市場調査/顧客を知る
提供: Internet Web School
(→見込み顧客) |
|||
(間の23版分が非表示) | |||
1 行: | 1 行: | ||
[[市場調査]] | [[市場調査]] | ||
> [[市場調査/顧客を知る|顧客を知る]] | > [[市場調査/顧客を知る|顧客を知る]] | ||
- | |||
- | |||
= 概要 = | = 概要 = | ||
+ | 企業などの組織が、自社の商品・サービスを提供するために、顧客を知り、顧客にあった商品・サービスをつくることで、様々な経営資源を効率的に運用できる。この顧客を知る活動が[[wikipedia_ja:マーケティングリサーチ|マーケティングリサーチ]](市場調査)である。 | ||
+ | 市場調査は、企業が、自社商品やサービスの対象となる顧客のニーズを把握するために実施するものであるが、その現状分析だけが目的ではなく、企業(経営者)が今後、経営方針に関して種々の意思決定を行う際の指針になったり、新商品開発などの[[wikipedia_ja:マーケティング|マーケティング]]活動にとって重要な情報を与えてくれるものでもある。 | ||
+ | |||
+ | = 市場分析 = | ||
+ | 経営学者[[wikipedia_ja:フィリップ・コトラー|フィリップ・コトラー]]氏が「調査せずに市場参入を試みるのは、目が見えないのに市場に参入しようとするようなものだ」と示唆しているように、企業がこれから参入しようとする市場環境を調査することは大変重要である。 | ||
+ | 顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の観点から市場環境を分析し、経営戦略上の課題を探る、[[wikipedia_ja:3C分析|3C分析]]がある。3C分析にCooperator(協力業者)分析を加えて4C分析を行う場合もある。 | ||
+ | |||
+ | ==調査の方法== | ||
+ | 紙によるアンケート(質問紙)調査、インターネット活用のネットアンケート調査、対象者への面接調査、観察調査、実験、などが挙げられる。 | ||
+ | また、[[wikipedia_ja:国勢調査|国勢調査]]などの政府の資料の利用や、[[wikipedia_ja:マーケティングリサーチ|リサーチ専門業者]]の報告書を利用し、市場規模の把握をすることができる。 | ||
+ | また、営業回りをする営業マンが、管轄の地域で発見した変化や見聞きした情報、得意客との会話の中で入手する情報なども、大切な調査結果と言える。 | ||
+ | |||
+ | = 顧客(Customer)分析 = | ||
+ | 顧客のライフスタイル(購読物、行動範囲、行動パターンなど)や、顧客の年齢層、年収、居住地域などに基づいて、顧客をより詳しく知っていく必要がある。 | ||
- | + | なお、ここで言う「顧客」とは、商品またはサービスを購入・利用する「本人」だけではなく、利用するのは別の者だが、交渉や購買の決定権を持つ人も「顧客」と定義する。 | |
- | + | ||
- | + | ||
- | + | == 顧客を「分ける」 == | |
+ | 個人の属性や特徴が同一または類似している顧客をグルーピングし分類する「[[wikipedia_ja: マーケットセグメンテーション|マーケットセグメンテーション]]手法により、似た傾向のある顧客をいくつかのグループに分けることで、顧客市場を細分化でき、特定カテゴリに対して集中的にアプローチすることができる。 | ||
- | == | + | ==顧客を「絞り込む」== |
+ | 顧客を「分ける」ことの必要性は、[[wikipedia_ja: フィリップ・コトラー|フィリップ・コトラー]]氏のSTP理論(まず市場分析の後、①市場や顧客を細分化し(セグメンテーション)、次に、②絞込みを行い(ターゲティング)、③ターゲット市場や顧客に対する差別化を行う(ポジショニング)、というもの)の中のひとつ目のステップなのである。 | ||
+ | 一方で、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレート(Vilfredo Federico Damaso Pareto)が発見した[[wikipedia_ja: パレートの法則|パレートの法則]]によれば、「ビジネスにおいては、売上の8割は全顧客の2割が生み出している。よって売上を伸ばすには顧客全員を対象としたサービスを行うよりも、2割の顧客に的を絞ったサービスを行う方が効率的である。」とも言える。 | ||
