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| 物質の持っている仕事をする能力をエネルギーという。 | | 物質の持っている仕事をする能力をエネルギーという。 |
| *[[wikipedia_ja:エネルギー|エネルギー(ウィキペディア)]]の自然科学の項を参照のこと。 | | *[[wikipedia_ja:エネルギー|エネルギー(ウィキペディア)]]の自然科学の項を参照のこと。 |
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| ===仕事の単位=== | | ===仕事の単位=== |
| 仕事の定義$W=\|\vec F\|\|\vec s\| \cos\theta$から、仕事の単位は、力の大きさ$\|\vec F\|$の単位と長さ$\|\vec s\|$の単位を掛けたものになる($ \cos\theta$ は無単位なので )。<br/> | | 仕事の定義$W=\|\vec F\|\|\vec s\| \cos\theta$から、仕事の単位は、力の大きさ$\|\vec F\|$の単位と長さ$\|\vec s\|$の単位を掛けたものになる($ \cos\theta$ は無単位なので )。<br/> |
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| これを$J$(ジュール)と呼ぶ。$J=Nm$である。 | | これを$J$(ジュール)と呼ぶ。$J=Nm$である。 |
| *[[wikipedia_ja:ジュール|ジュール(ウィキペディア)]] | | *[[wikipedia_ja:ジュール|ジュール(ウィキペディア)]] |
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- | == 質点系の運動==
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- | 2個以上の質点が集まって出来ている系を質点系という。<br/>
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- | 質点系というときは、各質点は密集していても、離れ離れでも良い。互いに固着しようが、自由に動けようが構わない。<br/>
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- | すべての物質は、分子の集合と考えたり、細分化して極小部分に分け、それらの集合と考えれば、十分な精度で、質点系とみなすことができる。<br/>
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- | そのため質点系の運動の法則を、ニュートンの運動法則から導出すれば、その応用範囲は非常に広い。
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- | === 質点系の運動と重心===
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- | 系の任意の2つの質点間には作用・反作用の法則を満たす力が働いていてもよい。<br/>
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- | この力を質点系の”内力”という。 <br/>
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- | 質点系の各質点に外部から力(外力という)が加わる時、この質点系はどんな運動をするだろうか。<br/>
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- | 質点系の各質点の位置を$\vec{r_i}$、質量を$m_i $とし、<br/>
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- | 質点$m_i$ に作用する外力を$\vec{f_i}$、<br/>
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- | $m_i$ に、他の質点$m_j $から作用する内力を$\vec{f_{ij}}$とする($i,j=1 \ldots N$)。<br/>
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- | すると、各質点に対して、運動の第2法則により、<br/>
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- | $d (m_i \vec{v_i})/dt=\vec{f_i}+\sum_{j\neq i}\vec{f_{ij}} $ $\qquad$ ここで$\vec{v_i}=d\vec{r_i}/dt$、<br/>
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- | 各ベクトルを自由ベクトルとみなして$i=1 \ldots N$について加え合わせると、$\vec{f_{ij}}+\vec{f_{ji}}=0$なので、<br/>
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- | $\frac{d^2}{dt^2} \sum_i{ m_i \vec{r_i}} =\frac{d}{dt} \sum_i{ m_i \vec{v_i}} =\sum_i{\vec{f_i}} $ <br/>
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- | が得られる。<br/>
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- | 質点系の全質量$M= \sum_i{m_i} $と質点系に働く全外力$\vec{F}= \sum_i{\vec{f_i}} $を用いて書きなおすと、<br/>
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- | $M\frac{d^2}{dt^2}(\sum_i{ m_i \vec{r_i}}/M)= \vec{F} $ <br/>
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- | 質点系の重心$\vec{R}$を $\quad \vec{R}=\sum_i{ m_i \vec{r_i}}/M $ で定義すると、<br/>
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- | $M\frac{d^2}{dt^2}\vec R= \vec{F} $ <br/>
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- | この式は、力$\vec{F}$をうける質量$M$の質点の運動方程式と同じである。<br/>
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- | 以下の解説も参考にしてください。
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- | *[[wikipedia_ja:質点|ウィキペディア(質点系の力学)]]
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- | ====複雑にみえる運動も重心の運動をみれば簡単である ====
