物理/気体の分子運動論

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(気体分子の運動と気体の圧力、ボイルの法則、温度)
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解析をすすめると次のことが分かる。<br/>
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気体の圧力pは、N個の分子(質量m)の質量中心の運動エネルギー$\frac{m}{2}\|\vec{v_i}\|^2$ (i=1,2,,,N)の平均<br/>
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の$\frac{2}{3}$ 倍に単位体積中の分子数$\frac{N}{V}$をかけたものに等しい。<br/>
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1モルの理想気体の状態方程式 $pV=RT$と組み合わせると、<br/>
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1モルの気体の分子数はアボガドロ数 $N_A=6.0221367\times 10^{23}$ なので、
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$K=\frac{3}{2}\frac{R}{N_A}T\qquad \qquad (1)$
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気体の温度が、熱平衡状態での分子の質量中心の運動エネルギーの平均値Kを用いて表現出来る。<br/>
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$\kappa:=\frac{R}{N_A}=\frac{8.31451[J/K\cdot mol]}{6.0221367\times 10^{23}[mol^{-1}]}=1.380658\times 10^{-23}[J/K]$<br/>
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を、'''ボルツマン定数'''という。<br/>
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これを用いると<br/>
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$<\frac{1}{2}mV^2>=\frac{3}{2}\kappa T\qquad \qquad (1')$<br/>
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気体の温度が、熱平衡状態での分子の質量中心の運動エネルギーの平均値$<\frac{1}{2}mV^2>$を用いて表現出来た。<br/>
具体的な導出は、
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*[[wikipedia_ja:気体分子運動論|ウィキペディア(気体分子運動論)]]
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その系の最後のエネルギー E' と最初のエネルギー E との差 E'-E は、<br/>
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その系に外部からくわえた仕事の総量 W と 外から加えた熱の総量 Q の和に等しい。<br/>
その系に外部からくわえた仕事の総量 W と 外から加えた熱の総量 Q の和に等しい。<br/>
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$E'-E=W+Q  \qquad (1)$<br/>
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ここで、系のエネルギーとは、系を分子の集まりと考えたときの、<br/>
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力学的エネルギー(各分子の運動エネルギーの総和と系のポテンシャルエネルギーの和)である。」
力学的エネルギー(各分子の運動エネルギーの総和と系のポテンシャルエネルギーの和)である。」

2016年4月1日 (金) 16:50 時点における最新版

物理気体の分子運動論

目次

この節の内容

この節では、本章の前節で学んだ、気体の温度や圧力、ボイルシャルルの定理などが、
気体分子の運動(熱運動という)で説明出来ることを学び、熱現象の本質は原子や分子の熱運動であることを理解する。
さらには物質の性質が原子や分子の構造から決まることを学ぶ。

熱力学の分子運動による解明

気体分子の運動と気体の圧力、温度

気体は分子という小さな粒子が膨大な個数集まったものである。
気体の圧力、温度という現象をこの分子の運動から考察しよう。

気体分子の運動と気体の圧力、ボイルの法則、温度

容器のなかで熱平衡にある気体の圧力は、熱運動している気体分子($1cm^3$あたり$10^{19}$くらい)が容器の壁に衝突し跳ね返り、このとき壁に力積を与えるからではないかと考えられる。
単位面積の壁に、一秒間に衝突する気体粒子が与える力積の和が壁が気体から受ける圧力である。
この衝突は弾性的(粒子のエネルギーが保存)である。
何故なら、粒子が衝突でエネルギーを失うとすると、
壁がこのエネルギーを得て、温度上昇し続け、
熱平衡状態にはならなくなる。
一つの粒子が壁に弾性的に当たるときに壁に与える力積は2章の力学ですでに学んでいる。
これらの事実を用いて、気体の粒子の壁に与える力積の和を求めることができそうである。
この考えに従って、
ニュートンの運動法則と確率的扱いを利用して、
解析をすすめると次のことが分かる。
気体の圧力pは、N個の分子(質量m)の質量中心の運動エネルギー$\frac{m}{2}\|\vec{v_i}\|^2$ (i=1,2,,,N)の平均
$<\frac{1}{2}mV^2>:=\frac{1}{N}\sum_{i=1}^{N}\frac{m}{2}\|\vec{v_i}\|^2$
の$\frac{2}{3}$ 倍に単位体積中の分子数$\frac{N}{V}$をかけたものに等しい。
すなわち、$p=\frac{2}{3}\frac{N}{V}<\frac{1}{2}mV^2>$
この式を、 $pV=\frac{2}{3}N<\frac{1}{2}mV^2>$ と変形し、
1モルの理想気体の状態方程式 $pV=RT$と組み合わせると、
1モルの気体の分子数はアボガドロ数 $N_A=6.0221367\times 10^{23}$ なので、 、
$<\frac{1}{2}mV^2>=\frac{3}{2}\frac{R}{N_A}T\qquad \qquad (1)$
$\kappa:=\frac{R}{N_A}=\frac{8.31451[J/K\cdot mol]}{6.0221367\times 10^{23}[mol^{-1}]}=1.380658\times 10^{-23}[J/K]$
を、ボルツマン定数という。
これを用いると
$<\frac{1}{2}mV^2>=\frac{3}{2}\kappa T\qquad \qquad (1')$
気体の温度が、熱平衡状態での分子の質量中心の運動エネルギーの平均値$<\frac{1}{2}mV^2>$を用いて表現出来た。
具体的な導出は、

高温の物体の分子は低温の物体の分子より(平均すると)激しく動いている。
この両者を(気体の場合は薄い壁を介して)接触させると、
この分子同士がぶつかりあい(あるいは壁を介して、力を及ぼしあい)、
激しく動いている高温物体の多くの分子はエネルギーを失って動きが遅くなり(温度が下がり)、
低温物体の分子はエネルギーをもらい動きがはげしくなる(温度が上がる)。
すなわち高温物体から低温物体にエネルギーが伝えられる。このエネルギーの流れが熱の本性である。

熱平衡

2つの物体を接触させると、双方の分子はぶつかり合い、互いにエネルギーを与えあうが、
授受が同じ値になると、熱の移動はなくなり、熱平衡の状態になる。

気体の内部エネルギーと仕事:熱力学の第1法則

3.2節「熱と熱現象(2) 熱力学の第一法則 」で紹介したように、
熱力学の第一法則は、
「ある系が、ある変化を行うとき、
その系の最後のエネルギー E' と最初のエネルギー E との差 E'-E は、
その系に外部からくわえた仕事の総量 W と 外から加えた熱の総量 Q の和に等しい。
$E'-E=W+Q \qquad (2)$
ここで、系のエネルギーとは、系を分子の集まりと考えたときの、
力学的エネルギー(各分子の運動エネルギーの総和と系のポテンシャルエネルギーの和)である。」 と述べられる。

気体の内部エネルギー

気体の内部エネルギーとは、
考察対象の気体分子全体のエネルギーから、
その重心の運動エネルギーと重力によるポテンシャルエネルギーを差し引いたものを言う。
言いかえると気体重心からみた各分子の運動エネルギーと各粒子間の分子間力に関するポテンシャルエネルギーの和のことである。

熱力学の第1法則

熱は分子のもつ熱運動エネルギー(の一部)が移動するものであり、
熱も含めたエネルギー保存則である熱力学の第一法則は、
熱をあたえる系も含めて考えると多数の分子からなる系の力学的エネルギーの保存則と見ることができる。

熱機関と不可逆性:熱力学の第2法則

熱力学の第2法則を、分子運動から導くことは、まだ完成していない。次の記事を参照のこと。

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