線形計画法(生産計画)

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(生産計画)
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2020年11月30日 (月) 03:34時点における版

メディア:Example.ogg線形計画法は 線形計画法 (Wikipedia)に説明がある.

解法には

シンプレックス法(Wikipedia)や内点法(Wikipedia)がある. シンプレクス法は[菅沼]の解説が判りやすい.

ここでは2つの例を用いて説明する. Microsoft Excel のソルバーを用いた解法例も説明する.

生産計画

例題1

ある製造会社があって, \(x\)と\(y\)という2種類の製品の製造販売をしている. これらを製造するには, 原材料\(A\),\(B\),\(C\)が必要で, \(x\), \(y\)をそれぞれ1単位当 たり造るのに必要な量と, 使用できる在庫量が下の表のように決まっている.


製品 原材料\製品 x y 在庫量
A 10 20 400
B 20 10 600
C 15 40 1300


\(x\), \(y\)を販売するとそれぞれ1単位当たり2万円, 1万円の利益が得られる. 問題は, 表の在庫量の範囲で, \(x\)と\(y\)をそれぞれ何単位ずつ造れば利益が最大に なるかである。


線形計画法(1)

これを数式化すると, \(x\), \(y\)の製造量を\(x\), \(y\)で表すとして:

原材料\(A\), \(B\), \(C\)についての制約から

\( 10x+20y\leq 400 \qquad (1) \\ 20x+10y\leq 600 \qquad (2) \\ 15x+40y\leq 1300 \qquad (3) \)

負の生産量はないのであるから

\( 0\leq x \qquad (4) \\ 0\leq y \qquad (5) \\ \)

利益は

\( f(x,y)=2x+y \qquad (6) \)

で結局, (6)を\((1)\sim (5)\)の条件のもとで最大にすることになる。


下の図は関数\(f(x,y)=2x+y\)の図である。

(図1.0)

条件\((1)\sim (5)\)を充たす点\(P=(x,y)\)は 下のような,凸多角形の境界線も含めた内部にある。

(図1.1)

この凸多角形の頂点を \( P_0=(x_0,y_0),P_1=(x_1,y_1),P_2=(x_2,y_2),P_3=(x_3,y_3),P_4=(x_4,y_4) \) とすると,

内部の点\(P=(x,y)\)はこれらの頂点\(P_i=(x_i,y_i),i=0,1,2,3,4\)によって


\( (1) \qquad P=\lambda_0 P_0 + \lambda_1 P_1+\lambda_2 P_2+\lambda_3 P_3+\lambda_4 P_4 \\ (2) \qquad \lambda_0 + \lambda_1 +\lambda_2 +\lambda_3 +\lambda_4 =1 \\ (3) \qquad 0 \le \lambda_0 \le 1,~~0 \le \lambda_1 \le 1,~~2 \le \lambda_2 \le 1, 0 \le \lambda_3 \le 1,~~0 \le \lambda_4 \le 1 \)


で表される。これを\(P_i=(x_i,y_i),i=0,1,2,3,4\)の凸結合という.

\( f(x,y)=2x+y \qquad (6) \)

には「線形性」が成り立っている.

これは \( P=(x,y),Q=(x',y') \)

と\(\alpha,\beta\)について,

\( f(\alpha P+ \beta Q)=f(\alpha (x,y)+\beta (x',y')) =\alpha f(x,y)+\beta f(x',y')=\alpha f(P)+\beta f(Q) \)

という性質である。この線形性を使うと,以下の議論ができる。


まず各頂点での関数\(f\)の値

\( f(P_i)=f(x_i,y_i),i=0,1,2,3,4 \)

のうち最大値を\(f(P_*)=f(x_*,y_*)\)とする.

凸多角形の内の任意の点\(P=(x,y)\)に対する\(f(P)=f(x,y)\)は

\(P\)が\(P_i=(x_i,y_i),i=0,1,2,3,4\) の凸結合で表されることから

\( f(P)=f(\lambda_0 P_0 + \lambda_1 P_1+\lambda_2 P_2+\lambda_3 P_3+\lambda_4 P_4)\)

さらに\(f\)の線形性から

\( 右辺=\lambda_0 f(x_0,y_0) + \lambda_1 f(x_1,y_1) +\lambda_2 f(x_2,y_2)+\lambda_3 f(x_3,y_3)+\lambda_4f(x_4,y_4) (fの線形性) \)


\(f(P_*)=f(x_*,y_*)\)が最大で,(3)のように各\(\lambda_i\)は正の数(\(1 \ge \lambda_i \ge 0\))であるから,

\( 右辺\le (\lambda_0 + \lambda_1 +\lambda_2 +\lambda_3 +\lambda_4)f(x_*,y_*)\\ \)


さらに,(2)から

\( \lambda_0 + \lambda_1 +\lambda_2 +\lambda_3 +\lambda_4= 1 \)

\( f(P)=f(x,y) \le f(x_*,y_*)=f(P_*) \)

となる。結局,関数\(f\)の制約条件を表す凸多角形の内部(境界を含む)の点全てを調べる必要がなく、

頂点での関数\(f\)の値を調べれば良いことが判る.


(図1.2)

\((1)\sim(5) \)式のように変数に関する制約条件式が1次式で与えられ, \((6)\)式のように評価関数も1次式で与えられる問題は線形計画法と呼ばれる.