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- | 体操選手の運動は、跳躍や着地などで空中をまいながら、回転や体の屈伸、ひねりなどを行う。大変複雑である。<br/>
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- | しかし、導出した質点系の重心の運動法則から、体の重心の運動は、投射体の運動であり、放物線をえがいて移動することが分かる。<br/>
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- | 空中に飛び出た瞬間の速度(速さと方向・向き)で、その軌跡は完全に決まってしまうのである。
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- | == 剛体の運動とつり合い==
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- | === 剛体===
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- | 剛体(Rigid body)とは、<br/>
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- | 質点系であって、それらの、どの2質点の間の距離も変わらない,特殊な系のことを言う。<br/>
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- | どの2質点の間の距離も変わらなければ変形は起こらない。<br/>
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- | 固くて変形しにくい物体を理想化した概念である。<br/>
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- | === 剛体の運動 ===
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- | 剛体は変形しない質点系なので、その運動は、重心の運動と、重心の周りの回転運動を合成したものになる。<br/>
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- | 重心の運動は前の節で説明したように、質点の運動と同じように簡単に扱える。<br/>
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- | 重心の周りの回転運動について解析するには、少し難しい数学が必要になる。<br/>
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- | *[[wikipedia_ja:剛体の力学|ウィキペディア(剛体の力学)]]を参照のこと。
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- | このテキストでは、固定軸の周りの回転運動を中心に、 剛体運動の初歩と釣合の条件について学ぶ。<br/>
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- | ===固定軸のまわりの回転運動 ===
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- | 剛体が、剛体の中を通る固定軸の周りを回転する運動(車輪の回転など)を考える。<br/>
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- | 応用も考え、回転軸は重心を通らなくてもよいように一般化しておく。<br/>
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- | (注)なお、軸が動かないようにするためには軸受が必要である。<br/>
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- | 工夫しても回転時に軸は軸受から多少の摩擦力を受け、回転にブレーキがかかる。<br/>
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- | しかし、これは無視出来るほど小さいと仮定する。<br/>
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- | すると軸が受ける力は、軸の変動を防ぎ、固定軸の周りの運動に限定させる作用を持ち、<br/>
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- | 回転を遅める作用は持たないことになる。
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- | ====回転運動の表示法 ====
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- | 固定軸まわりの剛体の運動はどのように表示したらよいだろうか。<br/>
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- | ・剛体の位置を表す変数;回転角<br/>
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- | 剛体が幾ら回転したか分かるように、剛体の、回転軸上にない一点$P_s$に印を付ける。<br/>
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- | 次に、角度を測る基準線をきめるため、座標系を決めよう。<br/>
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- | $P_s$から固定軸へ垂線をひき、その足を原点$O$とし,固定軸をz座標とする(静止した)3次元直交座標$O-xyz$を考える。<br/>
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- | 剛体が固定軸の周りを回転すると、印$P_s$はxy平面上を、原点$O$を中心に円を描いて動くことになる。<br/>
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- | その位置ベクトル$\vec{OP_s}$がx軸の正方向となす角度$\phi$を、回転角と呼ぶ。図参照。<br/>
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- | 但し、x軸から反時計回りの角を正にする。<br/>
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- | また一回転した後ならば、一回転の角$2\pi$を加え、逆周りに一回転した後なら$2\pi$を引き、<br/>
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- | 角度だけでなく回転数も分かるようにする。<br/>
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- | 回転角が指定されると、点$P_s$の位置が決まる。<br/>
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- | それだけでなく剛体は変形しないので、剛体のすべての点の位置がきまる。<br/>
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- | そこで回転角$\phi$の時間変化$\phi=\phi (t)$を明らかにすれば、剛体の回転運動は定まる。<br/>
