物理/8章の付録
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すると指数関数fa(α)=aα の単調性から、<br/> | すると指数関数fa(α)=aα の単調性から、<br/> | ||
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2018年1月10日 (水) 18:37時点における版
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8章の付録
問の解答
問
limn→∞(1+1n)n が存在し、2より大きく3以下であることを証明する。
(1)準備; 2項定理;を用いた展開
an≜(1+1n)n(nは自然数) とおく。
すると、
2≤a1=1+11=2<a2=(1+12)2=214である。
以下に、数列 {an}∞n=1 が単調増大で、有界(2より大、3より小)である事を示す。
するとテキストの定理により、この数列は2より大きく、3以下のある実数に収束することが分かる。
nが3以上の自然数の時は、anを2項定理を用いて展開すると
an=(1+1n)n=∑nm=0nCm1n−m(1n)m(1)
ここで nCm は、n個のものからm個取り出す取り出し方の総数で、
mが1以上でn 以下の自然数の時は
nCm=n!m!(n−m)!(2)
ここで、m が1以上の自然数の時は m!≜1⋅2⋅3⋯(m−1)⋅m
mが零の時は 0!≜1 と定義。
すると、
nC0=n!0!n!=1(3)
m≥1のとき、nCm=n!m!(n−m)!=n⋅(n−1)⋅(n−2)⋯(n−(m−1))m!(4)
式(1)に式(2)を代入し,式(3)、(4)を利用して計算すると
an=1+∑nm=1n(n−1)(n−2)⋯(n−(m−1))m!1n−m(1n)m
=2+∑nm=21(1−1n)(1−2n)⋯(1−m−1n)m!(5)
ここで、n より小さい全ての自然数 i に対して
0<1−in<1 なので、
2<an<2+∑nm=21m!(6)
(2)すべての2以上の自然数 n に関して、
2<an<3(7)
であることを示す。
式(6)から
2<an,
an<2+∑nm=21m!(8)
右辺の m は2以上の自然数なので、
1m!≤1(m−1)m=1m−1−1m
である。故に、
an<2+∑nm=2(1m−1−1m)=2+(1−1n)=3−1n<3
(3)数列 {an}∞n=1 は単調増加
n≥2 の時、常に an<an+1 を示せばよい。
式(5)を利用すると(注参照)、
an+1=2+∑n+1m=21(1−1n+1)(1−2n+1)⋯(1−m−1n+1)m!
すると、
an+1−an=∑n+1m=21(1−1n+1)(1−2n+1)⋯(1−m−1n+1)m!−∑nm=21(1−1n)(1−2n)⋯(1−m−1n)m!
右辺の第一項の和を2つに分けると、
=1(1−1n+1)(1−2n+1)⋯(1−nn+1)m!
+∑nm=21(1−1n+1)(1−2n+1)⋯(1−m−1n+1)m!−∑nm=21(1−1n)(1−2n)⋯(1−m−1n)m!
=1(1−1n+1)(1−2n+1)⋯(1−nn+1)m!
+∑nm=21(1−1n+1)(1−2n+1)⋯(1−m−1n+1)−1(1−1n)(1−2n)⋯(1−m−1n)m!