- | + | また、「絞り込む」に近い意味合いのマーケティング手法である、「ペルソナマーケティング」というものもある。 | |
+ | 架空の「顧客」を想像で作り上げるのではなく、氏名、年齢、性別、居住地、職業、勤務先、年収、家族構成といった定量データと、身体的特徴・性格的特徴・ライフスタイル・価値観・趣味嗜好などの定性データとの両方を元に、ターゲットのパターンを見出し、そこにさらに想像力を駆使して、具体的な顧客像である「ペルソナ」を作り上げ、そのターゲットに向けた自社の商品やサービスのマーケティングをする。注力すべきターゲットを明確にすることで、「顧客」が絞り込め、より深く「刺さる」マーケティングが展開できるのである。 | ||
- | == | + | == 既存顧客の重要性 == |
+ | LTV(Life Time Value)とは「[[wikipedia_ja: 顧客生涯価値|顧客生涯価値]]」のこと。新規顧客よりも既存顧客のほうが注文単価が高くなる傾向にあり、新規の顧客を開拓するよりも、既存顧客に販売するほうが利益率も高くなることもあり、成熟市場で特にこの概念が多く用いられている。自社の製品やサービスが継続的に顧客に選択され続けることが顧客価値向上の原点となる。 | ||
+ | また、いわゆる[[wikipedia_ja: クレーム|クレーマー]]から長期にわたる優良顧客になり得ることもある。 | ||
- | = | + | == 見込み顧客 == |
- | + | 購買時期が近付いているターゲット層。 | |
- | + | ||
- | = | + | == 潜在顧客 == |
- | + | 実際の購買時期が具体的になっていない状態のターゲット層。 | |
- | + | コトラーによれば「いままでは顧客の調査を重ねれば、「顧客の目線」でものごとが見えてくると考えられてきました。しかし、何百ページものマーケティング報告書は、読み切れないほど大量のデータを集めているだけで、それを見て顧客のことがわかったつもりになっていました。しかも、売り手側は情報を独占し、一方的に都合の良い メッセージを流し続けていました。私はこれを「モノローグ(ひとり芝居)」と呼んでいます。双方向のインターネットの登場によって、そういう時代は終わりを告げました。」と述べているように、まだ「顧客」になり得ていない層が必ず存在し、そこに向けてのアプローチも重要。 | |
= 参考文献 = | = 参考文献 = | ||
39 行: | 54 行: | ||
*[[wikipedia_ja:市場|市場 (Wikipedia)]] | *[[wikipedia_ja:市場|市場 (Wikipedia)]] | ||
*[[wikipedia_ja:取引|取引 (Wikipedia)]] | *[[wikipedia_ja:取引|取引 (Wikipedia)]] | ||
+ | *[[wikipedia_ja:顧客|顧客 (Wikipedia)]] | ||
+ | *[[wikipedia_ja:マーケティングリサーチ|マーケティングリサーチ (Wikipedia)]] | ||
= 演習課題 = | = 演習課題 = | ||
*<span class="pops"> [[cai_ja:GRAMAR00010001|CAIテストのページへ(新しいWindowが開きます)]] </span> | *<span class="pops"> [[cai_ja:GRAMAR00010001|CAIテストのページへ(新しいWindowが開きます)]] </span> |
2015年2月25日 (水) 05:58 時点における最新版
市場調査 > 顧客を知る
目次 |
概要
企業などの組織が、自社の商品・サービスを提供するために、顧客を知り、顧客にあった商品・サービスをつくることで、様々な経営資源を効率的に運用できる。この顧客を知る活動がマーケティングリサーチ(市場調査)である。 市場調査は、企業が、自社商品やサービスの対象となる顧客のニーズを把握するために実施するものであるが、その現状分析だけが目的ではなく、企業(経営者)が今後、経営方針に関して種々の意思決定を行う際の指針になったり、新商品開発などのマーケティング活動にとって重要な情報を与えてくれるものでもある。
市場分析