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- | 固定軸のまわりの回転運動において回転角の果たし役割は、質点の運動において質点の位置が果たし役割に対応していることが分かる。<br/>
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- | ・回転の角速度と角加速度<br/>
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- | $\phi=\phi (t)$を時間で微分した$d\phi (t)/dt$を回転の角速度と呼ぶ。<br/>
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- | 直観的には、時刻$t$の瞬間の、回転の速さ(回転角の時間に対する変化率)を表す。<br/>
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- | さらにもう一回時間微分した$d^2\phi (t)/dt^2$を回転の角加速度と呼ぶ。<br/>
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- | ====回転力(トルク) ====
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- | 質点の運動に倣って、剛体に作用する力によって、その位置(=回転角)がどう変化するかの法則を導出したい。<br/>
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- | しかし、剛体の回転の場合、ある方向の力は、剛体の回転に全く関係しない。
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- | 例えば、回転軸から放射状にでる半直線方向の力は全く回転の変化に寄与しない。<br/>
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- | そこで剛体の回転を変化させる力とはなにかという問題から考察する必要が起こる。<br/>
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- | 質点運動における力の定義(力と運動量の変化の関係)や力と仕事の関係など力の係っている式のなかから、<br/>
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- | 剛体の回転運動に容易に拡張出来るものを選び、その式から、回転に関する力を求めることを試みる。<br/>
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- | 力の定義からは、回転運動への拡張を、推測することは難しい。<br/>
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- | 力と仕事の関係の考察をしてみよう。
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- | =====力と仕事の関係からの考察 =====
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- | 適当な直交座標系をさだめ、ベクトルは、座標成分で表示する。<br/>
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- | 質点に、一定の力$\vec F=(F_x,F_y,F_z)$を作用させて、x軸方向に変位させる。<br/>
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- | 質点はこの軸の上でしか動けないように拘束され、摩擦はないと仮定する。<br/>
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- | 質点の変位ベクトルは一次元の変数$x$を使って$\vec s=(x,0,0)$と表せる。<br/>
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- | すると力のなす仕事は、$W=\vec F \cdot (x,0,0)=F_{x}x$である。 <br/>
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- | 逆に物体に一定の力を加え、x軸上で$x$だけ変位させた時の仕事$W$が分かれば、質点を動かした力は<br/>
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- | $F_x=W/x$<br/>で求められる。<br/>
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- | $F_y,F_z$は、質点をx軸上で動かすことには全く寄与せず、<br/>
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- | x軸に拘束された質点を動かす力は、$F_x$なのである。<br/>
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- | 固定軸まわりの回転もその変位は一次元の変数である回転角度で表わせるので、<br/>
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- | これに倣って、<br/>
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- | $W/$回転した角度 <br/>
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- | を、回転にかんする力であると考える。これを回転力と呼ぶ。'''トルク'''ともいう。<br/>
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- | この方針を実行して回転力を具体的に求めよう。<br/>
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- | =====剛体に力を加え微小角動かす時の、力のなす仕事の算出 =====
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- | 図4.1のように剛体の任意の一点$P(x,y,z)$を考える。<br/>
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- | z座標の上方からxy平面を見下ろしているので、z座標は点になり$O$と書いてある。<br/>
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- | [[File:GENPHY00010004 fig4-1.jpg|right|frame|図4.1 ☆☆キャプションはココに書いて下さい☆☆]]
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- | まず一点$P(x,y,z)$に力$\vec F=(F_{x},F_{y},F_{z})$が作用して、微小角$\Delta\theta$だけ回転したときの<br/>
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- | 仕事$\Delta W$を計算し回転力を求めよう。<br/>
