物理/8章の付録
提供: Internet Web School
(→ 対数と対数関数) |
(→ 対数と対数関数) |
||
230 行: | 230 行: | ||
=== 対数と対数関数 === | === 対数と対数関数 === | ||
- | 1と異なる正の実数 a を考える。<br/> | + | 1と異なる正の実数 a を考える。<br/> |
- | 指数関数 fa(x)=ax は,命題2から、<br/> | + | 指数関数 fa(x)=ax は,命題2から、<br/> |
- | R から (0,∞) の上への、一対一、連続関数である。<br/> | + | R から (0,∞) の上への、一対一、連続関数である。<br/><br/> |
- | + | ||
- | + | ||
定義1<br/> | 定義1<br/> | ||
実数 a を a>0, a≠1 とする。この時、<br/> | 実数 a を a>0, a≠1 とする。この時、<br/> | ||
- | + | 任意の正の実数 Xに対して、<br/> | |
ax=X <br/> | ax=X <br/> | ||
を満たす実数xが唯一つ定まる。<br/> | を満たす実数xが唯一つ定まる。<br/> | ||
このxを X の'''a を底とする対数'''と呼び、logaX とかく。<br/><br/> | このxを X の'''a を底とする対数'''と呼び、logaX とかく。<br/><br/> | ||
指数関数 fa(x)=ax は<br/> | 指数関数 fa(x)=ax は<br/> | ||
- | R から (0,∞) | + | R から (0,∞) の上への、一対一関数<br/> |
- | なので、逆関数を考えることができる。<br/> | + | なので、逆関数を考えることができる。<br/> |
+ | *[[File:GENPHY00010804-01.pdf|right|frame|図 指数関数と対数関数]] | ||
+ | *[[File:図1 指数関数と対数関数.jpg]] | ||
定義2<br/> | 定義2<br/> | ||
a を1と異なる正の実数とする。<br/> | a を1と異なる正の実数とする。<br/> | ||
logaax≜ <br/> | \log_{a} a^x \triangleq x \qquad \qquad \qquad (1) <br/> | ||
- | この関数を、a を底とする対数関数とよぶ。<br/> | + | この関数を、a を底とする対数関数とよぶ。<br/><br/> |
- | + | ||
- | <br/> | + | |
定理1<br/> | 定理1<br/> | ||
a を 1と異なる正の実数とする。<br/> | a を 1と異なる正の実数とする。<br/> |
2018年1月7日 (日) 16:19時点における版
目次[非表示] |
8章の付録
問の解答
問
\lim_{n\to \infty}(1+\frac{1}{n})^n が存在し、2より大きく3以下であることを証明する。
(1)準備; 2項定理;を用いた展開
a_n\triangleq (1+\frac{1}{n})^{n} \qquad (n は自然数) とおく。
すると、
2 \leq a_1=1+\frac{1}{1}=2\quad \lt a_2=(1+\frac{1}{2})^{2} =2\frac{1}{4}である。
以下に、数列 \{a_n\}_{n=1}^{\infty} が単調増大で、有界(2より大、3より小)である事を示す。
するとテキストの定理により、この数列は2より大きく、3以下のある実数に収束することが分かる。
nが3以上の自然数の時は、a_nを2項定理を用いて展開すると
a_n=(1+\frac{1}{n})^{n}=\sum_{m=0}^{n}{}_n\mathrm{C}_{m}1^{n-m}(\frac{1}{n})^m \qquad \qquad (1)
ここで {}_n\mathrm{C}_{m} は、n個のものからm個取り出す取り出し方の総数で、
mが1以上でn 以下の自然数の時は
{}_n\mathrm{C}_{m}=\frac{n!}{m!(n-m)!} \qquad \qquad (2)
ここで、m が1以上の自然数の時は m!\triangleq 1\cdot 2\cdot 3 \cdots (m-1)\cdot m
mが零の時は \quad 0!\triangleq 1 と定義。
すると、
{}_n\mathrm{C}_{0}=\frac{n!}{0!n!}=1\qquad \qquad (3)
m \geq 1のとき、{}_n\mathrm{C}_{m} =\frac{n!}{m!(n-m)!}=\frac{n\cdot (n-1)\cdot (n-2) \cdots \Bigl(n-(m-1)\Bigr) }{m!} \qquad (4)
式(1)に式(2)を代入し,式(3)、(4)を利用して計算すると
