物理/解析入門(3)関数列の項別の積分・微分、 級数・冪級数及び可微分関数のテイラー展開

提供: Internet Web School

UNIQ4414d7ba51336b87-MathJax-2-QINU2 による版
(差分) ←前の版 | 最新版 (差分) | 次の版→ (差分)

目次

7.5 解析入門(3)関数列の項別の積分・微分、 級数・冪級数及び可微分関数のテイラー展開

 関数列・関数族の項別積分と項別微分

 関数列の各点収束 

定義1(各点収束)
集合UNIQ5578800d138491a0-MathJax-110-QINU上で定義されたUNIQ5578800d138491a0-MathJax-111-QINU値の関数の列 UNIQ5578800d138491a0-MathJax-112-QINUが
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-113-QINU上で定義されたUNIQ5578800d138491a0-MathJax-114-QINU値の関数UNIQ5578800d138491a0-MathJax-115-QINU に各点収束するとは、
任意のUNIQ5578800d138491a0-MathJax-116-QINUに対して、UNIQ5578800d138491a0-MathJax-117-QINUの中の数列UNIQ5578800d138491a0-MathJax-118-QINUがUNIQ5578800d138491a0-MathJax-119-QINUに収束すること。
すなわち、
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-120-QINU (注参照)

(注) m次元ベクトルのノルムとしては通常はユークリッドノルム(2乗ノルム)を用いるが、
p乗ノルム(UNIQ5578800d138491a0-MathJax-121-QINU)や無限大ノルムでも良い。
一般のノルムの定義とノルムの同等性を参照のこと。

 関数列の一様収束 

 関数の一様ノルム

定義2(有界関数と一様ノルム)
集合UNIQ5578800d138491a0-MathJax-122-QINU上で定義され、UNIQ5578800d138491a0-MathJax-123-QINUの値をとる関数UNIQ5578800d138491a0-MathJax-124-QINUを考える。
1)関数UNIQ5578800d138491a0-MathJax-125-QINUが有界とは、
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-126-QINUの値域UNIQ5578800d138491a0-MathJax-127-QINUがUNIQ5578800d138491a0-MathJax-128-QINUの有界集合であること。
すなわち、ある正数Mが存在し、UNIQ5578800d138491a0-MathJax-129-QINU。
2)有界関数UNIQ5578800d138491a0-MathJax-130-QINUの一様ノルムUNIQ5578800d138491a0-MathJax-131-QINUとは
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-132-QINU

定義3(一様コーシー列)

定義4(一様収束)
集合UNIQ5578800d138491a0-MathJax-133-QINU上で定義されたUNIQ5578800d138491a0-MathJax-134-QINU値の関数の列 UNIQ5578800d138491a0-MathJax-135-QINUが
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-136-QINU上で定義されたUNIQ5578800d138491a0-MathJax-137-QINU値の関数UNIQ5578800d138491a0-MathJax-138-QINU に一様収束するとは、
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-139-QINU


定理1
集合UNIQ5578800d138491a0-MathJax-140-QINU上で定義されたUNIQ5578800d138491a0-MathJax-141-QINU値の関数の列 UNIQ5578800d138491a0-MathJax-142-QINUが
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-143-QINU上で関数UNIQ5578800d138491a0-MathJax-144-QINU に一様収束するするならば、各点収束する。

定理2
n次元空間の部分集合UNIQ5578800d138491a0-MathJax-145-QINU上で定義されたUNIQ5578800d138491a0-MathJax-146-QINU値の連続関数の列が一様コーシー列をなすならば、連続関数に一様収束する。
定理3
n次元空間の部分集合UNIQ5578800d138491a0-MathJax-147-QINU上で定義されたUNIQ5578800d138491a0-MathJax-148-QINU値の連続関数の列が、関数UNIQ5578800d138491a0-MathJax-149-QINUに一様収束するならば、関数UNIQ5578800d138491a0-MathJax-150-QINUは連続関数である。