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- | $P$点から回転軸(z軸)に垂線を下ろし、その足を$O'=(0,0,z)$とする。<br/>
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- | $\vec{O'P}$の長さを$r$、x軸となす角を$\theta$(ラジアン)と置く。<br/>
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- | この角度は、<br/>
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- | 剛体につけた印の位置ベクトル$\vec{OP_s}$がx軸となす回転角$\phi$と<br/>
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- | このベクトルと$\vec{O'P}$(をxy平面に平行移動したベクトル)の間の角の和である。<br/>
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- | 後者は、剛体なので、運動しても変わらない定数である。そこで、$\theta=\phi+$定数,と書ける。<br/>
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- | 剛体がz軸の周りを微小角$\Delta\theta$回転して、点$P$が図の点$Q$に移動したとする。<br/>
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- | すると角$\angle OPQ$はほぼ直角(=$\pi /2$)で$\vec{PQ}$の長さ$PQ$は、$PQ=r(\Delta\theta)$。<br/>
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- | $\vec{PQ}$のx成分とy成分は、図4-1中に示したように、それぞれ、$-QR=-PQ*y/r$、$PR=PQ*x/r$。<br/>
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- | $PQ=r(\Delta\theta)$を代入すると、<br/>
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- | $\vec{PQ}_x=-y(\Delta\theta)$、$\vec{PQ}_y=x(\Delta\theta)$、$\vec{PQ}_z=0$<br/>
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- | 点$P(x,y,z)$に作用する力$\vec{F}=(F_{x},F_{y},F_{z})$が、物体を$\vec{PQ}$だけ動かしたので、<br/>
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- | その仕事は、$\Delta W=\vec{F} \cdot \vec{PQ}$(内積)。<br/>
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- | この右辺を内積の性質を用いて座標成分で表すと、<br/>
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- | $F_{x}*(-y)\Delta\theta+F_{y} x\Delta\theta+F_{z}* 0$<br/>
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- | $=(xF_{y}-yF_{x})*\Delta\theta$ <br/>
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- | =====z軸まわりの回転力の導出 =====
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- | ゆえに、力$\vec{F}$のz軸まわりの回転力(トルク)$T_\vec{e_z}$は$\Delta W/\Delta\theta=xF_{y}-yF_{x}$
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- | に等しい。<br/>
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- | これより、$\Delta W=T_\vec{e_z}\Delta\theta$が得られる。<br/>
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- | この式と、直線上に拘束された質点の運動における、力と仕事の関係式( 節 項)と対比させると、<br/>
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- | $T_\vec{e_z}$ は、拘束された直線の上を動かすときに、働いた力の成分が対応し、<br/>
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- | $\Delta\theta$ は、変位量 に対応していることが分かる。<br/>
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- | =====z軸まわりの回転力(トルク)の性質=====
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- | (1)力$\vec{F}$のz軸まわりの回転力は,$\vec{F}_z$には関係しない。<br/>
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- | 言いかえるとz軸を固定軸とする剛体にz軸の方向の力を加えても、z軸の周りの回転は起こらない。<br/>
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- | (2)剛体の1点$P(x,y,z)$に作用する力$\vec F$を考える。<br/>
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- | 点$P(x,y,z)$からz軸に下ろした垂線の足を$O'(0,0,z)$と書く。
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- | 力$\vec F$を、,
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- | $\vec{O'P}$方向の成分$\vec F_r$と、<br/>
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- | z軸まわりの回転により$P$の描く、$O'$を中心とする回転円の(左回りの)接線方向の成分$\vec F_t$<br/>
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- | および、これら2成分に直交する成分(z軸と平行)<br/>
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- | に分解する(図参照)。この時、<br/>
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- | ・力$\vec F_r$のz軸まわりの回転力は、零である。<br/>
