物理/電気回路

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目次

「 5.6 電気回路 」 

 直流回路 

 電気回路(単に回路ともいう)とは 

電池と抵抗器などの回路素子(回路を作るための部品)を導線でつないで、電気がながれるようにしたもの。人間が望むように電気がながれる回路をつくり、それを利用して、電気を熱に変えたり、入力信号を増幅したりする電気機器が作られている。
効率よく回路の設計をおこなうには、試行錯誤で回路をつくり測定して確かめるのでなく、計算でその回路の各部を流れる電流や電圧を求められることが望ましい。
このためには、 
・回路を回路図という図で書き、
・構成する素子の電気特性(両端電圧と素子を流れる電流の間の関係)と、電池や回路素子のつなぎ方によってきまる電流の間の関係や電圧の間の関係を数式で表し、
・それらを連立方程式とみて解く
ことが必要となる。

 直流回路とは 

直流電流が流れる回路のこと。直流とは、時間が経過しても、向きも大きさも変わらないこと。

 回路図の書き方 

回路素子の種類によって図記号 をきめ、それらを回路のつながり方に従って線で結ぶ。この線の中間に●に書き、節点と呼ぶ。

電源と起電力、電池の特性

・回路に電流を流すものを電源という。   
・電源は、その両端間に電位差を保持する力があり、この電位差により回路に電気せる。この力を起電力という。
・起電力を生み出すの原因には、化学反応(化学電池)、電磁誘導(発電機)、光電効果(太陽電池)、熱電効果(熱電対)などがある。

電池 

直流に近い電流を流す電源は電池である。

電池の起電力と内部抵抗 

電流を流さない状態の電池の両端の電圧(=電位差)を、電池の起電力という。   
電池の内部に小さな抵抗があるため、電池を流れる電流が増えるに従って両端電圧は下がってくる。  
従って電池は、起電力と内部抵抗が直列結合したものとみなされる。

抵抗器の特性、オームの法則

 抵抗とは 

電気を流そうとする力(電圧)に抵抗して電気の流れ(電流)を妨げる性質を電気抵抗(あるいは抵抗)という。

 オームの法則 

 ジュール熱 

キルヒホッフの第1法則、第2法則;回路の接続の仕方によって決まる電流の関係と電圧の関係

回路方程式

回路の素子の特性とキルヒホッフの法則から決まる電流関係式と電圧関係式を数式で表現すると、各回路素子を流れる電流と両端電圧を変数とする、連立の一次方程式が得られる。これを解けば、回路の動作の仕方が分かる。

 回路方程式の作成

・各回路素子(電源、抵抗)に流れる電流の正の方向を適当に定める。  
・各素子に番号  $ k $ を順に1,2,3,,,n(nは回路素子の個数)とつけ,そこを流れる電流を$ i_k $ 、その素子の電流の下流側の端子からみた上流側の端子の電圧を$v_k $ と表す。
・各素子の特性を数式(一次方程式)で書く。
たとえば第k素子が、抵抗値$r_k $ の抵抗ならば、$v_k=r_k i_k $ であり、
電圧$ E $の起電力ならば、そこの電流の下流側からみた上流側の電圧は、起電力の向きにより、$v_k= E $になるか、$v_k=- E $ 
・接点ごとにそこに流れ込む電流の和は、そこから流れ出る電流和に等しい(キルヒホッフの電流法則)ので、それを数式で表す。電流の関係式が得られる。
・回路の閉路毎に、そこを一周する時の電圧降下量の和は零に等しい(キルヒホッフの電圧法則)ので、それを数式で表す。電圧の関係式が得られる。
・キルヒホッフの電流法則と電圧法則から得られる一次方程式の中には、他の一次方程式を何倍かしたり、足し合わせて得られるものがあるので、それらを取り除くと、一次方程式の総数はn個となる(証明などは大学で学ぶ)。

 回路方程式を解く

n個の回路素子をもつ回路では、変数の総数は2n個。方程式の個数は素子特性の式がn個、キルヒホッフの法則からn個の計2n個。  
従って、変数の個数と一次方程式の個数が一致するので、この連立方程式は解くことができる。実際、変数を消去する計算を適切に何回か行うと、全ての変数の値を求めることができる。    
この計算を組織的に行うには、大学で学ぶ線形代数学が必要になる。変数が何万とある連立一次方程式の解が、線形代数学とコンピュータの計算力で求められる。

直流回路の計測機器

電気回路の各部の電圧や電流を計測する機器は電圧計、電流計と呼ばれる。

直流電圧計

直流電流計

交流回路

交流回路とは

交流と交流回路についての概説は以下をご覧ください。

交流と複素数

 交流回路の素子と特性

回路の接続とキルヒホッフの第1法則、第2法則

回路方程式

回路方程式の解法

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