上の式で、全てのi∈{1,2,,,,n}に対して,(1−in+1)>0と(1−in+1)>(1−in) なので、
an+1−an>0
(注)式(3)のnに n+1 を代入すればよい。
ネイピア数 e について
定義;e≜lim(1+1n)n をネイピア数と呼ぶ。
命題1
(1)2<e≤3
(2)e=∑∞m=01m!ただし、0!≜1,m!≜1⋅2⋅3⋯(m−1)⋅m(9)
三角関数の微分
準備
次の命題が、三角関数の微分を求めるうえで中心的役割を果たす。
命題2
limθ→0,θ≠0sinθθ=1
証明
まず、θ を正に保ちながら零に近づける場合を考える。
すると、0<θ<π/2 と考えて良い。
点Oを中心にし、半径1の円を考え、円周上に一点Aをさだめる。
図のように、円周上の点Bを、線分OBが直線OAとなす角がx(ラジアン)となるようにとる。
図から△OAB⊂扇形OAB⊂△OAP
ここで、点PはAを通り線分OAと垂直な直線と半直線OBの交点。
すると、
△OABの面積< 扇形OABの面積 < △OAPの面積
ここで、△OABの面積=1⋅sinθ2,扇形OABの面積=π⋅12⋅θ2π△OAPの面積=1⋅tanθ2なので、
sinθ2 <θ2<tanθ2=sinθ2cosθ各項を2倍すると、
sinθ<θ<sinθcosθ
ここで sinθ>0 なので、これで上式の各項を割ると、
1<θsinθ<1cosθ
1>sinθθ>cosθ
故に、極限の性質から
1≥limθ→0,θ≠0sinθθ≥limθ→0,θ≠0cosθ=1
これより、limθ→0,θ≠0sinθθ=1 が得られる。
定理1 三角関数の微分
(1)ddθsinθ=cosθ
(2)ddθcosθ=−sinθ
証明
(1); ddθsinθ≜limh→0,h≠0sin(θ+h)−sinθh
ここで、
sin(θ+h)−sinθ=sin((θ+h2)+h2)−sin((θ+h2)−h2)
サイン関数の加法定理を適用すると
=sin(θ+h2)cosh2+cos(θ+h2)sinh2−(sin(θ+h2)cosh2−cos(θ+h2)sinh2)=2⋅cos(θ+h2)sinh2
故に、
ddθsinθ≜limh→0,h≠0sin(θ+h)−sinθh=limh→0,h≠02⋅cos(θ+h2)sinh2h=limh→0,h≠0cos(θ+h2)sinh2h/2
=limh→0,h≠0cos(θ+h2)limh→0,h≠0sinh2h/2
ここで、
limh→0,h≠0cos(θ+h2)=cosθ
limh→0,h≠0sinh2h/2=1(上の命題2より)
なので、
=cosθ
指数関数と対数関数
実数の累乗
a を任意の実数、n を2以上の自然数とする。
a1=a,a2=a⋅a,a3=a2⋅a=a⋅a⋅a,⋯an=an−1⋅a, ⋯
を総称して、a の累乗と呼ぶ。
an をa の n 乗 、n をその指数と呼ぶ。
この累乗が次のような計算規則を満たすことは、容易に証明できる。
命題1
a,b を任意の実数、m,n を任意の自然数とすると、
(1) aman=am+n
(2) (am)n=amn
(3) (ab)n=anbn
そこで次の累乗に関する計算規則を定義する。
累乗に関する計算規則
a,b を任意の正の実数、α,βを指数を表わす数とすると、
(1) aαaβ=aα+β(累乗規則1)
(2) (aα)β=aαβ(累乗規則2)
(3) (ab)β=aβbβ(累乗規則3)
この計算規則(3)から、1β≡1 であることが分かる。
何故ならば b=1の時、(a・1)β=aβ1β となり、 aβ≠0 であるから。
そこで今後は a≠1 の場合だけを考える。
命題2
(1)a を1より小さい正の実数とすると、数列 {an}∞n=1 は単調減少し、零に収束。
(2)a を1より大きい正の実数とすると、数列 {an}∞n=1 は単調増加し、いくらでも大きくなる(無限大に発散)。