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- | すなわち、動径方向の力は回転に寄与しない。 <br/>
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- | ・力$\vec F$のz軸まわりの回転力は、$\vec F_t$のz軸まわりの回転力に等しい。<br/>
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- | 数式で表すと、$xF_{y}-yF_{x}=x(F_t)_{y}-y(F_t)_{x}$<br/>
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- | (3)剛体に作用する力の作用点を、力の作用線上で動かす限り、回転力は変化しない。<br/>
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- | ここで、力の作用線とは、力の作用点を通り、力の方向と重なる直線のこと。<br/>
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- | <br/>これらはいずれも直観と合致する。<br/>
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- | 証明は、試みてほしい。
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- | =====他の軸の周りの回転力=====
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- | 力$\vec{F}$のx軸、y軸まわりの回転力も同様に計算できる。結果は、<br/>
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- | x軸まわりの回転力;$yF_{z}-zF_{y}=y(F_t)_{z}-z(F_t)_{y}$<br/>
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- | y軸まわりの回転力;$zF_{x}-xF_{z}=z(F_t)_{x}-x(F_t)_{z}$
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- | =====原点まわりの力のモーメント=====
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- | 位置ベクトル$\vec r=(x,y,z)$の剛体の点$P$に作用する力$\vec F$の原点まわりの力のモーメントを、<br/>
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- | $\vec N=($x軸まわりのトルク、y軸まわりのトルク、z軸まわりのトルク$)$で定義する。<br/>
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- | 数式で書くと、<br/>
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- | $\vec N=(yF_{z}-zF_{y},zF_{x}-xF_{z},xF_{y}-yF_{x})$,<br/>
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- | =====ベクトル積と力のモーメントのベクトル積表示=====
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- | 以上の結果は、ベクトル積(クロス積ともいう)を用いると簡潔、正確に表現でき、<br/>
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- | 回転運動の性質を調べるのが容易になる。<br/>
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- | 3次元ベクトル$\vec a,\vec b$ のベクトル積$\vec a \times \vec b$とは、3次元ベクトルであり,<br/>
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- | 大きさは$\vec a,\vec b$ を2辺とする平行四辺形の面積に等しく、<br/>
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- | 方向はこの四辺形に垂直で、向きは、$(\vec a,\vec b,\vec a \times \vec b)$が右手系をなすように定めたものである。<br/>
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- | *[[wikipedia_ja:クロス積|ウィキペディア(クロス積)]]
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- | 次の項で説明するベクトル積の性質6を用いると、<br/>
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- | 位置ベクトル$\vec r$の点に作用する$\vec F$ の<br/>
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- | 原点まわりの力のモーメントは、$\vec N = \vec r \times \vec F$ <br/>
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- | x軸まわりの回転力(トルク)は、$\vec N \cdot \vec e_x $ と表せることが分かる。<br/>
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- | y軸とz軸周りの回転力も、それぞれ <br/>
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- | $\vec N \cdot \vec e_y $ ,$\quad \vec N \cdot \vec e_z $で
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- | 表せる。
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- | ====== ベクトル積の性質======
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- | 力のモーメントやトルクの性質を調べるには、ベクトル積の性質についての知識が必要になる。<br/>
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- | $ \vec{a}, \vec{b}, \vec{c}$を3次元ベクトル<br/>
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- | $\alpha$を実数とする。<br/>
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- | すると次の性質が成り立つ。<br/>