a_n = 1+\sum_{m=1}^{n}\frac{n(n-1)(n-2)\cdots \Bigl(n-(m-1)\Bigr)}{m!}1^{n-m}(\frac{1}{n})^m
=2+\sum_{m=2}^{n}\frac{1(1-\frac{1}{n})(1-\frac{2}{n})\cdots (1-\frac{m-1}{n})}{m!}\qquad \qquad (5)
ここで、n より小さい全ての自然数 i に対して
0 \lt 1-\frac{i}{n} \lt 1 なので、
2 \lt a_n \lt 2+\sum_{m=2}^{n}\frac{1}{m!} \qquad \qquad \qquad (6)
(2)すべての2以上の自然数 n に関して、
2 \lt a_n \lt 3 \qquad \qquad \qquad (7)
であることを示す。
式(6)から
2\lt a_n,
a_n \lt 2+\sum_{m=2}^{n}\frac{1}{m!} \qquad \qquad (8)
右辺の m は2以上の自然数なので、
\frac{1}{m!} \leq \frac{1}{(m-1)m}=\frac{1}{m-1}-\frac{1}{m}
である。故に、
a_n \lt 2+\sum_{m=2}^{n}(\frac{1}{m-1}-\frac{1}{m})=2+(1-\frac{1}{n})=3-\frac{1}{n}\lt 3
(3)数列 \{a_n\}_{n=1}^{\infty} は単調増加
n \geq 2 の時、常に a_n \lt a_{n+1} を示せばよい。
式(5)を利用すると(注参照)、
a_{n+1}=2+\sum_{m=2}^{n+1}\frac{1(1-\frac{1}{n+1})(1-\frac{2}{n+1})\cdots (1-\frac{m-1}{n+1})}{m!}
すると、
a_{n+1} - a_n = \sum_{m=2}^{n+1}\frac{1(1-\frac{1}{n+1})(1-\frac{2}{n+1})\cdots (1-\frac{m-1}{n+1})}{m!} - \sum_{m=2}^{n}\frac{1(1-\frac{1}{n})(1-\frac{2}{n})\cdots (1-\frac{m-1}{n})}{m!}
\quad 右辺の第一項の和を2つに分けると、
= \frac{1(1-\frac{1}{n+1})(1-\frac{2}{n+1})\cdots (1-\frac{n}{n+1})}{m!}
\quad + \sum_{m=2}^{n}\frac{1(1-\frac{1}{n+1})(1-\frac{2}{n+1})\cdots (1-\frac{m-1}{n+1})}{m!} - \sum_{m=2}^{n}\frac{1(1-\frac{1}{n})(1-\frac{2}{n})\cdots (1-\frac{m-1}{n})}{m!}
= \frac{
1(1-\frac{1}{n+1})(1-\frac{2}{n+1})\cdots (1-\frac{n}{n+1})
}{m!}
\quad + \sum_{m=2}^{n}\frac{
1(1-\frac{1}{n+1})(1-\frac{2}{n+1})\cdots (1-\frac{m-1}{n+1})
-1(1-\frac{1}{n})(1-\frac{2}{n})\cdots (1-\frac{m-1}{n})}{m!}
上の式で、全てのi\in \{1,2,,,,n\}に対して,(1-\frac{i}{n+1})\gt 0と(1-\frac{i}{n+1})\gt (1-\frac{i}{n}) なので、
a_{n+1} - a_n \gt 0
(注)式(3)のnに n+1 を代入すればよい。
ネイピア数 e について
定義;e\triangleq \lim_{}(1+\frac{1}{n})^n をネイピア数と呼ぶ。
命題1
(1) 2 \lt e \leq 3
(2)e=\sum_{m=0}^{\infty}\frac{1}{m!} \qquad ただし、0!\triangleq 1,\quad m!\triangleq 1\cdot 2\cdot 3\cdots (m-1)\cdot m \qquad \qquad (9)
三角関数の微分
準備
次の命題が、三角関数の微分を求めるうえで中心的役割を果たす。
命題2
\lim_{\theta\to 0,\theta\neq 0}\frac{\sin \theta}{\theta}=1
証明
まず、\theta を正に保ちながら零に近づける場合を考える。
すると、 0 \lt \theta \lt \pi/2 と考えて良い。
点Oを中心にし、半径1の円を考え、円周上に一点Aをさだめる。
図のように、円周上の点Bを、線分OBが直線OAとなす角がx(ラジアン)となるようにとる。
図から\triangle{OAB} \subset 扇形OAB \subset \triangle{OAP}
