度のx成分とy成分<br/>
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このベクトルは、質点の位置ベクトル<tex>\vec{r(t)}=(x(t),y(t))=(r\cos(\theta(t)),r\sin(\theta(t)))</tex><br/>と直交している。何故なら、<tex>\vec{r(t)}</tex>の傾きは<tex>\tan(\theta(t))</tex>であり、<tex>\vec{v(t)}</tex>の傾きは<tex>-\frac{1}{\tan(\theta(t))}</tex>なので、傾きの積が-1となるからである。
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次の記事を参照のこと。
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*[[Wikipedia_ja:円運動|ウィキペディア(円運動)]]
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====加速度====
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2011年6月10日 (金) 04:46時点における版

物理2章 力学(1) 速度、加速度とヴェクトル

目次

力学(ニュートン力学あるいは古典力学)とは何か(What is classical mechanics?)

物体の運動の根本法則を明らかにする、物理学の一分野です。

この理論の根幹は、力の法則(本テキスト3章)と力と運動の関係を与える運動法則(本テキスト4章)です。

質点の運動の表し方

高校では主に質点(大きさがなく重さだけがある点状の物体)の運動を学び、その法則を明らかにします。 何故ならば、大きさのある物体では、物体のどの部分かによってその位置がことなり、また変形なども起こるため物体の位置を表すのが難しいからです。さらに運動も並進移動だけでなく回転などを行い複雑となるからです。質点は、大きさのない点なので位置は明確で、変形も回転もなく、並進運動だけです。 しかし、重さがあって大きさのない、仮想の物質である質点の運動法則など何の役にも立たないと思う人もいるでしょう。 ところが、応用範囲は結構広いのです。例えば、地球の公転運動は、地球を質点とみなして解析してもほぼ正しいです。 さらに、大きさを考慮して解析しなければならない物体の運動も、質点の運動法則を利用して解明できます。しかしこれには高校数学より高度な数学を必要とするため、高校の物理では扱わず、大学で学びます。

質点の運動を数式で表すにはどうするか?

時間と距離

我々が住む世界は、3次元 空間 で、時間という時の経過が存在します。時間は時計で正確に測れます。3次元空間には長さという概念があり、距離の原器を使って正確に測れます。時間については、ウィキペディア(時間) の4.1 ニュートン力学での時間を、距離(あるいは長さ)については、ウィキペディア(距離) をみてください。

運動を調べたい時間範囲のすべての時刻tにたいしてその位置がわかれば、物体がどのように動いているか、完全にわかります。そこで、質点の位置を時間の関数として表すことで、運動は数式で記述出来ることになります。これは16世紀のガリレオの偉大な発見です。ガリレオはこの方法で落体運動の法則を明らかにしました。現代の物理学はここから始まりました。

質点の位置、および変位の表し方

(1)位置ベクトル
質点の位置は、原点 O と質点 P とを結ぶ OP で与えられる位置ベクトルを用いて表示します。これは高校の数学で扱う通常のベクトルと異なり、始点を原点に固定して考えるので、束縛ベクトルということがあります。物理学であつかうベクトルには数学のベクトルと違って、使用法に限定がつくことが良くあります。
(2)変位ベクトル
質点が位置を P1 から P2 に移動したとき、その変位を始点 P1 終点 P2 のベクトル P1P2 で表します。始点がどこであっても、変化後の質点を始点からみたとき方向と距離が同じならば、変位としては同じなので、始点の違いは無視して、同じベクトルとみなします。このようなベクトルを自由ベクトルといいます。 ある質点の位置ベクトルOPとします。これをQまで動かすと変位ベクトルはPQですが、OP+PQ=OQ(ベクトル和)は移動後の質点の位置ベクトルになっています。このように、ベクトル演算を用いると、質点の位置を求めることができます。ベクトルについて、詳しくない方は次の文献をご覧ください。

(3)ベクトルの座標表示
具体的に位置や変位を計算するには、ベクトルを数であらわして数の計算を用いなければなりません。そのため座標の原点をOにとった座標系を定め(このとき距離を利用)、位置ベクトルや変位ベクトルを座標表示します。運動の種類に応じて、解析しやすいように色々な座標系が考案されています。良く使われる座標系は直交座標系と極座標系です。座標系については次の解説を参考にしてください。座標系を利用して位置を数字の組で表示し、数の計算をつかって、図形等の性質を調べることは16世紀にデカルトが見つけた偉大な方法です。

質点の速度と加速度

質点の位置を時間の関数として表わせれば、質点の動き方がわかるので、その速度や速度の増加の仕方(加速度)も計算できます。 位置は必要ならば座標表示しておきます。

速度

質点の位置が単位時間あたり幾ら変化するかを表します。向きと大きさをもつのでベクトルです。しかし2つの速度のベクトル和は、限定されたときしか意味を持ちません。物理的に良く考えて、ベクトル和を計算すれば良いか、否かを判断する必要があります。

等速円運動の速度

質点が xy 平面上で原点 O を中心とする半径 r の円上を等速vで運動するとする。質点の角速度\omegaは、\omega=v/rである。 時刻tの質点のx、y座標をx(t),y(t)、極座標をr、\theta(t)と書くと、
x(t)=r\cos(\theta(t)),y(t)=r\sin(\theta(t))
\theta(t)=\omega t + \theta_0
,ここで \theta_0 は、時刻0における質点の位相角である。
これらを時間tで微分すると、速度のx成分とy成分
\dot{x(t)}=-r\sin(\theta(t))\dot{\theta(t)},
\dot{y(t)}=r\cos(\theta(t))\dot{\theta(t)}
が得られる。 \dot{\theta(t)}=\omega なので 
速度ベクトルは\vec{v(t)}=(\dot{x(t)},\dot{y(t)})=(-r\sin(\theta(t))\omega ,r\cos(\theta(t))\omega),
このベクトルは、質点の位置ベクトル\vec{r(t)}=(x(t),y(t))=(r\cos(\theta(t)),r\sin(\theta(t)))
と直交している。何故なら、\vec{r(t)}の傾きは\tan(\theta(t))であり、\vec{v(t)}の傾きは-\frac{1}{\tan(\theta(t))}なので、傾きの積が-1となるからである。 次の記事を参照のこと。


加速度

質点の速度が単位時間あたり幾ら変化するかを表します。向きと大きさをもつのでベクトルです。

等速円運動の加速度

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