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- | 性質1. $ \quad \vec{a} $ を, $\vec{c} $と垂直な成分$ \vec{a_\perp}$ と,平行な成分$\vec{a_\parallel}$ の和に分解するとき、 <br/>
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- | $\quad \vec{a} \times \vec{c}= \vec{a_\perp} \times \vec{c}$ <br/>
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- | $\quad \vec{a_\parallel} \times \vec{c}= 0$ <br/>
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- | 性質2.$ \quad \vec{a} \times \vec{b}= -\vec{b} \times \vec{a}$ <br/>
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- | 性質3.$ \quad (\vec{a}+ \vec{b})\times \vec{c}= \vec{a} \times \vec{c} + \vec{b} \times \vec{c}$ <br/>
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- | 性質3の系. $ \quad \vec{a} \times (\vec{b}+ \vec{c})= \vec{a} \times \vec{b} + \vec{a} \times \vec{c}$<br/>
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- | $ \quad (\vec{a}+ \vec{b}+\vec{c})\times \vec{d}=\vec{a}\times \vec{d}+\vec{b}\times \vec{d}+\vec{c}\times \vec{d}$<br/>
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- | 性質4.$ \quad (\alpha\vec{a})\times \vec{b}= \alpha(\vec{a} \times \vec{b})= \vec{a}\times (\alpha\vec{b})$ <br/>
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- | 性質5.$\quad (\vec{e_1},\vec{e_2}, \vec{e_3})$ を<br/>
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- | それぞれ大きさ(長さ)1で互いに直交し、[[wikipedia_ja:右手系|右手系]]をなす、ベクトル(右手系をなす正規直交基底)とする。<br/>
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- | この時、<br/>
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- | $ \quad \vec{e_1} \times \vec{e_2} = \vec{e_3}, \quad
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- | \vec{e_2} \times \vec{e_3} = \vec{e_1}, \quad
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- | \vec{e_3} \times \vec{e_1} = \vec{e_2}$<br/>
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- | 性質6.ベクトル$\vec a, \vec b$を,性質5で用いた基底$ (\vec{e_1},\vec{e_2}, \vec{e_3})$ で決まる座標の座標成分で表示しておく。<br/>
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- | すると$\vec a \times \vec b=(a_yb_z-a_zb_y,a_zb_x-a_xb_z,a_xb_y-a_yb_x)$ <br/>
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- | 性質7.$ \quad (\vec{a} \times \vec{b})\cdot \vec{c}= (\vec{c} \times \vec{a})\cdot\vec{b} =(\vec{b} \times \vec{c})\cdot\vec{a}$ <br/>
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- | 性質8. $ \quad \vec{a(t)} $ と $\vec{b(t)} $を,$t$にかんして微分可能な、ベクトルに値をとる関数とする。すると、<br/>
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- | $ \quad \vec{a(t)} \times \vec{b(t)}$ は、$t$にかんして微分可能で、<br/>
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- | $ \quad \frac{d}{dt}(\vec{a(t)} \times \vec{b(t)}) =(\frac{d}{dt}\vec{a(t)} )\times \vec{b(t)}+\vec{a(t)}\times (\frac{d}{dt}\vec{b(t)})$
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- | ======証明======
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- | 性質1の証明;ベクトル積の定義から、容易に示せる。<br/>
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- | 2つのベクトルの作る平行四辺形の面積と方向・向きを考えれば良い。<br/>
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- | 性質2の証明;2つのベクトルを入れ替えても、それらが作る平行四辺形の面積は変わらず、この四辺形に直交する直線の方向も変わらない。しかし、右手系をなす方向は、逆向きになる。ベクトル積の定義から、$ \qquad \vec{a} \times \vec{b}= -\vec{b} \times \vec{a}$ が示せた。<br/>
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- | 性質3の証明;<br/>
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- | この証明には少し工夫が必要である。<br/>
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- | ベクトル積の性質の中でも、もっとも大切なものなので、詳しく説明しよう。<br/>
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- | ① $ \vec{a}, \quad \vec{b}$ と$ \vec{c}$ が直交する場合。図参照のこと<br/>
