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物理/8章の付録

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( 指数の有理数への拡張)
( 指数の有理数への拡張)
339 行: 339 行:
1n0<~mk~nk<1n0<br/>
1n0<~mk~nk<1n0<br/>
すると指数関数fa(α)=aα の単調性から、<br/>
すると指数関数fa(α)=aα の単調性から、<br/>
-
a~mk~nka1n と a1n の間の数となり、<br/>
+
a~mk~nk は、a1na1n の間の数となり、<br/>
|a~mk~nk1|<ϵ<br/>
|a~mk~nk1|<ϵ<br/>
が示せた。<br/>
が示せた。<br/>

2018年1月10日 (水) 18:37時点における版

目次

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 8章の付録

 問の解答

 問

limn(1+1n)n が存在し、2より大きく3以下であることを証明する。
(1)準備; 2項定理;を用いた展開
an(1+1n)n(n) とおく。
すると、 2a1=1+11=2<a2=(1+12)2=214である。
以下に、数列 {an}n=1 が単調増大で、有界(2より大、3より小)である事を示す。
するとテキストの定理により、この数列は2より大きく、3以下のある実数に収束することが分かる。
nが3以上の自然数の時は、anを2項定理を用いて展開すると
  an=(1+1n)n=nm=0nCm1nm(1n)m(1)
  ここで nCm は、n個のものからm個取り出す取り出し方の総数で、
mが1以上でn 以下の自然数の時は
nCm=n!m!(nm)!(2)
ここで、m が1以上の自然数の時は m!123(m1)m
mが零の時は 0!1 と定義。

すると、
nC0=n!0!n!=1(3) 
m1のとき、nCm=n!m!(nm)!=n(n1)(n2)(n(m1))m!(4)
式(1)に式(2)を代入し,式(3)、(4)を利用して計算すると
an=1+nm=1n(n1)(n2)(n(m1))m!1nm(1n)m
=2+nm=21(11n)(12n)(1m1n)m!(5)
ここで、n より小さい全ての自然数 i に対して
0<1in<1 なので、
2<an<2+nm=21m!(6)

(2)すべての2以上の自然数 n に関して、
2<an<3(7)
であることを示す。
式(6)から
2<an,
an<2+nm=21m!(8)
右辺の m は2以上の自然数なので、
1m!1(m1)m=1m11m
である。故に、
an<2+nm=2(1m11m)=2+(11n)=31n<3

(3)数列 {an}n=1 は単調増加
n2 の時、常に an<an+1 を示せばよい。
式(5)を利用すると(注参照)、
an+1=2+n+1m=21(11n+1)(12n+1)(1m1n+1)m!
すると、
an+1an=n+1m=21(11n+1)(12n+1)(1m1n+1)m!nm=21(11n)(12n)(1m1n)m!
右辺の第一項の和を2つに分けると、
=1(11n+1)(12n+1)(1nn+1)m!
+nm=21(11n+1)(12n+1)(1m1n+1)m!nm=21(11n)(12n)(1m1n)m!

=1(11n+1)(12n+1)(1nn+1)m!
+nm=21(11n+1)(12n+1)(1m1n+1)1(11n)(12n)(1m1n)m!
上の式で、全てのi{1,2,,,,n}に対して,(1in+1)>0(1in+1)>(1in) なので、
an+1an>0

(注)式(3)のnに n+1 を代入すればよい。

 ネイピア数 e について

定義;elim(1+1n)nネイピア数と呼ぶ。
命題1
(1)2<e3
(2)e=m=01m!0!1,m!123(m1)m(9)

 三角関数の微分

 準備 

次の命題が、三角関数の微分を求めるうえで中心的役割を果たす。 
命題2 
limθ0,θ0sinθθ=1
証明
まず、θ を正に保ちながら零に近づける場合を考える。
すると、0<θ<π/2 と考えて良い。
点Oを中心にし、半径1の円を考え、円周上に一点Aをさだめる。
図のように、円周上の点Bを、線分OBが直線OAとなす角がx(ラジアン)となるようにとる。

図からOABOABOAP
ここで、点PはAを通り線分OAと垂直な直線と半直線OBの交点。
すると、
OAB< OAB < OAP
ここで、OAB=1sinθ2,OAB=π12θ2πOAP=1tanθ2なので、
sinθ2 <θ2<tanθ2=sinθ2cosθ各項を2倍すると、
sinθ<θ<sinθcosθ
ここで sinθ>0 なので、これで上式の各項を割ると、
1<θsinθ<1cosθ
1>sinθθ>cosθ
故に、極限の性質から
1limθ0,θ0sinθθlimθ0,θ0cosθ=1
これより、limθ0,θ0sinθθ=1 が得られる。

