論理的思考法/論理的思考と課題解決

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概要

最近ICTの発展,A.I. の高機能化などに伴いそれらを駆使できる論理的思考の重要性が強調され,様々な啓蒙書・記事がネット上にも公開されている.

例:


「グローバル化」で海外の人々との意思疎通に不自由がないようにと,語学力特に英語能力 の必要性が声高に唱えられているが,

A.I. の高機能化による外国語の自動翻訳ソフトの進歩は目覚ましく,むしろそれらを駆使して外国語会話を行うための「論理的に相手と話をする」能力が要求されるようになりつつある。宗教や文化,価値観が異なる人々と対話するには,自国内のみで通じる「情緒」ではなく,「論理」である. 「空気」は相手は読めない.

論理的思考法とは物事を組織的・体系的に整理し,矛盾や飛躍のない筋道を立てる思考法という事に尽きる.


「組織的・体系的に整理し」とは具体的には課題の本質的な問題を見極めることが全てと言って良い.

例えば,1990年代以降,日本国内では,構造改革・規制緩和の必要性と,財政赤字による国家財政の破綻の危機が声高に唱えられ,基礎的財政収支の赤字解消と,緊縮財政が推進されてきた. 財政健全化の必要性と取組 - 財務省

それらの政策が妥当なものであったか,改めて吟味する必要がありそうである. 特に国債発行,日銀金融緩和,積極的財政出動などに殆どの「政治家」,「政府官僚」,「有識者」,「大手メディア」は「国の借金・赤字拡大による財政破綻」や「急激なインフレの危険」を事由に反対し続けてきた.実際20年以上緊縮財政が続いてきた. https://www.zck.or.jp/site/column-article/4994.html


変動相場制の自国通貨を発行し,国債も自国通貨建ての国家がどのような事由で財政破綻するのか.


数年前に緊縮財政を推進してきた財務省自体が米国格付け機関の日本国債の評価格付け降格に抗議してこの疑問を提起したことは記憶に新しい. 外国格付け会社宛意見書要旨(財務省)


筆者ら経済学に不案内な一般人でも,自国通貨建て国債ならば,償還には自国通貨を発行すれば良いのではないのか, 国の借金というが,誰が誰に対して借金しまた返済の義務を負うのか等々素朴な疑問が生じる. 国の借金というのは,政府の借金であって国民の借金ではないのでは.政府の赤字は,国債などで民間に資金移動している ということではないのか. 増税の理由にこの「赤字」解消が挙げられているが,国民が税金で借金を返済する ということか.


ハイパーインフレの危険というが,日本国内で高いインフレが生じたのは,第2次大戦直後の産業生産手段の壊滅的状況下で国内の供給能力がひっ迫した一時期だけである. 要するにインフレは需要に対して供給が不足する状況で生じるのであって,現状の日本国内は戦災などによる生産設備・供給能力の崩壊は起きていない。むしろ現状では,緊縮財政で供給に対して需要が少なすぎるデフレが20年以上継続している.

緊縮財政が続けられ,治水用のダム,堤防,道路,地方の鉄道etc,国内インフラの劣化や整備の遅延で,近年の集中豪雨,台風などで甚大な被害が生じている.経済とは経世済民という言葉の略語とのことだが,現状の緊縮財政は済民をしているのか. 子孫につけを残さないというが,子孫たちの安全や生活を支えるインフラへの投資が負の遺産になるのか,敗戦後日本の復興に 立ち上がってくれた先達が作ってくれたダムや河川敷,新幹線網,高速道路網は現代の我々の負債になっているのか.


ごく最近(2020年11月)では,TVの著名な討論番組で,緊縮財政,構造改革を提唱,自身も政府の一員に参加し推進していた有名経済学者が 「財政均衡論は間違いだったことが判った」 「今年はまだ100兆円の国債を発行しても大丈夫。日銀が買い取っているんだから」 などの主張をしている.


この教材で扱う公理系の議論から見れば,このような相反する命題を「真」とする政策議論は「公理系」の矛盾そのものである.

矛盾した公理系ならば,どのような間違った政策でも正当化されてしまう.


論理的思考法が今後益々重要性を増していく.

参考文献

関連項目

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