Processing math: 73%

物理/光と光波

提供: Internet Web School

UNIQ73adf6ea4fedfe05-MathJax-2-QINU2 による版

目次

[非表示]

光と光波

可視光と呼ばれる、目に見える光は、1つの媒質中では、粒子のように直進する(注参照)。
しかし、同時に、回折や干渉という波としての性質も示す。
光の(粒子と波動の)二重性という。
そこで長い間、光の粒子説と波動説が対立してきた。
19世紀における電磁気学の発展により電磁波が発見され、
可視光は周期がある帯域の中にある電磁波であることが分かった。
電磁波については、次章で簡単な紹介をする。
こうして最終的には、光は波であることで決着したかに思われたが、
20世紀になって、光を粒子と考えなければ、説明がつかない
光の光電効果がみつかった。
現代の物理学では、原子レベルの微粒子はすべて、同時に波動の性質をもち、
マクロレベルで観測される2重性の原因であると理解されている。
これらについては6章で簡単に説明する。

(注)単に光というときは、
可視光のほかに赤外線紫外線を含める。

光の伝わり方

 光の速さ

光速の測定

フィゾーの実験(外部リンク)

真空中の光速

真空中では全ての波長の光の速さは同一である。
現代の物理学では
真空中の光の速さcは最も基本的な物理定数であり、
c=2.99792458×108m/s
である。

物質中の光速

物質中では光は遅くなる。
例えば、空気中では、少し遅くなるだけだが、
水中ではおよそ2.25×108m/sであり、かなり遅くなる。
また同じ物質中でも、光は波長によって、速さが多少変わる。
これを利用して白色光の分光ができる(プリズム、虹など。後述)。

 可視光と物体の色 

可視光の波長

可視光の真空中での波長は、
一番長い赤色で 770nm=7.70×107m 程度で
一番短い紫色が 380nm=3.80×107m  程度である。

物体の色

太陽光は全ての波長の可視光を同じように含む。
このためは太陽光は、白色光とよばれ、色合いの感覚を与えない光である。
この光が物体にあたると、その一部は吸収され、残りは、反射したり、透過する。
我々の目に入る光は反射光と透過光であり、その波長により見える色が決まる。
赤く見える物体は、赤色をよく反射・透過し、その他の色をたくさん吸収する。
赤色LED照明のように、特定の波長しか出さない光の下で、物体をみると、
あらゆる物体が、濃淡は異なるが光源と同じ色に見える。

 光の反射と屈折 

光も波なので、「4.1 波の性質」で説明したホイヘンスの原理が成立つ。
光を平面はと考えれば、反射の法則や屈折にかんするスネルの法則は、「波の性質」で述べたように
ホイヘンスの原理を用いて証明できる。

反射の法則

反射は、反射境界面の法線(注参照)と入射光線を含む平面内で起こり、
入射角と反射角は等しい。

スネルの法則

媒質1から媒質2に進入する光の屈折は、その光と境界面の交点に立てた境界面の法線(注参照)と入射光線を含む平面内で起こる。
媒質1中の光速を c1 、媒質2中の光速を c2 とすると、
媒質1から媒質2に光が進入するときの入射角 θ1 と屈折角 θ2 の間には
sinθ1sinθ2=c1c2(1)
が成立つ。
但し、入射角が0[ラジアン]のときは、屈折角も0[ラジアン] であり、00=c1c2 とみなす。

この定理を前提にして、次の屈折率の定義を与える。
定義;
n12:=c1c2(2) 
を媒質1に対する媒質2の屈折率(相対的屈折率)という。
命題
光の媒質 i 中の速さを ci
媒質 i に対する、媒質 j の屈折率を 
nij:=cicj とする(i,j=1,2,3)。
このとき、任意のk(=1,2,3)に対して
nij=nkj/nki(3)
が成立する。
証明;
nij=cicj=cickckcj=1nkinkj

全反射

水中から大気との境界(水面)に入射角θ2で入射した光は、
一部は屈折して、屈折角(水面の垂線との角度のこと)θ1
大気中に進入する。
残りは、水中に反射される。
このとき、スネルの屈折の法則から、
sinθ1sinθ2=c1c2>1
ここで、c2 は水中での光速、c1 は大気中での光速。c2<c1
そこで、入射角θ2が大きくなっていくと、屈折角θ1 は90度(sinθ1=1)になる。
このときの入射角は1sinθ2=c1c2 
を満たす。変形して、
sinθ2=c2c1
θ2=sin1c2c1(4)
で与えられる。
この入射角を臨界角という。
臨界角より大きな入射角では、光は屈折できなくなり、すべて反射するようになる。
全反射という。

白色光の分光 

屈折率(絶対屈折率)