これより、累乗に関する3つの規則が、そのまま成り立つようにしながら、指数を実数まで拡げよう。
指数の整数への拡張
まず指数を、累乗に関する3つの規則が成り立つようにしながら、整数に拡張する。
累乗の定義から、
a≠0,1 の時は、任意の自然数m、nに対し、
am÷an=am−n(m>n) (1)
=1(m=n)(2)
=1an−m(m<n)(3)
であることが分かる。
これを一つの式 am−n で表わせるように、a の指数を取決めたい。
そのためには、指数が零の時、a0≜1、
指数 m−n が負数の時 am−n≜1an−m
と定義すればよい。
言い換えると、a(≠0,1) の指数nが 零と負の整数のとき、
a0≜1,an≜1a−n(n<0)(4)
と定義する。
すると、指数が整数の時、3つの累乗規則を満たすことは、容易に確かめられる。
指数の有理数への拡張
これ以降、有理数全体のなす集合をRatとかく。
a(≠1) を任意の正の実数、 mn を任意の有理数のとき、
a の有理数乗 amn を、計算規則を満たすように定義しよう。
指数n を任意の自然数(正の整数)、 m を任意の整数と仮定してよい。
(注)nが負の時はamn=a−m−n なので、
−n,−mを改めてn,m と置けば良い。◻
累乗規則(2)を満たすように定義するには、
(amn)n=(amn)n1=am
でなければならない。
これは、amn が am のn乗根であることを示す。
しかしnが偶数のときは、−amn もam のn乗根となるので、
正のn乗根 のほうを、amn とかく。
定義 正の実数の有理数乗
aを正の実数とする。
amn とは、
am の正のn乗根である。
すなわち、
(amn)n=amを満たす正の実数である。
最初に、この定義できちんと正の実数が一つだけ決まることを証明しよう。
a=1のときは、n乗すると1になる正数は1だけなので
1mn)=1
であることが分かるので、a≠1 の場合を考える。
命題3
a≠0,1 を任意の正の実数、m を任意の整数,nを任意の自然数とする。
すると、n 乗すると am になる正の実数 b (i.e. bn=am)が存在し、ただ一つに限る。
証明
(1) 存在性
f(x)≜xn という、零と正の実数の上で定義された、関数を考える。
この関数はxが増加するにつれて、連続的に、零から正の無限大に狭義に単調に増加(注参照)していく。
そこで、B≜{x∈[0,∞) | xn≤am} という集合を考える。
この集合は、上に有界な区間になり、実数の連続性から上限(sup)bを持つ。
この時、b∈B,bn=am であることを示そう。
b が集合B(∈R)の上限なので、任意の自然数nに対して、
0≤b−bn<1n
を満たす bn∈B が存在する。
明らかに
limn→∞bn=b
すると、関数 f(x)≜xn は連続なので、
limn→∞bnn=bn(a)
ところがbn∈B≜{x∈[0,∞)|xn≤am}なので、
bnn≤am(b)
式(a)、(b) から、bn≤am がえられるので、
b∈B
が示せた。(従って、Bは閉区間 [o,b] である。)
bn=am であることを背理法を使って示そう。
もし、bn<am だとすると、関数 f(x)=xn は連続なので
充分小さな正の実数δ をとると、(b+δ)n<am を満たす。
すると (b+δ)∈B となり、
bが B の上限であることに矛盾してしまう。
故に、背理法により、bn=am が証明できた。
(2)一意性
関数 f(x)=xn は狭義の単調増加関数なのでb以外の数b'(≠b)では、
b′n≠bn=am
(証明終り) ◻
(注) 関数fが狭義単調増加とは、x<y⇒f(x)<f(y) を満たすこと。
命題4
任意の正の実数 a≠1 にたいして、その有理数乗を上記のように定義すると
3つの累乗規則 (1)~(3) が成り立つ。
証明;
1) 累乗規則(1)が成り立つことを示す。
2個の有理数の指数を 自然数n,˜nと整数m,˜m を用いて、
α=mn,β=˜m˜nと表現する。
