物理/解析入門(2)リーマン積分

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目次

「7.4 解析入門 (2)リーマン積分」

リーマン積分

この節は、区間上で定義された関数のリーマン積分の初歩を述べる。
具体的には、リーマン積分の定義とリーマン積分が存在する(可積分)条件
について、数学的厳密性を保つように記述する。
参考記事

区間上の関数のリーマン和

区間UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-284-QINUで定義され、実数に値をとる関数UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-285-QINUを考える。
この区間の分割
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-286-QINU
と、その代表点UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-287-QINUに関する、UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-288-QINUのリーマン和とは、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-289-QINU
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-290-QINU
で定義する。

リーマン和の意味 

リーマン和は、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-291-QINUのグラフを、棒グラフで近似したときの
棒グラフの作る面積(各角柱の面積和)であることが分かる。図参照。
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-292-QINUのグラフとx軸、および2直線UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-293-QINU、UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-294-QINUで囲まれる部分の面積を近似している。

リーマン可積分とリーマン積分の定義

分割を細かくしていくとき、
分割の仕方や代表点の選び方に関係なく
リーマン和がある一定値に収束するとする。
すると、この値は
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-295-QINUのグラフとx軸、および2直線UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-296-QINU、UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-297-QINUで囲まれる部分の面積
と考えられる。
定義;
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-298-QINUの大きさUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-299-QINUとは、
この分割で得られた小区間の長さの、最大値で定義する。
記号で書くと
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-300-QINU
定義;リーマン可積分
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-301-QINUを、有界閉区間UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-302-QINU上で定義され、実数の値をとる関数とする。
もし、ある実数UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-303-QINUが存在して、
どんな分割UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-304-QINUと
代表点UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-305-QINUであっても、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-306-QINU
が成り立つ時、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-307-QINUはUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-308-QINU上で(リーマン)可積分であるという。
このとき、UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-309-QINU をUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-310-QINUのUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-311-QINU上でのリーマン積分といい、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-312-QINU
などと書く。

 リーマン積分の命題

命題1 線形性
命題2 積分の単調性
命題3 平均値定理
命題4 三角不等式
命題5 積分区間に関する加法性

可積分条件(RT;短縮化)

どのような関数は、積分できるだろうか。
積分出来ない関数はあるのか。
これらについて考察しよう。

不足リーマン和と過剰リーマン和によるリーマン和の評価

リーマン和を、代表点の選び方を変えて求めるとその値は変化する。
そこで、その最小値と最大値を求め、差を計算する。
もしこの差が分割を細かくしていくと零に収束するならば、可積分となろう。
以下、この方針で議論を進める。
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-313-QINUを分割して得られた小区間UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-314-QINUを考える。
関数UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-315-QINUをこの小区間上に限定した時、
関数は、この区間上の点で最大値と最小値をとると仮定する(注参照)。
関数の最大値UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-316-QINUと最小値UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-317-QINUを、
それぞれ、UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-318-QINUと書く。
(注) 区間上で最大値、最小値を取らない関数では、
有界な関数でありさえすれば、最大値、最小値と殆ど同じ性質をもつ
上限、下限に置き換えれば以後の、議論は成り立つ。

すると、UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-319-QINUの任意の点UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-320-QINU に対して、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-321-QINU  
故に、
補題1
ⅰ)どのような代表点UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-322-QINUに対しても
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-323-QINU
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-324-QINU
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-325-QINU
そこで、UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-326-QINUをUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-327-QINUに関するUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-328-QINUの不足リーマン和、UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-329-QINUを過剰リーマン和と呼ぶ。
ⅱ)UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-330-QINU 
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-331-QINU 
証明は明らかなので省略。

 分割の細分とリーマン和の評価式

定義;分割の細分
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-332-QINUの分割UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-333-QINUが分割UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-334-QINUの細分というのは、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-335-QINUの分点の集合UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-336-QINUが、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-337-QINUの分点の集合UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-338-QINUに真に含まれることと定義する。
記号でかけば、UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-339-QINU。
記号では、UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-340-QINUと記す。