線形化計画法の代表的な解法であるシンプレクス法は,制約条件を表す凸多角形の頂点での 関数\(f\)の値を効率的に調べる方法である。 適当な,頂点から始め,関数\(f\)の値が増大する頂点へ次々移動して,最大解を探す.

この他に,凸多角形の内部の点から,最大解を与える頂点を探索する内点法もある。

線形計画法(2)

例題2

ある企業では製品A,B,Cを原料Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ用いて生産している. 製品A,B,C の1単位当たり利益をそれぞれ80,110,95とする.  また, 製品A,B,Cを1単位生産するのに必要な原料Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳのそれぞれ量と使用可能な上限が次の表で与えられる. これらの条件のもとに,利益を最大にするには製品A,B,Cをそれぞれ,どれだけ生産すれば良いか?.

この問題も例題1と同じように以下のように数学的に定式化される. 製品A,B,Cをそれぞれ\(x_1,x_2,x_3\) 単位生産するとき\(x_1,x_2,x_3\)は以下の不等式を満たす.

\( 4x_1+0x_2+7x_3 \leq 90 \\ 1x_1+3x_2+9x_3 \leq 60 \\ 6x_1+0x_2+14x_3 \leq 110 \\ 4x_1+10x_2+1x_3 \leq 75 \qquad (1) \)

さらに各製品生産量は負ではないから

\( 0 \leq x_1,0 \leq x_2,0 \leq x_3 \qquad (2)  \)

この制約条件のもとに

\( L\left(x_1,x_2, x_3 \right)=80x_1+110x_2+95x_3 \qquad (3)   \)

を最大にする\(x_1,x_2, x_3\)を求めよ.


この問題の解法にはシンプレックス法内点法がある. シンプレクス法は[菅沼]の解説が判りやすい.


この問題を解くのにはMicrosoft Excelのソルバーや フリーソフトのOpen Office で提供されるソルバーと同等の機能をもつソフトを用いることができる. この問題のMicrosoft Excelのソルバーによる解法例を示す。


Microsoft Excelのソルバー を用いる.

  • ソルバーの導入
  • Excel の メニュー「データ」に「分析」「ソルバー」がある場合は以下の手続きは不要である. 

そのままソルバーによる解法の例を実行する. 

  • Excelのメニュー「データ」に「分析」「ソルバー」がない場合
    • ファイル > オプション > アドイン の順に選択
    • アドインの表示窓 アクティブでないアプリケーションにExcelソルバー があることを確認
    • 画面下の管理(A)と表示される小さい窓のドロップダウンリスト▼でExcelアドインを選択後,設定(G)をクリック
    • 有効なアドインが小窓で表示される. その中のソルバーアドインを選択しチェックを入れ[OK]をクリックする.
  • ソルバーによる解法の例 
    • Excelに下記の作成例のように表1のデータを作成する.


この作成例では セル B2,C2,D2 が 製品A,B,Cのそれぞれの生産量 $x_1,x_2,x_3$を表す.

    • 線形の一次式

$ 4x_1+0x_2+7x_3\\ 1x_1+3x_2+9x_3 \\ 6x_1+0x_2+14x_3 \\ 4x_1+10x_2+1x_3 $

をE3, E4, E5, E6に入力している.

ここで,sumproduct(B4:D4,B$2:D$2)はベクトル(B4,C4,D4) と(B2,C2,D2)の内積 B4*B2+C4*C2+D4*D2 であり4\bulletx_1+\ \ 0\bulletx_2+\ \ {7\bulletx}_3 を表す.

    • F3,F4, F5, F6には,原材料Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳの使用できる量の上限を入力している.
    • E7には

$ L\left(x_1,x_2, x_3 \right)=80x_1+110x_2+95x_3    $

を表す式を入力している.

    • 表のデータを入力後,
      • メニュー 「データ」,「分析」,「ソルバー」の順にクリックしてソルバーのパラメータ入力用の窓を開く.

      • 目的の設定という欄にセルE7を指定する 
      • 目標値には「最大値」を選択し,チェックを入れる.
      • 変数セルの変更欄にはx_1,x_2,x_3を表すセルB2からD2をドラックして指定する.
      • 制約条件の対象の欄には

この例題の制約条件式

$ 4x_1+0x_2+7x_3 \leq 90 \\ 1x_1+3x_2+9x_3 \leq 60 \\ 6x_1+0x_2+14x_3 \leq 110 \\ 4x_1+10x_2+1x_3 \leq 75  $

を表す式を入力する.   このためには,入力窓の「追加」をクリックし制約条件の追加入力用の窓を表示させ, 例えば

$4x_1+0x_2+7x_3 \leq 90$

を表す式を入力するのであればセルの参照欄に$4x_1+0x_2+7x_3$を表すセルE3を指定 ≦,=,≧などのドロップダウンリストで≦を選択し,制約条件の欄には上限値の90を入力する.入力後さらに「追加」をクリックし他の3つの制約条件式も同様に入力する.

      • さらに, 制約条件式 

$ 0 \leq x_1,0 \leq x_2,0 \leq x_3  $ を入力するため

「制約のない変数を非負数にする」 にチェックを入れる.


    • 最後に「解決」をクリックすると以下の結果が出力される.


$x_1=7.8,x_2=3.9,x_3=4.5$ のときに

$L\left(x_1,x_2,\ x_3 \right)=80x_1+110x_2+95x_3$ 

が最大値1485をもつことを表す.制約条件は満たされている.

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