定理1 三角関数の微分
(1)ddθsinθ=cosθ
(2)ddθcosθ=sinθ
証明
(1); ddθsinθlimh0,h0sin(θ+h)sinθh
ここで、
sin(θ+h)sinθ=sin((θ+h2)+h2)sin((θ+h2)h2)
サイン関数の加法定理を適用すると
=sin(θ+h2)cosh2+cos(θ+h2)sinh2(sin(θ+h2)cosh2cos(θ+h2)sinh2)=2cos(θ+h2)sinh2
故に、 ddθsinθlimh0,h0sin(θ+h)sinθh=limh0,h02cos(θ+h2)sinh2h=limh0,h0cos(θ+h2)sinh2h/2
=limh0,h0cos(θ+h2)limh0,h0sinh2h/2
ここで、
limh0,h0cos(θ+h2)=cosθ
limh0,h0sinh2h/2=1(
なので、
=cosθ

指数関数と対数関数

 実数の累乗

a を任意の実数、n を2以上の自然数とする。
a1=a,a2=aa,a3=a2a=aaa,an=an1a, 
を総称して、a の累乗と呼ぶ。
an をa の n 乗 、n をその指数と呼ぶ。
この累乗が次のような計算規則を満たすことは、容易に証明できる。
命題1
a,b を任意の実数、m,n を任意の自然数とすると、
(1) aman=am+n
(2) (am)n=amn
(3) (ab)n=anbn

そこで次の累乗に関する計算規則を定義する。

累乗に関する計算規則
a,b を任意の正の実数、α,βを指数を表わす数とすると、
(1) aαaβ=aα+β()
(2) (aα)β=aαβ()
(3) (ab)β=aβbβ()

この計算規則(3)から、1β1 であることが分かる。
何故ならば b=1の時、(a1)β=aβ1β となり、 aβ0 であるから。
そこで今後は a1 の場合だけを考える。

命題2
(1)a を1より小さい正の実数とすると、数列 {an}n=1 は単調減少し、零に収束。
(2)a を1より大きい正の実数とすると、数列 {an}n=1 は単調増加し、いくらでも大きくなる(無限大に発散)。

これより、累乗に関する3つの規則が、そのまま成り立つようにしながら、指数を実数まで拡げよう。

 指数の整数への拡張

まず指数を、累乗に関する3つの規則が成り立つようにしながら、整数に拡張する。
累乗の定義から、
a0,1 の時は、任意の自然数m、nに対し、
am÷an=amn(m>n) (1)
=1(m=n)(2)
=1anm(m<n)(3)
であることが分かる。
これを一つの式 amn で表わせるように、a の指数を取決めたい。
そのためには、指数が零の時、a01
指数 mn が負数の時 amn1anm 
と定義すればよい。
言い換えると、a(0,1) の指数nが 零と負の整数のとき、
a01,an1an(n<0)(4)
と定義する。
すると、指数が整数の時、3つの累乗規則を満たすことは、容易に確かめられる。

 指数の有理数への拡張

これ以降、有理数全体のなす集合をRatとかく。
a(1) を任意の正の実数、 mn を任意の有理数のとき、
a の有理数乗 amn を、計算規則を満たすように定義しよう。

指数n を任意の自然数(正の整数)、 m を任意の整数と仮定してよい。
(注)nが負の時はamn=amn なので、
n,mを改めてn,m と置けば良い。
累乗規則(2)を満たすように定義するには、
(amn)n=(amn)n1=am 
でなければならない。
これは、amn が am のn乗根であることを示す。
しかしnが偶数のときは、amnam のn乗根となるので、 正のn乗根 のほうを、amn とかく。

