物理/光と光波への補足

提供: Internet Web School

(版間での差分)
(球面が一つの特殊レンズ)
(☆☆「4.3 光と光波」への補足)
5 行: 5 行:
== レンズの公式の証明  ==
== レンズの公式の証明  ==
単レンズは屈折面を二つ持ち複雑なので、<br/> 
単レンズは屈折面を二つ持ち複雑なので、<br/> 
-
最初に屈折面が一つの球面であるレンズから解析する。<br/> 
+
最初に屈折面が一つの球面であるレンズから解析する。<br/> <br/>
 +
なお、「4.3 光と光波」で説明したように、今後の解析においては、次の4つの約束事を仮定する。<br/>
 +
(1)レンズの軸を水平になるように書く(x軸にとる)。<br/>
 +
(2)物体(光源)とレンズ面との距離 $s_1$ は、物体がレンズの左側にある時、正とする。<br/>
 +
(3)像のレンズとの距離 $s_2$ は、像がレンズの右側(光線の進行方向)にあるとき、正とする。<br/>
 +
負のときは、レンズの左側、光源のある側に見える虚像を表す。<br/>
 +
(4)球の表面の曲率半径 r とは、球の半径Rに正負の符号をつけたもの。<br/>
 +
 球の中心が表面の右側にある時、正に定め(r=R)、<br/>
 +
 球の中心が表面の左側にある時、負に定める(r= - R)。<br/>
 +
 
=== 球面が一つの特殊レンズ  ===
=== 球面が一つの特殊レンズ  ===
-
一枚の屈折面を持ち、その両側の媒質の屈折率が違うとする。<br/> 
+
一枚の屈折面(レンズ面)を持ち、その片側に光源があり、他方の側はレンズである、<br/> 
これを、もう一枚組合わせれば、通常の単レンズになるので、<br/> 
これを、もう一枚組合わせれば、通常の単レンズになるので、<br/> 
もっとも単純な構成のレンズと考えられる。<br/> 
もっとも単純な構成のレンズと考えられる。<br/> 
図参照。<br/> 
図参照。<br/> 
-
[[File:GENPHY00010405-01.jpg|right|frame|図  屈折面が一つの球面レンズ]]<br/> 
+
[[File:GENPHY00010405-01.jpg|right|frame|屈折面が一つの球面レンズ]]<br/> 
-
一枚の屈折面が球面であるレンズを考える。<br/>
+
レンズ面の球の中心をC、半径をRとし、<br/>
-
この球の中心をC、半径をRとし、<br/>
+
レンズの軸と屈折面との交点をO'とする。<br/>
-
屈折面の軸(Cを通る直線で、屈折面はこの直線に関して回転対象であること)をx軸 にとり、<br/>
+
さらに光源側の媒質1での光速を $c_1$ ,レンズ内の媒質2の光速を、 $c_2$ とする。<br/>
-
屈折面との交点をO'とする。<br/>
+
-
さらに光源は屈折面の負側になるように、x軸の向きをいれる。<br/>
+
-
光源側の媒質1での光速を $c_1$ ,レンズ内(レンズ面からみて正の側)の媒質2の光速を、 $c_2$ とする。
+
-
 
+
命題1<br/> 
命題1<br/> 
 +
(1)光源とレンズ面との距離 $s_1$ と、<br/>
 +
近軸光線による光源の像とレンズ面の距離 $s_2$ の間には,<br/>
 +
次の関係がある。<br/>
 +
$\frac{1}{s_1}+\frac{n}{s_2}=\frac{n-1}{r}\qquad \qquad (a)$<br/>
 +
ここで、$n:=\frac{c_1}{c_2}$ とする。<br/>
 +
(2)光源からの近軸光線が、レンズ内の軸上の点 $L_1$ に向かう場合には、<br/>
 +
$L_1$ とレンズ面との距離に負の符号をつけたものを、 $s_1$ とおけば、<br/>
 +
式(a) が成り立つ。<br/><br/>
 +
証明<br/>
 +
=== 一般の球面単レンズ  ===
=== 一般の球面単レンズ  ===
=== 組合わせレンズ ===
=== 組合わせレンズ ===

2016年8月18日 (木) 17:04時点における版

目次

☆☆「4.3 光と光波」への補足

この節では、テキスト「4.3 光と光波」で、省略した2つの事柄について説明する。

一般の場合における光の反射と屈折時の位相変化 

 レンズの公式の証明

単レンズは屈折面を二つ持ち複雑なので、
  最初に屈折面が一つの球面であるレンズから解析する。
 
なお、「4.3 光と光波」で説明したように、今後の解析においては、次の4つの約束事を仮定する。
(1)レンズの軸を水平になるように書く(x軸にとる)。
(2)物体(光源)とレンズ面との距離 $s_1$ は、物体がレンズの左側にある時、正とする。
(3)像のレンズとの距離 $s_2$ は、像がレンズの右側(光線の進行方向)にあるとき、正とする。
負のときは、レンズの左側、光源のある側に見える虚像を表す。
(4)球の表面の曲率半径 r とは、球の半径Rに正負の符号をつけたもの。
 球の中心が表面の右側にある時、正に定め(r=R)、
 球の中心が表面の左側にある時、負に定める(r= - R)。

球面が一つの特殊レンズ

一枚の屈折面(レンズ面)を持ち、その片側に光源があり、他方の側はレンズである、
  これを、もう一枚組合わせれば、通常の単レンズになるので、
  もっとも単純な構成のレンズと考えられる。
  図参照。
 

ファイル:GENPHY00010405-01.jpg
図 屈折面が一つの球面レンズ

 

レンズ面の球の中心をC、半径をRとし、
レンズの軸と屈折面との交点をO'とする。
さらに光源側の媒質1での光速を $c_1$ ,レンズ内の媒質2の光速を、 $c_2$ とする。
命題1
  (1)光源とレンズ面との距離 $s_1$ と、
近軸光線による光源の像とレンズ面の距離 $s_2$ の間には,
次の関係がある。
$\frac{1}{s_1}+\frac{n}{s_2}=\frac{n-1}{r}\qquad \qquad (a)$
ここで、$n:=\frac{c_1}{c_2}$ とする。
(2)光源からの近軸光線が、レンズ内の軸上の点 $L_1$ に向かう場合には、
$L_1$ とレンズ面との距離に負の符号をつけたものを、 $s_1$ とおけば、
式(a) が成り立つ。

証明


一般の球面単レンズ

 組合わせレンズ