経営学者フィリップ・コトラー氏が「調査せずに市場参入を試みるのは、目が見えないのに市場に参入しようとするようなものだ」と示唆しているように、企業がこれから参入しようとする市場環境を調査することは大変重要である。 顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の観点から市場環境を分析し、経営戦略上の課題を探る、3C分析がある。3C分析にCooperator(協力業者)分析を加えて4C分析を行う場合もある。
調査の方法
紙によるアンケート(質問紙)調査、インターネット活用のネットアンケート調査、対象者への面接調査、観察調査、実験、などが挙げられる。 また、国勢調査などの政府の資料の利用や、リサーチ専門業者の報告書を利用し、市場規模の把握をすることができる。 また、営業回りをする営業マンが、管轄の地域で発見した変化や見聞きした情報、得意客との会話の中で入手する情報なども、大切な調査結果と言える。
顧客(Customer)分析
顧客のライフスタイル(購読物、行動範囲、行動パターンなど)や、顧客の年齢層、年収、居住地域などに基づいて、顧客をより詳しく知っていく必要がある。
なお、ここで言う「顧客」とは、商品またはサービスを購入・利用する「本人」だけではなく、利用するのは別の者だが、交渉や購買の決定権を持つ人も「顧客」と定義する。
顧客を「分ける」
個人の属性や特徴が同一または類似している顧客をグルーピングし分類する「マーケットセグメンテーション手法により、似た傾向のある顧客をいくつかのグループに分けることで、顧客市場を細分化でき、特定カテゴリに対して集中的にアプローチすることができる。
顧客を「絞り込む」
顧客を「分ける」ことの必要性は、フィリップ・コトラー氏のSTP理論(まず市場分析の後、①市場や顧客を細分化し(セグメンテーション)、次に、②絞込みを行い(ターゲティング)、③ターゲット市場や顧客に対する差別化を行う(ポジショニング)、というもの)の中のひとつ目のステップなのである。 一方で、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレート(Vilfredo Federico Damaso Pareto)が発見したパレートの法則によれば、「ビジネスにおいては、売上の8割は全顧客の2割が生み出している。よって売上を伸ばすには顧客全員を対象としたサービスを行うよりも、2割の顧客に的を絞ったサービスを行う方が効率的である。」とも言える。
また、「絞り込む」に近い意味合いのマーケティング手法である、「ペルソナマーケティング」というものもある。 架空の「顧客」を想像で作り上げるのではなく、氏名、年齢、性別、居住地、職業、勤務先、年収、家族構成といった定量データと、身体的特徴・性格的特徴・ライフスタイル・価値観・趣味嗜好などの定性データとの両方を元に、ターゲットのパターンを見出し、そこにさらに想像力を駆使して、具体的な顧客像である「ペルソナ」を作り上げ、そのターゲットに向けた自社の商品やサービスのマーケティングをする。注力すべきターゲットを明確にすることで、「顧客」が絞り込め、より深く「刺さる」マーケティングが展開できるのである。
既存顧客の重要性
LTV(Life Time Value)とは「顧客生涯価値」のこと。新規顧客よりも既存顧客のほうが注文単価が高くなる傾向にあり、新規の顧客を開拓するよりも、既存顧客に販売するほうが利益率も高くなることもあり、成熟市場で特にこの概念が多く用いられている。自社の製品やサービスが継続的に顧客に選択され続けることが顧客価値向上の原点となる。 また、いわゆるクレーマーから長期にわたる優良顧客になり得ることもある。
見込み顧客
購買時期が近付いているターゲット層。
潜在顧客
実際の購買時期が具体的になっていない状態のターゲット層。 コトラーによれば「いままでは顧客の調査を重ねれば、「顧客の目線」でものごとが見えてくると考えられてきました。しかし、何百ページものマーケティング報告書は、読み切れないほど大量のデータを集めているだけで、それを見て顧客のことがわかったつもりになっていました。しかも、売り手側は情報を独占し、一方的に都合の良い メッセージを流し続けていました。私はこれを「モノローグ(ひとり芝居)」と呼んでいます。双方向のインターネットの登場によって、そういう時代は終わりを告げました。」と述べているように、まだ「顧客」になり得ていない層が必ず存在し、そこに向けてのアプローチも重要。
参考文献
- 文献1
- 文献2
- 文献3
関連項目
- 商業 (Wikipedia)
- 商品 (Wikipedia)
- サービス (Wikipedia)
- 市場 (Wikipedia)
- 取引 (Wikipedia)
- 顧客 (Wikipedia)
- マーケティングリサーチ (Wikipedia)