すると、累乗規則(1)は、次のように表される。
amna˜m˜n=amn+˜m˜n
この左辺を b≜amna˜m˜n,
右辺を c≜amn+˜m˜n とおく。
bn˜n=cn˜n (a)
であることを示せば、b=c が得られ,
累乗規則(1)が成立することが分かる。
まず左辺を考える。
bn˜n= (amna˜m˜n)n˜n
指数が自然数の累乗規則(3)から
=(amn)n˜n(a˜m˜n)n˜n
指数が自然数の累乗規則(2)から
=((amn)n)˜n((a˜m˜n)˜n)n
実数の有理数乗の定義から、
=(am)˜n(a˜m)n
指数が整数の累乗規則(2)から
=am˜na˜mn
指数が整数の累乗規則(1)から
=am˜n+˜mn
故に、bn˜n=am˜n+˜mn
次に、右辺を考える。
cn˜n=(amn+˜m˜n)n˜n
=(am˜n+n˜mn˜n)n˜n
実数の有理数乗の定義から、
=am˜n+n˜m=bn˜n
これで、式(a)が示され、累乗規則(1)が成り立つことが証明できた。
2)累乗規則(2)と累乗規則(3)が成り立つことは読者がしてください。
証明終わり。
指数が有理数の場合,命題2は次のように拡張出来る。
命題5
Ratの上で定義される関数
fa(α)≜aα (α∈Rat)を考える。
1)a を1より大きい正の実数とすると、
faは単調増大で
limα→∞,α∈Rataα=∞ limα→−∞fa(α)=0
2)a が1より小さい正の実数のとき、
faは単調減少し、
limα→∞,α∈Ratfa(α)=0limα→−∞,α∈Ratfa(α)=∞
3)a=1 のとき、fa ≡ 1
証明
1)のみ証明する。2)の場合も同様に証明できる。
① mn<m′n′,n,m∈N とすると、
amn<am′n′ を示そう。
α≜am′n′÷amn>1
を示せばよい。
正数の有理数乗の計算規則から、
α≜am′n′÷amn=am′n′−mn
=am′n−n′mn′n
故に、
αn′n=am′n−n′m
mn<m′n′ から、
m′n−n′m>0なので、am′n−n′m>1であり
>1
故に、 αn′n>1
自然数乗すると1より大きくなる正の実数は1より大きい実数しかないので、
α>1 が得られた。
② limα→∞,α∈Rataα=∞を示そう。
関数 fa(α) は単調増加(①で証明)なので、
limn→∞,n∈Nan=∞
を示せばよいが、これは自明である。
③ limα→−∞,α∈Ratfa(α)=0
も、同様にして示せる。
証明終わり ◻
定理1
a≠0,1 の正の実数とする。
有理数全体の上で定義される(単調)関数
fa(α)≜aα (αは有理数)
は連続関数である。
すなわち、
mknk→mn(N∋k→∞)(mk,mは整数、nk,n は自然数)
ならば、
amknk → amn
証明
|amknk−amn|=|amn||amknk−mn−1| なので、
limmknk→mn|amknk−mn−1|=0
を、示せばよい。
~mk~nk≜mknk−mn とおくと、
lim ~mk~nk→0 |a~mk~nk−1|=0
を示せばよい。
このために、次の補題をまず証明する。
補題
limn→∞|a1n−1|=0 (b)
limn→∞|a−1n−1|=0(c)
補題の証明
1) 式(b)を背理法で証明する。
もし式(b)が成立しないとする。
すると或る小さな正数ϵ が存在し、
どのような自然数 n0 をとっても、ある自然数n>n0 が存在して
|a1n−1|≥ϵ
となる。(注参照)
すると、自然数の部分列 {nk}k∈N(nk<nk+1,k=1,2,3,⋯) が存在して、
(∀k∈N)(|a1nk−1|≥ϵ)(d)
となる。
① a>1 の場合
a1nk>1なので、
(∀k∈N)(a1nk−1≥ϵ)
すなわち、
(∀k∈N)(a1nk≥1+ϵ)
両辺をnk乗して
(∀k∈N)(a≥(1+ϵ)nk)
2項定理から
(1+ϵ)nk≥1+nkϵ
