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論文論説の文章作成
論理的な構成が特にしっかりしていなければならないのは、研究の発表のための「論文」や、ある分野についての客観的、かつ総合的な解説を行う「論説」のための文章である。
論文の書き方については、
を参照のこと。例えば次の諸項はそこからの引用である。
論文の構成
論文は次のような構成を取ることが多い。
- 題名
- 要約(本文の内容を要約した文章)
- 序論(背景、研究の動機や意義、成果の位置づけ、重要性など)
- 準備(論文を読むための既存の基礎知識など)
- 本論(理論、実験、調査の過程及び得られた結果など)
- 結論(本論で得られたデータの叙述的な説明)
- 参考文献
- 謝辞
- 付録(証明や実験の詳細など)
論文の書き方
論文の書き方については
- 文章の論理的構造を明確にする。複数の意味に解釈できる曖昧な表現を用いてはならない。
- 「…と思われる」「…であろう」のような推測を含む曖昧な表現を用いてはならない(考察について論拠を基にした断言・明言を要する)。
- 客観的に判定が可能な事柄について、根拠を明確に示して書く。
- 不必要な接続詞や、修辞表現は避ける。
- 得られた事実とそれに関する考察は明確に区別する。
- 引用のスタイルを決められている通りに正しくする。
形式に関する注意点
なお以上のWikipedia の文に付け加えると、
論文の中には細かい形式の違いがいろいろある。例えば本論に節を設けるかどうか、設けるとすれば各節の名前に番号を付すか付さないか、太字にするかどうか、文献を引用するとき本文中の該当する場所に参考文献の番号を付すがその形式は、...等々である。これらをどのようにするかは、その論文を載せようとする雑誌が定めた形式、あるいはその雑誌に載っている過去の論文の形式に倣えばよい。
更に次のような注意がある。
題名について
「インターネット時代の社会の意思決定方法について」
のようなとき、「について」はいちいち付けない。
「インターネット時代の社会の意思決定方法」
でよい。
英語の題名
英語の題名を付けることもある。その場合、複数形を使うことが多い。 例えば、
「Social Decision-Making Method in the Internet Age」
は、
「Social Decision-Making Methods in the Internet Age」
とする。
英文題名では先頭の文字を大文字にすることが多いが、前置詞や冠詞は例外である。またハイフォンの後ろは大文字にする。 例えば、
「Social Decision-making Methods In The Internet Age」
は、
「Social Decision-Making Methods in the Internet Age」
とする。
要約
論文の題名の後に要約を付けることがある。その場合いくつかの注意事項がある。 例えば、
「近年インターネットが大衆の間にのコミュニケーション手段として普及してきた。 我々はそれに注目し、これからの社会の意思決定手段として、従来投票が使われて きた局面をインターネットがどのように代替してゆくかを考察する。 まず第一にホームページ上にクリックできる場所を作り賛成者の割合を知る方法がある。 またメールで賛否を問う方法もある。またツイッターなどで意見の傾向を知る方法がある。また...」
この要約文を添削すると、
- 要約の中に「近年云々」といった一般的な事実(この論文より前に一般に認識されていること)はあまり述べる必要はない。
- また「我々は」というような人称名詞をあまり使わない方がよい。そのようなとき、受身形を使うとよい。
- 更に「第一に」と言いながら「第二に」も「第三に」もなく、「また」「また」で繋いでいるのはおかしい。
- またこの論文では何が述べられるかが曖昧である。
そこで、以下の添削が考えられる。
「ここではインターネット時代に対応して、これからの社会の意思決定手段として、 従来投票が使われてきた局面をインターネットがどのように代替してゆくかを考察される。 考察の対象は、第一にホームページ上にクリックできる場所を作り賛成者の割合を知る方法 の得失である。第二はメールで賛否を問う方法についてである。第三はツイッターなどで 意見の傾向を知る方法についてである。最後は...」
著者の所属
著者の所属を欄外などに入れることがある。以前と違って大学などに所属しない研究者も増えているので、差しさわりのない範囲で考えるとよい。例えば職場はあるが、その職場が研究と関係が無く、知られない方がよい場合もある。そのような場合、「長野市、社会インターネット研究者」のような書き方を自分で作り出してもよい。しかしその論文に共鳴したり連絡を取りたい人が連絡を取れるよう、メールアドレスなどはきちんと書いておくとよい。
共著者
共同執筆者がいる場合、最初の著者が主たる発表者と看做されることが多いので(学問の分野によっては異なるが)名前列挙の順番も共同発表者の間でよく話し合い、後でトラブルが起きないようにする。
本文の文体
本文中でも「私は」というような一人称の使用を避ける。受身形にすれば避けられる。どうしても使いたいときは「著者は」という言い方や「我々は」という言い方もある。一人で書いたときも「我々は」と言っても良い。
本文中で、「ですます」調は避け「である」調で統一する。
本文で段落の次は改行して字下げすることが決まりである。しかし近年は雑誌によっては異なるので注意。
専門用語の略号を使うときは最初に正式名を書き、(以後という)のように但し書きをして、以後は略号で済ます。本文中に色々な呼び方が混じっているのは良くない。
本文の書き方で、「である。しかし、...。しかしまた...。また他方...」といった「しかし」の連続は避ける。何を言いたいのか論点がぼけてしまう。ただし下書きの段階で自分の考えをまとめるためならよい。
数式の表記
数式を書くときは、文章部分と別行にし、少し空行を前後に入れる。また式の番号を付す。
数式中のアルファベットによる変数名はイタリック体にする。但し極限(lim) や(log)はイタリック体にしない(ローマン体(立体)のまま)。いずれにしてもこのような様式についてはその雑誌の前例に従う。
数式で、
a1,a2,a3,...,an
のように添え字付き変数を列挙する場合、点々点は3個以上入れるが、その点々点...の前後はカンマ(,)を入れる。
図版、表
図や表や写真を掲載する場合、それらの番号を付す(雑誌によって付し方が異なるが)。そしてその横に説明を入れる。日本語の論文であっても図などの説明は英語で入れることが求められることもある。さらに本文中でも掲載された図などについては必ず触れなければならない。本文中に出てこないのに図版だけが出ているのはおかしい。
文献引用
過去に言われてきた事実を紹介する場合は、なるべく原典を参考文献として参照する(紹介する)。いわゆる「孫引き」は避ける。孫引きとは、原典を引用している他の論文を引用することである。著者が原典を読んでいない場合、著者のモラルが問われ、社会的に問題になることがある。
参考文献の書き方は雑誌によって異なるが、その様式は前例やその雑誌の決めに従う。「雑誌名」と「単行本書物名」の書き方が異なることがる。雑誌に載った論文の場合、出版社名、巻号、分冊番号、ページ、年号などを書くが、その書き方も前例に従う。
参考文献欄に列挙した論文は、本文中で必ず引用しなければならない。引用の仕方は前例に従う。