真空中の光速cを物質中の光速c1(より正確には位相速度)で割った値 n1:=cc1<1 を、その物質の屈折率(refractive index)という(注参照)。
光が真空中からこの物質に入射するときの屈折率に等しい(スネルの法則)。
相対屈折率と区別するため、絶対屈折率ともいう。
n12=c1c2=cc2/cc1=n2/n1

反射と屈折のときの光の位相の変化 

媒質Ⅰを進んできた光が、媒質Ⅱとの境界平面に当たると、
一部は反射し、残りは、媒質Ⅱに屈折して侵入する。
反射波と屈折波の方向・向きは、フェルマーの原理により与えられる(反射の法則とスネルの法則)。
光の位相は、反射と屈折の際、どのように変化するだろうか。

光が境界面に垂直な方向から進んできた場合 

議論を簡単にするため、光(進入波)が媒質Ⅰ中を速さ c1 で進み境界面に垂直に当たる(入射角0[ラジアン])場合を考える。
一部の光は境界面で反射する。反射の法則から、反射波の反射角は0[ラジアン]で、逆向きに同じ速さで進行する。残りの波は屈折して媒質Ⅱの中を進む(屈折波という)が、屈折角も0[ラジアン]である。
この速さは媒質Ⅱに固有の速さであり、 c2 で表す。
光波を数式で表すため座標系を導入する。
進入波の進む直線(境界平面と垂直)を x1 軸にとり、正方向は媒質ⅠからⅡに向かう向きとする。光波の変位量をy で表す。
光の振動数  ν は反射や屈折で不変なので、進入波 y1、反射波 y1、屈折波(透過波) y2 は、次のように表示できる(4.1 波の性質の命題4.4の系) 。
y1=A1sin(2πν(txc1))(注参照)
y1=A1sin(2πν(t+xc1)δ1)
y2=A2sin(2πν(txc2))
ここで、A1,A1,A2>0

(注)時刻の原点を適切に選ぶと、一つの波の初期位相は零にできる。
仮定;媒質Ⅰにおける合成波と透過波の接続条件
媒質Ⅰには、進入波と反射波の合成波y1+===== ===========  ====  ====1805[[wikipediaja:|]] 2  [[wikipediaja:|]]===== =====[[File:GENPHY0001040301.jpg|right|frame|]]h(h_1\leq h \leq h_2 S_1,\quad S_2 \lambdaS_1S_1S_1S_1 \frac{\lambda}{d}l(S_{2}P-S_{1}P = m\lambda \quad (m=0,\pm 1,\pm 2,,,,)\qquad \qquad (1)((1)S_{2}P-S_{1}P \fallingdotseq d\sin{\theta}d\sin{\theta} = m\lambda \quad (m=0,\pm 1,\pm 2,,,,)\qquad \qquad (2)S_{2}P-S_{1}P = (m+\frac{1}{2})\lambda \quad (m=0,\pm 1,\pm 2,,,,)\qquad \qquad (3)((2)d\sin{\theta} = (m+\frac{1}{2})\lambda \quad(m=0,\pm 1,\pm 2,,,,)\qquad \qquad (4)S_{2}P-S_{1}P \fallingdotseq d\sin{\theta}d S_1 PS_2 P\theta_1\theta_2\thetaS_1S_2P\angle S_{2}S_{1}H =\thetaS_{2}H =d\sin{\theta}S_{1}P \fallingdotseq HPS_{2}P-S_{1}P \fallingdotseq (S_{2}H+HP)-HP =S_{2}H =d\sin{\theta}================ ====\lambda\quad\quad d [[File:GENPHY0001040302.jpg|right|frame|040303]] \theta\theta_1 \theta_1=\frac{\theta}{n} \qquad \qquad (a) \theta_1 \theta_1 \theta_2\theta_2=n\theta_1 a)\theta_2=\theta\lambda  2 2     [[wikipediaja:|]]1.1 ====  ==== 2 ====  ====[[wikipediaja:|]]====調A \neq B)を通る光は、その間を、通過にかかる時間を最小にする経路(最短時間経路)にそって進む」というもの(注参照のこと)。 フェルマーの原理を用いて反射や屈折現象を説明できる。 *[[wikipedia_ja:フェルマーの原理 |フェルマーの原理(ウィキペディア)]] (注)多少厳密にいえば、通過に要する時間が極小値をとる経路。 厳密にいえば、2点を通過するあらゆる滑らかな曲線のうち、 それに沿った通過時間が、停留値をとる曲線にそって光は進行する。 この原理に従って経路を求めるには、[[wikipedia_ja:変分法 |変分法]]という方法が必要になる。 本テキストの範囲をこえるので、扱わない。 ==== フェルマー原理に基づく、光の直進、反射の法則、屈折の法則の証明 ==== (1)直進性 命題4.1; 同じ媒質中では、光は直進する。 同じ媒質では光の速さは一定なので、最短経路が最短時間経路になる。 2点を結ぶ最短経路は直線なので、光は直進する。 (2)反射の法則 直進性の場合と殆ど同じように証明できる。 (3)屈折の法則 [[File:GENPHY00010403-03.jpg|right|frame|図 光の屈折の法則]] 図のように、媒質 i での光速を c_i \qquad (i=1,2) として、 媒質1の点A(x_1,y_1)から出て、媒質2の点B(x_2,y_2) を通る光を考える。 入射角を \theta_1、反射角を \theta_2、光が媒質2に入射する点を P(x,0) とする。 命題4.2 入射角 \theta_1 と反射角 \theta_2 の間には \frac{\sin{\theta_1}}{\sin{\theta_2}}=\frac{c_1}{c_2} という関係が成立つ。 但し、\theta_1=0 の時は、\theta_2=0 であり、\frac{0}{0}=\frac{c_1}{c_2} とみなす。 証明;媒質1中の光の経路長は l_1=\sqrt{(x-x_1)^2+y_{1}^2} \qquad 媒質2中の光の経路長は l_2=\sqrt{(x_2-x)^2+y_{2}^2} 通過にかかる時間は、 t=t(x)=\frac{l_1}{c_1}+\frac{l_2}{c_2} これを最小にするxが満たす(必要)条件は t'(x)=\frac{dt}{dx}(x)=0 これを計算すると、 \frac{1}{c_1}\frac{x-x_1}{l_1}=\frac{1}{c_2}\frac{x_2-x}{l_2} を得る(注を参照のこと)。 ここで、 \frac{x-x_1}{l_1}=\sin{\theta_1}、 \frac{x_2-x}{l_2}=\sin{\theta_2} なので、 \frac{1}{c_1}\sin{\theta_1}=\frac{1}{c_2}\sin{\theta_2} この式から所望の結果が得られる。証明終わり。 (注)\frac{dl_1}{dx}(x)=\frac{d}{dx}\left((x-x_1)^2+y_{1}^2\right)^{\frac{1}{2}} \quad 合成関数の微分法則を用いて計算すると、 =\frac{1}{2}\left((x-x_1)^2+y_{1}^2\right)^{-\frac{1}{2}}\frac{d}{dx}\left((x-x_1)^2+y_{1}^2\right)=\frac{1}{2l_1}2(x-x_1)=\frac{x-x_1}{l_1} 故に、\frac{dl_1}{dx}(x)=\frac{x-x_1}{l_1} 同様にして \frac{dl_2}{dx}(x)=-\frac{x_2-x}{l_2} 0=t'(x)=\frac{dt}{dx}(x)=\frac{1}{c_1}\frac{x-x_1}{l_1}-\frac{1}{c_2}\frac{x_2-x}{l_2}$

