物理/エネルギーと保存則(その1)
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目次 |
「2.4 エネルギーと保存則(その1)」
概要
質点や質点の集まりの運動を調べるときに有用な
各種の保存法則が、運動の法則から導かれる。
導出の仕方が理解できると、力学への理解が深まる。
この節では、いろいろなエネルギーについて説明後、仕事・エネルギー定理、保存力と力学的エネルギー保存則などを述べる。
次節の「エネルギーと保存則(その2)」では運動量に関する保存則を述べる。
エネルギー
物質の持っている仕事をする能力をエネルギーという。
この規定は抽象的で具体例を知らないと、良く分からないだろう。
その方たち向けに簡単に説明する。
人間が地表の石(質量m)を、非常にゆっくりと高さhまで持ち上げたとする。
この時、人間が石に行った仕事は、上向きの力(㎎+無限に小さい正の力)でhだけ動かしたのでmghとなる。
何故なら、上に移動させるため加えた小さい正の力は無限に小さく出来るので無視出来るから。
上に持ち上げられた物体は、支えをなくせば、引力㎎に引かれて落下運動する。
これを利用して、直接この石に仕事をさせることができる。
例えば、石に紐をつけ、延ばした紐の他端に動かしたい物体をつけて、石を自由にすれば、
石は物体を力㎎で引っ張りながら、地表まで落ちる。
この時物体はhだけ移動するので、石が物体に行う仕事はmghとなる。
このようにhの高さに持ち上げられた石は、仕事をする能力を持つ。
その量はmghで、最初人間が石に対して行った仕事に等しい。
位置に依存して有する能力なので、石は、位置エネルギーを持つという。
仕事量も表したい時には、「石の位置エネルギーはmgh」と表現する。
また、地表からhの高さに持ち上げられた石は、
支えをなくして自由にすると落下運動を行う。
運動物体は仕事をする能力を持つ。
何故なら、運動している物体は他の物体に接触すると力を与えて動かし、
仕事をするからである。
速度が速いほど、この能力は増す。
この場合の「仕事する能力」は、運動に基因するので、運動エネルギーという。
従って、位置エネルギーは直接に仕事をする能力だけでなく、
運動エネルギーという形態に変化する能力ももつ。
石は落下するに従って位置エネルギーをへらし、運動エネルギーは増していく(速度が速くなるため)。
こうして人間の行った仕事は、
石の位置エネルギーになり、
それは仕事をしたり、
運動エネルギーなど他のエネルギーに変換され、
その後仕事にも変換できる。
これ等の過程でエネルギーは保存されるのか、
工夫したら、最初に人間の行った仕事より多くの仕事が得られのではないか。
この節では、このようなエネルギーの問題を調べる。
- エネルギー(ウィキペディア)の自然科学の項を参照のこと。
運動エネルギー(kinetic energy)
運動している粒子は、それを止めようとする物体に力を与え、動かすことが出来る。
運動している粒子は,運動に起因する何らかのエネルギーを持っていると考えられる。
止まった段階ではこのエネルギーは零になるので、
運動している粒子の持つエネルギーの量は、止まるまでに使った仕事で計れる。
質量UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-291-QINUの粒子が速度UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-292-QINUで運動しているとき、
止まるまでになす仕事を求めてみる。
速度方向をx軸とする座標UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-293-QINUをとる。
力が作用しなければ、粒子はx軸の上をx正方向にむかって、速さUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-294-QINUで等速直線運動を続ける。
この粒子が原点を通過する瞬間(t=0)から、x軸方向の力UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-295-QINU(負の向き)を、止まるまで与え続ける。この間、粒子は、作用反作用の法則により、UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-296-QINUの力で、止めようとする物体を押し返しながら、止まるまで仕事をし続ける。
止まるまでの距離を求めるため、運動法則を用いる。
この粒子の運動方程式は
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-297-QINU,
ここで、UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-298-QINU(初期条件)UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-299-QINU
(1)式の両辺をUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-300-QINUで割り、UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-301-QINUを代入すると、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-302-QINU
この方程式を満たし、初期条件(2)を満たす関数UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-303-QINUは、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-304-QINU
この式から、粒子が停止する時刻は
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-305-QINU
このときの粒子の位置は、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-306-QINU
を解いて、停止時刻でのxを求めればよい。
初期条件式(2)を満たす(4)式の解は
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-307-QINU
故に、止まる位置は
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-308-QINU
粒子が止まるまで,なした仕事は、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-309-QINU
以上の考察より、粒子の運動エネルギーを次のように決める。
定義;
質量UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-310-QINU、速度UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-311-QINUの質点の運動エネルギーを、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-312-QINU
で定める。
- ウィキペディア(運動エネルギー)
- ウィキペディア(Kinetic_energy) in English
仕事エネルギー定理(Work-energy theorem)
質点に力を与えて運動させたとき、力のなした仕事は質点の運動エネルギーの増加に等しいことが証明できる。
外力のなした仕事(エネルギー)が、質点のエネルギーに転嫁するのである。
これは、仕事エネルギー定理と呼ばれる重要な定理である。
以下にその証明をしよう。
質量UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-313-QINUの質点が力 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-314-QINUを受けて運動している(注参照のこと)。
力は時間に関して連続であるか、区分的に連続(不連続点が有限個しかない)と仮定する。
空間には適当に原点Oを定め、適切な直交座標UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-315-QINUをいれる。
時刻UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-316-QINU の質点の位置 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-317-QINU を位置ベクトルをUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-318-QINUで表わすと、その速度は
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-319-QINU
注)
万有引力や電磁気力は、場所によって変化するので、
位置ベクトルUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-320-QINUにいる質点の受ける力はUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-321-QINUである。
すると、時刻UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-322-QINUに質点の受ける力は時間の関数UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-323-QINUとなる。
また人為的に時間により力を変えて物体の運動を制御することもある。
この定理は、この場合にも適用できるような記述にした。
