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物理/速度・加速度・ベクトル

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目次

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質点の運動の表し方 

高校では主に質点 (大きさがなく重さだけがある点状の物体)の運動を学び、 
その法則を明らかにします。

なぜ質点の運動から、学ぶのか

大きさのある物体は、物体の箇所によって位置がことなる。また大きさのある物体は変形する。
このため、その位置を表すのが難しい。
さらに運動も平行移動だけでなく回転などを行い複雑となる。
質点は、大きさのない点なので位置は明確で、その場所を簡単に表示できる。しかも変形も回転もない。
このため、その取り扱いは、大きさのある物体に比べて、格段に、易しくなる。
しかし、重さがあって大きさのない、仮想の物質である質点の運動法則など何の役にも立たないと思う人もいるでしょう。
ところが、応用範囲は結構広いのです。
例えば、地球の公転運動(太陽の周りの回転)は、地球を質点とみなして解析してもほぼ正しい。
さらに、大きさを考慮して解析しなければならない物体の運動も、質点の運動法則を利用して解明できる。
これには高校数学より高度な数学を必要とする。
そこで、大きさのある物体の運動は主に、大学で学ぶ。

質点の運動を数式で表すにはどうするか?

我々が住む世界は、3次元空間 であり、縦、横、高さという3つの方向がある。この空間には距離という概念がある(注参照)。
また時間という時の経過が存在する。
。 この世界の物質は運動していて、その場所を時間とともに変える。
1章の4節で紹介したように近代の力学は、
運動を質点の位置の時間変化と考え、質点の位置や速度を正確に測定し、それらの変化の法則を明らかにして、数式で正確にあらわすという方法で発展した。
まず、時間と距離の測り方から紹介する。
(注)空間について、もう少し詳しく知りたい方は、
「8章、物理数学」の「平面と空間のベクトル」を御覧ください。

時間と距離の測り方

時間は時計で正確に測れる。
詳しくはウィキペディア(時間) の4.1 ニュートン力学での時間
を参照のこと。

また距離(あるいは長さ)は、距離の原器を使って正確に測れる。
詳しくは、

空間の点の位置の表現 

 位置ベクトルとベクトル 

3次元空間の適当な点Oをとり、原点と呼ぶ。
空間の任意の点Pに対し,原点Oと点Pを結ぶ線分を引き、Oから点Pにむけ向きをいれる。
この向きを図示するため、点Pに向きを示す矢印を付ける。
この向き付きの線分を点Pを表す位置ベクトルといい、OPで表現する。図参照。
位置ベクトルOPの端の点Oをベクトルの始点、端点Pをベクトルの終点と呼ぶ。
位置ベクトルOPの終点はPなので、この位置ベクトルを点Pと同一視する。
すると、点の位置は、その位置ベクトルで表示出来ることになる。
物理学では、位置ベクトル以外にも、速度や、加速度、力などの、大きさと方向、向きを持つ量が沢山登場する。

ベクトルと演算の数学的定義とベクトル空間

3次元の空間の線分を考える。
線分は長さと方向をもつが、この方向に向きを付けたものを有向線分(directed segment)という。
有向線分は向きを示すため、その向きの矢印を付けて表す。
OからPにむけ向きの入った有向線分では、

矢の根元のほうの端点Oを始点、矢印の先のほうの端点Pを終点と呼ぶ。
この有向線分をOPと書く。
2つの有向線分が、平行移動で重ね合わせが出来るとき(すなわち、長さと方向・向きが等しい時)同一であるとみなした時、
有向線分をベクトルあるいは3次元ベクトルという。
言い換えると、長さと方向・向きの等しい有向線分の全体が、一つのベクトルに対応する。
厳密には、有向線分OPによって決まるベクトルは、
別の記号、例えば[OP]などと書くべきだが、
簡略化のため、単にOPと書く。
有向線分と見るときは、有向線分OPと明示する。
線分OPは、O=Pならば、長さは零で、方向も向きも持たないが、
PP(OOと同じ)をベクトルとして認め、零ベクトルと名付け、0で表す。
すなわち、任意の点Pに対して、PP=0とみなす。


ベクトルは、始点がどこであっても良いので、
対応する有向線分のなかで、都合の良い点Pを始点にする有向線分を選び、
その始点Pと終点Qを用いてPQで表すこともある。
ベクトルA大きさ(ノルム)とは、対応する有向線分PQの長さのことで、Aで表す。

