線形計画法(生産計画)

提供: Internet Web School

UNIQ7edfb17e1ae978ad-MathJax-2-QINU2 による版

線形計画法は 線形計画法 (Wikipedia)に説明がある.

解法には

シンプレックス法(Wikipedia)や内点法(Wikipedia)がある. シンプレクス法は[菅沼]の解説が判りやすい.

ここでは2つの例を用いて説明する. Microsoft Excel のソルバーを用いた解法例も説明する.

生産計画

例題1

ある製造会社があって, \(x\)と\(y\)という2種類の製品の製造販売をしている. これらを製造するには, 原材料\(A\),\(B\),\(C\)が必要で, \(x\), \(y\)をそれぞれ1単位当 たり造るのに必要な量と, 使用できる在庫量が下の表のように決まっている.

ファイル:LP-Fig7.jpg

\(x\), \(y\)を販売するとそれぞれ1単位当たり2万円, 1万円の利益が得られる. 問題は, 表の在庫量の範囲で, \(x\)と\(y\)をそれぞれ何単位ずつ造れば利益が最大に なるかである。


線形計画法(1)

これを数式化すると, \(x\), \(y\)の製造量を\(x\), \(y\)で表すとして:

原材料\(A\), \(B\), \(C\)についての制約から

\( 10x+10y\leq 400 \qquad (1) \\ 20x+10y\leq 600 \qquad (2) \\ 15x+40y\leq 1300 \qquad (3) \)

負の生産量はないのであるから

\( 0\leq x \qquad (4) \\ 0\leq y \qquad (5) \\ \)

利益は

\( f(x,y)=2x+y \qquad (6) \)

で結局, (6)を\((1)\sim (5)\)の条件のもとで最大にすることになる。


下の図は関数\(f(x,y)=2x+y\)の図である。

(図1.0)

条件\((1)\sim (5)\)を充たす点\(P=(x,y)\)は 下のような,凸多角形の境界線も含めた内部にある。

(図1.1)

この凸多角形の頂点を \( P_0=(x_0,y_0),P_1=(x_1,y_1),P_2=(x_2,y_2),P_3=(x_3,y_3),P_4=(x_4,y_4) \) とすると,

内部の点\(P=(x,y)\)はこれらの頂点\(P_i=(x_i,y_i),i=0,1,2,3,4\)によって


\( (1) \qquad P=\lambda_0 P_0 + \lambda_1 P_1+\lambda_2 P_2+\lambda_3 P_3+\lambda_4 P_4 \\ (2) \qquad \lambda_0 + \lambda_1 +\lambda_2 +\lambda_3 +\lambda_4 =1 \\ (3) \qquad 0 \le \lambda_0 \le 1,~~0 \le \lambda_1 \le 1,~~2 \le \lambda_2 \le 1, 0 \le \lambda_3 \le 1,~~0 \le \lambda_4 \le 1 \)


で表される。これを\(P_i=(x_i,y_i),i=0,1,2,3,4\)の凸結合という.

\( f(x,y)=2x+y \qquad (6) \)

には「線形性」が成り立っている.

これは \( P=(x,y),Q=(x',y') \)

と\(\alpha,\beta\)について,

\( f(\alpha P+ \beta Q)=f(\alpha (x,y)+\beta (x',y')) =\alpha f(x,y)+\beta f(x',y')=\alpha f(P)+\beta f(Q) \)

という性質である。この線形性を使うと,以下の議論ができる。


まず各頂点での関数\(f\)の値

\( f(P_i)=f(x_i,y_i),i=0,1,2,3,4 \)

のうち最大値を\(f(P_*)=f(x_*,y_*)\)とする.

凸多角形の内の任意の点\(P=(x,y)\)に対する\(f(P)=f(x,y)\)は

\(P\)が\(P_i=(x_i,y_i),i=0,1,2,3,4\) の凸結合で表されることから

\( f(P)=f(\lambda_0 P_0 + \lambda_1 P_1+\lambda_2 P_2+\lambda_3 P_3+\lambda_4 P_4)\)

さらに\(f\)の線形性から

\( 右辺=\lambda_0 f(x_0,y_0) + \lambda_1 f(x_1,y_1) +\lambda_2 f(x_2,y_2)+\lambda_3 f(x_3,y_3)+\lambda_4f(x_4,y_4) (fの線形性) \)


\(f(P_*)=f(x_*,y_*)\)が最大で,(3)のように各\(\lambda_i\)は正の数(\(1 \ge \lambda_i \ge 0\))であるから,

\( 右辺\le (\lambda_0 + \lambda_1 +\lambda_2 +\lambda_3 +\lambda_4)f(x_*,y_*)\\ \)


さらに,(2)から

\( \lambda_0 + \lambda_1 +\lambda_2 +\lambda_3 +\lambda_4= 1 \)

\( f(P)=f(x,y) \le f(x_*,y_*)=f(P_*) \)

となる。結局,関数\(f\)の制約条件を表す凸多角形の内部(境界を含む)の点全てを調べる必要がなく、

頂点での関数\(f\)の値を調べれば良いことが判る.


(図1.2)ファイル:Fig1.2.gi

\((1)\sim(5) \)式のように変数に関する制約条件式が1次式で与えられ, \((6)\)式のように評価関数も1次式で与えられる問題は線形計画法と呼ばれる.

線形化計画法の代表的な解法であるシンプレクス法は,制約条件を表す凸多角形の頂点での 関数\(f\)の値を効率的に調べる方法である。 適当な,頂点から始め,関数\(f\)の値が増大する頂点へ次々移動して,最大解を探す.

この他に,凸多角形の内部の点から,最大解を与える頂点を探索する内点法もある。


例題2

ある企業では製品A,B,Cを原料Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ用いて生産している. 製品A,B,C の1単位当たり利益をそれぞれ80,110,95とする.  また, 製品A,B,Cを1単位生産するのに必要な原料Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳのそれぞれ量と使用可能な上限が次の表で与えられる. これらの条件のもとに,利益を最大にするには製品A,B,Cをそれぞれ,どれだけ生産すれば良いか?.


この問題も例題1と同じように以下のように数学的に定式化される.

線形計画法(2)

製品A,B,Cをそれぞれ\(x_1,x_2,x_3\) 単位生産するとき\(x_1,x_2,x_3\)は以下の不等式を満たす.

\( 4x_1+0x_2+7x_3 \leq 90 \\ 1x_1+3x_2+9x_3 \leq 60 \\ 6x_1+0x_2+14x_3 \leq 110 \\ 4x_1+10x_2+1x_3 \leq 75 \qquad (1) \)

さらに各製品生産量は負ではないから

\( 0 \leq x_1,0 \leq x_2,0 \leq x_3 \qquad (2)  \)

この制約条件のもとに

\( L\left(x_1,x_2, x_3 \right)=80x_1+110x_2+95x_3 \qquad (3)   \)

を最大にする\(x_1,x_2, x_3\)を求めよ.


この問題の解法にはシンプレックス法内点法がある. シンプレクス法は[菅沼]の解説が判りやすい.


この問題を解くのにはMicrosoft Excelのソルバーや フリーソフトのOpen Office で提供されるソルバーと同等の機能をもつソフトを用いることができる.

この問題のMicrosoft Excelのソルバーによる解法例を示す。 ファイル:生産計画.pdf

ファイル:LP-Fig.1.jpg

個人用ツール