物理/ガリレイ変換とガリレの相対性原理

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物理力学ガリレイ変換とガリレの相対性原理

目次

ガリレイ変換とガリレイの相対性原理

ガリレイの相対性原理とは、 どのような慣性座標系で観測しても力学の法則は同じであるという原理である。
一つの慣性系にたいして等速度並進運動(注)する観測系を考えると、
力の働いてない物体はやはり、等速度運動するので慣性系であり、
運動の第一法則、第2、第3法則、万有引力の法則、力の合成則が成立することを主張している。
(注) 座標系$S'(O'-x'_{1}x'_{2}x'_{3})$の任意の点$(x'_1,x'_2,x'_3)$が、 座標系$S(O-x_{1}x_{2}x_{3})$からみると、
すべて同じ速度($\frac{d\vec{OO'}}{dt}(t)$で移動すること。
言い換えると、S'系の各座標軸上の点(1,0,0),(0,1,0),(0,0,1)が、
S系からみると皆、同じ速度($\frac{d\vec{OO'}}{dt}(t)$で移動すること。

重要な原理なので、詳しく考察しよう。

ガリレイ変換

観測座標系$S(O-x_{1}x_{2}x_{3})$からみて、観測座標系$S'(O'-x'_{1}x'_{2}x'_{3})$が
並進運動しているとする。

ニュートン力学での時間・空間とガリレイ変換 

ニュートン力学では
時間は全ての観測系で同一であると考える(絶対時間の存在)。
空間の任意の点Pを、
ある時刻tで座標系S,S'から観測したときの位置ベクトルを、それぞれ$\vec r,\vec{r'}$とする。
ニュートン力学では
空間の点Pから、他の点Qに向けた有向線分$\vec{PQ}$は、
どの観測系からみても、同一であると考える(空間の均質性)。
するとS'系で観測した、点O'から点Pまでの有向線分$\vec{r'}$は、
S系で観測するO'から点Pまでの有向線分でもある。
このようにみなして、S系での有向線分の和をとると、

$\vec{r}=\vec{OO'}(t)+\vec{r'}\qquad \qquad (1)$

図参照のこと。
式(1)を、S系とS'系の観測値を関係づける、ガリレイ変換と呼ぶ。

次にある質点mの運動を観測する。
時刻tにおいて質点を、
互いに並進運動する2つの系S,S'から見たときの位置ベクトルを、それぞれ、
$\vec{r}=\vec{r}(t)$、$\vec{r'}=\vec{r'}(t)$と書く。
これらの位置ベクトルの関係は、式(1)から、

$\vec{r}(t)=\vec{OO'}(t)+\vec{r'}(t) \qquad \qquad (2)$
両辺をtで微分すると、両系からみた、速度の関係式
$\vec{v}(t)=\frac{\vec{OO'(t)}}{dt}+\vec{v'}(t) \qquad \qquad (2')$
が得られる。
命題
もしS'系がS系からみて速度$\vec u$で等速度運動しているならば
(1)$\vec{v}(t)=\vec u+\vec{v'}(t) $
(2)両系から観測した加速度は等しい。記号で書くと$\vec{\alpha}(t)=\vec{{\alpha}'}(t) $
何故ならば、(1)は、$\frac{\vec{OO'(t)}}{dt}=\vec u$なので、式(2')から明らか。
(2)は$\vec{v}(t)=\vec u+\vec{v'}(t) $をtで微分すれば良い。

☆☆ ガリレイ変換の座標表示

S'座標系$O'-x'_{1}x'_{2}x'_{3}$の座標軸が、
S系の対応する座標軸と平行を保ちながら並進運動する場合には、
ガリレイ変換式(2)は、座標成分表示(注参照)できる。

(注)ベクトルの座標成分表示(詳しくは「2.1.2 質点の運動を数式で表すにはどうするか?」を参照)
「2.1.2 」節で説明したように、
$x_{i}$軸上の、長さ1で正方向のベクトルを$\vec{e}_i$と書き、Sの第i基底という。
任意のベクトル$\vec r$は,この基底を用いて、
$\vec r=\sum_{i=1}^{3}r_{i}\vec{e}_i$
と表せる。
ここで、$r_{i}:=\vec{r} \cdot \vec{e}_i$は、
位置ベクトル$\vec r$の点から、第i直交軸に下ろした垂線の足の座標である。 図参照。
$(r_1,r_2,r_3)$をベクトル$\vec r$の座標成分表示と呼ぶ。
同様に、座標系S'の第i基底$\vec{e'}_i$が定義でき、
S'系の任意のベクトル$\vec r'$は
$\vec r'=\sum_{i=1}^{3}r'_{i}\vec{e'}_i$
と表せる。
注の終わり。

