物理/原子と原子核・電子

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目次

「6.2 原子と原子核・電子 」

この節は下記のウィキブックスで学習のこと。
このテキストでは若干の補足をするにとどめる。
高等学校物理/物理II/原子と原子核(ウィキブックス)

補足

 電子の発見と電子の電荷と質量

 発見の端緒

19世紀後半、ガラス管から空気を抜き真空に近い状態にして、高電圧をかけると、色々な色や光線が出ることが発見された。
この装置の一つであるクルックス管については下記の記事をご覧ください。

これが電子の発見の端緒である。
陰極から出るものが原因だと推定され陰極線と呼ばれた。
1897年、トムソンは陰極線の特性を調べる過程で、原子に電子という負電荷の粒子が含まれていると結論づけた。

 電子の比電荷の測定

電荷の質量mと電荷量$q$の比$\frac{q}{m}$を比電荷という。
電子の電荷を$-e$で表すと、比$\frac{e}{m}$の値は、
陰極線に一様な電場と磁場をかけてその曲がり方を調べればわかる。
トムソンは電子の比電荷を初めて算出した。

 速度vで直進する電子を一様磁場に突入させ比電荷を求める 

ファイル:GENPHY00010101-02.pdf
図 比電荷を求める実験図

 真空中を運動する電子の速度の計測法 

電場と磁場を同時にかけ、進行方向を変えない(直進する)電子の速度は、次のように正確にわかる。

ファイル:GENPHY00010101-03.pdf
図 電子の速度の検出

RT
電場と磁場の強さを調整し、2枚のスリットと組み合わせれば、
そこを通過する電子の速度が正確にわかる。

 電荷の最小単位、電気素量の測定

 電子ボルト

電子に1ボルトの電圧をかけたとき、電子に与えられる運動エネルギーを、1電子ボルトという。
電子ボルトというエネルギー単位を eV で表わす。
$1eV = 1.60 \times 10^{-19}J$


電子と光の粒子性と波動性

光の二重性

光については長らく、粒子説と波動説があった。
しかし、4章で説明したように、
光にかんする多くの現象は光が波動であると仮定すると合理的に説明がつく。
そのため波動説が有力になった。
さらに、マクスウェルが古典電磁気学を完成させ、
可視光と赤外線、紫外線は、ある振動数の範囲にある電磁波であることが解明され、
粒子説は完全に葬られたかのように思われた。
しかし光は粒子であると考えないと説明できない次のような現象が見つかった。

光電効果

なお、下記の記事も参照のこと。

粒子と波動の二重性

 仕事関数についての補足

 金属(結晶)中の自由電子は結晶表面から外部に出られないよう、ポテンシャル(電位)障壁で拘束されている。

物質中の電子は原子核からの引力で束縛され、通常は外部に飛び出せない。
外に出るには、この束縛を切るためのエネルギーが必要。
物質中の電子は熱運動というランダム運動をしていて、
各電子のエネルギー(運動エネルギー+電気的ポテンシャルエネルギー)はいろいろな値をとる。
そのエネルギーが、ある値より大きくなる(=ポテンシャル障壁を超える)と、電子は外部に飛び出る(光電子という)。
従って結晶中の電子の中で最もエネルギーの高い電子(自由電子の一つ)が、最も光電子になりやすい。

この電子が限界周波数$\nu_0$(光電子を放出させる最低周波数の光にあたると
そのエネルギー($E=h\nu_0$)をすべて吸収して最初に外部にでる(運動エネルギーはゼロの光電子になる)。
$W\triangleq h\nu_0$ は、もっとも光電子になりやすい電子が、外部に出るのに消費するエネルギーである。
この値 Wは仕事関数と呼ばれる。

振動数$\nu (\geq \nu_0)$の光を受けて外部にでる光電子のエネルギー(運動エネルギー)は、
光子から受け取ったエネルギー$h\nu$から、障壁を超えるために使ったエネルギー($\geq W$,各電子によって異なる)を引いた値になる。
この時光電子の中の最大のエネルギーは$h\nu - W$である。
限界周波数より大きい周波数$\nu$ の光(エネルギー$h\nu $)をうけて発生する光電子のなかで
最も大きな(運動)エネルギーを持つものは、障壁を超えるのにエネルギーを最も使わない光子である。
従ってこの光子は、$h\nu - W$ の運動エネルギーを持つ。

 X線

 X線の波動性

 結晶によるX線の反射

X線を波だと仮定すると、
結晶は原子が格子状に規則的にならぶので、X線を結晶にあてて反射させると、
回折格子として働くことが予想される。

直方体状の結晶は、
その表面A(第一面)および表面と平行して等間隔にある結晶面B(第2面)、C(第3面),,,,
から出来ていると考えられる。
ブラッグはX線が波動であると仮定して、
結晶面A,B,C、、等で反射されたX線が強めあう条件を求めた。

ブラッグ反射の条件
結晶面間の距離をd、
入射X線と結晶面との角(回折角という)を$\theta$($i.e.\ 入射角\frac{\pi}{2}-\theta$)とすると、
反射されたX線が強めあう条件は
$ 2d\sin\theta=n\lambda \quad (n=1,2,3,,,,)$ $\qquad \qquad \qquad (1)$

ブラックはこれを実験で確かめ、X線は波動であると結論した。

X線の波長と結晶面間の距離dはほぼ等しいので、
このブラッグの反射条件を用いて、結晶面間の距離dを正確に測定でき、
結晶構造や原子の構造をしらべることが出来る。

 X線の粒子性とコンプトン効果

アーサー・コンプトンは、X線を物質に当てて散乱させると
散乱後の波長$\lambda ^{'}$は散乱前の波長$\lambda$より長くなることを発見した。
これをコンプトン効果という。
X線が波動であると考えると、起こり得ない現象が発見されたのである。
この現象はX線が、光と同じように、粒子性も持つと考えるとよく説明されることが分かった。

水素原子のボーア模型

で学んでください。

量子力学について

RT

電子の干渉、波動関数、不確定性原理

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