簿記経理/勘定科目

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目次

概要

 簿記(bookkeeping)とは,ある経済主体が経済取引によりもたらされる資産・負債・純資産の増減を管理し, 併せて一定期間内の収益及び費用を記録することである[w1]

 簿記の表記方法(記帳法)には,単式簿記と複式簿記の2種類がある. 正確かつ公正に記述できる方法が確立している複式簿記は,企業会計や公益法人会計・独立行政法人会計などに広く用いられている. 現在では単に「簿記」という場合「複式簿記」を指すのが一般的である. 複式簿記においては,たとえば財貨で物品を購入した場合,物品を得たという事実と財貨を失ったという, 取引における2側面を遺漏なく記録しようとする[w1]

 経済活動に応じた簿記の方法論として,商業簿記と工業簿記がある[w1]

  • 商業簿記は,完成している商品を仕入れて販売する会社の財務状態を管理するための記帳方式であって,最も基本的な簿記である.
会社にも共通する決算に関する会計処理や,固定資産の償却処理なども「商業簿記」として取り扱うことが多い.
  • 工業簿記は,材料を仕入れ,製造し,製品を販売する会社の財務状態を記録・計算・報告するための記帳方式である.

勘定科目の概要

 勘定科目(account, account title)とは,複式簿記の仕訳や財務諸表などに用いる表示金額の名目をあらわす科目のことである[w2]

 簿記上の取引はすべて仕訳によって分類される. 仕訳においては,貸借対照表または損益計算書における終局的な位置(借方か貸方)にその勘定科目があれば,その勘定科目の増加を表し, 反対側にあればその勘定科目が減少することを意味するというルールがある[w2]

主な勘定科目

 主な勘定科目としては,貸借対照表(balance sheet)で用いられる

  • 資産(asset)
  • 負債(liability)
  • 純資産(net asset)

や,損益計算書(income (profit and loss) statement)で用いられる

  • 費用(expense)
  • 収益(revenue)

がある[w2]

凡例:以下の分類,科目名についての表記は

  • 大分類
    • 中分類(科目名,科目名,科目名)

とする.

貸借対照表に関連する勘定科目

資産、負債及び資本の各科目は、一定の基準に従って明瞭に分類しなければならない。

(企業会計原則 / 第三 貸借対照表原則 / 四 貸借対照表科目の分類)[w3]

資産

 資産(asset)は,大きく流動資産(current assets)と固定資産(fixed assets)に分けられる. 原則として借方が増加,貸方が減少になる[w2]

 資産に関する勘定科目の分類と科目名を以下に列挙する.

  • 流動資産
    • 現金・預金(現金,小口現金,普通預金,当座預金,定期預金,郵便貯金,通知預金,納税準備預金,定期積金)
    • 売上債権(受取手形 ,売掛金,割賦売掛金,有価証券)
    • 棚卸資産(商品,製品,積送品,試用品,原材料,貯蔵品,半製品,仕掛品)
    • その他流動資産(前渡金,前払費用,貸付金,仮払金,未収金,短期貸付金,未収収益,前払金,未着品)
  • 固定資産
    • 有形固定資産(建物,建物付属設備,構築物,機械装置,製造設備,工具器具備品,車両運搬具,船舶,土地,建設仮勘定,減価償却累計額)
    • 無形固定資産(営業権,借地権,特許権,商標権,電話加入権,のれん,ソフトウェア)
    • 投資その他資産(投資有価証券,出資金,差入保証金,長期貸付金,長期前払費用)
  • 繰延資産(創立費,開業費,新株発行費,社債発行費,社債発行差金,開発費,試験研究費及び建設利息)
  • 貸倒引当金

負債

 負債(liability)は,大きく流動負債(current liability)と固定負債(fixed liability)に分けられる. 借方が減少,貸方が増加になる[w2]

 負債に関する勘定科目の分類と科目名を以下に列挙する.

  • 流動負債
    • 仕入債務(買掛金,支払手形)
    • その他流動負債(短期借入金,未払金,未払費用,前受金,予約販売前受金,預り金,仮受金,前受収益,割引手形,借入金,未払法人税等,未払消費税等,仮受消費税,賞与引当金)
  • 固定負債(長期借入金,社債,退職給付引当金)

純資産

 純資産(net asset)は,借方が増加,貸方が減少になる[w2]

  • 純資産(資本金,資本準備金,利益準備金,利益剰余金,その他資本剰余金,その他有価証券評価差額金,元入金)

損益計算書に関連する勘定科目

損益計算書は、企業の経営成績を明らかにするため、一会計期間に属するすべての収益とこれに対応するすべての費用とを記載して経常利益を表示し、これに特別損益に属する項目を加減して当期純利益を表示しなければならない。

(企業会計原則 / 第二 損益計算書原則 / 一 損益計算書の本質)[w3]

収益

 収益(revenue)は,借方が消滅(減少),貸方が発生(増加)になる[w2]

  • 営業収益(売上)
  • 営業外収益(受取利息,受取配当金,有価証券売却益,有価証券評価益,為替差益,保証債務取崩益,雑収入)
  • 特別利益(固定資産売却益)

費用

 費用(expense)は,借方が発生(増加),貸方が消滅(減少)になる[w2]

  • 営業費用
    • 売上原価(仕入,期首商品棚卸高,期末商品棚卸高)
    • 販売費及び一般管理費(給料賃金,旅費交通費,修繕費,通信費,広告宣伝費,接待交際費,荷造運賃,福利厚生費,地代家賃,水道光熱費,消耗品費,保険料,租税公課,賃借料(リース),棚卸減耗費,貸倒金,支払利息,支払家賃,雑費,減価償却費,取替費)
  • 営業外費用(支払利息,有価証券売却損,有価証券評価損,為替差損)
  • 特別損失(固定資産売却損,固定資産評価損)

特別な機能を持つ勘定科目

  • 評価勘定
  • 統制勘定または統括勘定
  • 経過勘定

国際財務報告基準 (IFRS)

 国際財務報告基準書(IFRS)及び国際財務報告基準解釈指針委員会(IFRIC)解釈指針とは,国際会計基準審議会(IASB)による会計基準である. 2005年からEU域内の上場企業に対しては国際財務報告基準及び解釈指針のうち欧州委員会が認めたもの(EU会計基準)が強制適用とされている. また,EU域内の外国上場企業は,本国の会計基準がIFRSと同等でない場合には,2009年以降,IFRSの適用が強制される(いわゆる2009年問題)[w4]

 国際財務報告基準 (IFRS) と,日本の会計基準との主な違いは,参考文献 を参照のこと.

参考文献

関連項目

演習課題

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