会社法・企業倫理/企業哲学

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[[File:No8 thesis03 11s.jpg|right|frame|図1 キャロルのCSRピラミッド<br> 出所:Archie B. Carroll (1991) ''Pyramid of Corporate Social Responsibility,'' Business Horizons]]
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投資家を含め,利害関係者は自身の利益にかなう行為を企業に求めてくる.しかし, 企業を取り巻く利害関係者の間には利害のトレードオフがある.それに対して「企業はいかに,どこまで対応すべきか」について考察した事例は大変多い<sup>[[#参考文献|[r1]]]</sup>.
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投資家を含め,利害関係者は自身の利益にかなう行為を企業に求めてくる.しかし, 企業を取り巻く利害関係者の間には利害のトレードオフがある.それに対して「企業はいかに,どこまで対応すべきか」について考察した事例は大変多い <sup>[[#参考文献|[r1]]]</sup>.
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図1に,アーチー・キャロルが提唱するCSRピラミッドを示す<sup>[[#参考文献|[r2]]]</sup>.
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図1に,アーチー・キャロルが提唱するCSRピラミッドを示す <sup>[[#参考文献|[r2]]]</sup>.
これは,社会的責任を「経済的責任」「法的責任」「倫理的責任」「社会貢献責任」の4つにグループ分けした提唱である.
これは,社会的責任を「経済的責任」「法的責任」「倫理的責任」「社会貢献責任」の4つにグループ分けした提唱である.
キャロルの考察によると,企業の責任とは社会基盤の上に建つものとして,下側から順に「経済的な責任」「法的な責任」「倫理的な責任」が負わされ,一番上側が「社会貢献的な責任」となっている.
キャロルの考察によると,企業の責任とは社会基盤の上に建つものとして,下側から順に「経済的な責任」「法的な責任」「倫理的な責任」が負わされ,一番上側が「社会貢献的な責任」となっている.
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最も重要なピラミッドの基底部に「経済的責任」を置き,これがその他3つの責任と強い緊張関係にあるとする.利害関係者は4つの責任すべてに(均等に)関心があるわけではなく,利害関係者によって各々関心事は異なり優先度が違うとした.一方で,「社会貢献的な責任」は "おまけ" であるとも述べている<sup>[[#参考文献|[r1]]]</sup>.
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最も重要なピラミッドの基底部に「経済的責任」を置き,これがその他3つの責任と強い緊張関係にあるとする.利害関係者は4つの責任すべてに(均等に)関心があるわけではなく,利害関係者によって各々関心事は異なり優先度が違うとした.一方で,「社会貢献的な責任」は "おまけ" であるとも述べている <sup>[[#参考文献|[r1]]]</sup>.
== 倫理的なふるまい ==
== 倫理的なふるまい ==

2014年9月25日 (木) 02:57時点における版

会社法・企業倫理 > 企業哲学

目次

概要

企業哲学とは,基本的にはその企業の経営者が「経営とは"こういうこと"だ」という思想をもつ,という考えである. 例えば「その企業が存続する意味(理念)」といったことを真正面から捉える姿勢,などが挙げられる [w1]. これらのことを一言で表すならば「経営観」という言葉がふさわしいかも知れない.

企業の経営者によっては,「社員から搾取して,自分(経営者)だけが儲かれば良い」という考えの人もいれば, 「如何に社員により良い人生を歩んでもらうか」ということを考えている人もいる. 前者のような経営者は,「社員に向けて言う哲学」と,「本当に思っている哲学」は(相反した)違ったものになっている場合が多い.

例えば「企業が存続する意味」を視座とした場合,存続する基盤としての社会システム(政体・法・倫理)を無視して議論することは無意味であろう. また,使役という観点から労働者への責任を果たす義務があるし,株式会社であれば投資した大勢の人たちへの責任を果たす義務がある. 製品を購入した消費者に対しては,品質保証やサポートなど様々な責任を果たす義務がある. 規模の大小を問わず,企業が実行するあらゆる活動には,これらの利害関係者(労働者,投資家,消費者,及び社会全体)との間での 様々な責任が存在し,全てについて説明することによって社会的な容認(その企業は社会で存在して良い)が得られるのである.

企業の社会的責任

あらゆる企業にとって,社会的責任(Corporate Social Responsibility, CSR)は,自らの役割を徹底的に検討し,目標を設定し,成果を挙げるべき重大な問題である.

企業の社会的責任とは,「企業が利益を追求するだけでなく,組織活動が社会へ与える影響に責任をもち,あらゆる利害関係者(投資家,消費者,及び社会全体)からの要求に対して,適切な意思決定をすること」を指す [w2]. 企業の経済活動には利害関係者に対して説明責任があり,説明できなければ社会的容認が得られず,信頼のない企業は持続できない.持続可能な社会を目指すためには,企業の意思決定を判断する利害関係者側である「消費者の社会的責任」と「市民の社会的責任」の双方が必要不可欠である [w2]

図1 キャロルのCSRピラミッド
出所:Archie B. Carroll (1991) Pyramid of Corporate Social Responsibility, Business Horizons

投資家を含め,利害関係者は自身の利益にかなう行為を企業に求めてくる.しかし, 企業を取り巻く利害関係者の間には利害のトレードオフがある.それに対して「企業はいかに,どこまで対応すべきか」について考察した事例は大変多い [r1]

図1に,アーチー・キャロルが提唱するCSRピラミッドを示す [r2]. これは,社会的責任を「経済的責任」「法的責任」「倫理的責任」「社会貢献責任」の4つにグループ分けした提唱である. キャロルの考察によると,企業の責任とは社会基盤の上に建つものとして,下側から順に「経済的な責任」「法的な責任」「倫理的な責任」が負わされ,一番上側が「社会貢献的な責任」となっている. 最も重要なピラミッドの基底部に「経済的責任」を置き,これがその他3つの責任と強い緊張関係にあるとする.利害関係者は4つの責任すべてに(均等に)関心があるわけではなく,利害関係者によって各々関心事は異なり優先度が違うとした.一方で,「社会貢献的な責任」は "おまけ" であるとも述べている [r1]

倫理的なふるまい

コンプライアンスとの違い

求められる新たな経営観

参考文献

  • [r1] 伊藤浩己 (2009)『企業の倫理的責任と社会貢献に関する考察 ~企業はどこまで社会的責任を負うべきか~』21世紀社会デザイン研究, No.8, pp.89-97 / http://www.rikkyo.ne.jp/web/z3000268/journalsd/no8/no8_thesis06.pdf
  • [r2] Archie B. Carroll (1991) Pyramid of Corporate Social Responsibility, Business Horizons.
  • [r3] Peter F. Drucker (1993) Management: Tasks, Responsibilities, HarperBusiness

関連項目

外部リンク

演習課題