\quad ここで、点PはAを通り線分OAと垂直な直線と半直線OBの交点。
すると、
\triangle{OAB}の面積 \lt 扇形OAB の面積 \lt \triangle{OAP}の面積
ここで、\triangle{OAB}の面積=\frac{1\cdot \sin{\theta}}{2},\quad 扇形OAB の面積=\pi\cdot 1^{2}\cdot \frac{\theta}{2\pi}\quad \triangle{OAP}の面積=\frac{1\cdot \tan{\theta}}{2}なので、
\frac{\sin{\theta}}{2} \lt \frac{\theta}{2}\lt \frac{\tan{\theta}}{2}=\frac{\sin{\theta}}{2\cos{\theta}}\qquad 各項を2倍すると、
\sin{\theta}\lt \theta \lt \frac{\sin{\theta}}{\cos{\theta}}
\quadここで \sin{\theta}\gt 0 なので、これで上式の各項を割ると、
1 \lt \frac{\theta}{\sin{\theta}} \lt \frac{1}{\cos{\theta}}
1 \gt \frac{\sin{\theta}}{\theta} \gt \cos{\theta}
故に、極限の性質から
1 \geq \lim_{\theta\to 0,\theta\neq 0}\frac{\sin \theta}{\theta} \geq \lim_{\theta\to 0,\theta\neq 0}\cos{\theta}=1
これより、\lim_{\theta\to 0,\theta\neq 0}\frac{\sin \theta}{\theta}=1 が得られる。
定理1 三角関数の微分
(1)\frac{d}{d\theta}\sin{\theta}=\cos{\theta}
(2)\frac{d}{d\theta}\cos{\theta}=-\sin{\theta}
証明
(1); \frac{d}{d\theta}\sin{\theta} \triangleq \lim_{h\to 0,h\neq 0}\frac{\sin (\theta+h)-\sin \theta}{h}
ここで、
\sin (\theta+h)-\sin \theta = \sin \bigl((\theta + \frac{h}{2})+\frac{h}{2}\bigr) - \sin \bigl((\theta + \frac{h}{2})-\frac{h}{2}\bigr)
サイン関数の加法定理を適用すると
=\sin (\theta + \frac{h}{2})\cos \frac{h}{2} + \cos (\theta + \frac{h}{2})\sin \frac{h}{2} - \Bigl( \sin (\theta + \frac{h}{2})\cos \frac{h}{2} - \cos (\theta + \frac{h}{2})\sin \frac{h}{2} \Bigr) = 2\cdot \cos (\theta + \frac{h}{2})\sin \frac{h}{2}
故に、
\frac{d}{d\theta}\sin{\theta} \triangleq \lim_{h\to 0,h\neq 0}\frac{\sin (\theta+h)-\sin \theta}{h} = \lim_{h\to 0,h\neq 0}\frac{2\cdot \cos (\theta + \frac{h}{2})\sin \frac{h}{2}}{h}=\lim_{h\to 0,h\neq 0}\cos (\theta + \frac{h}{2})\frac{\sin \frac{h}{2}}{h/2}
=\lim_{h\to 0,h\neq 0}\cos (\theta + \frac{h}{2})\lim_{h\to 0,h\neq 0}\frac{\sin \frac{h}{2}}{h/2}
\quad ここで、
\quad \lim_{h\to 0,h\neq 0}\cos (\theta + \frac{h}{2}) = \cos \theta
\quad \lim_{h\to 0,h\neq 0}\frac{\sin \frac{h}{2}}{h/2} = 1 \quad (上の命題2より)
\quad なので、
=\cos \theta
指数関数と対数関数
実数の累乗
a を任意の実数、n を2以上の自然数とする。
a^1=a,\quad a^2=a\cdot a,\quad a^3=a^2\cdot a=a\dot a\cdot a \cdots a^n=a^{n-1}\cdot a, \cdots
を総称して、a の累乗と呼ぶ。
a^n を、a の n 乗 、n をその指数と呼ぶ。
命題1
a,b を任意の実数、m,nを任意の自然数とすると、
