物理/多変数解析学
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hはn次元ベクトルなので、割り算は不可能でありこの定義は無効である。 | hはn次元ベクトルなので、割り算は不可能でありこの定義は無効である。 | ||
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- | そこで、f の変数 $\ | + | そこで、f の変数 $\vec{x}の第i成分x_i$ だけを変数とし、<br/> |
他の変数は定数とみなしてして得られる一変数関数<br/> | 他の変数は定数とみなしてして得られる一変数関数<br/> | ||
ϕi(xi) | ϕi(xi) | ||
- | $\triangleq f(\ | + | $\triangleq f(\vec{x}) \quad ここで\ \Bigl(\ x_j (j\neq i);定数\ \Bigr)$<br/> |
を考える。<br/> | を考える。<br/> | ||
この関数は、一変数なので、点xi=a での微分係数 <br/> | この関数は、一変数なので、点xi=a での微分係数 <br/> | ||
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を考えることができる。<br/><br/> | を考えることができる。<br/><br/> | ||
定義(偏微分)<br/> | 定義(偏微分)<br/> | ||
- | 変数 $\ | + | 変数 $\vec{x}の第i成分x_i以外のx_j\ (j\neq i)$ は固定する。<br/> |
- | もし、一変数関数 $\phi^i(x_i)=f(\ | + | もし、一変数関数 $\phi^i(x_i)=f(\vec{x})が、点x_i=a$で微分可能ならば、<br/> |
関数fは、xi に関して、点xi=aで '''偏微分可能'''であると言い,<br/> | 関数fは、xi に関して、点xi=aで '''偏微分可能'''であると言い,<br/> | ||
∂f∂xi(a)≜dϕi(xi)dxi(a)<br/> | ∂f∂xi(a)≜dϕi(xi)dxi(a)<br/> | ||
- | を、$f(\ | + | を、$f(\vec{x})の変数x_iに関する点a$ での'''偏微分係数'''という。<br/><br/> |
'''定義(偏導関数)'''<br/> | '''定義(偏導関数)'''<br/> | ||
- | $f(\ | + | $f(\vec{x})がx_i$ に関してどの点でも偏微分可能であるならば、<br/> |
任意の点xi にその点の偏微分係数dϕidxi(xi)を対応させると、新しい関数が得られる。<br/> | 任意の点xi にその点の偏微分係数dϕidxi(xi)を対応させると、新しい関数が得られる。<br/> | ||
- | これを、$f(\ | + | これを、$f(\vec{x})のx_i$ に関する偏導関数といい、記号<br/> |
- | $f_{x_{i}}(\ | + | $f_{x_{i}}(\vec{x}),\quad D_{x_i}f(\vec{x}),\quad \frac{\partial f}{\partial x_i} (\vec{x}),\quad \partial f/\partial x_i$<br/> |
などで表示する。<br/><br/> | などで表示する。<br/><br/> | ||
- | + | *[[wikipedia_ja:偏微分 |ウィキペディア(偏微分)]] | |
+ | 定理(合成関数の微分)<br/> | ||
R2 から R への関数f(x,y) と<br/> | R2 から R への関数f(x,y) と<br/> | ||
R から R への関数g(x,y) の合成関数 <br/> | R から R への関数g(x,y) の合成関数 <br/> | ||
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g(x,y) が、z0=f(x0,y0) において微分可能ならば、<br/> | g(x,y) が、z0=f(x0,y0) において微分可能ならば、<br/> | ||
h(x,y)=g(f(x,y) は (x0,y0) で、xに関して偏微分可能であり,<br/> | h(x,y)=g(f(x,y) は (x0,y0) で、xに関して偏微分可能であり,<br/> | ||
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多変数関数y=f(x1,x2,,,xn)の、点→x=(x1,x2,,,xn)での偏微分係数 ∂f∂xi(x) は、<br/> | 多変数関数y=f(x1,x2,,,xn)の、点→x=(x1,x2,,,xn)での偏微分係数 ∂f∂xi(x) は、<br/> | ||
点→x を、第i座標(座標ベクトル→ei)に平行に無限に小さい距離移動させるときの、関数fの変化率とみなせる。<br/> | 点→x を、第i座標(座標ベクトル→ei)に平行に無限に小さい距離移動させるときの、関数fの変化率とみなせる。<br/> | ||
式で書くと<br/> | 式で書くと<br/> | ||
- | ∂f∂xi(x)=limh→0,h≠0f(→x+h→eih<br/> | + | $\frac{\partial f}{\partial x_i}(x) |