平面上の有向線分を考えれば、2次元ベクトルも同じように定義できる。
2つのベクトルの和の定義
2つのベクトルAとベクトルBの和を、次のように定義する。
Aを表す有向線分OPBを表す有向線分PQを用いて、
有向線分OQに対応するベクトルを、ベクトルAとベクトルBの和という。
すなわち、
A+B=OP+PQ=OQ;和の存在(1)
ベクトルABを始点の同じ有向ベクトルOPOQで表すと、
これを2辺とする平行四辺形OPRQの対角線ORに向きを付けたORの表すベクトルは、
A+Bに等しいことが容易に分かる。図参照のこと。
ベクトル和の定義から、必要ならば適切に平行移動しユークリッド幾何の知識を使うと、
A+B=B+A ; 交換法則  (2)
(A+B)+C=A+(B+C) ;結合法則 (3)
A+0=A;零元の存在(4)
であることが、容易に証明できる。
逆ベクトルの定義 
ベクトルAに対し、その逆ベクトルAとは、
Aを加えると0になる、ベクトルのことである。
どんなAも、逆ベクトルを一つ、そして一つだけ持つ。;逆元の存在(5)
それは、Aと大きさ、方向が同じで、向きが逆のベクトルである。
証明は容易。
以後、A+(B)を、ABで表す。
ベクトルの実数倍の定義
aを任意の実数とする。
Aが零ベクトルでない時、そのa倍、aAは次のように定義する。
aが正数のとき;aAは、Aと方向・向きは同じで、大きさがa倍であるベクトルで定義する。
a=0のとき;0A=0で定義する。
a<0のとき;aA=(a)A
A=0のときは、a0=0とする。
このように定義すると、
ベクトルの実数倍がベクトルとして定まる。(6)
次の諸規則が証明できる。
a(A+B)=aA+aB (7)
(a+b)A=aA+bA (8)
(ab)A=a(bA) (9)
1A=A (10)

ベクトル空間   

ベクトルの集合が、上述の性質、式(1)から式(10)を持つ時、
この集合を、ベクトル空間、あるいは線形空間と呼ぶ。
すでに述べたとうり、我々の住む空間は、任意の点を原点として定め、
空間の点の(原点からの)位置ベクトルをすべて集めると、ベクトル空間をなす。
我々の住む空間についての概観に興味ある方は、
「8.1 平面と空間のベクトル」中の
「1.5 我々の住む空間の数学的モデル」を御覧ください。

 位置の座標とベクトルの座標成分表示 

ベクトルの記号(例えばA)を用いた力学の法則の表示や演算は、ベクトル記号のまま扱うと、大変簡潔で、見通しが良い。
しかし、ベクトル記号のままでは、具体的な問題で、質点がどこにいるか、その速度は、どの方向で、いくらか、などを求めたいときには、大変である。
ベクトルを図示し、図を使って、ベクトル演算をしなければならなくなるからである。
平面の場合でさえ、ベクトルを正確に図示することはできず、手間も大変である。
3次元空間では、平面である紙の上には、正確に書くことは出来ない。

そこで点Pの位置、位置ベクトルOPやその他のベクトルを、いくつかの数字が順番に並んだ、数字の組で表わす方法が考えだされた。
図ではなく数字を使って位置やベクトルを表せるなら、数学で知られた色々な計算方法が利用でき、具体的な計算は飛躍的に進化する。
点の位置をいくつかの数字の組で表示するのは座標表示と呼ばれ、
ベクトルをいくつかの数字の組で表現することはベクトルの座標成分表示と呼ばれる。
色々な座標を使った表示法がみつかっている。
最も広く利用されている方法を説明しよう。