両系の対応する座標軸が平行と仮定しているので
対応する基底は長さと方向・向きが等しくなり、ベクトルとして一致する。
$\vec{e}_i=\vec{e'}_i,\quad (i=1,2,3)$
すると次の命題が成り立つ。


命題1
系SとS'の各座標系が平行とする。
ガリレイ変換式(2)における、
$\vec{r}(t)$の座標成分を、$(r_{1}(t),r_{2}(t),r_{3}(t))$
$\vec{r'}(t)$の座標成分を、$(r'_{1}(t),r'_{2}(t),r'_{3}(t))$
$\vec{OO'}(t)$の(S座標系からみた)座標成分を、$(O'_{1}(t),O'_{2}(t),O'_{3}(t))$
とする。このときガリレイ変換(2)は
$r_{i}(t)=O'_{i}(t)+r_{i}(t)、 \quad (i=1,2,3)$
証明
座標表示の定義から、
$\vec{r}(t)=\sum_{i=1}^{3}r_{i}(t)\vec{e}_i$
$\vec{OO'}(t)=\sum_{i=1}^{3}O'_{i}(t)\vec{e}_i$
$\vec{r'}(t)=\sum_{i=1}^{3}r'_{i}(t)\vec{e'}_i$
命題の仮定から、$\vec{e}_i=\vec{e'}_i,\quad (i=1,2,3)$なので
$\vec{r'}(t)=\sum_{i=1}^{3}r'_{i}(t)\vec{e}_i$
これらの式を、ガリレイ変換式、
$\vec{r}(t)=\vec{OO'}(t)+\vec{r'}(t) \qquad \qquad (2)$
に代入して
$\sum_{i=1}^{3}r_{i}(t)\vec{e}_i =\sum_{i=1}^{3}O'_{i}(t)\vec{e}_i +\sum_{i=1}^{3}r'_{i}(t)\vec{e}_i$
$=\sum_{i=1}^{3}(O'_{i}(t)+r'_{i}(t))\vec{e}_i$
座標表示は唯一つしかないので、上式の左辺と右辺を比較して
$r_{i}(t)=O'_{i}(t)+r'_{i}(t),(i=1,2,3)$
を得る。証明終わり。

☆☆ 2質点の相対的位置と相対速度は、観測系によらず一定 

SとS'を、それぞれ原点をOとO'とする観測系とする。
時刻tに質点$m_{1}$を、
Oからみた位置ベクトルを$\vec{r^1}(t)$、
O'からみた位置ベクトルを$\vec{r'^1}(t)$
時刻tに質点$m_{2}$を、
両系からみた位置ベクトルを$\vec{r^1}(t)$、$\vec{r'^1}(t)$とする。
すると次の命題が成り立つ。
命題2
$\vec{r^{2}}(t)-\vec{r^{1}}(t)=\vec{r'^{2}}(t)-\vec{r'^{1}}(t)$
$\vec{v^{2}}(t)-\vec{v^{1}}(t)=\vec{v'^{2}}(t)-\vec{v'^{1}}(t)$
ここでrとvはS系からみた質点の位置と速度、r'とv'はS'系からみた質点の速度である。
さらにOを原点とする座標系$S(O-x_{1}x_{2}x_{3})$と、 それと平行な座標軸をもつO'を原点とする座標系$S'(O'-x'_{1}x'_{2}x'_{3})$を 定めると,上の式は座標成分表示でき、 ${r^{2}_i}(t)-{r^{1}_i}(t)={r'^{2}_i}(t)-{r'^{1}_i}(t),\qquad (i=1,2,3)$
証明
ガリレイ変換式(2)より、
$\vec{r^{2}}-\vec{r^{1}} =(\vec{OO'}+\vec{r'^{2}})-(\vec{OO'}+\vec{r^{1}}) =\vec{r'^2}-\vec{r'^1}$
後半の証明は、命題1と同じようにできるので省略する。
補題の証明終わり。