であることがわかるので、
(∀k∈N)(a≥1+nkϵ) (e)
nk→∞(k→∞) なので、
式(e)から、a=∞ となり、矛盾が生じてしまう。
② a<1 の場合も同様にして、矛盾が生じることが示せる。
③ 故に、式(b)が成立しないと仮定すると矛盾が生じるので、
背理法により、式(b)が成立することが、証明できた。
2)式(c)の証明も同様にしてできるので省略する。◻
任意の正数ϵ に対して、ある番号kϵが定まって、
k≥kϵというすべての自然数kに対して、
|a~mk~nk−1|<ϵ
を示せば、
lim ~mk~nk→0 |a~mk~nk−1|=0
が示せて、証明が終了する。
補題により、ϵ に対して、ある番号n0をさだめ,
n≥n0ならば、
|a1n−1|<ϵ
|a−1n−1|<ϵ
が成立するようにできる。
limk→∞~mk~nk=0
なので、
自然数n0に対して、
ある番号k(n)∈N が存在して、
k(n)以上のどんな自然数kに対しても、
−1n0<~mk~nk<1n0
すると指数関数fa(α)=aα の単調性から、
a~mk~nk は、a−1nとa−1n の間の数となり、
|a~mk~nk−1|<ϵ
が示せた。
定理の証明終わり。 ◻
指数の実数への拡張
任意の実数 α に対して 指数 aα を次のように定義する。
定義
{αn}∞n=1 を α に収束する有理数の単調増加数列とするとき、
aα≜limn→∞aαn
この定義により、唯一の実数が必ず定まることが次のようにして分かる。
命題6
α に収束する別の有理数の単調増加数列 {βn}∞n=1 に対して、
limn→∞aβn=limn→∞aαn
証明
証明終わり
定理2
a≠0,1 である正の実数aを考える。
実数空間 R で定義された指数関数
fa(x)=ax (x∈R)
は、次の性質をもつ。
(1)(0,∞) の上への、一対一関数
(2)a>1 ならば単調増加、a<1 ならば単調減少
(3)連続関数
対数と対数関数
1と異なる正の実数 a を考える。
指数関数 fa(x)=ax は,命題2から、
R から (0,∞) の上への、一対一、連続関数である。
定義1
実数 a を a>0, a≠1 とする。この時、
任意の正の実数 Xに対して、
ax=X
を満たす実数xが唯一つ定まる。
このxを X のa を底とする対数と呼び、logaX とかく。
指数関数 fa(x)=ax は
R から (0,∞) の上への、一対一関数
なので、逆関数を考えることができる。
定義2
a を1と異なる正の実数とする。
logaax≜x(1)
この関数を、a を底とする対数関数とよぶ。
定理1
a を 1と異なる正の実数とする。
1) a を底とする対数関数 loga は、
指数関数fa(x)=axの逆関数であり、
(loga⋅fa)(x)=x(x∈R)(2)
すなわち、
loga(ax)=x(x∈R)(2′)
と(注参照)、
(fa⋅loga)(y)=y(y∈(0,∞))(3)
すなわち、
aloga(y)=y(y∈(0,∞))(3′)
を満たす。
2)指数関数fa(x)=ax は
(0,∞) から R の上への一対一で
連続な関数である。
(注) 2つの関数f、gに対して、その合成関数(f⋅g) は、
(f⋅g)(x)≜f(g(x)) で定義される。
定理2
a を 1と異なる正の実数とする。
すると
1) 任意の2つの正の実数b、cに対して,
logab+logac=logabc(4)
2) 任意の2つの正の実数 b,c に対して,
logab−logac=logabc(5)
3) 任意の正の実数 b と任意の実数 c に対して
logabc=clogab(6)
証明
1) 指数関数fa(x)=ax の性質から、
axb=b,axc=c(7)
を満たす、実数 xbxc がそれぞれ唯一つ定まる。
式(7)から対数関数の定義を用いると、
logab=xblogac=xc(8)
すると、
logab+logac=xb+xc(式(8)から)