(1) a^{m}a^{n} = a^{m+n}
(2) (a^{m})^n =a^{m n}
(3) (ab)^n = a^n b^n
そこで次の累乗に関する計算規則を定義する。
累乗に関する計算規則
a,b を任意の正の実数、\alpha,\quad \betaを指数を表わす数とすると、
(1) a^{\alpha}a^{\beta} = a^{\alpha+\beta} \qquad \qquad \qquad (累乗規則1)
(2) (a^{\alpha})^\beta =a^{\alpha \beta} \qquad \qquad \qquad (累乗規則2)
(3) (ab)^\beta = a^\beta b^\beta \qquad \qquad \qquad (累乗規則3)
命題2
(1)a を1より小さい正の実数とすると、数列 \{a^{n}\}_{n=1}^{\infty} は単調減少し、零に収束。
(2)a を1より大きい正の実数とすると、数列 \{a^{n}\}_{n=1}^{\infty} は単調増加し、いくらでも大きくなる(無限大に発散)。
これより、累乗に関する3つの規則が、そのまま成り立つようにしながら、指数を実数まで拡げよう。
指数の整数への拡張
まず指数を、累乗に関する3つの規則が成り立つようにしながら、整数に拡張する。
累乗の定義から、
a \neq 0 の時は、任意の自然数m、nに対し、
a^m \div a^n = a^{m-n} \qquad (m\gt n) \qquad \qquad (1)
\qquad \qquad = 1 \qquad (m = n)\qquad \qquad \qquad(2)
\qquad \qquad = \frac{1}{a^{n-m}} \qquad (m \lt n)\qquad \qquad (3)
であることが分かる。
これを一つの式 a^{m-n} で表わせるように、a の指数を取決めたい。
そのためには、指数が零の時、a^0 \triangleq 1、
指数 m-n が負数の時 a^{m-n} \triangleq \frac{1}{a^{n-m}}
と定義すればよい。
言い換えると、a (\neq 0) の指数nが 零と負の整数のとき、
a^0 \triangleq 1, \qquad a^n \triangleq \frac{1}{a^{-n}} \qquad (n\lt 0)\qquad \qquad (4)
と定義する。
すると、指数が整数の時、3つの累乗規則を満たすことは、容易に確かめられる。
指数の有理数への拡張
a を任意の正の実数、 \frac{m}{n} を任意の有理数のとき、
a の有理数乗 a^{\frac{m}{n}} を、次のような計算規則を満たすように定義しよう。
a^{\frac{m}{n}} = a^{\frac{-m}{-n}} なので、指数n を任意の自然数(正の整数)、 m を任意の整数と仮定してよい。
累乗規則(2)を満たすように定義するには、
(a^{\frac{m}{n}})^{n} = (a^{\frac{m}{n}})^{\frac{n}{1}} = a^{m}
でなければならない。
そこで、 n乗すると、a^{m} となる正の実数をa^{\frac{m}{n}} と決めることが
自然であろう。
最初に、この定義できちんと正の実数が一つだけ決まることを証明しよう。
命題3
a を任意の正の実数、m,n を任意の整数とする。
すると、n乗すると a^{m} になる正の実数 b が存在し、ただ一つに限る。
証明;
f(x) \triangleq x^n という、零と正の実数の上で定義された、関数を考える。
この関数はxが増加するにつれて、連続的に、零から正の無限大に狭義に単調に増加(注参照)していく。
一方、a^{m} は必ず正の実数である。
そのため、xが零のときは、 f(x) \lt a^{m} であり、
xを少し増加させても、同じ関係が成り立つ。
関数は単調に零から∞まで増加していくので、
ある正の実数(b と書こう)まで、 f(x) \lt a^{m} であり
b以上の実数xに対しては、 f(x) \geq a^{m} となることが分かる。
関数値は、x の変化につれて連続に変化するので f(b) = a^{m} である。
関数fが狭義単調増加なので,b以外の正の実数xでは、 f(x) \neq a^{m} である。
(証明終り)
(注) 関数fが狭義単調増加とは、 x \lt y \Rightarrow f(x) \lt f(y) を満たすこと。
命題4
任意の正の実数 a にたいして、その有理数乗を上記のように定義すると
3つの累乗規則 (1)~(3) が成り立つ。
証明;
① 累乗規則(1)が成り立つことを示す。
2個の有理数の指数を 自然数n,\quad \tilde{n}と整数m,\quad \tilde{m} を用いて、
\alpha = \frac{m}{n},\quad \beta = \frac{\tilde{m}}{\tilde{n}}と表現する。