定義 正の実数の有理数乗
aを正の実数とする。
amn とは、
am の正のn乗根である。
すなわち、 
(amn)n=amを満たす正の実数である。

最初に、この定義できちんと正の実数が一つだけ決まることを証明しよう。
a=1のときは、n乗すると1になる正数は1だけなので
1mn)=1
であることが分かるので、a1 の場合を考える。
命題3
a0,1 を任意の正の実数、m を任意の整数,nを任意の自然数とする。
すると、n 乗すると am になる正の実数 b (i.e. bn=am)が存在し、ただ一つに限る。
証明
(1) 存在性
f(x)xn という、零と正の実数の上で定義された、関数を考える。
この関数はxが増加するにつれて、連続的に、零から正の無限大に狭義に単調に増加(注参照)していく。
そこで、B{x[0,) | xnam} という集合を考える。
この集合は、上に有界な区間になり、実数の連続性から上限(sup)bを持つ。
この時、bB,bn=am であることを示そう。
b が集合B(R)の上限なので、任意の自然数nに対して、
0bbn<1n  
を満たす bnB が存在する。
明らかに
limnbn=b
すると、関数 f(x)xn は連続なので、 limnbnn=bn(a)
ところがbnB{x[0,)|xnam}なので、
bnnam(b)
式(a)、(b) から、bnam がえられるので、
bB
が示せた。(従って、Bは閉区間 [o,b] である。)
bn=am であることを背理法を使って示そう。
もし、bn<am だとすると、関数 f(x)=xn は連続なので
充分小さな正の実数δ をとると、(b+δ)n<am を満たす。
すると (b+δ)B となり、
bが B の上限であることに矛盾してしまう。
故に、背理法により、bn=am が証明できた。
(2)一意性
関数 f(x)=xn  は狭義の単調増加関数なのでb以外の数b'(b)では、
bnbn=am
(証明終り) 
(注) 関数fが狭義単調増加とは、x<yf(x)<f(y) を満たすこと。

命題4
任意の正の実数 a1 にたいして、その有理数乗を上記のように定義すると
3つの累乗規則 (1)~(3) が成り立つ。
証明; 1) 累乗規則(1)が成り立つことを示す。
2個の有理数の指数を 自然数n,˜nと整数m,˜m を用いて、
α=mn,β=˜m˜nと表現する。
すると、累乗規則(1)は、次のように表される。
amna˜m˜n=amn+˜m˜n
この左辺を bamna˜m˜n,
右辺を camn+˜m˜n とおく。
bn˜n=cn˜n (a) 
であることを示せば、b=c が得られ,
累乗規則(1)が成立することが分かる。
まず左辺を考える。
bn˜n= (amna˜m˜n)n˜n
指数が自然数の累乗規則(3)から
=(amn)n˜n(a˜m˜n)n˜n
指数が自然数の累乗規則(2)から
=((amn)n)˜n((a˜m˜n)˜n)n
実数の有理数乗の定義から、
=(am)˜n(a˜m)n
指数が整数の累乗規則(2)から
=am˜na˜mn
指数が整数の累乗規則(1)から
=am˜n+˜mn
故に、bn˜n=am˜n+˜mn
次に、右辺を考える。
cn˜n=(amn+˜m˜n)n˜n

=(am˜n+n˜mn˜n)n˜n
実数の有理数乗の定義から、
=am˜n+n˜m=bn˜n
これで、式(a)が示され、累乗規則(1)が成り立つことが証明できた。
  2)累乗規則(2)と累乗規則(3)が成り立つことは読者がしてください。
証明終わり。

指数が有理数の場合,命題2は次のように拡張出来る。

命題5
Ratの上で定義される関数
fa(α)aα (αRat)を考える。
1)a を1より大きい正の実数とすると、
faは単調増大で
limα,αRataα= limαfa(α)=0
2)a が1より小さい正の実数のとき、
faは単調減少し、
limα,αRatfa(α)=0limα,αRatfa(α)=
3)a=1 のとき、fa  1
証明
1)のみ証明する。2)の場合も同様に証明できる。
① mn<mn,n,mN とすると、
amn<amn を示そう。
αamn÷amn>1
を示せばよい。
正数の有理数乗の計算規則から、
αamn÷amn=amnmn
=amnnmnn
故に、
αnn=amnnm
mn<mn から、
mnnm>0なので、amnnm>1であり
>1
故に、 αnn>1
自然数乗すると1より大きくなる正の実数は1より大きい実数しかないので、 α>1 が得られた。
② limα,αRataα=を示そう。
関数 fa(α) は単調増加(①で証明)なので、
limn,nNan=
を示せばよいが、これは自明である。
③ limα,αRatfa(α)=0
も、同様にして示せる。
証明終わり

