物理/力学(2) 力と力の法則

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==力の性質==
==力の性質==
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力は物体を動かしたり、変形させる働きがあります。
*[[wikibooks_ja:中学校理科 第1分野|ウィキブックス(中学校理科 第1分野)]]   
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の「2.2.1 力の性質」と  「6.1.2 力による運動の変化」 を見てください。
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==いろいろな力==
==いろいろな力==
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[[wikipedia_ja:万有引力|万有引力]] ,[[wikipedia_ja:重力|重力]]、[[wikipedia_ja:クーロンの法則|電気力(電荷のクーロンの法則)]]、[[wikipedia_ja:クーロンの法則|磁気力(磁荷のクーロンの法則)]]、[[wikipedia_ja:フックの法則|弾性力(ばねなどの力))]]、摩擦力、その他、人間・動物の筋肉の力、機械の生み出す力、浮力、張力など、色々な力があります。リンクをとってあるものについてはクリックすると詳しい説明がありますが、この章の段階では感じだけをつかめば良いです。これらの力のいくつかはこれから詳しく学んでいきます。
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*[[wikipedia_ja:万有引力|万有引力]] ,*[[wikipedia_ja:重力|重力]]、*[[wikipedia_ja:クーロンの法則|電気力(電荷のクーロンの法則)]]、*[[wikipedia_ja:クーロンの法則|磁気力(磁荷のクーロンの法則)]]、*[[wikipedia_ja:フックの法則|弾性力(ばねなどの力))]]、摩擦力、その他、人間・動物の筋肉の力、機械の生み出す力、浮力、張力など、色々な力がある。下記参照のこと。
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==力に関する法則==
==力に関する法則==
===万有引力===
===万有引力===
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2つの物体はお互いに同じ大きさの力で引き合います。地球上のすべての物体が落体運動するのは地球から、この引力で引かれているからです(地球もその物体から引かれますが、桁違いに質量が大きいので殆ど動かず、観測できません)。この力を万有引力といい、その大きさや向きを与える万有引力の法則は次章で学びます。
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地球上のすべての物体は地球から引かれています。この力を万有引力といい、次章で学びます。
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===地表の重力===
===地表の重力===
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通常は万有引力と地球の自転による遠心力との合力のことですが、万有引力と同じ意味で使うこともあるので注意が必要です。 [[wikibooks_ja:地学I/地球の概観|地学I・地球の概観(Wikibooks)]]をご覧ください。
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万有引力と地球の自転による遠心力との合力ですが、万有引力と同じ意味で使うこともあるので注意が必要です。
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* [[wikibooks_ja:地学I/地球の概観|ウィキブックス(地学I/地球の概観)]]を見てください。
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===電気力、磁気力===
===電気力、磁気力===
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9章で学びます。簡単な説明は、 [[wikibooks_ja:中学校理科 第1分野|ウィキブックス(中学校理科 第1分野)]] の4章をご覧ください。
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9章で学びます。簡単な説明は、* [[wikibooks_ja:中学校理科 第1分野|ウィキブックス(中学校理科 第1分野)]] の4章を見てください。
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===作用・反作用の法則(運動の第3法則)とそれに基づく力===
===作用・反作用の法則(運動の第3法則)とそれに基づく力===
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第一の物体が第二の物体に力を及ぼすときは、第二の物体は第一の物体に大きさは同じで逆向きの力を及ぼす、という経験則である。電磁気の力のように場を介して働く力ではこの法則が成り立たないことがある。
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*[[wikipedia_ja:運動の第3法則|ウィキペディア(運動の第3法則)]]
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*[[wikipedia_ja:運動の第3法則|運動の第3法則]]
===弾性力とフックの法則===
===弾性力とフックの法則===
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*[[wikibooks_ja:高等学校理科 物理I 運動とエネルギー|ウィキブックス(高等学校理科 物理I 運動とエネルギー)]]の「2 運動の法則、2.3 弾性力」
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* [[wikibooks_ja:高等学校理科 物理I 運動とエネルギー|ウィキブックス(高等学校理科 物理I 運動とエネルギー)]]の「2 運動の法則、2.3 弾性力」
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および[[wikipedia_ja:フックの法則|弾性力(ばねなどの力)]]
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および *[[wikipedia_ja:フックの法則|ウィキペディア(フックの法則:弾性力(ばねなどの力))]]
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===摩擦力===
===摩擦力===
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*[[wikipedia_ja:摩擦力|摩擦力]]
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*[[wikipedia_ja:摩擦力|ウィキペディア(摩擦力)]]
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===圧力===
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気体の中や液体の中におかれた物体の面は、気体や液体から力を受ける。  <br/>
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この時、単位面積の面に働く力を圧力という。特に気体の場合は気圧、水の場合、水圧という。  <br/>
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気圧や水圧は、同じ場所ならば、どのような向きの面に対しても一定である。  <br/>
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また、下部になるほど気体や水の重さにより、圧力は大きくなる。<br/>
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これらの法則については、運動法則が必要なので、次章で学ぶ。
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== 力の合成と分解==
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==力の合成と分解==
===力はベクトルで表わされる===
===力はベクトルで表わされる===
