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物理/物理数学(1) ベクトル・ベクトル空間と解析学

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(版間での差分)
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(内積とノルム)
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a,b,cは、すべて同じ次元(2か3)のベクトルとし、 αは実数とする。<br/>
a,b,cは、すべて同じ次元(2か3)のベクトルとし、 αは実数とする。<br/>
座標成分表示が必要な命題では、直交座標系表示を用いる。
座標成分表示が必要な命題では、直交座標系表示を用いる。
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===内積とノルムの定義===
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===ノルムと内積の定義===
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ベクトルaのノルムとは、<br/>
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ベクトルの長さ(大きさ)を表す。<br/>
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ベクトル\vec a,\vec bの内積 \vec a \cdot \vec b とは<br/>
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\|\vec{a}\|\|\vec{b}\|\cos\theta<br/>
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ここで、\thetaは、ベクトル\vec a,\vec bのなす角(0\le \theta \le \pi )である。
===命題1===
===命題1===

2015年2月13日 (金) 11:03時点における版

目次

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内積とノルム

内積とノルムは物理学では良くつかわれるので 本テキストで必要となる命題と証明を紹介する。
以下では、
\vec a,\vec b,\vec cは、すべて同じ次元(2か3)のベクトルとし、 \alphaは実数とする。
座標成分表示が必要な命題では、直交座標系表示を用いる。

ノルムと内積の定義

ベクトル\vec aのノルムとは、
\|\vec a\|:=\sqrt{\sum_{i}a_{i}^2}
ベクトルの長さ(大きさ)を表す。
ベクトル\vec a,\vec bの内積 \vec a \cdot \vec b とは
\|\vec{a}\|\|\vec{b}\|\cos\theta
ここで、\thetaは、ベクトル\vec a,\vec bのなす角(0\le \theta \le \pi )である。

命題1

\vec a \cdot \vec b =\vec b \cdot \vec a

命題2

\vec a \cdot \vec b =\sum_{i}a_ib_i ここでa_1,b_1はそれぞれ\vec a,\vec bのx座標成分、同様に、添え字2はy座標成分、3はz座標成分
直交座標系はどんなものでも良い。しかしすべてのベクトルは同じ座標系で座標成分表示しなければならない。
===命題3===( (\vec a +\vec b) \cdot \vec c =\vec a \cdot \vec c+\vec b \cdot \vec c   

命題4

(\alpha \vec a)\cdot \vec b =\vec a \cdot (\alpha \vec b)=\alpha (\vec a \cdot \vec b)
が成り立つ。

命題5

\vec a \cdot \vec a=\|\vec a\|^2=\sum_{i}a_{i}^2

命題6

\|\vec a \cdot \vec b\| \leq \|\vec a\|\|\vec b\|

命題7

ノルムの性質;\|\vec a + \vec b\| \leq \|\vec a\| + \|\vec b\|

(証明)
(1)は、内積の定義から明らか。
(2);次の三角形の余弦定理を利用する。
三角形の第2余弦定理;
図のような\triangle {ABC}を考える。
頂点A,B,Cの対辺の長さをそれぞれa,b,cとし、\angle{ACB}=\thetaとする。
すると、c^2=a^2+b^2-2ab\cos\theta
余弦定理の証明;頂点Aから対辺BCにおろした垂線の足をHとする。
ピタゴラスの定理により、
c^2=\overline{BH}^2+\overline{AH}^2\qquad 右辺の第2項に、再び、ピタゴラスの定理を適用して、
=\overline{BH}^2+(b^2-\overline{CH}^2) \qquad \overline{BH}=a-\overline{CH}を代入すると、
=(a-\overline{CH})^2+(b^2-\overline{CH}^2)=a^2+b^2-2a\overline{CH},\quad \overline{CH}=b\cos\thetaなので、代入すると
=a^2+b^2-2ab\cos\theta
証明終わり。
(2)の証明  
ベクトル\vec a \vec b を、
始点が点Cである有向線分で表現し、その終点をB,Cで表す。
すると\vec a=\vec{CB}, \vec b=\vec{CA}である。
ベクトル\vec c=\vec a-\vec bを導入すると、
\vec c=\vec a-\vec b=\vec{CB}-\vec{CA}=\vec{CB}+\vec{AC}=\vec{AB}
3角形\triangle {ABC}を考え、第2余弦定理を適用しよう。
\angle{ACB}=\thetaとおく。すると、
\|\vec c\|^2=\|\vec a\|^2+\|\vec b\|^2-2\|\vec a\|\|\vec b\|\cos{\theta}
=\|\vec a\|^2+\|\vec b\|^2-2\vec a \cdot \vec bが得られる。
この式を変形して\vec a \cdot \vec bだけを左辺に置くと、
\vec a \cdot \vec b=(\|\vec a\|^2+\|\vec b\|^2-\|\vec c\|^2)/2 。
\vec c=\vec{AB}=\vec{AC}+\vec{CB}=-\vec b+\vec aなので、

\vec a \cdot \vec b=(\|\vec a\|^2+\|\vec b\|^2-\|\vec a-\vec b\|^2)/2
この右辺を、ベクトルの直交座標成分で表すと、次式が得られる。
\vec a \cdot \vec b=(\sum_{i}a_i^2+\sum_{i}b_i^2-\sum_{i}(a_i-b_i)^2 )/2
=\sum_{i}a_i b_i
(2)の証明終わり。
(性質3)の証明;ある一つの直交座標系をさだめ、両辺を、性質(2)を利用して、座標成分であらわす。両辺が等しいことが分かる。
(性質4)の証明;同様に、3つの式を、座標成分表示すれば、みな等しいことが、簡単に分かる。

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