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- | ・議論をやさしくするため、ベクトルを、空間の原点$O$ を始点とする有向線分で代表させる。<br/>
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- | ・$ \vec{c}$ と直交し$O$ を通る平面を$H$とする。<br/>
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- | ・仮定より$ \vec{a},\quad \vec{b}$は、ともに平面$H$上のベクトルである。<br/>
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- | ・$\vec{a} \times \vec{c} ,\quad \vec{b} \times \vec{c}$も、<br/>
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- | ベクトル積の定義により、共に$ \vec{c}$ と直交するので、$H$上のベクトルである。<br/>
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- | これら四つのベクトルはすべて平面$H$上にあるので、今後の議論はこの平面上で進める。<br/>
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- | ⅰ)$\vec{a} \times \vec{c}, \vec{b} \times \vec{c}$ の張る平行四辺形は, <br/>$\vec{a}, \vec{b}$の張る平行四辺形を、$\| \vec{c}\|$倍し,原点周りに90度回転したものになることを、示そう。<br/><br/>
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- | ・$\vec{a} \times \vec{c} $は、ベクトル積の定義から、$ \vec{a}$ と直交する。<br/>
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- | そのため、$\vec{a}$ を平面$H$上で、原点まわりに、90度右回りか、左回りすれば、方向と向きが一致する。<br/>
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- | ・$\vec{b} \times \vec{c} $も、同様に考え、$\vec{b}$ を平面$H$上で、原点まわりに、90度右回りか、左回りすれば、方向と向きが一致することが分かる。<br/>
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- | ・どちら周りの回転になるかは、ベクトル積の定義によって決まるが、<br/>
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- | 後者の回転の向きが、前者の回転の向きと一致することが分かる。<br/>
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- | ・$\vec{a}\times \vec{c}$ の大きさは、<br/>
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- | $\|\vec{a}\times \vec{c}\|=\|\vec{a}\|\|\vec{c}\|\cos\pi/2=\|\vec{a}\|\|\vec{c}\|$ なので、$\vec{a}$ の大きさの$\|\vec{c}\|$倍になる。<br/>
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- | 同様に、$\vec{b}\times \vec{c}$ の大きさは、$\vec{a}$ の大きさの$\|\vec{c}\|$倍になる。<br/>
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- | ・以上の結果より、所望の結果は示された。<br/><br/>
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- | ⅱ)$ \qquad (\vec{a}+ \vec{b})\times \vec{c}= \vec{a} \times \vec{c} + \vec{b} \times \vec{c}$を示そう。<br/>
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- | ・ ⅰ)と同じ議論により、<br/>
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- | $(\vec{a}+ \vec{b}) \times \vec{c}$は$\vec{a}, \vec{b}$の張る平行四辺形の対角線を、原点周りに90度、同じ向きに回転させ、$\|\vec{c}\|$倍させたものであることが分かる。<br/>
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- | ・すると、ⅰ)で示したことから、$(\vec{a}+ \vec{b}) \times \vec{c}$は<br/>
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- | $\vec{a} \times \vec{c}, \vec{b} \times \vec{c}$ の張る平行四辺形の対角線$\vec{a} \times \vec{c}+\vec{b} \times \vec{c}$ に等しいことが分かる。<br/>
| |
- | ・以上で①が示せた。<br/>
| |
- |
| |
- | ② 一般の場合。<br/>
| |
- | 性質1より、$\perp$ を$\vec{c}$と垂直な成分を表すとすると、 $ (\vec{a}+ \vec{b})\times \vec{c}= (\vec{a}+ \vec{b})_\perp \times \vec{c} \qquad \qquad \qquad $(1)<br/>
| |
- | $(\vec{a}+ \vec{b})_\perp =\vec{a}_\perp +\vec{b}_\perp$なので、(1)式は、<br/>
| |
- | $ = (\vec{a}_\perp +\vec{b}_\perp) \times \vec{c}$ <br/>
| |
- | ①より、<br/>
| |
- | $ = \vec{a}_\perp \times \vec{c}+\vec{b}_\perp\times \vec{c}=\vec{a} \times \vec{c}+\vec{b} \vec{c}$ $ \qquad $ 性質3の証明終わり。<br/>
| |
- | 性質3の系の証明;<br/>
| |
- | 性質2より、<br/>
| |
- | $\vec{a} \times (\vec{b}+ \vec{c})= -(\vec{b}+ \vec{c})\times \vec{a} $<br/>
| |
- | 性質3より、
| |
- | $= -(\vec{b} \times \vec{a}+ \vec{c} \times \vec{a})$ <br/>
| |
- | 再び性質2より、<br/>
| |
- | $=\vec{a} \times \vec{b} + \vec{a} \times \vec{c} \quad $前半の証明終わり <br/>
