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現代社会は電気や磁気を利用した製品に満ちている。
この章と次の章では、電気・磁気は何か、どのような性質を持つかについて学ぶ。
目次 |
電磁気現象の根源
詳しいことは11章で学ぶが、物質をつくっている原子は、原子核とその周りを回る電子から出来ている。
原子核はいくつかの陽子と中性子からできている。
陽子は正の電荷+eをもち、電子はこれと同じ大きさで符号が反対の負の電荷-eを持つ。
電子の個数は陽子と同数であり、原子を離れて眺めると、正負の電荷が打ち消しあって電気を持たないように見える。
電荷の間には電気力が働く。同符号の電荷は互いに反発し、異符号の電荷は互いに引き合う。
原子核と電子は引き合い、原子を作っている。また近くの原子同士も電気力で引き合い分子をつくり、気体や液体、固体をつくる。
帯電、静電気、磁石、電流、電磁波など、すべての電磁気現象は、電子と陽子の存在と運動によって生じる。
この章と次章でこれらの電磁気現象とその法則について学ぶ。
(注)電荷の正負について:陽子どうし、電子どうしは反発するが、陽子と電子は引き合う。従って陽子と電子はことなった電荷である。さらに陽子と電子の個数が同じだと離れた所からみると、打ち消し合って電荷がないようにみえる。このため一方の電荷に+、他方にーをつけて扱うと大変具合が良い。そこで正、負の電荷として両者をあつかうのである。どちらにーをあててもよかったが歴史的に電子にーをあてた。
なお、原子核のなかで電気的に反発する複数の陽子がくっついているのは、反発力より強い核力で引き合っているため(後で学ぶ)。
静電気
この節では、まず、静止した電荷(静電気という)の性質を学ぶ。
帯電と電気素量
原子は正負等しい電荷をもつので、離れた所から観測すれば、正と負の電荷が打ち消しあって,電荷をもたない。
物質は、原子から出来ているので、通常は電荷を持たない。
物質が電子をいくつか失ったり、獲得すると、物質は電荷を帯びる。帯電するという。
したがって全ての物質の電荷量は e の整数倍である。e を電気素量という。
点電荷
大きさの無視できる小さな電荷を点電荷という。
電荷の単位
電荷の単位は、クーロン([C])とよばれ、電流を利用して決められる。
電気素量は、
電荷保存の法則
電荷は消滅も生成もしないことが、経験によって確かめられている。これを電荷保存法則という。
導体、不導体、半導体
導体(電気伝導体ともいう); ウィキペディア(電気伝導体)
不導体(絶縁体ともいう); ウィキペディア(絶縁体)
半導体; ウィキペディア(半導体)
摩擦電気
2つの不導体をこすりあわせると、このエネルギーで、電子が一方の物質から他方の物質に移動する。
前者は正の電荷をもつ陽子の個数が電子の個数より多くなるので正の電荷を帯び、後者はそれと同じ大きさの負の電荷を帯びる。
この帯電した電気を摩擦電気という。
クーロンの法則
同符号の2つの電荷は互いに反発し、異符号の電荷は互いに引き合う。
2つの静止した点電荷間の力の向きは、これらを結ぶ直線の方向と一致し、その大きさは、2つの電荷の積に比例し、その距離の2乗に反比例する。クーロンの法則という。具体的には、
- ウィキペディア(クーロンの法則)を参照のこと。
向きと大きさを同時に記述できるのでベクトル表示は便利である。
電荷の位置ベクトルを、電荷の位置ベクトルを、電荷が電荷から受けるクーロン力をとすると