定理1
a0,1 の正の実数とする。
有理数全体の上で定義される(単調)関数
fa(α)aα (α)
は連続関数である。
すなわち、
mknkmn(Nk)(mk,mnk,n 
ならば、
amknk  amn
証明
|amknkamn|=|amn||amknkmn1| なので、
limmknkmn|amknkmn1|=0
を、示せばよい。
~mk~nkmknkmn とおくと、
lim ~mk~nk0 |a~mk~nk1|=0
を示せばよい。
このために、次の補題をまず証明する。
補題
limn|a1n1|=0 (b)
limn|a1n1|=0(c)
補題の証明
1) 式(b)を背理法で証明する。
もし式(b)が成立しないとする。
すると或る小さな正数ϵ が存在し、
どのような自然数 n0 をとっても、ある自然数n>n0 が存在して
|a1n1|ϵ
となる。(注参照)
すると、自然数の部分列 \{ n_k \}_{k\in {\bf N}} \quad (n_k \lt n_{k+1},k=1,2,3,\cdots) が存在して、
(\forall k\in {\bf N})( |a^{ \frac{1}{n_k} }- 1| \geq \epsilon)\qquad (d)
となる。
① a \gt 1 の場合
a^{ \frac{1}{n_k} } \gt 1なので、
(\forall k\in {\bf N})( a^{ \frac{1}{n_k} }- 1 \geq \epsilon)
すなわち、
(\forall k\in {\bf N})( a^{ \frac{1}{n_k} } \geq 1+\epsilon)
両辺をn_k乗して
(\forall k\in {\bf N})(a \geq (1+\epsilon)^{n_k})
2項定理から
(1+\epsilon)^{n_k} \geq 1+n_k\epsilon 
であることがわかるので、
(\forall k\in {\bf N})(a \geq 1+n_k\epsilon ) \qquad \qquad (e)
n_k \to \infty \quad (k \to \infty) なので、
式(e)から、a = \infty となり、矛盾が生じてしまう。
② a \lt 1 の場合も同様にして、矛盾が生じることが示せる。
③ 故に、式(b)が成立しないと仮定すると矛盾が生じるので、
背理法により、式(b)が成立することが、証明できた。
2)式(c)の証明も同様にしてできるので省略する。\Box

任意の正数\epsilon に対して、ある番号k_{\epsilon}が定まって、
k \geq k_{\epsilon}というすべての自然数kに対して、
|a^{\frac{ \tilde{m_k} }{ \tilde{n_k} } } - 1|\lt \epsilon
を示せば、
\lim_{ \frac{ \tilde{m_k} }{ \tilde{n_k} }\to 0 } |a^{\frac{ \tilde{m_k} }{ \tilde{n_k} } } - 1|= 0
が示せて、証明が終了する。
補題により、\epsilon に対して、ある番号n_0をさだめ,
n \geq n_0ならば、
|a^{ \frac{1}{n} }- 1|\lt \epsilon
|a^{ \frac{-1}{n} }- 1|\lt \epsilon
が成立するようにできる。
\lim_{k \to \infty}\frac{ \tilde{m_k} }{ \tilde{n_k} }= 0  なので、
自然数n_0に対して、 ある番号k(n)\in {\bf N} が存在して、
k(n)以上のどんな自然数kに対しても、
\frac{-1}{n_0}\lt \frac{ \tilde{m_k} }{ \tilde{n_k}}\lt \frac{1}{n_0}
すると指数関数f_{a}(\alpha)=a^{\alpha} の単調性から、
a^{ \frac{ \tilde{m_k} }{ \tilde{n_k} } } は、a^{\frac{-1}{n}}a^{\frac{-1}{n} }の間の数となり、
|a^{\frac{ \tilde{m_k} }{ \tilde{n_k} } } - 1|\lt \epsilon
が示せた。
定理の証明終わり。 \qquad \qquad \qquad \qquad \Box

 指数の実数への拡張

任意の実数 \alpha に対して 指数 a^{\alpha} を次のように定義する。

定義
\{\alpha_n\}_{n=1}^{\infty} を \alpha に収束する有理数の単調増加数列とするとき、
a^{\alpha} \triangleq \lim_{n \to \infty}a^{\alpha_{n}} 

この定義により、唯一の実数が必ず定まることが次のようにして分かる。

命題6
\alpha に収束する別の有理数の単調増加数列 \{\beta_n\}_{n=1}^{\infty} に対して、
\lim_{n \to \infty}a^{\beta_{n}} = \lim_{n \to \infty}a^{\alpha_{n}} 
証明
証明終わり

定理2
a \neq 0,1 である正の実数 a を考える。
実数空間 {\bf R} で定義された指数関数
f_{a}(x)= a^x \quad (x \in {\bf R}) 
は、次の性質をもつ。
(1)(0,\infty) の上への、一対一関数
(2) a \gt 1 ならば単調増加、\quad a \lt 1 ならば単調減少
(3)連続関数