補題2
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-341-QINUという分割に対し、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-342-QINU
が成り立つ。
(証明)
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-343-QINUの小区間UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-344-QINUが分割UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-345-QINUでは、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-346-QINUの2つに分割されたとする。

すると、区間上の関数の最大値と最小値の定義から、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-347-QINU UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-348-QINU
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-349-QINU UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-350-QINU
これらから、命題は成立することが分かる。

 不足リーマン和の上限と過剰リーマン和の下限

補題2から、分割の細分を繰り返していくと、その分割に対応する、
不足リーマン和は、広義増加(増加するか、同じ値にとどまる)し、
過剰リーマン和は、広義減少する。
分割を細かくしていったとき、これらの極限が一致すれば、補題1から、
リーマン和の極限値は、代表点に無関係に、定まることになる。

そこで色々な分割に対応する不足リーマン和のなかの最大値と
過剰リーマン和の最小値を求めることが、重要になる。
しかし一般にはこれらは存在しないことが示せる。
そこで最大値に近い命題を持つ上限と最小値に近い下限という概念を利用する。

2つの分割の共通の細分

分割UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-351-QINUの分点の集合UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-352-QINUと、
分割UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-353-QINU の分点の集合UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-354-QINUの
和集合UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-355-QINUを分点とする分割をUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-356-QINUと書く。
すると新しい分割は
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-357-QINU と UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-358-QINU
を満たす。
これを用いると、
不足リーマン和の上限UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-359-QINUと
過剰リーマン和の下限UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-360-QINUが存在することが証明できる。

補題5
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-361-QINUを区間UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-362-QINUで定義され実数値をとる有界関数
すなわち、UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-363-QINUがUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-364-QINUの有界部分集合となる関数とする。
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-365-QINUの分割を全て集めて作った集合をUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-366-QINUと書く。
すると、
ⅰ)任意のUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-367-QINUに対して、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-368-QINU
ⅱ)集合UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-369-QINUは上に有界、
集合UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-370-QINUは下に有界
ⅲ)UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-371-QINUと
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-372-QINUは存在し、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-373-QINU 
証明;
ⅰ)UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-374-QINU なので、補題2から、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-375-QINU
ⅱ)1)で証明した不等式で、分割UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-376-QINU は固定する。
すると全ての分割 UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-377-QINUに対して、UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-378-QINUなので
集合UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-379-QINUは、上界UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-380-QINUを持ち、上に有界である。
後者も同様にして下に有界であることが示せる。
ⅲ)従って、実数の連続性の公理から、
集合UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-381-QINUは上限UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-382-QINUをもち、
集合UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-383-QINUは下限UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-384-QINUをもつ。
上限は、上界の中の最小値なので、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-385-QINU
この式は任意のUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-386-QINUについて成立するので、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-387-QINUは、集合UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-388-QINUの下界である。
下限UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-389-QINUは、下界のなかの最大値なのでUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-390-QINUを得る。

 分割を細かくしていくときの不足リーマン和と、過剰リーマン和の極限

定理(ダルブー;Darboux)
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-391-QINU
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-392-QINUを、UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-393-QINUで定義され、実数に値を取る有界関数とする。
このとき、
ⅰ)UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-394-QINU
ⅱ)UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-395-QINU
証明;
ⅰ)を示す。( ⅱ)は同じようにして証明できるので略す)
これを示すには、
どんなに小さい正の実数UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-396-QINUに対しても、それに応じた小さい正の実数UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-397-QINUを適切に選べば、
分割の大きさがUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-398-QINUより小さい、どんな分割UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-399-QINUも、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-400-QINU
であることを示せばよい。
以下に、数段階に分けて、これを証明する。

UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-401-QINU上限の命題(補題3)から、
ある分割
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-402-QINU
が存在して、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-403-QINU
今後このUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-404-QINUを使って、証明を進める。

UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-405-QINU
分割UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-406-QINUの小区間UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-407-QINUの長さUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-408-QINUの 最小値をUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-409-QINUとおくと
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-410-QINU
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-411-QINUに比べて非常に小さい大きさを持つ分割、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-412-QINU、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-413-QINU

を考える。
もし、UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-414-QINUならば補題2より、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-415-QINU、
するとUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-416-QINU 
通常、分割UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-417-QINUは、UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-418-QINUの細分になっていない。
この場合は、高々(n-1)個のUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-419-QINUの小区間が、UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-420-QINUの小区間には含まれず、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-421-QINUの分点UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-422-QINUをまたぐことになる。図参照のこと。
議論を簡単にするため、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-423-QINUの分点UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-424-QINUが全て、UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-425-QINUの小区間によって跨がれている
と仮定し、議論を進める。
他のケースでも、証明はおなじようにできるので、
このように仮定しても何の問題も起こらない。
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-426-QINUの分点UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-427-QINUを跨ぐUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-428-QINUの小区間をUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-429-QINUとする(i=1,2,,,n-1)。
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-430-QINU
2つの分割UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-431-QINUからUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-432-QINUを作る。
すると
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-433-QINU
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-434-QINU
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-435-QINU
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-436-QINU
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-437-QINU

UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-438-QINU

UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-439-QINU
と書ける。

UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-440-QINUで、 UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-441-QINU なので、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-442-QINU, UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-443-QINU
後者の式から、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-444-QINU
この式と(1)式から、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-445-QINU
そこで、
「UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-446-QINUならば、UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-447-QINU
が示せれば、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-448-QINU
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-449-QINU
が示され、証明が終わる。
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-450-QINU
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-451-QINU であり、
(2)式から、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-452-QINU
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-453-QINU
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-454-QINU
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-455-QINU
なので、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-456-QINU
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-457-QINU
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-458-QINU
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-459-QINU
関数はUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-460-QINU上で有界なので、適切に正の実数UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-461-QINUを選ぶと、UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-462-QINUがUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-463-QINUの要素ならば
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-464-QINUが成立する。
するとUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-465-QINU
が成り立つ。また
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-466-QINUで、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-467-QINU
なので
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-468-QINU
そこで、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-469-QINU と選べば、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-470-QINUをみたすどのような分割UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-471-QINUも、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-472-QINU
を満たすことが証明できた。証明終わり。

 可積分条件

定理;可積分条件 
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-473-QINU
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-474-QINUを、UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-475-QINUで定義され、実数に値を取る有界関数とする。
次の条件のうち1つが成立すれば、残り2つは成立する(互いに同値という)。
ⅰ)UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-476-QINUはUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-477-QINU上で(リーマン)可積分
ⅱ)UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-478-QINU
ⅲ)UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-479-QINU

証明
ⅰ)を仮定する。ⅱ)が成立することを示そう。
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-480-QINUの積分値をUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-481-QINUとおくと、可積分の定義から、
任意のUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-482-QINUに対して、UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-483-QINUが存在して、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-484-QINUである任意の分割と、その分割の任意の代表点UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-485-QINUに対し,
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-486-QINU
が成立する。
変形すると
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-487-QINU
ここで、補題1のⅱ)から、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-488-QINU
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-489-QINU
なので、
(1)式から、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-490-QINU
これより、任意のUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-491-QINUに対して、UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-492-QINUが存在して、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-493-QINU
ⅱ)が示せた。
ⅱ)を仮定する。 ⅲ)が成り立つことを示す。

UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-494-QINU
なので、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-495-QINU
故に、分割を細かくしていき、極限をとると、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-496-QINU
ⅱ)が成立するので、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-497-QINU
ⅲ)が示せた。
ⅲ)を仮定する。 UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-498-QINUとおく。
ⅰ)が成り立つことを示そう。
補題1のⅰ)から、どのような分割UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-499-QINUと、その代表点UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-500-QINUに対しても
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-501-QINU
ここで、ダルブーの定理から、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-502-QINU,
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-503-QINU
が成り立つので、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-504-QINU 
が成り立つ。
ⅰ)が示せた。