+ | = \lim_{h\to 0,h\neq 0}\frac{f(\vec x + h\vec{e}_i)-f(\vec x )}{h}$<br/> | ||
このように考えると、点→x=(x1,x2,,,xn)を、座標ベクトル→eiに平行ではなく、<br/> | このように考えると、点→x=(x1,x2,,,xn)を、座標ベクトル→eiに平行ではなく、<br/> | ||
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'''定義 方向微分'''<br/> | '''定義 方向微分'''<br/> | ||
関数y=f(x1,x2,,,xn)の、点→x=(x1,x2,,,xn)での,→a 方向の微分係数とは、<br/> | 関数y=f(x1,x2,,,xn)の、点→x=(x1,x2,,,xn)での,→a 方向の微分係数とは、<br/> | ||
- | limh→0,h≠0f(→x+h→ah<br/> | + | $\lim_{h\to 0,h\neq 0}\frac{f(\vec x + h\vec a)-f(\vec x )}{h}$<br/> |
のことで、<br/> | のことで、<br/> | ||
∂f∂→a(x),f→a(x),D→a(x)<br/> | ∂f∂→a(x),f→a(x),D→a(x)<br/> | ||
などと書く。<br/> | などと書く。<br/> | ||
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===微分(全微分) === | ===微分(全微分) === |
2017年10月10日 (火) 14:32時点における版
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「9.1 多変数解析学」
序
本章の冒頭の偏微分の導入部については下記の本も参考にしてください。
それ以降の内容については、ウィキブックスには殆どないため、 このテクストで今後叙述する予定です。
多変数の実数値関数の微分
Rn={(x1,x2,,,xn)∣xi∈R,i=1,2,⋯n} の開区間
In=∏ni=1(ai,bi)上で定義された実関数y=f(x1,x2,,,xn)を考える。
一変数関数の議論から類推するために
以後、→x:=(x1,x2,,,xn)とおき、y=f(→x)と書くこともある。
In上で定義された実数値関数 y=f(→x)=f(x1,x2,,,xn)の微分について説明する。
一変数の微分から類推すると
微小なベクトル h=(h1,h2,,,hn) を考え、極限
limh→0,h≠0f(s+h)−f(s)h
が存在するとき、関数fは微分可能と定義することが考えられる。
しかし残念ながら、
hはn次元ベクトルなので、割り算は不可能でありこの定義は無効である。
偏微分
そこで、f の変数 →x の第i成分 xi だけを変数とし、
他の変数は定数とみなしてして得られる一変数関数
ϕi(xi)
≜f(→x)ここで ( xj(j≠i);定数 )
を考える。
この関数は、一変数なので、点xi=a での微分係数
dϕidxi(a)≜limh→0,h≠0ϕi(a+h)−ϕi(a)h
=limh→0,h≠0f(x1,,,xi−1,a+h,xi+1,,,xn)−f(x1,,,xi−1,a,xi+1,,,xn)h
を考えることができる。
定義(偏微分)
変数 →x の第i成分 xi 以外のxj (j≠i) は固定する。
もし、一変数関数 ϕi(xi)=f(→x) が、点xi=aで微分可能ならば、
関数fは、xi に関して、点xi=aで 偏微分可能であると言い,
∂f∂xi(a)≜dϕi(xi)dxi(a)
を、f(→x) の 変数 xi に関する点a での偏微分係数という。
定義(偏導関数)
f(→x) が xi に関してどの点でも偏微分可能であるならば、
任意の点xi にその点の偏微分係数dϕidxi(xi)を対応させると、新しい関数が得られる。
これを、f(→x) の xi に関する偏導関数といい、記号
fxi(→x),Dxif(→x),∂f∂xi(→x),∂f/∂xi
などで表示する。
定理(合成関数の微分)
R2 から R への関数f(x,y) と
R から R への関数g(x,y) の合成関数
h(x,y)=g(f(x,y)
を考える。
もし、f(x,y) が (x0,y0) で、xに関して偏微分可能で,
g(x,y) が、z0=f(x0,y0) において微分可能ならば、
h(x,y)=g(f(x,y) は (x0,y0) で、xに関して偏微分可能であり,
方向微分
多変数関数y=f(x1,x2,,,xn)の、点→x=(x1,x2,,,xn)での偏微分係数 ∂f∂xi(x) は、
点→x を、第i座標(座標ベクトル→ei)に平行に無限に小さい距離移動させるときの、関数fの変化率とみなせる。
式で書くと
∂f∂xi(x)=limh→0,h≠0f(→x+h→ei)−f(→x)h
このように考えると、点→x=(x1,x2,,,xn)を、座標ベクトル→eiに平行ではなく、
任意に指定するベクトル→aに平行に微小量動かすときの関数fの変化率を考えることもできることが分かるだろう。
定義 方向微分
関数y=f(x1,x2,,,xn)の、点→x=(x1,x2,,,xn)での,→a 方向の微分係数とは、
limh→0,h≠0f(→x+h→a)−f(→x)h
のことで、
∂f∂→a(x),f→a(x),D→a(x)
などと書く。
微分(全微分)
定義1;微分可能(全微分可能ともいう)、導値(微分係数)、導関数
定理1;
微分可能ならば、偏微分可能
定理2
C1級の関数は微分可能