 対数と対数関数

1と異なる正の実数 a を考える。
指数関数 f_{a}(x) = a^x は,命題2から、
{\bf R} から (0,\infty) の上への、一対一、連続関数である。

  定義1
実数 a を  a\gt 0,\ a\neq 1 とする。この時、
任意の正の実数 Xに対して、
a^x = X
を満たす実数xが唯一つ定まる。
このxを X のa を底とする対数と呼び、\log_{a}X とかく。

指数関数 f_{a}(x) = a^x
{\bf R} から (0,\infty) の上への、一対一関数
なので、逆関数を考えることができる。

定義2
a を1と異なる正の実数とする。
\log_{a} a^x \triangleq x \qquad \qquad \qquad (1) 
この関数を、a を底とする対数関数とよぶ。

  定理1
a を 1と異なる正の実数とする。
1) a を底とする対数関数 \log_{a} は、
指数関数f_{a}(x)=a^xの逆関数であり、
(\log_{a}\cdot f_{a})(x) = x \quad (x \in {\bf R})\qquad \qquad \qquad (2)
すなわち、
\log_{a}(a^x) = x \quad (x \in {\bf R})\qquad \qquad \qquad (2')
と(注参照)、
(f_{a}\cdot \log_{a})(y) = y \quad \bigl(y \in (0,\infty)\bigr)\qquad \qquad \qquad (3)
すなわち、
a^{\log_{a}(y)} = y \quad \bigl(y \in (0,\infty)\bigr)\qquad \qquad \qquad (3')
を満たす。
2)指数関数f_{a}(x)=a^x は
(0,\infty) から {\bf R} の上への一対一で
連続な関数である。
(注) 2つの関数f、gに対して、その合成関数(f\cdot g) は、
(f\cdot g)(x)\triangleq f\bigl(g(x)\bigr) で定義される。

定理2
a を 1と異なる正の実数とする。
すると
1) 任意の2つの正の実数b、cに対して,
\qquad \log_{a}b + \log_{a}c = \log_{a}bc \qquad \qquad \qquad (4)
2) 任意の2つの正の実数 b,c に対して,
\qquad \log_{a}b - \log_{a}c = \log_{a}\frac{b}{c} \qquad \qquad \qquad (5)
3) 任意の正の実数 b と任意の実数 c に対して 
\qquad \log_{a}b^c = c \log_{a}b \qquad \qquad \qquad (6)

証明
1) 指数関数f_{a}(x)=a^x の性質から、
a^{x_{b}}= b,\quad a^{x_{c}}= c \qquad \qquad \qquad (7) 
を満たす、実数 x_{b} \quad x_{c} がそれぞれ唯一つ定まる。
式(7)から対数関数の定義を用いると、
\log_{a}b = x_{b} \quad \log_{a}c = x_{c}\qquad \qquad \qquad (8) 
すると、
\quad \log_{a}b + \log_{a}c = x_b + x_c \quad (式(8)から)
=\log_{a} a^{x_b + x_c } \quad (式(1)から)
=\log_{a} (a^{x_b} a^{x_c }) \quad (指数関数の性質から)
=\log_{a}(bc) \quad (式(7)から)

2)も同様に証明できる。

3)X \triangleq \log_{a}b^c とおく。すると、対数の定義から、
a^X = b^c
\qquad bは正の実数なので、x_b=\log_{a}b とおくと、 a^{x_b}= bなので、
= (a^{x_b})^c = a^{x_b c} \quad (指数関数の性質から)
故に
a^X = a^{x_b c}
指数関数が一対一関数なので、X = x_b c = c \log_{a}b
X の定義から、\log_{a}b^c = c \log_{a}b \qquad \qquad \Box

定理3 底の変換公式
任意の3つの正の実数 a(\neq 1),b,c(\neq 1)  に対して
\qquad \log_{a}b = \frac{\log_{c}b}{\log_{c}a}\qquad \qquad \qquad (9)

証明
定理1の式(3')から、
\quad a^{\log_{a}b} = b \qquad \qquad \qquad (10)
底をcとする対数をとれば、
\log_{c}a^{\log_{a}b} = \log_{c} b
\qquad 定理2の式(6)から、\log_{c}a^{\log_{a}b} = (\log_{a}b)(\log_{c}a)なので、
(\log_{a}b)(\log_{c}a) = \log_{c} b
a,\quad c は、1と異なる正の実数であるため、 \log_{c}a \neq 0 となり、
\log_{a}b = \frac{\log_{c}b }{\log_{c}a}
が得られた。
証明終わり。 \qquad \qquad \qquad \Box