 直交座標を用いる表示 

空間に定めた原点Oをとおる、縦と横と高さ方向の直交する3つの直線を引く。
各直線上の原点から単位の距離にある点(原点の両側にある)の一方に+1を、他方にー1を振る。
他の点にも、原点からの距離に+-符合(原点に関して、+1と同じ側の点には+)をつけた数字(実数)を割り振る。
このように、各点に数字が割り振られた直線に、数字が増大する向きに矢印をつける。
この直線を数直線と呼び、各点に割り振られた数字をこの点の座標と呼ぶ。図_数直線参照。
縦(手前と奥)方向の数直線をx軸、横(左右)方向の数直線をy軸、高さ(上下)方向の数直線をz軸と呼ぶ。
任意の点Pの位置や3次元ベクトルは、これ等の数直線を利用して、以下のようにして、3つの実数の組で表示できる。
(1)点の位置の座標表示 
任意の点Pから、x軸に下ろした垂線の足の座標Px, y軸に下ろした垂線の足の座標Py,z軸に下ろした垂線の足の座標Pzを求める。
PxPyPzをそれぞれ、点Pのx座標、y座標、z座標と呼ぶ。 点Pにたいして3つの数字の組(Px,Py,Pz)が、唯一つ定まる。これを点Pの座標と呼ぶ。
ここで、数字は、x座標、y座標、z座標の順序で並べなければならない。
逆に3つの実数の組(ax,ay,az)に対して、それを座標にもつ点Pが、唯一つ決まる。図_座標表示を参照のこと。

(2)ベクトルの座標成分表示  
・ベクトルは平行移動しても同じものなので、平行移動して、始点を原点とするベクトルOPを考える。
位置ベクトルは、初めから始点が原点に固定された束縛ベクトルなので移動しなくて良い。  
・ベクトルOPの終点Pの座標(Px,Py,Pz)を、ベクトルOPの座標成分表示という。
位置ベクトルOPでは、その成分は、点Pの座標成分と同じである。
・このように、すべてのベクトルにひと組の数字の組が定まること、
逆に3つの実数の組を与えると、唯一つのベクトルが決まることが分かるであろう。

x軸、y軸、z軸は、座標を決めるときに使われるので、座標軸と呼ばれる。


紹介した座標表示法では、3本の軸は直交するようにとってあるので、それを明示したいときは直交という形容をつけて、直交座標成分、直交座標軸などと呼ぶ。

(3)ベクトルと、その直交座標成分表示の関係について  
x軸上に、長さが1で、正の向き(座標の増加する向きのこと)の有向線分をとり、これによって決まるベクトルをexとおく。
同様に、y軸上の長さ1で正の向きの有向線分に対応するベクトルをey,
z軸上に、長さ1で正の向きの有向線分に対応するベクトルをezとおく。
すると、任意のベクトルAは、その直交座標成分(Ax,Ay,Az)を用いて、
A=Axex+Ayey+Azez
と表せることが、簡単に証明できる。
このように、どんなベクトルも、3つのベクトルex,ey,ezを用いて表示できるので、
これらを順番に並べた
(ex,ey,ez)を、3次元空間の基底と呼ぶ。
直交していることを明示したいときは、直交基底という。
さらに、基底ベクトルの大きさが1にとってあるので、
これを明示したいときには、正規直交基底と呼ぶ。
逆に、
直交基底ex,ey,ezが与えられると、
直交座標系が決まるので、
任意のベクトルAは、座標成分(Ax,Ay,Az)を用いて、 A=Axex+Ayey+Azez
と表せる。