定理の証明に利用する命題を用意する。
補題
時刻UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-324-QINUから UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-325-QINUまでに力の行う仕事Wは
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-326-QINU
である。
ここでUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-327-QINU
力が一定のときは、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-328-QINU
となり、力のなす仕事の定義と一致する。
証明;
前節の「連続な力の場のなす仕事」の命題の証明で、
パラメータpとして、時間tをとり、
力UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-329-QINUを,改めてUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-330-QINUとおけば、
全く同じように証明できる。
しかし、その証明はやや難しかいので、別の証明を与える。
時刻 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-331-QINU から UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-332-QINU までに力のなす仕事を UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-333-QINU とかくと、
時刻UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-334-QINU から微小時間 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-335-QINU (UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-336-QINU)の間に力のなす仕事を UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-337-QINU とかけば UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-338-QINU が成り立つ。
力が(区分的)連続なので、それを2回積分した軌道は(区分的に)滑らかな連続曲線になるので、
この短い時間の間は、
力は時刻 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-339-QINU での値 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-340-QINU に等しく、
質点の軌道は、有向線分 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-341-QINU に等しい
とみなしてよい。
すると力のなす仕事の定義から、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-342-QINU
が得られる。
両辺を UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-343-QINU で割ると、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-344-QINU
が得られる。
ベクトル値関数UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-345-QINUは、有限個の点を除いて微分可能で、その導関数は連続なので、
右辺はUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-346-QINUを零に近づけるとき、極限をもつ。
したがって、最悪でも、有限個のtを除いて UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-347-QINU は微分可能で、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-348-QINU
故に、W(t) は UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-349-QINU の不定積分
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-350-QINU
で表される。
よく知られた定積分と不定積分の関係から
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-351-QINU
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-352-QINU なので所望の結果が得られた。
証明終わり。
仕事エネルギー定理
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-353-QINU
すなわち力がなした仕事は、運動エネルギーの変化量に等しい。
証明
運動の第2法則から、UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-354-QINUなので、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-355-QINU
ここで、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-356-QINU(「8章の8.3 積分」のベクトル値関数の微分参照のこと)なので
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-357-QINU
ここで、被積分関数UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-358-QINUの
原始関数はUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-359-QINUなので、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-360-QINU
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-361-QINU
証明終わり。
力 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-362-QINU が重力とそれ以外の外力UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-363-QINU の和のばあいの仕事エネルギー定理を考えよう。
鉛直上方をUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-364-QINU(z)軸とする3次元直交座標系 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-365-QINUをとり、
重力加速度の大きさを UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-366-QINU とかくと 、重力加速度はUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-367-QINU なので、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-368-QINU
これを仕事エネルギー定理
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-369-QINU
に代入して、式の整理をすると
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-370-QINU
これで次の重要な系が得られた。
系;外力が重力とそれ以外の力UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-371-QINUのとき、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-372-QINUが、時刻 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-373-QINU から UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-374-QINU の間になす仕事UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-375-QINU は
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-376-QINU
保存力と位置エネルギー
力の場
質点がどこにあろうが、その位置UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-377-QINUに応じて力UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-378-QINUが作用するとする(注1)。
このような空間を力の場という。
力が位置の連続関数のとき、連続な力の場という。
