物理/波動

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物理波動

目次

解説

安定している物体は、わずかな乱れが与えられると元にもどろうとするが、 
   慣性があるので戻りすぎ、これをくりかえして振動を生じ、
  これが隣接する部分に力をあたえて、振動を引き起こし、次々と振動が伝わっていく。
  これが波動(波)である。
  波を伝える物体のことを、(波の)媒質という。
  本節の主要なテキストは、下記のウィキブックス(高校物理の波)である。

さらに初等的な事柄については、中学校の理科のウィキブックスをご覧ください。

本テキストでは、若干の補足を兼ね、要点を簡単に記述する。

波の性質

波には色々あるが、この節では波に共通する性質を学ぶ。

波の次元

水面のように2次元の空間を伝わる波を、2次元の波、 
   水中を伝わる音のように、3次元空間を伝わる波を3次元の波という。

波面と波面の形 

波面; 波の山をつないだ図形や波の谷をつないだ図形のこと。 
   2次元の波では曲線になり、3次元の波では曲面になる。 
   特に波面が平面になる2次元の波を平面波という。 
   また波面が球面になる3次元の波を球面波という。  
  

波の進行方向

波面と直行する方向で波源から離れる向きを波の進行方向という。

波の発生の仕組みと縦波、横波 

横ずれに対して復元力の働く物質(固体など)では、 
   ある場所にわずかな、横ずれの変位が与えられると 
   元の位置に戻ろうとして振動を生じ 
  、 これが隣接する媒質に横ずれの力を与えて隣接部の振動をおこし、 
   振動の方向と直角方向に波を伝える(横波。transverse waves)。 気体や液体は横ずれに対して復元力は働かないため、一般には、横波を生じない。

     圧縮や膨張に対して復元力の働く媒質(気体や液体、固体)では、 
   ある場所にわずかな、圧縮(膨張)という乱れが与えられると、 
   その場所が元の状態に戻ろうとして、振動を生じ、 
   これが隣接する媒質の膨張・圧縮振動を引き起こし、波が、振動方向に伝わっていく(縦波longitudinal waves)。 
   横波でも縦波でもない波もある。後述する水面の波が、その例である。 
  波を引き起こす最初の振動源を、波源(wave source)という。 
光や電波も電磁波という波の一種だが、媒質はない。
   あえて言えば、真空という空間が媒質で、
   電気的な空間のゆがみ(電場、磁場)の振動が伝搬して起こる横波と考えられる(電磁波については10章で学ぶ)。 次の記事も参考に。

波の例

身の回りには色々な波が良く見られる。 
   媒質が空気である波は音(あるいは音波)であり、縦波である。 
   媒質が水の場合は水面波や水中の音波となる。 
   水面のさざ波や小さな波(水面波)は、
水の表面張力や重力が、ずれに対する復元力になるので,横波の成分をもつ。
ところが、ある場所の水面が振動して上下振動しても、 
   その鉛直下方にある水は殆ど膨張・圧縮されないので、 
   水面上昇時には隣接する水面下の水が流れ込み、下降時には、鉛直下方の水が隣接する水面の下方に押し出され、波の進行方向する方向と平行の振動が起こる(注)。 こうして水の表面の水粒子は波が通過するとき、上下の振動に、
波の進行方向と平行な振動を合成した、円形(あるいは楕円形)の振動をする。
従って、縦波でも横波でもない。

音叉は媒質が金属で、其の一か所に打撃を与えて変位を起こすと、 
   ずれや曲げに対する復元力から振動が起き、それが音叉全体に伝わる。 
   この音叉の振動で周囲の空気が圧縮・膨張の振動を発生し、これが縦波となって、音波を生じさせる。 
   固体は曲げやずれに対する復元力を持つので横波を起こすが、 
   わずかとはいえ、圧縮・膨張して、強い復元力を生じるため、縦波も起こす。 
   地震波は地殻の波だが 
   最初に到達するP波は縦波で、 
   遅れて到達するS波は横波である。 
   地表へは、地震波は下方から到達するので、縦波のP波は上下動、横波のS波は横揺れになる。 

例のまとめ;
縦波の例;音波、地震のP波(第一波)(岩盤、土、水、空気などが媒質。
媒質の圧縮と膨張により波が起き、伝達する)

横波の例;張った糸や弦の振動、地震のS波(岩盤、土が媒質。媒質の曲げや変形に対する復元力により波が発生し、伝達する。)
縦波でも横波でもない波の例;水面波

単振動と正弦波 

波の表示の仕方

波を伝える媒質各部の変位を


媒質の振動のうちもっとも基本的なものは単振動である。
代表例は、ばねにつながれたおもりの振動。

単振動の振動数、周期と角振動数(各速度) 