 数ベクトル空間 

2つのベクトルA,Bを座標成分で表わし、和をとる。
A+B=(Axex+Ayey+Azez)+(Bxex+Byey+Bzez)
ベクトル和の交換則、結合則、線形性を用いて、計算すると
=(Ax+Bx)ex+(Ay+By)ey+(Az+Bz)ez
そこで2つのベクトルの座標成分表示(Ax,Ay,Az)(Bx,By,Bz)の和を
(Ax,Ay,Az)+(Bx,By,Bz):=(Ax+Bx,Ay+By,Az+Bz)
で定義すると、ベクトル和の座標成分表示が得られる。
また、ベクトルAの実数(α)倍を成分表示すると、
αA=α(Axex+Ayey+Azez)=αAxex+αAyey+αAzez
そこでベクトルの座標成分表示(Ax,Ay,Az)α倍を
α(Ax,Ay,Az):=(αAx,αAy,αAz)
で定義すると、ベクトルAのα倍の座標成分表示がえられる。 3次元ベクトル空間のベクトルに、 その座標成分表示である、3つの実数の組を対応させると、 ベクトル空間のすべてのベクトルに、3つの実数の組が対応し、 逆にすべての、3つの実数の組には、ベクトル空間のベクトルが対応すること、 が分かる。 されにベクトル空間の2つのベクトルの和には、対応する2つの、実数の組の和が対応しベクトルの実数(α)倍には、ベクトルに対応する実数の組のα倍が対応することが 分かる。これより次の命題が成立することが示される。 命題; すべての実数を集めた集合をRと書く。 (1)3つの実数の組をすべて集めた集合 R3:={(x,y,z)x,y,zR}(x,y,z)+(x,y,z):=(x+x,y+y,z+z) α(x,y,z):=(αx,αy,αz)33333333===== 2 =====33zxzxy90xyb使使使使[[wikipediaja:|]]==========使使使便[[wikipediaja:|]][[wikipediaja:|]]調[[wikipediaja:|]]==================[http://kotobank.jp/word/[[wikibooksja:B|B]]==P\vec{OP}=\vec{r(t)} xyz\vec{OP}=(x(t),y(t),z(t)),[[wikipediaja:|]]\vec{OP}=(r(t),\theta(t),\phi(t))=== ===========t\vec{r(t)}  ts(\vec{r(s)}- \vec{r(t)})/(s-t)st \vec{r(t)} [[wikipediaja:|xyz]](x(t),\,y(t),\,z(t)) ((x(s)-x(t))/(s-t),\,(y(s)-y(t))/(s-t),\,(z(s)-z(t))/(s-t)) ====()====ts(\vec{v(t)} \vec{v(t)}=\frac{d\vec{r(t)}}{dt}=\lim_{s \to t}(\vec{r(s)}- \vec{r(t)})/(s-t)\vec{r(t)} xyz\vec{r(t)}=(x(t),y(t),z(t)) \vec{v(t)}=\lim_{s \to t}(\vec{r(s)}- \vec{r(t)})/(s-t)= \lim_{s \to t}(x(s)-x(t))/(s-t),\,(y(s)-y(t))/(s-t),\,(z(s)-z(t))/(s-t))=(\lim_{s \to t}(x(s)-x(t))/(s-t),\,\lim_{s \to t}(y(s)-y(t))/(s-t),\,\lim_{s \to t}(z(s)-z(t))/(s-t))=(\frac{dx(t)}{dt},\,\frac{dy(t)}{dt},\,\frac{dz(t)}{dt}) [[wikipediaja:|()]]====()====s-t(\vec v(t) \vec v(t)=\frac{d\vec r(t)}{dt}=\lim_{s \to t}(\vec r(s)- \vec r(t))/(s-t)\vec r(t) xyz\vec r(t)=(x(t),y(t),z(t)) \vec v(t)=\lim_{s \to t}(\vec r(s)- \vec r(t))/(s-t)= \lim_{s \to t}(x(s)-x(t))/(s-t),\,(y(s)-y(t))/(s-t),\,(z(s)-z(t))/(s-t))=(\lim_{s \to t}(x(s)-x(t))/(s-t),\,\lim_{s \to t}(y(s)-y(t))/(s-t),\,\lim_{s \to t}(z(s)-z(t))/(s-t))=(\frac{dx(t)}{dt},\,\frac{dy(t)}{dt},\,\frac{dz(t)}{dt}) [[wikipediaja:|()]]==========s,t\vec{r(s)}- \vec{r(t)})/(s-t) \lim_{s \to t}\vec r=\vec r(t)\lim_{s \to t}(\vec r(s)- \vec r(t))/(s-t) (1)x,yxyyxyxxyyxxxyxyx x,y使(time)t使\vec r使xyfy=f(x)g,F使t\vec r\vec r=\vec r(t)   y=f(x)xaaf(x)bbxay=f(x)( \lim_{x \to