保存力と保存力場
連続な力の場UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-379-QINU(注参照)において、
質点が任意の点UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-380-QINUから任意の点UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-381-QINU まで動くとき、
この場の力の行う仕事が移動経路に関係なく2点UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-382-QINU、UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-383-QINUだけで決まるならば、
この力の場を保存力場という。
保存力場の力を保存力(conservative force ) という。
移動経路としては、区分的に滑らかな曲線(注2参照)に限定する。
(注1)例えば、地球からの万有引力が作用する空間など。
(注2)曲線UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-384-QINUを、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-385-QINUで定義された連続で、しかも
有限個の点を除いて微分可能で導関数が連続な
ベクトル値関数の軌跡で表すことが出来ることをいう。
位置エネルギー
保存力は次のように言いかえることができる。
物体にかかる場の力 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-386-QINU に逆らって、
力 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-387-QINU(UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-388-QINUは無限小)を加えて、
物体を、任意の経路に沿ってQ点からP点に非常にゆっくり動かす時、
この力UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-389-QINUの行う仕事が
移動経路に関係なく2点の位置だけで決まる時、
力 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-390-QINUを保存力という。
ここで力 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-391-QINUは、物体に作用する力 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-392-QINUとつり合いをとるための力である。
力 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-393-QINUは、力がつりあっている物体を、
移動経路に沿って、Q点からP点まで
無限にゆっくりと動かすのに必要な、無限に小さい力であり、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-394-QINU のなす仕事は零とみなせる(注参照)。
そのため、保存力の条件は
「空間の任意の2点P、Qに対して、
質点をQからPまで移動させるとき、
力UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-395-QINUの行う仕事が
移動経路に関係なく2点P,Qだけで決まる
と言い換えることができる。
(注)経路がごく短い腺分 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-396-QINUの時は
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-397-QINU はこの上では一定値とみなせるので、
この力のなす仕事は UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-398-QINU である。
この絶対値は、内積の性質から、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-399-QINU
任意の経路にそった移動で力UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-400-QINUのなす仕事は、
この経路を微小な腺分をつなぎ合わせた折れ線 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-401-QINU で近似し、
各腺分上でなす仕事の和を求め、これを評価すればよい。
実際、UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-402-QINU
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-403-QINU 絶対値の性質から
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-404-QINU
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-405-QINU
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-406-QINU 内積の絶対値の性質から
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-407-QINU
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-408-QINU UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-409-QINUの最大値(あるいは上限)をUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-410-QINU とおくと、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-411-QINU
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-412-QINU×(経路QPの長さl)
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-413-QINU はいくらでも小さく取れるので、
仕事Wはいくらでも小さくできる。(注の終り)。
以上の保存力の定義はやや面倒である。
仕事エネルギー定理を用いると、ずっと簡単で見通しの良い定義ができる。
命題
力の場を考える。
この場が、保存力場である必要十分条件は、
場の任意の2点P,Qに対して
点Qに静止している質点を、
外力を加えて、この場の力に抗して移動させP点に静止させるときの、
外力のなす仕事が、移動経路によらないこと。
この時、外力のなす仕事は、
質点をPからQに移動させるとき、場の力がなす仕事に等しい。
証明
位置ベクトルUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-414-QINU にいる質点の受ける
場からの力をUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-415-QINU
外力をUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-416-QINU と書く。
Q点に静止している質点はこの合力をうけて、
ニュートンの運動式に従って与えられた経路上を運動し
P点で静止するとする。
すると、この時、合力のなした仕事UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-417-QINUは、
仕事エネルギー定理から、零であることが分かる。
式で書くとUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-418-QINU
ところが、この仕事はこの間
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-419-QINU保存力がなした仕事UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-420-QINU と
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-421-QINU外力のなした仕事UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-422-QINU の和である。
故に、式(1)から
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-423-QINU
外力のなす仕事が経路によらないことと、
場の力のなす仕事が経路によらないことは、
同値であることが証明できた。
後段は、明らか。
この時、力 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-424-QINUがなす仕事を、
Q 点を基準とした P 点でのこの物体の
ポテンシャルエネルギー(potential energy)(あるいは位置エネルギー)と言う。
記号では、基準点も分かるようにUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-425-QINUなどと書く。