 関数の連続性と一様連続性 

色々な関数のグラフを書くとつながっているところを、跳んでいるところが出来る。
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-505-QINUのグラフはずっとつながっている。
関数UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-506-QINUを、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-507-QINUのとき UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-508-QINU, UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-509-QINUのとき UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-510-QINU
で定義すると、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-511-QINUのところでそのグラフは跳んでいる。
連続性や不連続性は関数の加積分性を調べるときにも大変有効である。
定義(連続性と一様連続性)
有界閉区間上UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-512-QINUで定義され、実数に値を取る関数UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-513-QINUを考えよう。
1)関数UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-514-QINUが、点UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-515-QINU で連続とは、
任意の正数UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-516-QINUに対して、UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-517-QINUとUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-518-QINUに依存して決まる正数UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-519-QINUが存在して、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-520-QINU
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-521-QINUとおくと
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-522-QINU
2)関数UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-523-QINUがUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-524-QINU上で連続とは、V の任意の点UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-525-QINU で連続であること。
3)関数UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-526-QINUがUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-527-QINU上で一様連続とは
任意の正数UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-528-QINUに対して,UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-529-QINUに依存して決まる正数UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-530-QINUが存在して、
V の任意の点UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-531-QINUに対して UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-532-QINU

定理
有界閉区間UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-533-QINUで定義され、実数に値を取る連続関数は、一様連続である。
RT

 区分的に連続(有限個の点を除いて連続)な閉区間上の関数は積分可能

定理 
有界閉区間上UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-534-QINUで定義され、実数に値を取る連続関数UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-535-QINUは、V上で可積分である。
略証;
有界閉区間上の連続関数は一様連続なので、
任意のUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-536-QINUに対して、UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-537-QINUが存在して、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-538-QINUを満たすUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-539-QINUの任意の2点に対して、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-540-QINU
が成立する。
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-541-QINUの分割UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-542-QINUを細かくして、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-543-QINU
を満たすようにする。
すると、その分割によって得られた小区間UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-544-QINUの長さは、
全てUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-545-QINUより小さくなるので、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-546-QINU
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-547-QINUの定義から
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-548-QINU これを用いると、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-549-QINU
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-550-QINU
故に、
任意のUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-551-QINUに対して、UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-552-QINUが存在して、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-553-QINUを満たす任意の分割UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-554-QINUにたいして、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-555-QINUが示せた。
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-556-QINU
なので
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-557-QINU
が任意のUNIQ4c0a43721d889441-MathJax-558-QINUにたいして成立する。故に
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-559-QINU
可積分条件のⅲ)が示せた。証明終わり。

定理の系;有界閉区間上で定義され、区分的に連続な(有限個の不連続点をもつ)実数値関数UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-560-QINUは積分可能である。
証明は容易なので略す。

 ベクトル値関数の場合

ベクトル値関数UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-561-QINUの場合も、リーマン和とリーマン可積分の定義は実数値関数の場合と変わらない。
可積分条件については、
座標系をいれ、関数の各座標成分UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-562-QINUを考える。ここで、UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-563-QINUである。他も同様。
すると区分的連続なベクトル値関数の各成分は区分的連続なので積分可能となり、
UNIQ4c0a43721d889441-MathJax-564-QINUの積分可能性が示せる。

 リーマン積分の性質

命題1 線形性
命題2 積分の単調性
命題3 平均値定理
命題4 三角不等式
命題5 積分区間に関する加法性

 リーマン積分の計算法

 原始関数を用いるリーマン積分の計算

 一変数関数の変数変換

 積分計算を便利にする記号法

 部分積分法

未完

 不定積分の計算法

未完 

個人用ツール