物理/☆☆線形代数
提供: Internet Web School
(→ 我々の住む空間の数学的公理化) |
(→ ユークリッド空間) |
||
(間の14版分が非表示) | |||
1 行: | 1 行: | ||
= 線形代数 = | = 線形代数 = | ||
== 線形空間 == | == 線形空間 == | ||
- | === 線形空間 | + | === 線形空間(ベクトル空間) === |
- | + | *[[wikipedia_ja:ベクトル空間|ウィキペディア(ベクトル空間)]] | |
- | + | ||
- | + | ||
- | + | ||
- | + | ||
- | + | ||
- | + | ||
=== 計量線形空間=== | === 計量線形空間=== | ||
定義<br/> | 定義<br/> | ||
+ | Kを実数の集合(実数体)あるいは複素数の集合(複素数体)とする。<br/> | ||
K上の線形空間Vの任意の2元$\ x,\ y\ $に対して<br/> | K上の線形空間Vの任意の2元$\ x,\ y\ $に対して<br/> | ||
内積と呼ぶKの元$(x,y)$ が定まり、次の性質を持つとき、 | 内積と呼ぶKの元$(x,y)$ が定まり、次の性質を持つとき、 | ||
'''計量線形空間'''(metric linear space)あるいは'''内積空間'''(inner product space)という。<br/><br/> | '''計量線形空間'''(metric linear space)あるいは'''内積空間'''(inner product space)という。<br/><br/> | ||
- | + | (1)$(x,y_1+y_2)= (x,y_1) + (x,y_2) $ <br/> | |
+ | $\qquad \ (x_1+x_2,y )= (x_1,y) + (x_2,y) $ <br/> | ||
+ | $(2)\ (cx,y) = c(x,y), \qquad (x,cy) = \overline{c}(x,y)$<br/> | ||
+ | $(3)\ (x,y) = \overline{(y,x)}$ <br/> | ||
+ | $(4)\ (x,x) \in {\bf R},\ (x,x)\geq 0, $ <br/> | ||
+ | $\qquad \ (x,x)=0 \Leftrightarrow x=0 $ <br/> | ||
== 固有値と固有ベクトル== | == 固有値と固有ベクトル== | ||
- | + | [[wikibooks_ja:線型代数学/固有値と固有ベクトル|wikibooks_ja(線型代数学/固有値と固有ベクトル)]] | |
+ | |||
== ジョルダンの標準形 == | == ジョルダンの標準形 == | ||
- | + | *[[wikipedia_ja:ジョルダンの標準形 |ウィキペディア(ジョルダンの標準形 )]] | |
- | + | ||
== 我々の住む空間の数学的公理化 == | == 我々の住む空間の数学的公理化 == | ||
今までの議論をもとに、我々の住む空間の数学的な定義を与える(注参照)。<br/> | 今までの議論をもとに、我々の住む空間の数学的な定義を与える(注参照)。<br/> | ||
36 行: | 37 行: | ||
=== ユークリッド空間 === | === ユークリッド空間 === | ||
定義<br/> | 定義<br/> | ||
- | + | $S$を非空の集合、$V$をn次元内積空間とする。<br/> | |
+ | $S$と$V$の順序対$(S,V)$が次の3条件を満たすとき、n次元ユークリッド空間という。<br/> | ||
+ | (1)$S$の任意の2元$P,Q$の作る順序対$(P,Q)$に対して$V$の唯一の元$a$が対応する。<br/> | ||
+ | この$a$を$\overline{(PQ)}$と書く。<br/> | ||
+ | (2)$(\forall P\in S),(\forall a\in V),(\exists_{1} Q \in S)(\overline{(PQ)}=a)$<br/> | ||
+ | (3)$ a=\overline{(PQ)},b=\overline{(QR)} \Rightarrow a+b=\overline{(PR)}$<br/> | ||
+ | (注) ユークリッド空間$(S,V)$は、単にユークリッド空間$S$と略記されることが多い。<br/><br/> | ||
+ | 定義<br/> | ||
+ | ユークリッド空間$(S,V)$における$V$を、$S$に付随する計量空間という。<br/> | ||
+ | また$S$の元を点、$V$の元をベクトルという。<br/><br/> |
2024年8月23日 (金) 13:03 時点における最新版
目次 |
線形代数
線形空間
線形空間(ベクトル空間)
計量線形空間
定義
Kを実数の集合(実数体)あるいは複素数の集合(複素数体)とする。
K上の線形空間Vの任意の2元$\ x,\ y\ $に対して
内積と呼ぶKの元$(x,y)$ が定まり、次の性質を持つとき、
計量線形空間(metric linear space)あるいは内積空間(inner product space)という。
(1)$(x,y_1+y_2)= (x,y_1) + (x,y_2) $
$\qquad \ (x_1+x_2,y )= (x_1,y) + (x_2,y) $
$(2)\ (cx,y) = c(x,y), \qquad (x,cy) = \overline{c}(x,y)$
$(3)\ (x,y) = \overline{(y,x)}$
$(4)\ (x,x) \in {\bf R},\ (x,x)\geq 0, $
$\qquad \ (x,x)=0 \Leftrightarrow x=0 $
固有値と固有ベクトル
wikibooks_ja(線型代数学/固有値と固有ベクトル)
ジョルダンの標準形
我々の住む空間の数学的公理化
今までの議論をもとに、我々の住む空間の数学的な定義を与える(注参照)。
まずn次元内積空間の定義を与え、この空間の簡単な性質について説明する。
これは、空間のある点からみた他の点を、その方向と距離で定める時に必要になる。
これをもとにして我々の住む空間の数学モデルであるユークリッド空間の公理を与える。
この空間のなかに
直線、平面、長さや角度、平面の向きの定義を行い、その基本的性質を示す。
これを進めると、ユークリッド幾何学が建設できる。
我々の住む空間は3次元だが、数学的には何次元の場合も同じように扱えるので、
以下ではn次元空間で説明する($(n\in \{0\} \cup \bf{N}$)。
参考文献
斎藤正彦 線形代数入門 東京大学出版会
ユークリッド空間
定義
$S$を非空の集合、$V$をn次元内積空間とする。
$S$と$V$の順序対$(S,V)$が次の3条件を満たすとき、n次元ユークリッド空間という。
(1)$S$の任意の2元$P,Q$の作る順序対$(P,Q)$に対して$V$の唯一の元$a$が対応する。
この$a$を$\overline{(PQ)}$と書く。
(2)$(\forall P\in S),(\forall a\in V),(\exists_{1} Q \in S)(\overline{(PQ)}=a)$
(3)$ a=\overline{(PQ)},b=\overline{(QR)} \Rightarrow a+b=\overline{(PR)}$
(注) ユークリッド空間$(S,V)$は、単にユークリッド空間$S$と略記されることが多い。
定義
ユークリッド空間$(S,V)$における$V$を、$S$に付随する計量空間という。
また$S$の元を点、$V$の元をベクトルという。