すると、累乗規則(1)は、次のように表される。
a^{\frac{m}{n}}a^{\frac{\tilde{m}}{\tilde{n}}} = a^{\frac{m}{n}+\frac{\tilde{m}}{\tilde{n}}}
この左辺を b \triangleq a^{\frac{m}{n}}a^{\frac{\tilde{m}}{\tilde{n}}},
右辺を c \triangleq a^{\frac{m}{n}+\frac{\tilde{m}}{\tilde{n}}} とおく。
b^{n \tilde{n}} = c^{n \tilde{n}} \qquad \qquad \qquad (A)
であることを示せば、b = c が得られ,
累乗規則(1)が成立することが分かる。
まず左辺を考える。
b^{n \tilde{n}} = (a^{\frac{m}{n}}a^{\frac{\tilde{m}}{\tilde{n}}})^{n \tilde{n}}
指数が自然数の累乗規則(3)から
= (a^{\frac{m}{n}})^{n \tilde{n}}(a^{\frac{\tilde{m}}{\tilde{n}}})^{n \tilde{n}}
指数が自然数の累乗規則(2)から
= \Bigl((a^{\frac{m}{n}})^{n}\Bigr)^{\tilde{n}}\Bigl((a^{\frac{\tilde{m}}{\tilde{n}}})^{\tilde{n}}\Bigr)^{n}
実数の有理数乗の定義から、
= (a^{m})^{\tilde{n}}(a^{\tilde{m}})^{n}
指数が整数の累乗規則(2)から
= a^{m \tilde{n}}a^{\tilde{m}n}
指数が整数の累乗規則(1)から
= a^{m \tilde{n} + \tilde{m}n}
故に、b^{n \tilde{n}} = a^{m \tilde{n} + \tilde{m}n}
次に、右辺を考える。
c^{n \tilde{n}} = (a^{\frac{m}{n}+\frac{\tilde{m}}{\tilde{n}}})^{n \tilde{n}}
= (a^{ \frac{m\tilde{n}+n\tilde{m}}{n\tilde{n}}})^{n \tilde{n}}
実数の有理数乗の定義から、
= a^{m\tilde{n} + n\tilde{m}} = b^{n \tilde{n}}
これで、式(A)が示され、累乗規則(1)が成り立つことが証明できた。
② 累乗規則(2)が成り立つことを示す。
③ 累乗規則(3)が成り立つことを示す。
証明終わり。
指数が有理数の場合,命題2は次のように拡張出来きる。
命題5
有理数全体の上で定義される関数
f_a(\alpha) \triangleq a^{\alpha} \qquad (\alpha は有理数)を考える。
(1)a が1より小さい正の実数ととき、
f_aは単調減少し、
\lim_{\alpha \to \infty}f_a(\alpha) = 0\quad \lim_{\alpha \to -\infty}f_a(\alpha) = \infty
2)a を1より大きい正の実数とすると、
f_aは単調増大で
\lim_{\alpha \to \infty}f_a(\alpha) = \infty \quad \lim_{\alpha \to -\infty}f_a(\alpha) = 0
3)a = 1 のとき、f_a \equiv 1
証明
証明終わり
指数の実数への拡張
任意の実数 \alpha に対して a^{\alpha} を次のように定義する。
定義
\{\alpha_n\}_{n=1}^{\infty} を \alpha に収束する有理数の単調増加数列とするとき、
a^{\alpha} \triangleq \lim_{n \to \infty}a^{\alpha_{n}}
この定義により、唯一の実数が必ず定まることが次のようにして分かる。
命題6
① 上記の有理数の単調増加列 \{\alpha_{n}\}_{n=1}^{\infty} は収束する。
② \alpha に収束する、別の有理数の単調増加数列 \{\beta_n\}_{n=1}^{\infty} に対して、\lim_{n \to \infty}a^{\beta_{n}} = \lim_{n \to \infty}a^{\alpha_{n}}
証明
証明終わり
対数と対数関数
1と異なる正の実数 a を考える。
指数関数 f_{a}(x) = a^x は,命題2から、
{\bf R} から (0,\infty) の上への、一対一、連続関数である。
定義1
実数 a を a\gt 0,\ a\neq 1 とする。この時、
任意の正の実数 Xに対して、
a^x = X
を満たす実数xが唯一つ定まる。
このxを X のa を底とする対数と呼び、\log_{a}X とかく。
指数関数 f_{a}(x) = a^x は