これは、質点が、P点からQ点まで動く時、
場の力の行う仕事と等しい。
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-426-QINUは、力の場の定義されている領域中の任意の2点Q、Pにたいして決まるので
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-427-QINUは、この領域上の2変数関数である。保存力場UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-428-QINUからきまるポテンシャル関数と呼ぼう。
- ウィキペディア(ポテンシャル)の保存力の項
- ウィキペディア(位置エネルギー)
- ウィキペディア(Potential_energy) in English
を参照のこと。
命題;ポテンシャル関数の性質
保存力場の異なる任意の3点UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-429-QINUを考える。
各点からみた他の点のポテンシャルエネルギーには次の関係が常に成り立つ。
ⅰ)UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-430-QINU
ⅱ)UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-431-QINU
証明は、図のような経路にそって力の行う仕事の
間の関係を考えれば、簡単に出来る。
力の場が保存的である必要十分条件
命題
一点UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-432-QINUを原点にした、直交座標系UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-433-QINUを決める。
次の2条件は同値である。
(1)UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-434-QINUの連続な力の場
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-435-QINUが
保存力場である。
(2)UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-436-QINU上で定義され実数に値を取るUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-437-QINU級関数UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-438-QINUが存在して
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-439-QINU
がUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-440-QINU上で成り立つ。
記述を簡略化するため、Uの勾配(gradient)
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-441-QINU
を導入すると、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-442-QINUがUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-443-QINU上で成り立つ。
ここでUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-444-QINUは、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-445-QINUを、独立変数の第1成分 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-446-QINUの関数とみるため
他の変数は固定して、UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-447-QINUという実変数で実数値の関数を考え、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-448-QINUで微分したものを表す。記号で表示すると、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-449-QINU
関数UのUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-450-QINU における第1座標UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-451-QINUに関する偏微分係数という。
他の座標に関する偏微分係数も同様に定義する。
関数UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-452-QINUは
変数UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-453-QINUに、その点のUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-454-QINUについての偏微分係数UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-455-QINUを対応させるもので、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-456-QINUについての偏導関数と呼ばれる。
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-457-QINUがUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-458-QINU級とは、
全ての偏導関数UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-459-QINUが存在し、
しかも連続関数となることをいう。
多変数関数の連続性や微分については、
「第8章 物理数学」の「極限と微分」で要点を説明してある。
定理の系;
定理中の UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-460-QINUは、保存力 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-461-QINU の位置エネルギーである。
証明;
(1)ならば(2)を示す。
この領域の任意の点UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-462-QINU(x_iはPの座標)の、原点からみた、ポテンシャルエネルギー
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-463-QINU
を定める。この値は経路UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-464-QINUに関係なくきまる。
1)UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-465-QINUを示す。
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-466-QINUとおき、Uの偏微分を定義に従って計算する。
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-467-QINU
ここで、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-468-QINU
は、その経路に無関係にさだまるので、
質点を力UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-469-QINUで第一座標に平行にUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-470-QINU動かすときの仕事に等しい。
この向き付き経路を、ベクトル値関数で表示するとUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-471-QINUである。
すると、力の場の命題で述べたように、この仕事は
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-472-QINU
に等しい。
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-473-QINUであり、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-474-QINUとなるので
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-475-QINU
故に、UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-476-QINU
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-477-QINU
ここで、UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-478-QINUはtの連続関数なので、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-479-QINUが十分小さければ、UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-480-QINUにいくらでも近くなる。