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力の働きは、力の大きさと向きおよび力の作用する場所(作用点)によって決まる。そこで力は、その作用点を始点とする(束縛)ベクトルで表わされる。
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===力の合成と分解の法則===
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一つの質点に力F1、、、、Fnが同時に働いた時と、F=F1+、、、+Fn(ベクトルとしての和)という一つの力が働いたときとは、質点の運動は同一であることが実験により、確かめられています。実はこの自然の法則に合致するようにベクトルの和は定められたのです。但し力が作用する場所が異なれば働きもかわるので、作用点に注意が必要です。
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逆に一つの力を2以上の力の和に分解すると物体の運動を簡単に見つけることができることがあります。これらについては
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*[[wikipedia_ja:力|力(wikipedia)]] の「4 力の合成と分解」を見てください。
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力の働きは、力の大きさと向きおよび力の作用する場所(作用点)によって決まる。そこで力は、その作用点を始点とするベクトルで表わされる。 
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質点の運動法則について学ぶ。2章で学んだように質点は大きさをもたない点であり、大きさをもった物体の運動の解析に比べてはるかに容易です。
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=== 力の合成と分解の法則===
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*[[wikipedia_ja:力|ウィキペディア(力)]]の 「4 力の合成と分解」
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== 力のつり合い==
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== 運動の3法則 ==
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ニュートンは次に述べる運動の3法則と万有引力を基本法則として記述し、地上の物体の運動も惑星の運動もすべて導けることを明らかにしました。
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===運動の第一法則(慣性法則)===
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慣性系から観測すると、力を受けていない質点は等速の直線運動をするという経験則(実験や観測で確かめられた事実のこと)であり,慣性系は存在するという主張をしている法則です。
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*[[wikipedia_ja:運動の第1法則|ウィキペディア(運動の第1法則)]]
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===質点の力の釣り合い===
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===運動の第二法則(運動法則)===
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物体は力を受けた時、運動を変えますが、どのように変えるかを明らかにした経験則です。力の正確な定義式とも見なせます。この法則の理解には質量という概念が必要です。
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====質量====
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*[[wikipedia_ja:質量|ウィキペディア(質量)]]
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====運動の第二法則と微分方程式====
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この準備のもとで運動の第2法則は
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*[[wikipedia_ja:運動の第2法則|ウィキペディア(運動の第2法則)]]
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で与えられます。<br/>
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この式は時間関数x(t)の時間tについての2階の微分がF/mに等しいという微分を含んだ方程式なので、微分方程式と呼ばれます。Fが力の法則などから分かると、質点の初期時刻0の位置と速度をあたえればこの方程式をといて、任意の時刻t(>=0)の質点の位置が分かり、速度や加速度も分かります。微分方程式の解法は大学で学びます。今後は特に断らないときはFは一定として議論をします。Fが時間とともに変わる時は大学で学びます。
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====運動量====
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質点に2つ以上の力が働いても、質点は釣り合って、静止したままであることがある。このとき、これらの力は釣り合っているという。
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===運動の第三法則(作用・反作用の法則)===
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これについてはすでに3章で説明しました。
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* [[wikibooks_ja:高等学校理科 物理I 運動とエネルギー|ウィキブックス(高等学校理科 物理I 運動とエネルギー)]]の「2 運動の法則、2.1 力の合成、力のつりあい」
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==万有引力の法則==
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任意の2物体がお互いに相手におよぼす引力の大きさと方向を与える経験則です。
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地上の物体は地球からM*g(M:質量、g:重力による加速度。両者を掛けると、運動の第2法則から力になる)の力で地球の重心(もう少し後で学ぶ。当分中心と思ってください)方向に引っ張られます。
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*[[wikipedia_ja:万有引力|ウィキペディア(万有引力)]]
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===剛体に働く力の釣り合い===
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==ガリレイ変換とガリレイの相対性原理==
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どのような慣性系で観測しても力学の法則は同じであるという原理です。
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一つの慣性系にたいして等速直線運動する観測系を考えると、力の働いてない物体はやはり、等速直線運動するので慣性系であり、運動の第2、第3法則は成立することを主張しています。
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*[[wikipedia_ja:ガリレイ変換|ウィキペディア(ガリレイ変換とガリレイの相対性原理)]]
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力を加えても変形しない大きさのある物体を剛体と言います。剛体にいくつかの力が作用していても、釣り合って、静止したままであることがあります。このとき、これらの力は釣り合っているといいます。どんな時、力はつりあうのでしょうか。それを考えます。
 