☆☆ 観測座標系が慣性系となる条件

命題3
慣性座標系$S(O-x_{1}x_{2}x_{3})$と、
同じ原点を持つ座標系$S'(O-x'_{1}x'_{2}x'_{3})$を考える。
このとき、
座標系S'が慣性系になる必要十分条件は
S'の3つの座標軸が、時間が経過してもS系からみると動かないこと。
証明:
(=>)S'が慣性系とする。
S'系の座標軸が時間とともに動くこともあると仮定すると矛盾が起きることを示そう。
慣性系Sからみて原点以外の場所に静止している質点を考える。
位置ベクトルを$\vec r$とする。
この質点に働く力は零であり、自由運動である。
どの慣性系からみても自由運動は等速度運動に見えるので、
この質点を慣性系S'でみても、等速度運動をする。
他方、S'系の座標軸が動くとすると、原点はOに固定されているので、
原点周りの回転をすることになる。
回転していく座標からS系で静止している質点の位置を観測すると、
位置ベクトルは長さを変えず、移動して見える。
すなわち、原点Oを中心とする半径$\|\vec r\|$の球面状を移動する。図参照
これは等速度運動(直線運動になる)と矛盾する。
(<=)
S'の3つの座標軸が、時間が経過してもS系からみると動かないとする。
すると、$S'(O-x'_{1}x'_{2}x'_{3})$の基底$\vec{e'}_i,\quad (i=1,2,3)$は
時不変のベクトルになる。
このとき、自由運動する質点の運動が、S'系からみても等速度運動になることを示せばよい。
この質点を慣性系Sから観測すれば、等速度運動をするので、
質点の位置ベクトル$\vec{r}(t)$は、
$\frac{d\vec r}{dt}(t)=\vec v=constant$(等速度)
これを、S'系から観測すると、その位置ベクトルと速度ベクトルは、
$O=O'$なのでガリレイ変換式により、
$\vec{r}(t)=\vec{r'}(t) $
両辺を時間で微分して、
$\vec{v}(t)=\vec{v'}(t) =\vec v$
S'系の座標軸は時不変なので、速度ベクトル$\vec v$の座標成分
$\vec v \cdot \vec{e'}_i \quad $(i=1,2,3)
は一定値になり、等速度運動になる。証明終わり。

命題4
S系(原点O)は慣性系とし、
S'系(原点O')はS系からみて原点O'が等速度で並進運動をする。
このとき、S'系は慣性系である。
証明;
仮定から、$\frac{\vec{OO'}}{dt}(t)=\vec{w} )$と書ける。
自由運動がS'系からみても等速直線運動になることを示せば良い。
慣性系Sからみた自由運動$\vec{r}(t)$は等速直線運動になる。
そこで、ある速度ベクトル$\vec{v}$を用いて$\vec v(t)=\frac{dr}{dt}(t)=\vec{v}$と書ける。
ガリレイ変換式 $\vec{r}(t)=\vec{OO'}(t)+\vec{r'}(t) $ の両辺を時間tで微分すると

$\vec{v}=\vec{w}+\vec v'(t) $

移項すると、
$\vec v'(t)=\vec{v}-\vec{w}$
S’系は並進運動するのでその座標の3つの基底は時間が経過しても不変なので、
、速度$\vec{v}-\vec{w}$の座標成分は一定値になる。
自由運動する質点は座標系S'からみても速度一定であることが示せた。証明終わり。


命題4の逆命題も成り立つ。
命題5
慣性座標系$S(O-x_{1}x_{2}x_{3})$と、
座標系$S'(O'-x'_{1}x'_{2}x'_{3})$を考える。
もしS'が慣性系ならば、
S'系の原点O'は系Sで観測すると等速度で、S'は並進運動をする。
証明:
自由運動する質点は、どちらの系S,S'からみても、等速直線運動する。
そこで、それらの速度をそれぞれ
$\vec v=\frac{dr}{dt}(t)\quad $,$\vec{v'}=\frac{dr'}{dt}(t)$と書く。
ガリレイ変換式(2)の両辺を時間tで微分すると、
$\vec{v}=\frac{\vec{OO'}}{dt}(t)+\vec{v'}$
移項すると、
$\frac{\vec{OO'}}{dt}(t)=\vec{v'}-\vec{v}$
ゆえに、O'はS系からみて、等速直線運動する。
次にS'系は並進運動であることを示す。
S'系が並進運動していないとする。
S’系の原点O’を原点とし、並進運動する座標系$\tilde{S}(O'-\tilde{x}_1 \tilde{x}_2 \tilde{x}_3)$をとる。
すると$\tilde{S}$系は、命題4から、慣性系になる。
この慣性系からみると、S'系は原点が同じで、その座標系が時間とともに回転する。
すると命題3により、S'系は、慣性系にはなりえない。
これはS'が慣性系であることと矛盾する。したがってS'は並進運動することが示せた。証明終わり。