そこで、区間UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-481-QINUでの平均値
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-482-QINUは、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-483-QINUが零に収束するとき、UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-484-QINUに収束する。
これで(2)が証明できた。
(2)を仮定して(1)を示す。
任意の2点UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-485-QINUに対し、それを結ぶPからQへの区分的に滑らかな曲線
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-486-QINU
を選んだとき、これに沿って力の成す仕事
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-487-QINU
が、曲線に依存しないことを示せば良い。
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-488-QINU なので
式(2)UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-489-QINU
補題;
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-490-QINU
これは、多変数の場合の合成関数の微分公式である。本テキストの「8章 物理数学」
で説明してある。
これを用いると、
式(2)UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-491-QINU
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-492-QINUの原始関数はUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-493-QINUなので、
この定積分は
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-494-QINU
この値は経路に依存しないので、保存力であることが示された。
証明終わり。
☆☆保存力の必要十分条件RT==
ベクトル解析で使う回転(rotation)を用いると、次の命題が成り立つ。
命題;
次の2条件は同値である。
(1)UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-495-QINUのUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-496-QINU級の力の場
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-497-QINUが
保存力場である。
(2)UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-498-QINU
保存力の十分条件
万有引力で作られる力の場などは、保存力場である。
これを示すため、もう少し一般の力の場が、保存力場であることを示す命題を述べる。
命題;
領域UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-499-QINUを3次元空間から原点を取り除いた領域とする。
この領域で定義された力の場
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-500-QINU
は保存力場である。但し、関数UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-501-QINUは、実変数の実数値連続関数とする。
証明;
hは連続関数なので、
任意の正数xに対して、定積分UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-502-QINUが存在する。
そこで関数UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-503-QINUを導入する。
この関数Hを微分すると関数hが得られる。
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-504-QINUという多変数関数を定義すると,
合成関数の微分公式より、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-505-QINU
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-506-QINU
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-507-QINU
すでに証明した「力の場が保存的である必要十分条件」中の命題により、
保存力場であることが証明された。
☆☆万有引力の場
質点の作る万有引力の場
球体の作る万有引力の場
力学的エネルギーと力学的エネルギー保存則
力学的エネルギーは、運動エネルギーと位置エネルギー(ポテンシャル・エネルギー)の総称である。
定理;力学的エネルギー保存則(kinetic energy and conservation of kinetic energy )
保存力場から力をうけて運動している質点mの
運動エネルギーと(任意の固定した基準点Oからみた)ポテンシャル・エネルギーの和は
保存される。
証明。
任意の時刻UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-508-QINUから時刻 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-509-QINUの間に力の行う仕事は
仕事エネルギー定理から
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-510-QINU
他方で、この力は保存力なので、
この仕事は、この場から決まるポテンシャル関数Uを用いて、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-511-QINU
この式の右辺は、ポテンシャル関数の命題を適用すると、
任意の固定した基準点Oからのポテンシャル・エネルギーを用いて、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-512-QINU
故に
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-513-QINU
式を整頓すると、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-514-QINU
証明終わり。
- ウィキペディア(力学的エネルギー)
- ウィキペディア(Kinetic_energy) in English
- ウィキペディア(力学的エネルギー保存の法則)
- ウィキペディア(Conservation_of_energy#Mechanics) in English
複数の質点がつくる保存力場
今までは、保存力場が不変であり、その場の中も質点が受ける力の性質について考えてきた。
このような限定をつけても応用範囲はかなりある。
例えば、太陽の周りの惑星の運動などでは、太陽の質量が大きく、惑星からの万有引力を受けてもほとんど動かない。
このため不動の太陽の作る万有引力場(保存力場)を考え、そのなかで惑星運動の解析をすることは有用である。
ところが、質量に大差がない複数の星が万有引力で互いに引き合いながら運動する場合には、
関与する星はすべて万有引力により運動するため、適用不可である。
そこでこれらにも適用できるよう、多数の質点の作る保存力(場)について考察しよう。
質量 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-515-QINU(i=1,2,,,N) のN個の質点を考え、質点 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-516-QINU と略称する。
適切な慣性系を選び、各質点UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-517-QINU の位置ベクトルを UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-518-QINU(i=1,2,,,N)とおく。
質点同士は、互いに万有引力を及ぼしあうとする。(注参照のこと)
質点UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-519-QINU が 質点UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-520-QINUUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-521-QINUからうける力 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-522-QINU は両者の位置だけの関数で、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-523-QINU