=logaaxb+xc(式(1)から)
=loga(axbaxc)(指数関数の性質から)
=loga(bc)(式(7)から)
2)も同様に証明できる。
3)X≜logabc とおく。すると、対数の定義から、
aX=bc
bは正の実数なので、xb=logab とおくと、axb=bなので、
=(axb)c=axbc(指数関数の性質から)
故に
aX=axbc
指数関数が一対一関数なので、X=xbc=clogab
X の定義から、logabc=clogab◻
定理3 底の変換公式
任意の3つの正の実数 a(≠1),b,c(≠1) に対して
logab=logcblogca(9)
証明
定理1の式(3')から、
alogab=b(10)
底をcとする対数をとれば、
logcalogab=logcb
定理2の式(6)から、logcalogab=(logab)(logca)なので、
(logab)(logca)=logcb
a,c は、1と異なる正の実数であるため、logca≠0 となり、
logab=logcblogca
が得られた。
証明終わり。 ◻
対数関数
1と異なる正の実数 a を考える。
指数関数 fa(x)=ax は,命題2から、
R から (0,∞) の上への、一対一、連続関数である。
すると、その逆関数(0,∞)∋ax→x∈R が定義できる。
定義
a を1と異なる正の実数とする。
logaax≜x(1)
この関数を、a を底とする対数関数とよぶ。
定理1
a を 1と異なる正の実数とする。
1) a を底とする対数関数 loga は、
指数関数fa(x)=axの逆関数であり、
(loga⋅fa)(x)=x(x∈R)(2)
すなわち、
loga(ax)=x(x∈R)(2′)
と(注参照)、
(fa⋅loga)(y)=y(y∈(0,∞))(3)
すなわち、
aloga(y)=y(y∈(0,∞))(3′)
を満たす。
2)指数関数fa(x)=ax は
(0,∞) から R の上への一対一で
連続な関数である。
(注) 2つの関数f、gに対して、その合成関数(f⋅g) は、
(f⋅g)(x)≜f(g(x)) で定義される。
定理2
a を 1と異なる正の実数とする。
すると
1) 任意の2つの正の実数b、cに対して,
logab+logac=logabc(4)
2) 任意の2つの正の実数 b,c に対して,
logab−logac=logabc(5)
3) 任意の正の実数 b と任意の実数 c に対して
logabc=clogab(6)
証明
1) 指数関数fa(x)=ax の性質から、
axb=b,axc=c(7)
を満たす、実数 xbxc がそれぞれ唯一つ定まる。
式(7)から対数関数の定義を用いると、
logab=xblogac=xc(8)
すると、
logab+logac=xb+xc(式(8)から)
=logaaxb+xc(式(1)から)
=loga(axbaxc)(指数関数の性質から)
=loga(bc)(式(7)から)
2)も同様に証明できる。
3)X≜logabc とおく。すると、対数の定義から、
aX=bc
bは正の実数なので、xb=logab とおくと、axb=bなので、
=(axb)c=axbc(指数関数の性質から)
故に
aX=axbc
指数関数が一対一関数なので、X=xbc=clogab
X の定義から、logabc=clogab◻
定理3 底の変換公式
任意の3つの正の実数 a(≠1),b,c(≠1) に対して
logab=logcblogca(9)
証明
定理1の式(3')から、
alogab=b(10)
底をcとする対数をとれば、
logcalogab=logcb
定理2の式(6)から、logcalogab=(logab)(logca)なので、
(logab)(logca)=logcb
a,c は、1と異なる正の実数であるため、logca≠0 となり、
logab=logcblogca
が得られた。
証明終わり。 ◻