定理1の逆は一般に成立しないが、いくつかの条件を付ければ成立する。
その準備のために、コンパクト集合について説明する。

 コンパクト集合

 集合の内点、集合の触点と閉包、開集合と閉集合、全有界集合 

定義
定理
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-151-QINUとすると、次の3条件は同値である。
1)UNIQ5578800d138491a0-MathJax-152-QINUは閉集合
2)UNIQ5578800d138491a0-MathJax-153-QINUの点列が収束するならば、その極限はUNIQ5578800d138491a0-MathJax-154-QINUの点である。
3)UNIQ5578800d138491a0-MathJax-155-QINU におけるUNIQ5578800d138491a0-MathJax-156-QINUの補集合UNIQ5578800d138491a0-MathJax-157-QINUは開集合
証明

定理
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-158-QINUとすると、次の2条件は同値である。
1)UNIQ5578800d138491a0-MathJax-159-QINUは有界集合
2)UNIQ5578800d138491a0-MathJax-160-QINUは全有界集合
証明

 ハイネ、ボレルの定理

定理4(ハイネ、ボレルの定理)
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-161-QINUを有界な閉区間とする。
もし、開区間の集合UNIQ5578800d138491a0-MathJax-162-QINUが、有界閉区間Iを被覆するならば、
(すなわち、UNIQ5578800d138491a0-MathJax-163-QINUならば)
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-164-QINU のなかに
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-165-QINU を被覆する有限個の開集合の族UNIQ5578800d138491a0-MathJax-166-QINUが存在する。すなわち、
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-167-QINU 
証明
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-168-QINU ならば、定理は自明なので、UNIQ5578800d138491a0-MathJax-169-QINU と仮定して証明する。
次のような、UNIQ5578800d138491a0-MathJax-170-QINU の中の部分集合UNIQ5578800d138491a0-MathJax-171-QINUを考える。
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-172-QINU
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-173-QINU は自明、
Mは非空で上に有界な集合なので、実数の連続性の公理から、上限UNIQ5578800d138491a0-MathJax-174-QINUをもつ。
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-175-QINU は自明である。
1) UNIQ5578800d138491a0-MathJax-176-QINU のとき
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-177-QINUは区間Iを被覆するので、ある開区間UNIQ5578800d138491a0-MathJax-178-QINUが存在して、
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-179-QINU
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-180-QINUは集合Mの上限なので、
ある数UNIQ5578800d138491a0-MathJax-181-QINUが存在して
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-182-QINUは有限部分被覆をもつ。
この有限部分被覆にUNIQ5578800d138491a0-MathJax-183-QINUを加えた、UNIQ5578800d138491a0-MathJax-184-QINU の有限部分集合族は 区間Iを被覆する。
2)UNIQ5578800d138491a0-MathJax-185-QINU と仮定する。この時矛盾が生じることを示す。
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-186-QINU となるので、
ある正数 UNIQ5578800d138491a0-MathJax-187-QINUが存在して、
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-188-QINU
正数UNIQ5578800d138491a0-MathJax-189-QINU を選べば、
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-190-QINU
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-191-QINUは集合Mの上限なので、半開、半閉区間 UNIQ5578800d138491a0-MathJax-192-QINUの中にある点 UNIQ5578800d138491a0-MathJax-193-QINUが存在して、
閉区間UNIQ5578800d138491a0-MathJax-194-QINUは有限個の部分被覆UNIQ5578800d138491a0-MathJax-195-QINUをもつ。
すると、UNIQ5578800d138491a0-MathJax-196-QINUにUNIQ5578800d138491a0-MathJax-197-QINUを加えた有限部分集合族は閉区間UNIQ5578800d138491a0-MathJax-198-QINUを被覆する。
式(a)から、この部分被覆は
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-199-QINUを被覆してしまう。
これは、m が有限部分被覆できる閉区間UNIQ5578800d138491a0-MathJax-200-QINUの右端xの上限値であることに矛盾する。
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-201-QINU
この定理はn次元ユークリッド空間の有界閉区間にも拡張できる。
2次元の場合のみ示す。
定理5
2次元の有界閉区間 UNIQ5578800d138491a0-MathJax-202-QINU を考える。
もし、有限開区間の集合UNIQ5578800d138491a0-MathJax-203-QINUが、有界閉区間UNIQ5578800d138491a0-MathJax-204-QINUを被覆するならば、
(すなわち、UNIQ5578800d138491a0-MathJax-205-QINUならば)
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-206-QINU のなかに
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-207-QINU を被覆する有限個の開集合の族UNIQ5578800d138491a0-MathJax-208-QINUが存在する。すなわち、
UNIQ5578800d138491a0-MathJax-209-QINU 