質点UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-524-QINU は、自分以外のすべての質点から万有引力をうけるが、それらは足しあわせることができ、
質点 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-525-QINU に働く万有引力の合力は
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-526-QINU
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-527-QINU
(注)5章で学ぶ電荷間の電気力も同様に扱える。
補題
(1)UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-528-QINU
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-529-QINU
ここで、UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-530-QINU(k=1,2,3)はベクトル UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-531-QINU の第k成分のこと。
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-532-QINU は 横ベクトルUNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-533-QINU を縦ベクトルに変換したもの。
(2) UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-534-QINU で関数UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-535-QINU を定義すると、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-536-QINU
証明;
(1) 第一成分の計算。
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-537-QINU
合成関数の微分の公式により、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-538-QINU
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-539-QINU
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-540-QINU
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-541-QINU
第2、第3成分の計算も同様にできて、所望の結果を得る。
(2)UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-542-QINU
式(2)を代入すると、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-543-QINU
式(1)を代入すると、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-544-QINU
補題の証明終わり。
前項「力の場が保存的である必要十分条件」の(1)式とこの補題から、
関数UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-545-QINUは、
各質点に作用する万有引力UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-546-QINUの
ポテンシャル関数とみなせることが推察できる。
そこで次の定義を与える。
定義。N個の質点 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-547-QINU(i=1,,,N) のそれぞれに作用する力
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-548-QINU の集まり
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-549-QINUが保存力とは、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-550-QINU
が成立するような連続的微分可能な関数
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-551-QINU
が存在すること。
この時、関数UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-552-QINUを、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-553-QINU の
ポテンシャル関数と呼び、
関数値UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-554-QINU を
質点系のポテンシャルエネルギーと呼ぶ。
力学的エネルギーの保存則
定義;
運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの和
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-555-QINU
を、質点系UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-556-QINU の力学的エネルギーという。
定理;力学的エネルギーの変化量
各質点UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-557-QINU(i=1,2,,,N) に万有引力 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-558-QINU 以外に、外力 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-559-QINU が作用する時
これらの外力が時刻 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-560-QINUから UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-561-QINU の間になす仕事 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-562-QINU は、質点系の力学的エネルギーの増加に等しい。
式で書くと、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-563-QINU
証明;
質点 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-564-QINU に働く合力は UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-565-QINUなので、
仕事・エネルギー定理より、
力 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-566-QINU が時刻 UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-567-QINU から UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-568-QINU までになす仕事
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-569-QINU は
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-570-QINU
他方、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-571-QINU
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-572-QINU
式(3)を代入して、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-573-QINU
ここで、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-574-QINUなので、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-575-QINU
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-576-QINU
故に、UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-577-QINU
式(5)を上式に代入して整頓すると、
UNIQ136b4c6f7d334f8e-MathJax-578-QINU
証明終わり。
系;相互作用が保存力である質点系の力学的エネルギーは保存される。
(注)保存力場の中の質点(系)の運動でも、摩擦のある場合には、この定理とその系は成り立たない。
なぜだろうか。
動摩擦力は、運動中に一定の力で運動の逆方向に働く。このため運動は減速をうけ続け、エネルギーを失い続けるためである。