レンズ

レンズとは、ガラスなど透明な物質を、両面が球面の一部になるような形状にし、両面を磨いたもの。
周りの媒質との屈折率の違いを利用して、レンズ両面で光を屈折させて、
  光線束を収束させたり、発散させたりする、光学部品である。 
  凸レンズ、凹レンズなどがある。
  望遠鏡、顕微鏡、メガネ等々に利用され、大変重要な道具である。
    レンズの性質を調べるのには、幾何学的光学が利用される。

球面鏡 

虚像

物体の各点から出た光が、 
  レンズを通過したときや反射鏡で反射したときなどで、 
  それらの光線が発散して像を結ばず、 
  その光線を逆向きに延長すると像を作るとき、この像を虚像という。

屈折による虚像 

2つの媒質が平面状の境界で接触(例;水と大気。水面が境界面)しているとき、
一方の媒質中の物体を、他の媒質中にいる人間が見ると、
物体の任意の点Pから出た光が、屈折して人間の目に入ってくる。
P点から出た光線の作るP点の像は、
実際のP点ではなく、
両目に入ってくる光線を逆に伸ばして、交わるところにできる。
これも虚像である。

レンズによる屈折

視覚とレンズ

虚像

物体の各点から出た光が、 
  レンズを通過したときや反射鏡で反射したときなどで、 
  それらの光線が発散して像を結ばず、 
  その光線を逆向きに延長すると像を作るとき、この像を虚像という。

屈折による虚像 

2つの媒質が平面状の境界で接触(例;水と大気。水面が境界面)しているとき、
一方の媒質中の物体を、他の媒質中にいる人間が見ると、
物体の任意の点Pから出た光が、屈折して人間の目に入ってくる。
P点から出た光線の作るP点の像は、
実際のP点ではなく、
両目に入ってくるp点の光線を逆に伸ばして、交わるところにできる。
これも虚像である。

個人用ツール