命題6
慣性座標系SとS'を考える。
運動する質点の加速度は、どちらの系で観測してもベクトルとして同一である。
両方の座標系が平行ならば、座標成分も等しくなる。
証明;
命題5から
S'系は、S系からみて、ある速度$\vec{w}$で、等速度並進運動する。
すると、ガリレイ変換の式$\vec{r}(t)=\vec{OO'}(t)+\vec{r'}(t)$の両辺を tで微分して
$\vec{v}(t)=\vec{w}+\vec v'(t) $
この式の両辺をtで微分すれば、
$\vec{\alpha}(t)=\vec{\alpha'}(t) $
2つの座標系が平行の場合、両者の基底は、ベクトルとして同一になり、
$\vec{\alpha}(t),\vec{\alpha'}(t) $の座標成分表示も等しくなる。

☆☆ ガリレイの相対性原理の証明

力学の第一法則(慣性法則)により、この宇宙には慣性系は存在する。
実際、太陽系の重心を原点にし、遠方の恒星で座標系を決めれば、
これが慣性系Sになることが経験的に確かめられている。
この慣性系では、多くの経験や実験から、
力学の基本法則(力の合成則と運動の第2法則、第3法則、万有引力の法則)
が成立するとすることが判明している。
このとき、ガリレイの相対性原理は、
全ての慣性系で、力学の基本法則が成立する
と主張する。
この原理は、
2つの慣性系からの位置の観測値の間にガリレイ変換の関係が成り立ち、
質量と力の観測値が、どの慣性系からみても同じならば、
次のように証明できる。
慣性系Sで、力学の基本法則がすべて成立すると仮定する。
(1)。S'系で、運動の第2法則は成り立つことを示す。
力$\vec F$が作用して、質点mが運動しているとする。
S系で、運動の第2法則は成り立つので、
$\vec F=m\alpha:=m\frac{d\vec v}{dt}(t)$
命題6から、S系で観測した加速度$\alpha$は、S'系で観測した加速度$\alpha'$に等しい。
ゆえに、 $\vec F=m\alpha'$
mとFは、仮定により、S'系で観測した質点の質量とそれに作用する力でもあるので、
S'系でも運動の第2法則が成り立つことが示せた。
(2)。力の合成法則がS'系でも成立。
質点mに、n個の力$\vec{F}_i,(i=1,2,,,n)$が同時に作用しているとする。
S系では、力の合成法則がなりたつので、
質点はひとつの合力$\vec F:=\sum_{i=1}^{n}\vec{F}_i$を受けた質点mと同じく
$\vec F=m\alpha$
に従って運動する。
ところが、この質点の加速度をS'から観測しても変わらないので
$\vec F=m\alpha'$
質量と力は慣性系によらず一定なので、
mと$\vec F$は、S'系で観測した質点の質量と合力でもある。
したがって、S'系でも、n個の力が同時に作用する質点の運動は、
それらの合力が作用する運動と同一になる。力の合成則が示せた。
(3)。力は両系で共通なので明らかにS'系でも作用反作用の法則(第3法則)が成立。
(4)。万有引力の法則がS'系で成立する。
命題2から、
2つの質点$m_{1},m_{2}$を、観測系SとS'から観測すると、
$\vec{r_{2}}(t)-\vec{r_{1}}(t)=\vec{r'_{2}}(t)-\vec{r'_{1}}(t)$
この関係と質量不変、力の不変の性質から、S系で成立する万有引力の法則の式は、
S'系の万有引力の法則の式になっていることが分かる。


