世界取引事情/古い成功の遺産が新しい成功の足かせ

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概要

古い時代の成功の要因が、新しい時代には無用になるばかりか、害になることもある。

日本でも江戸時代までは、日本刀は役にたつ武器であった。

しかし明治以降の時代にはその武器は殆ど役に立たなかった。 確かに精神面では軍人たちは 日本刀を腰に付けていると勇気がわいたかもしれない。 しかしそのためか銃の進歩に鈍感になり 38式歩兵銃という明治38年に制定の銃を昭和20年の太平洋戦争敗戦時まで使い続けた。


アメリカ軍兵士はM1ガーランドという、発射時のガス圧を利用した自動装填機構を 備えた新式銃を大戦時には持っていた。

NOKIAの例

フィンランドの携帯電話はひところ世界1であった。

「2011年までは世界最大の携帯電話端末メーカーであった。市場占有率および販売台数の両方で、1998年から2011年まで首位を維持していたが、その後、スマートフォン戦略および、アメリカ合衆国での市場戦略の迷走により低落傾向に陥り、2012年第一四半期ではサムスン電子に次ぐ2位となった。さらにこの後、iPhone等を擁したアップルや、AndroidOS採用の新世代スマートフォン端末の台頭による経営危機と大規模なレイオフを経て、2013年9月2日にマイクロソフトが携帯電話事業の買収を発表、2014年4月25日に買収手続きが完了し、同事業はマイクロソフト社の傘下に移った。」

ノキアの携帯電話は簡便であり、手続きなしに簡単にアメリカのスーパーマーケットで買えた。新規登録手続きは 購入者が購入後自分で行えばよかった。 

その簡便さが売れた要因であったと同時に、インターネット対応を遅らせた要因になったと思われる。

モトローラの半導体、携帯電話とイリジウム計画の例

モトローラの携帯電話もひところ世界1であった。

「1999年8月4日、ディスクリート・標準アナログ・標準ロジックなどの半導体部門をオン・セミコンダクターとして分社化した。これは、イリジウムコミュニケーションズ倒産の損失をカバーするために分社化された。2003年10月16日、組み込みシステム向けのチップを主力とする半導体部門をフリースケール・セミコンダクタとして分社化した。以降、モトローラ自身は半導体を製造していない。」

同社はかつて携帯電話で世界一であり、同時にイリジウム計画という世界を衛星通信でカバーするという壮大な構想を発表した。

筆者(中村)はかつて同社の副社長(Kitajima)に、同社の携帯電話が大きすぎて頑丈すぎる、と忠告したことがある。

その答えは、これこそがアメリカ企業の利点であり、厳しい環境でも壊れないのがモトローラの強みである、と主張された。

しかしその携帯電話の頑丈さが祟ったのか、ほどなくノキアの携帯電話に負け、イリジウム計画も頓挫したのである。

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