{\bf R} から (0,\infty) の上への、一対一関数
なので、逆関数を考えることができる。
定義2
a を1と異なる正の実数とする。
\log_{a} a^x \triangleq x \qquad \qquad \qquad (1)
この関数を、a を底とする対数関数とよぶ。
定理1
a を 1と異なる正の実数とする。
1) a を底とする対数関数 \log_{a} は、
指数関数f_{a}(x)=a^xの逆関数であり、
(\log_{a}\cdot f_{a})(x) = x \quad (x \in {\bf R})\qquad \qquad \qquad (2)
すなわち、
\log_{a}(a^x) = x \quad (x \in {\bf R})\qquad \qquad \qquad (2')
と(注参照)、
(f_{a}\cdot \log_{a})(y) = y \quad \bigl(y \in (0,\infty)\bigr)\qquad \qquad \qquad (3)
すなわち、
a^{\log_{a}(y)} = y \quad \bigl(y \in (0,\infty)\bigr)\qquad \qquad \qquad (3')
を満たす。
2)指数関数f_{a}(x)=a^x は
(0,\infty) から {\bf R} の上への一対一で
連続な関数である。
(注) 2つの関数f、gに対して、その合成関数(f\cdot g) は、
(f\cdot g)(x)\triangleq f\bigl(g(x)\bigr) で定義される。
定理2
a を 1と異なる正の実数とする。
すると
1) 任意の2つの正の実数b、cに対して,
\qquad \log_{a}b + \log_{a}c = \log_{a}bc \qquad \qquad \qquad (4)
2) 任意の2つの正の実数 b,c に対して,
\qquad \log_{a}b - \log_{a}c = \log_{a}\frac{b}{c} \qquad \qquad \qquad (5)
3) 任意の正の実数 b と任意の実数 c に対して
\qquad \log_{a}b^c = c \log_{a}b \qquad \qquad \qquad (6)
証明
1) 指数関数f_{a}(x)=a^x の性質から、
a^{x_{b}}= b,\quad a^{x_{c}}= c \qquad \qquad \qquad (7)
を満たす、実数 x_{b} \quad x_{c} がそれぞれ唯一つ定まる。
式(7)から対数関数の定義を用いると、
\log_{a}b = x_{b} \quad \log_{a}c = x_{c}\qquad \qquad \qquad (8)
すると、
\quad \log_{a}b + \log_{a}c = x_b + x_c \quad (式(8)から)
=\log_{a} a^{x_b + x_c } \quad (式(1)から)
=\log_{a} (a^{x_b} a^{x_c }) \quad (指数関数の性質から)
=\log_{a}(bc) \quad (式(7)から)
2)も同様に証明できる。
3)X \triangleq \log_{a}b^c とおく。すると、対数の定義から、
a^X = b^c
\qquad bは正の実数なので、x_b=\log_{a}b とおくと、 a^{x_b}= bなので、
= (a^{x_b})^c = a^{x_b c} \quad (指数関数の性質から)
故に
a^X = a^{x_b c}
指数関数が一対一関数なので、X = x_b c = c \log_{a}b
X の定義から、\log_{a}b^c = c \log_{a}b \qquad \qquad \Box
定理3 底の変換公式
任意の3つの正の実数 a(\neq 1),b,c(\neq 1) に対して
\qquad \log_{a}b = \frac{\log_{c}b}{\log_{c}a}\qquad \qquad \qquad (9)
証明
定理1の式(3')から、
\quad a^{\log_{a}b} = b \qquad \qquad \qquad (10)
底をcとする対数をとれば、
\log_{c}a^{\log_{a}b} = \log_{c} b
\qquad 定理2の式(6)から、\log_{c}a^{\log_{a}b} = (\log_{a}b)(\log_{c}a)なので、
(\log_{a}b)(\log_{c}a) = \log_{c} b
a,\quad c は、1と異なる正の実数であるため、 \log_{c}a \neq 0 となり、
\log_{a}b = \frac{\log_{c}b }{\log_{c}a}
が得られた。
証明終わり。 \qquad \qquad \qquad \Box
対数関数
1と異なる正の実数 a を考える。
指数関数 f_{a}(x) = a^x は,命題2から、