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====力の作用線====
 
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力のベクトルと重なる直線を、力の作用線と言います。力は、その作用線上を移動させても、その効果はかわりません。
 
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====力のモーメント====
 
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*[[wikipedia_ja:てこ|ウィキペディア(てこ)]]
 
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====釣合の条件====
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== CAIテスト  ==
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物体に働く力ベクトルのベクトル和が零で、さらに、それらの力のモーメントのベクトル和も零。
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*<span class="pops"> [[cai_ja:GENPHY00010003|CAIテストのページへ(新しいWindowが開きます)]] </span>
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2011年5月22日 (日) 14:44 時点における最新版

物理3章 力と運動の法則

目次

力の性質

力は物体を動かしたり、変形させる働きがあります。

の 「2.2.1 力の性質」と 「6.1.2 力による運動の変化」 を見てください。

いろいろな力

万有引力 ,重力電気力(電荷のクーロンの法則)磁気力(磁荷のクーロンの法則)弾性力(ばねなどの力))、摩擦力、その他、人間・動物の筋肉の力、機械の生み出す力、浮力、張力など、色々な力があります。リンクをとってあるものについてはクリックすると詳しい説明がありますが、この章の段階では感じだけをつかめば良いです。これらの力のいくつかはこれから詳しく学んでいきます。

力に関する法則

万有引力

2つの物体はお互いに同じ大きさの力で引き合います。地球上のすべての物体が落体運動するのは地球から、この引力で引かれているからです(地球もその物体から引かれますが、桁違いに質量が大きいので殆ど動かず、観測できません)。この力を万有引力といい、その大きさや向きを与える万有引力の法則は次章で学びます。

地表の重力

通常は万有引力と地球の自転による遠心力との合力のことですが、万有引力と同じ意味で使うこともあるので注意が必要です。 地学I・地球の概観(Wikibooks)をご覧ください。

電気力、磁気力

9章で学びます。簡単な説明は、 ウィキブックス(中学校理科 第1分野) の4章をご覧ください。

作用・反作用の法則(運動の第3法則)とそれに基づく力

第一の物体が第二の物体に力を及ぼすときは、第二の物体は第一の物体に大きさは同じで逆向きの力を及ぼす、という経験則である。電磁気の力のように場を介して働く力ではこの法則が成り立たないことがある。

弾性力とフックの法則

および弾性力(ばねなどの力)

摩擦力

圧力

気体の中や液体の中におかれた物体の面は、気体や液体から力を受ける。  
この時、単位面積の面に働く力を圧力という。特に気体の場合は気圧、水の場合、水圧という。  
気圧や水圧は、同じ場所ならば、どのような向きの面に対しても一定である。  
また、下部になるほど気体や水の重さにより、圧力は大きくなる。
これらの法則については、運動法則が必要なので、次章で学ぶ。

力の合成と分解

力はベクトルで表わされる

力の働きは、力の大きさと向きおよび力の作用する場所(作用点)によって決まる。そこで力は、その作用点を始点とする(束縛)ベクトルで表わされる。

力の合成と分解の法則

一つの質点に力F1、、、、Fnが同時に働いた時と、F=F1+、、、+Fn(ベクトルとしての和)という一つの力が働いたときとは、質点の運動は同一であることが実験により、確かめられています。実はこの自然の法則に合致するようにベクトルの和は定められたのです。但し力が作用する場所が異なれば働きもかわるので、作用点に注意が必要です。 逆に一つの力を2以上の力の和に分解すると物体の運動を簡単に見つけることができることがあります。これらについては

  • 力(wikipedia) の「4 力の合成と分解」を見てください。

質点の運動法則について学ぶ。2章で学んだように質点は大きさをもたない点であり、大きさをもった物体の運動の解析に比べてはるかに容易です。

運動の3法則

ニュートンは次に述べる運動の3法則と万有引力を基本法則として記述し、地上の物体の運動も惑星の運動もすべて導けることを明らかにしました。

運動の第一法則(慣性法則)

慣性系から観測すると、力を受けていない質点は等速の直線運動をするという経験則(実験や観測で確かめられた事実のこと)であり,慣性系は存在するという主張をしている法則です。

運動の第二法則(運動法則)

物体は力を受けた時、運動を変えますが、どのように変えるかを明らかにした経験則です。力の正確な定義式とも見なせます。この法則の理解には質量という概念が必要です。

質量

運動の第二法則と微分方程式

この準備のもとで運動の第2法則は

で与えられます。
この式は時間関数x(t)の時間tについての2階の微分がF/mに等しいという微分を含んだ方程式なので、微分方程式と呼ばれます。Fが力の法則などから分かると、質点の初期時刻0の位置と速度をあたえればこの方程式をといて、任意の時刻t(>=0)の質点の位置が分かり、速度や加速度も分かります。微分方程式の解法は大学で学びます。今後は特に断らないときはFは一定として議論をします。Fが時間とともに変わる時は大学で学びます。

運動量

運動の第三法則(作用・反作用の法則)

これについてはすでに3章で説明しました。

万有引力の法則

任意の2物体がお互いに相手におよぼす引力の大きさと方向を与える経験則です。 地上の物体は地球からM*g(M:質量、g:重力による加速度。両者を掛けると、運動の第2法則から力になる)の力で地球の重心(もう少し後で学ぶ。当分中心と思ってください)方向に引っ張られます。

ガリレイ変換とガリレイの相対性原理

どのような慣性系で観測しても力学の法則は同じであるという原理です。 一つの慣性系にたいして等速直線運動する観測系を考えると、力の働いてない物体はやはり、等速直線運動するので慣性系であり、運動の第2、第3法則は成立することを主張しています。




CAIテスト

個人用ツール