非線形計画法
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1次等式制約条件下の2次計画問題(ポートフォリオセレクション)
資金額UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-53-QINUを持つ投資家が株式1,2に資金を一か月間 UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-54-QINUに分けて 分散して投資する.どのようにすれば「最適」な投資をできるかを考える.
株式1,2の現在価格をUNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-55-QINUとしこれらの一か月後の価格はUNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-56-QINUの値を取り得る 不確定な値のため 確率変数UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-57-QINUで表す。
資金の分散投資
UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-58-QINU
による一か月後の利益は,同様に確率変数
UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-59-QINU
UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-60-QINU
で表さられる.
ここで,最適な投資の定義はどのようなものになるか. 一つの方法として一か月後の利益についての評価関数
を用いて定義することが考えられる.
この評価関数は 利益UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-61-QINUが増加するに従って値が増加する単調増加関数になるであろう.
しかしながら,一般に高い利益を期待できるものは,逆に株価が値下がりして損出を出す可能性も低くない。
この評価関数が具体的にどのような単調増加関数 になるのか,これは,投資した株式が購入した価格よりも下がり損をするという危険も覚悟の上で,より高い利益を期待するのか, あるいは,利益は期待しつつも,損出は極力避けたい,むしろ利益は少なくとも損出の可能性を極力小さくしたいとの 投資家の心理的問題も大きく影響し単純には決められない.
ここでは議論を簡単にするため評価関数を微小な正数UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-62-QINUを使って以下のように定める
UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-63-QINU
これは利益UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-64-QINUがUNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-65-QINU である間は単調増加であるが,UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-66-QINUがUNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-67-QINU
に近づくにつれ,曲線の傾斜が0に近づく.この曲線は高い利益を期待できるものは値下がりによる損出の危険もあり, 損出の危険をさけるため過大な利益の期待はしないとの投資家心理を反映している.
この評価関数UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-68-QINUとUNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-69-QINUを用いて,「投資の最適化問題」を 制約条件 UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-70-QINU のもとに確率変数
UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-71-QINU
の期待値(平均値)
UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-72-QINU
を最大化する問題として扱う.
UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-73-QINU式からUNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-74-QINU式は
UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-75-QINU
とUNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-76-QINUの分散
UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-77-QINU
を用いて
UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-78-QINU
で与えられる.
UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-79-QINU 式から
UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-80-QINU
さらにUNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-81-QINU,UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-82-QINU のそれぞれ分散
UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-83-QINU
及びこれらの共分散
UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-84-QINU
と UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-85-QINU を用いると
UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-86-QINU
UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-87-QINU式から
UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-88-QINU
結局,問題は1次等式制約条件
UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-89-QINU
のもとにUNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-90-QINUについての2次式である評価式UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-91-QINUを最大化する問題に帰着する.
この場合は,変数はUNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-92-QINUの2個だけであり,UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-93-QINUから
UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-94-QINU
とおけば,UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-95-QINU式はUNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-96-QINUだけの 2次式となり,これの制約条件 UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-97-QINU の下の最大化問題になり,容易に解ける.
しかしながら一般のUNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-98-QINU個の 変数 UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-99-QINU
についての 等式制約条件
UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-100-QINU
の下での評価関数
UNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-101-QINU
の最大化・最小化問題は解くのは容易ではなく,勾配法その他,種々な解法が研究されている. 特に評価式がUNIQ6e1c839e7c855ccf-MathJax-102-QINU式のように2次式で与えられる問題は2次計画問題と呼ばれるが, 制約条件式や評価式が非線形関数で記述される場合は,非線形計画問題に分類される. 非線形計画法には 拘束条件のない問題についての 勾配法 や等式拘束条件のある問題についての ラグランジュ未定乗数法 などがある.