{\bf R} から (0,\infty) の上への、一対一、連続関数である。
すると、その逆関数\quad (0,\infty) \ni a^x \to x \in {\bf R} が定義できる。
定義
a を1と異なる正の実数とする。
\log_{a} a^x \triangleq x \qquad \qquad \qquad (1)
この関数を、a を底とする対数関数とよぶ。
定理1
a を 1と異なる正の実数とする。
1) a を底とする対数関数 \log_{a} は、
指数関数f_{a}(x)=a^xの逆関数であり、
(\log_{a}\cdot f_{a})(x) = x \quad (x \in {\bf R})\qquad \qquad \qquad (2)
すなわち、
\log_{a}(a^x) = x \quad (x \in {\bf R})\qquad \qquad \qquad (2')
と(注参照)、
(f_{a}\cdot \log_{a})(y) = y \quad \bigl(y \in (0,\infty)\bigr)\qquad \qquad \qquad (3)
すなわち、
a^{\log_{a}(y)} = y \quad \bigl(y \in (0,\infty)\bigr)\qquad \qquad \qquad (3')
を満たす。
2)指数関数f_{a}(x)=a^x は
(0,\infty) から {\bf R} の上への一対一で
連続な関数である。
(注) 2つの関数f、gに対して、その合成関数(f\cdot g) は、
(f\cdot g)(x)\triangleq f\bigl(g(x)\bigr) で定義される。
定理2
a を 1と異なる正の実数とする。
すると
1) 任意の2つの正の実数b、cに対して,
\qquad \log_{a}b + \log_{a}c = \log_{a}bc \qquad \qquad \qquad (4)
2) 任意の2つの正の実数 b,c に対して,
\qquad \log_{a}b - \log_{a}c = \log_{a}\frac{b}{c} \qquad \qquad \qquad (5)
3) 任意の正の実数 b と任意の実数 c に対して
\qquad \log_{a}b^c = c \log_{a}b \qquad \qquad \qquad (6)
証明
1) 指数関数f_{a}(x)=a^x の性質から、
a^{x_{b}}= b,\quad a^{x_{c}}= c \qquad \qquad \qquad (7)
を満たす、実数 x_{b} \quad x_{c} がそれぞれ唯一つ定まる。
式(7)から対数関数の定義を用いると、
\log_{a}b = x_{b} \quad \log_{a}c = x_{c}\qquad \qquad \qquad (8)
すると、
\quad \log_{a}b + \log_{a}c = x_b + x_c \quad (式(8)から)
=\log_{a} a^{x_b + x_c } \quad (式(1)から)
=\log_{a} (a^{x_b} a^{x_c }) \quad (指数関数の性質から)
=\log_{a}(bc) \quad (式(7)から)
2)も同様に証明できる。
3)X \triangleq \log_{a}b^c とおく。すると、対数の定義から、
a^X = b^c
\qquad bは正の実数なので、x_b=\log_{a}b とおくと、 a^{x_b}= bなので、
= (a^{x_b})^c = a^{x_b c} \quad (指数関数の性質から)
故に
a^X = a^{x_b c}
指数関数が一対一関数なので、X = x_b c = c \log_{a}b
X の定義から、\log_{a}b^c = c \log_{a}b \qquad \qquad \Box
定理3 底の変換公式
任意の3つの正の実数 a(\neq 1),b,c(\neq 1) に対して
\qquad \log_{a}b = \frac{\log_{c}b}{\log_{c}a}\qquad \qquad \qquad (9)
証明
定理1の式(3')から、
\quad a^{\log_{a}b} = b \qquad \qquad \qquad (10)
底をcとする対数をとれば、
\log_{c}a^{\log_{a}b} = \log_{c} b
\qquad 定理2の式(6)から、\log_{c}a^{\log_{a}b} = (\log_{a}b)(\log_{c}a)なので、
(\log_{a}b)(\log_{c}a) = \log_{c} b
a,\quad c は、1と異なる正の実数であるため、 \log_{c}a \neq 0 となり、
\log_{a}b = \frac{\log_{c}b }{\log_{c}a}
が得られた。
証明終わり。 \qquad \qquad \qquad \Box