物理/☆☆線形代数

提供: Internet Web School

(版間での差分)
( 計量線形空間)
( ユークリッド空間)
 
(間の13版分が非表示)
1 行: 1 行:
= 線形代数 =
= 線形代数 =
== 線形空間 ==
== 線形空間 ==
-
=== 線形空間   ===
+
=== 線形空間(ベクトル空間) ===
-
=== 線形空間の基底と次元  ===
+
*[[wikipedia_ja:ベクトル空間|ウィキペディア(ベクトル空間)]]
-
=== 線形部分空間  ===
+
-
=== 線形写像とその行列表現 ===
+
-
==== 線形写像の定義  ====
+
-
 
+
-
==== 自己共役写像、正規写像、ユニタリ写像  ====
+
-
==== 線形空間の基底と線形写像の行列表現  ====
+
=== 計量線形空間===
=== 計量線形空間===
定義<br/>
定義<br/>
 +
Kを実数の集合(実数体)あるいは複素数の集合(複素数体)とする。<br/>  
K上の線形空間Vの任意の2元$\ x,\ y\ $に対して<br/>
K上の線形空間Vの任意の2元$\ x,\ y\ $に対して<br/>
内積と呼ぶKの元$(x,y)$ が定まり、次の性質を持つとき、
内積と呼ぶKの元$(x,y)$ が定まり、次の性質を持つとき、
'''計量線形空間'''(metric linear space)あるいは'''内積空間'''(inner product space)という。<br/><br/>
'''計量線形空間'''(metric linear space)あるいは'''内積空間'''(inner product space)という。<br/><br/>
-
 (1)$(x,y_1+y_2)= (x,y_1) + (x,y_2) $ <br/>
+
(1)$(x,y_1+y_2)= (x,y_1) + (x,y_2) $ <br/>
-
        $(x_1+x_2,y )= (x_1,y) + (x_2,y) $ <br/>
+
$\qquad \ (x_1+x_2,y )= (x_1,y) + (x_2,y) $ <br/>
-
  (2)$(cx,y) = c(x,y), \qquad (x,cy) = \overline{c}(x,y)$<br/>
+
$(2)\ (cx,y) = c(x,y), \qquad (x,cy) = \overline{c}(x,y)$<br/>
 +
$(3)\ (x,y) = \overline{(y,x)}$ <br/>
 +
$(4)\ (x,x) \in {\bf R},\ (x,x)\geq 0, $ <br/>
 +
$\qquad \ (x,x)=0 \Leftrightarrow x=0 $ <br/>
== 固有値と固有ベクトル==
== 固有値と固有ベクトル==
-
=== 2次形式と2次曲線の分類===
+
[[wikibooks_ja:線型代数学/固有値と固有ベクトル|wikibooks_ja(線型代数学/固有値と固有ベクトル)]]
 +
 
== ジョルダンの標準形  ==
== ジョルダンの標準形  ==
-
=== 単因子に基ずく方法  ===
+
*[[wikipedia_ja:ジョルダンの標準形 |ウィキペディア(ジョルダンの標準形 )]]
-
=== 幾何学的方法  ===
+
 
== 我々の住む空間の数学的公理化 ==
== 我々の住む空間の数学的公理化 ==
今までの議論をもとに、我々の住む空間の数学的な定義を与える(注参照)。<br/>
今までの議論をもとに、我々の住む空間の数学的な定義を与える(注参照)。<br/>
38 行: 37 行:
=== ユークリッド空間    ===
=== ユークリッド空間    ===
定義<br/>
定義<br/>
-
Sを非空の集合、Vをn次元内積空間とする。<br/>
+
$S$を非空の集合、$V$をn次元内積空間とする。<br/>
 +
$S$と$V$の順序対$(S,V)$が次の3条件を満たすとき、n次元ユークリッド空間という。<br/>
 +
(1)$S$の任意の2元$P,Q$の作る順序対$(P,Q)$に対して$V$の唯一の元$a$が対応する。<br/>
 +
この$a$を$\overline{(PQ)}$と書く。<br/>
 +
(2)$(\forall P\in S),(\forall a\in V),(\exists_{1} Q \in S)(\overline{(PQ)}=a)$<br/>
 +
(3)$ a=\overline{(PQ)},b=\overline{(QR)} \Rightarrow a+b=\overline{(PR)}$<br/>
 +
(注) ユークリッド空間$(S,V)$は、単にユークリッド空間$S$と略記されることが多い。<br/><br/>
 +
定義<br/>
 +
ユークリッド空間$(S,V)$における$V$を、$S$に付随する計量空間という。<br/>
 +
また$S$の元を点、$V$の元をベクトルという。<br/><br/>

2024年8月23日 (金) 13:03 時点における最新版

目次

 線形代数

 線形空間

 線形空間(ベクトル空間)

 計量線形空間

定義
Kを実数の集合(実数体)あるいは複素数の集合(複素数体)とする。
   K上の線形空間Vの任意の2元$\ x,\ y\ $に対して
内積と呼ぶKの元$(x,y)$ が定まり、次の性質を持つとき、 計量線形空間(metric linear space)あるいは内積空間(inner product space)という。

(1)$(x,y_1+y_2)= (x,y_1) + (x,y_2) $ 
$\qquad \ (x_1+x_2,y )= (x_1,y) + (x_2,y) $ 
$(2)\ (cx,y) = c(x,y), \qquad (x,cy) = \overline{c}(x,y)$
$(3)\ (x,y) = \overline{(y,x)}$
$(4)\ (x,x) \in {\bf R},\ (x,x)\geq 0, $
$\qquad \ (x,x)=0 \Leftrightarrow x=0 $

 固有値と固有ベクトル

wikibooks_ja(線型代数学/固有値と固有ベクトル)

 ジョルダンの標準形

 我々の住む空間の数学的公理化

今までの議論をもとに、我々の住む空間の数学的な定義を与える(注参照)。
まずn次元内積空間の定義を与え、この空間の簡単な性質について説明する。
これは、空間のある点からみた他の点を、その方向と距離で定める時に必要になる。
これをもとにして我々の住む空間の数学モデルであるユークリッド空間の公理を与える。
この空間のなかに
直線、平面、長さや角度、平面の向きの定義を行い、その基本的性質を示す。
これを進めると、ユークリッド幾何学が建設できる。
我々の住む空間は3次元だが、数学的には何次元の場合も同じように扱えるので、
以下ではn次元空間で説明する($(n\in \{0\} \cup \bf{N}$)。
参考文献
斎藤正彦 線形代数入門 東京大学出版会

 ユークリッド空間

定義
$S$を非空の集合、$V$をn次元内積空間とする。
$S$と$V$の順序対$(S,V)$が次の3条件を満たすとき、n次元ユークリッド空間という。
(1)$S$の任意の2元$P,Q$の作る順序対$(P,Q)$に対して$V$の唯一の元$a$が対応する。
この$a$を$\overline{(PQ)}$と書く。
(2)$(\forall P\in S),(\forall a\in V),(\exists_{1} Q \in S)(\overline{(PQ)}=a)$
(3)$ a=\overline{(PQ)},b=\overline{(QR)} \Rightarrow a+b=\overline{(PR)}$
(注) ユークリッド空間$(S,V)$は、単にユークリッド空間$S$と略記されることが多い。

定義
ユークリッド空間$(S,V)$における$V$を、$S$に付随する計量空間という。
また$S$の元を点、$V$の元をベクトルという。

個人用ツール