正弦波 

媒質が単振動してできる波を正弦波という。

の1.1.1.1 正弦波を参照

 複雑な形の波 

一般の複雑な形の波は、
周期や振幅の異なるいくつかの正弦波を重ね合わせたものと考えることができる。
これについては大学で学ぶ(フーリエ解析と呼ばれる)。

定常波と進行波

定常波とその腹と節については

をみてください。</br> 定常でない波は進行波という。

波の運動方程式と波の伝搬速度 

気体や水や固体を伝わる波(音)の運動方程式は、
媒質を小さな部分に分割して,それら分割部分の
平衡状態からの変位と隣接する分割部分から受ける力の関係を求め、
ニュートンの運動法則を適用することで導出できる。
電磁波の運動方程式は、電磁気学の法則(マクスウェル方程式)を用いて得られる。
運動方程式から波の伝搬速度が得られる。
波の伝搬速度は、
媒質(平衡点からの変位と復元力の関係)と縦波か横波かで決まり、
振幅や振動数には無関係である。
これらについては大学で学ぶ。
興味のある方は、インターネットで、「波動方程式」を検索して、分かりやすい記事を探して読んでください。

重ね合わせの原理

前述の波の運動方程式は線形性 をもつので、
波は重ね合わせが出来る。
一つの波が来たときの媒質の変位$ y_1$ と他の波が来たときの媒質の変位を$ y_2$ とすると、
この2つの波が同時に来た時の媒質の変位は$ y=y_1+y_2$となる。これを波の重ね合わせの原理という。
重ね合わせて出来る波を合成波という。
この原理は以下のように、多くの現象の分析・解析に応用できる。

 干渉 

2つ(以上)の波が重なり合って強めあったり弱めあったりする現象で、
波の重ね合わせの原理によって分析できる。

媒質の端における波の反射、固定端と自由端 

波が媒質の終端に達するとそこで反射し、逆方向にすすむ。
固定端では、媒質は固定されているので平衡状態からの変位は生じない。
自由端では媒質は自由に動けるので、圧縮や変形をおこさない。
この条件をみたす波動方程式の解を求めると反射波を求めることができる(大学で学ぶ)。
反射した波の形は、自由端と固定端では異なる。
後続の進行波と反射波の合成波が実際に観測される波の形である。
実際に観測されるのは合成波であり、固定端では節となり、自由端では腹となる。

を参照のこと。

波面の進行にかんするホイヘンスの原理 

 ホイヘンスの原理 

あるいは

を 参照のこと。</br> この原理を用いると、波面の進行の仕方が分かり、以下の反射、屈折の法則が導ける。

反射の法則 

反射の法則;平面状の壁にあたった波は、反射する。この時、波の入射角と反射角は一致する。

この法則を、ホイヘンスの原理から導いてみよう。

屈折にかんするスネルの法則 

この法則を、ホイヘンスの原理から導いてみよう。


 回折 

波がその進行方向にある障害物の背後に回り込んで伝わっていく現象のことを、回折という。

 波のエネルギー

弦の振動で生じる横波の正弦波を例に、波のエネルギーを考える。

 単振動のエネルギー 

正弦波を固定点で観測すると、媒質の単振動が得られろ。質量m、ばね定数kの単振動する質点の力学的エネルギーは、 ${{E=K+U=\frac{1}{2}kC^2}}$ 詳しくは

 波のエネルギー 

電磁波(真空を媒質とする波)のエネルギーについては大学で学ぶ。


音と音波

自然には色々な音波が存在し、私たちはそれを耳で音として聞く。音波は波なので、反射、屈折、回折、干渉など、波特有の性質をもつ。

音波の伝わり方

音波とは、狭い意味では、空気の粗密の振動が伝わっていくものである。例えばスピーカのコーン紙が前後に振動すると、それに接する空気は最初は圧縮されて密になり、次の瞬間には引き戻されて疎になるというように粗密の振動がおきる。この振動によって、この空気にせっする空気は押されたりひかれたりして粗密の振動がおこり、次々に空気の粗密の振動が伝わっていく。音波は水や固体中も伝わる。

 音波は縦波 

なぜ音波に横波はないのか、考えてみよう。 ==== 音波の速さ ==== 

ドップラー効果

救急車などが通り過ぎる際、近付くときにはサイレンの音が高く聞こえ、遠ざかる時には低く聞こえる。このような現象をドップラー効果という。詳しくは

ドップラー効果が何故生じるのか、考えてみよう。 === 固有振動と共鳴・共振 === 

光と光波

光は波長が大変短い電磁波なので、1つの媒質中では、粒子のように直進する。 しかし、同時に、回折や干渉という波としての性質も示す。 粒子と波動の二重性という。

光の伝わり方

 可視光と物体の色 

レンズによる屈折

光の干渉と回折

 ヤングの干渉実験 

 回折 

光は波長が非常に短いのであまりはっきりした回折をおこさず、直進するようにみえる。そのため、粒子説も唱えられた。 しかし、十分にせまい隙間(スリット)をつくり、そこに光を通すと、回折の結果、光はスリット幅より広がりぼんやりとして、回折していることがわかる。

 回折格子 

格子状のスリットによる回折を利用して干渉縞を作ることができる。

CAIテスト

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