 対数関数

1と異なる正の実数 a を考える。
  指数関数 f_{a}(x) = a^x は,命題2から、
  {\bf R} から (0,\infty) の上への、一対一、連続関数である。
  すると、その逆関数\quad (0,\infty) \ni a^x \to x \in {\bf R}  が定義できる。

定義
a を1と異なる正の実数とする。
\log_{a} a^x \triangleq x \qquad \qquad \qquad (1) 
この関数を、a を底とする対数関数とよぶ。

  定理1
a を 1と異なる正の実数とする。
1) a を底とする対数関数 \log_{a} は、
指数関数f_{a}(x)=a^xの逆関数であり、
(\log_{a}\cdot f_{a})(x) = x \quad (x \in {\bf R})\qquad \qquad \qquad (2)
すなわち、
\log_{a}(a^x) = x \quad (x \in {\bf R})\qquad \qquad \qquad (2')
と(注参照)、
(f_{a}\cdot \log_{a})(y) = y \quad \bigl(y \in (0,\infty)\bigr)\qquad \qquad \qquad (3)
すなわち、
a^{\log_{a}(y)} = y \quad \bigl(y \in (0,\infty)\bigr)\qquad \qquad \qquad (3')
を満たす。
2)指数関数f_{a}(x)=a^x は
(0,\infty) から {\bf R} の上への一対一で
連続な関数である。
(注) 2つの関数f、gに対して、その合成関数(f\cdot g) は、
(f\cdot g)(x)\triangleq f\bigl(g(x)\bigr) で定義される。

定理2
a を 1と異なる正の実数とする。
すると
1) 任意の2つの正の実数b、cに対して,
\qquad \log_{a}b + \log_{a}c = \log_{a}bc \qquad \qquad \qquad (4)
2) 任意の2つの正の実数 b,c に対して,
\qquad \log_{a}b - \log_{a}c = \log_{a}\frac{b}{c} \qquad \qquad \qquad (5)
3) 任意の正の実数 b と任意の実数 c に対して 
\qquad \log_{a}b^c = c \log_{a}b \qquad \qquad \qquad (6)

証明
1) 指数関数f_{a}(x)=a^x の性質から、
a^{x_{b}}= b,\quad a^{x_{c}}= c \qquad \qquad \qquad (7) 
を満たす、実数 x_{b} \quad x_{c} がそれぞれ唯一つ定まる。
式(7)から対数関数の定義を用いると、
\log_{a}b = x_{b} \quad \log_{a}c = x_{c}\qquad \qquad \qquad (8) 
すると、
\quad \log_{a}b + \log_{a}c = x_b + x_c \quad (式(8)から)
=\log_{a} a^{x_b + x_c } \quad (式(1)から)
=\log_{a} (a^{x_b} a^{x_c }) \quad (指数関数の性質から)
=\log_{a}(bc) \quad (式(7)から)

2)も同様に証明できる。

3)X \triangleq \log_{a}b^c とおく。すると、対数の定義から、
a^X = b^c
\qquad bは正の実数なので、x_b=\log_{a}b とおくと、 a^{x_b}= bなので、
= (a^{x_b})^c = a^{x_b c} \quad (指数関数の性質から)
故に
a^X = a^{x_b c}
指数関数が一対一関数なので、X = x_b c = c \log_{a}b
X の定義から、\log_{a}b^c = c \log_{a}b \qquad \qquad \Box

定理3 底の変換公式
任意の3つの正の実数 a(\neq 1),b,c(\neq 1)  に対して
\qquad \log_{a}b = \frac{\log_{c}b}{\log_{c}a}\qquad \qquad \qquad (9)

証明
定理1の式(3')から、
\quad a^{\log_{a}b} = b \qquad \qquad \qquad (10)
底をcとする対数をとれば、
\log_{c}a^{\log_{a}b} = \log_{c} b
\qquad 定理2の式(6)から、\log_{c}a^{\log_{a}b} = (\log_{a}b)(\log_{c}a)なので、
(\log_{a}b)(\log_{c}a) = \log_{c} b
a,\quad c は、1と異なる正の実数であるため、 \log_{c}a \neq 0 となり、
\log_{a}b = \frac{\log_{c}b }{\log_{c}a}
が得られた。
証明終わり。 \qquad \qquad \qquad \Box

指数関数と対数関数の微分

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