a}f(x)=bx\rightarrow af(x)\rightarrow b\epsilon(\delta\|x-a\|\lt\delta,x\neq a\|f(x)-b\| <\epsilonbxay=f(x)(\lim_{x \to a}f(x)=b[[wikibooksja:III| III]] aa\alpha,\betay=f(x)y=g(x)xaay=\alpha f(x)+\beta g(x)xaa\lim_{x \to a}(\alpha f(x)+\beta b g(x)=\alpha \lim_{x \to a}f(x)+\beta \lim_{x \to a}g(x)y=f(x)g(x)xaa\lim_{x \to a} f(x) g(x)=\lim_{x \to a} f(x)\lim_{x \to a} g(x)\lim_{x \to a} g(x) \neq 0y=f(x)/g(x)xaa\lim_{x \to a} f(x)/g(x)=\lim_{x \to a} f(x)/\lim_{x \to a} g(x)x\vec y=\vec f(x)xaa\vec f(x)\vec b\vec bxa\vec f(x)\lim_{x \to a}\vec f(x)=\vec b  \alpha,\beta\vec y=\vec f(x)\vec y=\vec g(x)は、xaと異なる値をとりながらaに限りなく近づく時、極限を持つ と仮定する。すると \vec y=\alpha \vec f(x)+\beta \vec g(x)も、xaと異なる値をとりながらaに限りなく近づく時極限を持ち \lim_{x \to a}(\alpha f(x)+\beta b g(x)=\alpha \lim_{x \to a}f(x)+\beta \lim_{x \to a}g(x)  ⅱ)ある直交座標系を定め、ベクトルを第一成分(x軸成分)、第2成分(y軸成分)、第3成分(z軸成分)で表示する。この時、 \lim_{x \to a}\vec f(x)=\vec bであることの必要十分条件は すべてのi=1,2,3に対して\lim_{x \to a}f_i(x)= b_i   これ等の性質は、実数値関数の場合にも成り立つ。 証明は各自試みてください。  ベクトル値関数の場合も、全く同じように証明できる。    '''(7)微分可能と導関数''' 実変数ベクトル値関数\vec y=\vec f(x)が   x=aにおいて'''微分可能'''とは、  xaと異なる値をとりながらaに限りなく近づく時、  実変数ベクトル値関数\frac{f(x)-f(a)}{x-a}が、極限を持つこと。  この極限\lim_{x \to a} \frac{f(x)-f(a)}{x-a}を   関数 \vec y=\vec f(x)x=aにおける'''微分係数'''といい、  記号では\vec {f'}(a)あるいは\frac{d\vec f}{dx}(a)などと書く。    性質      実変数ベクトル値関数\vec y=\vec f(x)を、直交座標系XYZの成分で、 \vec f(x)=(f_1(x),f_2(x),f_3(x))と表示しておく。 関数\vec y=\vec f(x)が   x=aにおいて'''微分可能'''のとき、 x=aにおける微分係数\vec {f'}(a)を、直交座標系XYZの成分で表示すると、 \vec {f'}(a)=(f_1'(x),f_2'(x),f_3'(x)) '''(8)微分係数の幾何学的意味'''  '''接線'''の傾き。 '''接点''' 関数の接線は、接点の近くで、この関数を近似する。 '''(9)導関数と微分'''   今後は、関数\vec y=\vec f(x)を、単に\vec f(x)と書くこともある。 この記法では、xが独立変数、\vec f(x)が、対応する従属変数の値を表す。 実変数ベクトル値関数\vec f(x)において、 xの任意の値x=aに対して、微分係数\vec {f'}(a)が存在するならば、 a\vec {f'}(a)を対応させると、実変数ベクトル値関数が得られる。 この関数を関数\vec y=\vec f(x)の'''導関数'''といい、 \vec y'\vec f'(x)\frac{d\vec f}{dx}などと書く。 関数\vec f(x)の導関数\vec {f'}(x)を求めることを、 \vec f(x)xについて'''微分する'''という。 '''(10)微分の性質''' 1) 線形性、 実数値関数の場合; ベクトル値関数に場合; 2)2つの実数値関数の積の微分 3)2つのベクトル値関数の内積の微分 4)2つの実数値関数の合成関数の微分 5)ベクトル値関数と実数値関数の合成関数の微分 6)2つの実数値関数の商の微分 '''初等関数の導関数'''      物理学で良く使う関数の導関数だけ紹介する。     ・y=x^n   ・y=sin x   ・y=cos xy=x^a (a\neq 0)y=log_a x (a>0,a\neq 1) ・自然数eと自然対数   '''接線'''   微分可能関数は任意の点の近くで接線で近似できること。 ==== 等速円運動の速度 ==== 質点がxy 平面上の原点 O を中心とする半径 rの円上を等速vで運動するとする。 質点の角速度\omegaは、\omega=v/r(ラジアン/単位時間)である。 