論理的思考法/帰納的推論

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簡単な例を考える.

ある過多な飲酒僻がある人が,友人に自分が泥酔する原因はアルコールにあるのではないと主張し,自身の体を使って以下の実験を行った.

  • 日曜 ウイスキーの水割りを多量に飲用した
  • 月曜 ウォッカのオンザロックを多量に飲用した
  • 火曜 ブランデーと炭酸水を多量に飲用した
  • 水曜 ワインとミネラルウォーターを多量に飲用した
  • 木曜 ジントニックと炭酸水を多量に飲用した
  • 金曜 テキーラとミネラルウォーターを多量に飲用した
  • 土曜 リキュールとミネラルウォーターを多量に飲用した

当然ながら,この人物は1週間毎日泥酔した.そして,日曜日に自分が飲用したものには全て水が共通している. よって自分が泥酔する原因は水であると主張した.


この人物の主張の正当性は別にして,推論法には演繹推論によらない 帰納法がある. 既知の事実を確認するのではなく,未知の現象を解析するには,有効な手段である.実際,科学の発見の大多数は,既知の事実から演繹推論によって 導き出した結論ではなく,実験を繰り返したり,何回も経験した事実の観察を通して得られたものである. このため,帰納法を推論手段として,適切に用いることは,重要である.

「帰納(きのう、英: Induction、希: επαγωγή(エパゴーゲー))とは、個別的・特殊的な事例から一般的・普遍的な規則・法則を見出そうとする論理的推論の方法のこと。演繹においては前提が真であれば結論も必然的に真であるが、帰納においては前提が真であるからといって結論が真であることは保証されない。 」(Wikipedia)


日本や台湾などが他国と比較して感染による死亡者が少ないことについての結核予防のBCG注射を国民全員に施していることが原因とする主張が国内で数多くみられた。またその主張の正当性の根拠になりうる研究資料も公表されている.


BCGワクチン接種義務の制度化が新型コロナウイルスの拡散率を低下させる可能性を示唆 (京都大学)

BCGと新型コロナウイルス感染症の問題 (結核研究所 副所長 慶長直人,生体防御部部長 土方美奈子)


上記に述べられているように「BCGを定期接種している国では,新型コロナウイルス感染者あるいは死亡者が少ないように見えるとい う統計的な観察」 は2020年7月時点の世界の感染状況を正しく反映している.

前述の「前提が真である」が成り立っている,

この推論が正しいのかどうかは現時点(2020年12月)では不明である。 表面上BCG注射との高い相関がみられるが, 一方,これらの国は,高度な医療制度があり,国民の衛生意識や日頃から風邪をひいた際にはマスクを常用して他者への感染を防ぐ努力をするなど規範意識が高い.これらが起因しているかもしれない. 前述のように「結論が真である」ことは保証されない.

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