証明
一次元の場合と同様。省略。


 点列コンパクト集合 

定義
定理


 コンパクト集合 

定義
定理
次の条件は同等である。
1)
2)
3)
4)
証明

定理
コンパクト集合の上で連続な実数値関数は、この集合上で最大値と最小値をとる。
証明

定理
コンパクト集合上の連続関数は一様連続である。
証明

定理(ディニの定理)
証明

 項別積分定理  

定理(一様収束の場合の項別積分定理)
証明

一様収束という条件は大変厳しく、多くの例では各点収束という条件しか満たさない。
ルベーク積分では極限操作と積分操作は非常に緩い条件のもとで交換可能であり、 大きな武器になっている。
しかし、リーマン積分でも連続関数に限定すれば、以下の強力な定理が成り立つ。
アルゼラの定理(連続関数に各点収束する一様に有界な連続関数列の収束定理)
☆☆証明
ハウスドルフによる、高校と大学教養課程の数学だけを使った、技巧的な証明を紹介する(注参照のこと)。
(注) 出典は 岩波講座 基礎数学 解析入門Ⅱ 小平邦彦 pp.222~ 226

 項別微分定理  

定理

 級数と収束

定義

 上極限と下極限 

無限級数の収束性

 条件収束と絶対収束

定義
定理(級数の収束と同等な条件)
証明


級数 UNIQ5578800d138491a0-MathJax-210-QINU が収束すれば UNIQ5578800d138491a0-MathJax-211-QINU 

定理
級数が絶対収束すれば、条件収束する。
定義(級数の項の入れ替え)
定理
1)級数が絶対収束すれば、級数の和は、項の順番を入れ替えても変わらない。
2)条件収束する級数は、項の順番を入れ替えると和が変えられる。

 収束条件 

定理
1)条件収束する実級数は、項の順番の入れ替えで、任意の実数に収束させることができる。
2)条件収束する実級数は、項の順番の入れ替えで、UNIQ5578800d138491a0-MathJax-212-QINUに発散させられる。

 正項級数の収束条件 

整級数(幕級数) 

 整級数と収束  

 収束半径 

定理(コーシー・アダマールの定理)

 項別微分定理  

 整級数の微分可能性  

高階微分微分可能関数の整級数近似(テイラー展開)

微分可能な関数 UNIQ5578800d138491a0-MathJax-213-QINU の導関数 UNIQ5578800d138491a0-MathJax-214-QINU が微分可能ならば、
その導関数 UNIQ5578800d138491a0-MathJax-215-QINU が考えられる。
これをfの2階の導関数という。
例えば、変数tの関数 UNIQ5578800d138491a0-MathJax-216-QINU が時刻tの質点の位置とすると、
その導関数は速度、2階導関数は加速度を表すことを第2章の力学で学んだ。
さらに高階の微分が可能な関数を考え、その性質を考察しよう。

 テイラー展開とテイラーの定理

テイラー展開、テイラー級数についての入門書は

より高度なテイラーの定理などは以下の記事を。但し証明はない。

そこでテイラーの定理について説明する。

 テイラーの定理  RT

個人用ツール