時刻の質点の位置ベクトル\vec{r(t)} x,y座標を(x(t),\ y(t))、極座標を(r、\theta(t))と書くと、 x(t)=r\cos(\theta(t)),\qquad y(t)=r\sin(\theta(t)) \theta(t)=\omega t + \theta_0  ここで \theta_0 は、時刻0における質点の位相角である。 これらを時間tで微分すると、速度のx成分とy成分 \dot{x(t)}=-r\sin(\theta(t))\dot{\theta(t)} \dot{y(t)}=r\cos(\theta(t))\dot{\theta(t)} が得られる。 但し、\dot{x(t)} は、関数x(t) を時間変数で微分したことを意味する記法で、 \dot{x(t)}=\frac{dx(t)}{dt} ということである。 \dot{\theta(t)}=\omega なので  速度ベクトルは\vec{v(t)}=(\dot{x(t)},\dot{y(t)})=(-r\sin(\theta(t))\omega ,r\cos(\theta(t))\omega), このベクトルは、質点の位置ベクトル\vec{r(t)}=(x(t),y(t))=(r\cos(\theta(t)),r\sin(\theta(t))) と直交している。 何故なら、\vec{r(t)}の[[wikipedia_ja:傾き (数学)|傾き]]は\tan(\theta(t))\vec{v(t)}の傾きは-\frac{1}{\tan(\theta(t))}なので、傾きの積が-1となるからである。 関連事項については次の記事を参照のこと。 [[wikipedia_ja:円運動|ウィキペディア(円運動)]] === 加速度 === 質点の加速度は、速度が単位時間あたり幾ら変化するかを表わす、ベクトルである。    速度と同じように平均加速度と瞬間加速度が考えられるが、単に加速度といえば瞬間加速度のことである。 ==== 平均加速度 ==== 任意の時刻における質点の速度が\vec{v(t)}= \dot{\vec{r(t)}}で表される時、 時刻tと時刻sの間の平均の加速度は、 (\vec{v(s)}- \vec{v(t)})/(s-t)=(\dot{\vec{r(s)}}- \dot{\vec{r(t)}})/(s-t) で定義する。平均加速度はベクトルである。 ==== 瞬間加速度、略して加速度 ==== 落下する物体は、速度を増すが、その増し方も絶えず増加する。 そのような運動の速度の増加の仕方を正確にとらえるためには、平均加速度をとる時間間隔s-tを無限に小さくした時の、平均加速度を考える必要がある。 これを時刻tにおける瞬間加速度というが、物理学では、単に加速度と言えば、瞬間加速度のことをいう。 数式を用いると、時刻tの加速度\vec{\alpha(t)} は、 \vec{\alpha(t)}=d\vec{v(t)}/{dt} \vec{v(t)}= d\vec{r(t)}/dtなので、 \vec{\alpha(t)}=d^2\vec{r(t)}/dt^2 と書ける。 加速度については、下記の記事も参照のこと。 [[wikipedia_ja:加速度|ウィキペディア(加速度)]] ==== 等速円運動の加速度 ==== 質点が xy 平面上で原点 O を中心とする半径 r の円上を等速で運動するとき、加速度はどうなるか? 速度ベクトルは\vec{v(t)}=(\dot{x(t)},\dot{y(t)})=(-r\sin(\theta(t))\omega ,r\cos(\theta(t))\omega) であった。すると加速度は\vec{\alpha(t)}=\frac{d\vec{v(t)}}{dt}=-r\omega^2(\cos(\theta(t)),\sin(\theta(t)))=\frac{v^2}{r}(-\frac{\vec{r(t)}}{r}) となる。すなわち大きさが\frac{v^2}{r}で向きは、質点の位置から運動の中心である原点Oに向いた、ベクトルである。 以下の記事も参考にしてください。 [[wikipedia_ja:円運動|ウィキペディア(円運動)]] == 時間、長さ、速度、加速度の単位 == 色々な単位系があるが、通常はSI国際単位系が用いられる。 この単位系では時間や長さ等、基本的なものを基本単位として定める。 その他の速度や加速度、力等の単位は、それぞれの定義や物理法則を利用して、基本単位を用いて組み立てる。 これらはSI組み立て単位と呼ばれる。 *[[wikipedia_ja:SI基本単位|SI基本単位(ウィキペディア)]] *[[wikipedia_ja:SI組立単位|組立単位(ウィキペディア)]] 例えば、速度の定義は、 \vec{v(t)}=\frac{d\vec{r(t)}}{dt}=\lim_{s \to t}(\vec{r(s)}- \vec{r(t)})/(s-t) なので、単位は距離の単位m(メートル)を時間の単位s(秒)で割った、m/s である。 加速度の単位は、その定義が \vec{\alpha(t)}=d\vec{v(t)}/{dt} なので、m/s^2$ である。

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