☆☆ ガリレイの相対性原理から質量と力の不変性を導く

前節では、2つの慣性系の位置ベクトルの間にガリレイ変換の関係が成り立つとき、
質量と力が慣性系の取り方によらずに決まるならば、相対性原理が成立することを示した。
この節では、逆にガリレイの相対性原理から、
質量と力が慣性座標系に依存しないことを示そう。

☆☆ 作用する力を質量で割ったものは、どの慣性系からみても同一

2つの慣性系S,S'をとる。原点をそれぞれO,O'とする。
前項で証明したように、
ある速度ベクトル$\vec{v}$が存在して、$\frac{d\vec{OO'}}{dt}(t)=\vec{v}$
質点に力が作用し、運動するのを、2つの慣性系S,S'から観測する。
系Sからみた質点の質量をm、作用する力を$\vec F$とする。
すると運動の第2法則から$m\frac {dv}{dt}(t)=\vec F$

ゆえに、$\frac {dv}{dt}(t)=\vec F/m \qquad \qquad (1)$

同様に、系S'からみた質点の質量を$m'$、作用する力を$\vec F'$とすると

$\frac {dv'}{dt}(t)=\vec F'/m'\qquad \qquad (2)$

命題3から$\frac {dv}{dt}(t)= \frac {dv'}{dt}(t)|\qquad \qquad (3)$

式(1)(2)(3)から

$\vec F/m=\frac {dv}{dt}(t)=\frac {dv'}{dt}(t)=\vec F'/m'\qquad \qquad (4)$
所望の結論が得られた。

☆☆ 質量は、どの慣性系からみても同一

2つの質点が万有引力で引き合って、運動しているのを、系SとS'から観測する。
S系の観測値は、2つの質点の質量が$m_1,m_2$,位置ベクトルが$\vec r_{1},\vec r_{2}$、
S'系の観測値は、質量$m'_1,m'_2$,位置ベクトル$\vec r'_{1},\vec r'_{2}$
であるとする。
第1の質点が第2の質点から受ける万有引力は、S系では、
$\vec{F_{1,2}}=G\frac{m_{1}m_{2}}{\|\vec{r_2}-\vec{r_1}\|^2} \frac{\vec{r_2}-\vec{r_1}}{\|\vec{r_2}-\vec{r_1}\|}$
同じくS'では、
$\vec{F'_{1,2}}=G\frac{m'_{1}m'_{2}}{\|\vec{r'_2}-\vec{r'_1}\|^2} \frac{\vec{r'_2}-\vec{r'_1}}{\|\vec{r'_2}-\vec{r'_1}\|}$
前項で証明した式(4)により
$\vec F_{1,2}/m_{1}=\vec F'_{1,2}/m'_{1}$なので、上の式から
$G\frac{m_{2}}{\|\vec{r_2}-\vec{r_1}\|^2} \frac{\vec{r_2}-\vec{r_1}}{\|\vec{r_2}-\vec{r_1}\|} =G\frac{m'_{2}}{\|\vec{r'_2}-\vec{r'_1}\|^2} \frac{\vec{r'_2}-\vec{r'_1}}{\|\vec{r'_2}-\vec{r'_1}\|}\qquad \qquad (5)$
ガリレイ変換の節の命題1により、 $\vec{r_2}-\vec{r_1}=\vec{r'_2}-\vec{r'_1}$なので式(5)から
$m_{2}=m'_{2}$
同様にして、第2の質点が第1の質点から受ける万有引力の式から、$m_{1}=m'_{1}$
所望の結論が得られた。

☆☆ 力はどの慣性系からみても同一

$\vec F/m= F'/m'\qquad \qquad (4)$
と$m= m'$から、明らか。

ガリレイの相対性原理の余話    

ガリレイの相対性原理は、
力学だけでなく、古典力学のすべての領域で成立するという原理に拡張され、
長い間物理学の指導原理となっていた。
ところが電磁気学の基本法則のマクスウェル方程式は、
ガリレイ変換で、形をかえてしまい、相対性原理は成立しない。
マクスウェル方程式が正しければ、
ガリレイの相対性原理やその根底にあるニュートン力学的世界観が
現実には成立しないことになるので大きな問題になった。
20世紀になって、この原理はアインシュタインによって修正された。
これについては本テキストでは扱わない。

非慣性系からみた物理現象

慣性系に対し等加速度で運動する座標系

慣性系に対して一定の角速度で回転する座標系

コリオリの力

遠心力

フーコーの振り子

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