| |
- | 性質2より、<br/>
| |
- | $ \quad (\vec{a}+ \vec{b}+\vec{c})\times \vec{d}=(\vec{a}+ \vec{b})\times \vec{d}+\vec{c})\times \vec{d}$ <br/>
| |
- | 再び性質2より、<br/>
| |
- | $ =\vec{a}\times \vec{d}+\vec{b}\times \vec{d}+\vec{c}\times \vec{d}$
| |
- | $\quad$証明終わり。<br/>
| |
- |
| |
- | 性質4の証明;実数$\alpha$ が正、零、負の場合に分けて考える。いずれの場合にも
| |
- | ベクトル積の定義とベクトルと実数の積の性質から、容易に証明できる。<br/>
| |
- | 性質5の照明;ベクトル積と$(e_1,e_2,e_3)$ の定義から明らかである。<br/>
| |
- | 性質6の証明;$\vec a=a_x\vec{e_x}+a_y\vec{e_y}+a_z\vec{e_z}$, <br/>
| |
- | $\vec b=b_x\vec{e_x}+b_y\vec{e_y}+b_z\vec{e_z}$と表せるので、<br/>
| |
- | $\vec a \times \vec b=(a_x\vec{e_x}+a_y\vec{e_y}+a_z\vec{e_z})\times \vec b$
| |
- | 性質3の系から<br/>
| |
- | $=a_x\vec{e_x}\times \vec b
| |
- | +a_y\vec{e_y}\times \vec b
| |
- | +a_z\vec{e_z}\times \vec b$ $\qquad$ (1)<br/>
| |
- |
| |
- | 式(1)の第1項
| |
- | $a_x\vec{e_x}\times \vec b$
| |
- | に
| |
- | $\vec b=b_x\vec{e_x}+b_y\vec{e_y}+b_z\vec{e_z}$
| |
- | を代入して、性質3の系を使って変形すると、<br/>
| |
- | $a_x\vec{e_x}\times \vec b
| |
- | =a_x\vec{e_x}\times b_x\vec{e_x}
| |
- | +a_x\vec{e_x}\times b_y\vec{e_y}
| |
- | +a_x\vec{e_x}\times b_z\vec{e_z}$ $\qquad$ (2) <br/>
| |
- | 性質4と性質5を使うと、<br/>
| |
- | $a_x\vec{e_x}\times b_x\vec{e_x}
| |
- | =a_x b_x\vec{e_x}\times \vec{e_x}
| |
- | =\vec 0$ 。<br/>
| |
- | 同様の計算を行うと、<br/>
| |
- | $a_x\vec{e_x}\times b_y\vec{e_y}
| |
- | =a_x b_y\vec{e_x}\times \vec{e_y}
| |
- | =a_x b_y\vec{e_z}$ <br/>
| |
- |
| |
- | $a_x\vec{e_x}\times b_z\vec{e_z}
| |
- | =a_x b_z\vec{e_x}\times \vec{e_z}
| |
- | =-a_x b_z\vec{e_y}$ <br/>
| |
- |
| |
- | 式(2)にこれらを代入して、<br/>
| |
- | $a_x\vec{e_x}\times \vec b
| |
- | =a_x b_y\vec{e_z} - a_x b_z\vec{e_y} $ $\qquad$ (3)<br/>
| |
- |
| |
- | 式(1)の第2項、第3項も同様に計算すると、<br/>
| |
- | $a_y\vec{e_y}\times \vec b
| |
- | =a_y b_z\vec{e_x} - a_y b_x\vec{e_z} $ $\qquad$ (4)<br/>
| |
- |
| |
- | $a_z\vec{e_z}\times \vec b
| |
- | =a_z b_x\vec{e_y} - a_z b_y\vec{e_x} $ $\qquad$ (5)<br/>
| |
- |
| |
- | 式(3),(4),(5) を、式 (1)に代入すると、<br/>
| |
- | $\vec a \times \vec b
| |
- | =a_x b_y\vec{e_z} - a_x b_z\vec{e_y}
| |
- | +a_y b_z\vec{e_x} - a_y b_x\vec{e_z}
| |
- | +a_z b_x\vec{e_y} - a_z b_y\vec{e_x}$ <br/>
| |
- | $ =(a_y b_z - a_z b_y)\vec{e_x}
| |
- | +(a_z b_x - a_x b_z)\vec{e_y}
| |
- | +(a_x b_y - a_y b_x)\vec{e_z}$ <br/>
| |
- | 性質6の証明終わり。<br/>
| |
- |
| |
- | 性質7の証明;<br/>
| |
- | $ \quad (\vec{a} \times \vec{b})\cdot \vec{c}= (\vec{c} \times \vec{a})\cdot\vec{b}$を証明しよう。<br/>
| |
- | 残りも、同様に証明出来るので各自試みてください。<br/>
| |
- | 右手系をなす一つの直交座標を決める。<br/>
| |
- | 3つのベクトルを、この座標の成分で表示して、性質6と内積の性質を使えば、左右が等しいことが証明できる。<br/>
| |
- | 概略をスケッチしよう。<br/>
| |
- | $ \quad (\vec{a} \times \vec{b})\cdot \vec{c}
| |
- | =(a_yb_z-a_zb_y,a_zb_x-a_xb_z,a_xb_y-a_yb_x)
| |
- | \cdot (c_x,c_y,c_z)
| |
- | =(a_yb_z-a_zb_y)c_x+(a_zb_x-a_xb_z)c_y+(a_xb_y-a_yb_x)c_z$ <br/>
| |
- | $ \quad (\vec{c} \times \vec{a})\cdot\vec{b}$も、これと同じように計算する。<br/>これら両式を整頓すると、同じものであることが分かる。<br/>
| |
- | 性質7の証明終わり。
| |
- | 性質8の証明;<br/>
| |
- | 性質8. $ \quad \vec{a(t)} $ と $\vec{b(t)} $を,$t$にかんして微分可能な、ベクトルに値をとる関数とする。すると、<br/>
| |
- | $ \quad \vec{a(t)} \times \vec{b(t)}$ は、$t$にかんして微分可能で、<br/>
| |
- | $ \quad \frac{d}{dt}(\vec{a(t)} \times \vec{b(t)})$ <br/>
| |
- | $ \quad =(\frac{d}{dt}\vec{a(t)} )\times \vec{b(t)}+\vec{a(t)}\times (\frac{d}{dt}\vec{b(t)})$
| |
- | すでにこのテキストで紹介した、ベクトル値関数の微分の定義を用いて証明する。<br/>
| |
- | $ \quad \frac{d}{dt}(\vec{a(t)} \times \vec{b(t)})
| |
- | =\lim_{\delta t \to 0}
| |
- | (\vec a(t+\delta t)\times \vec{b(t+\delta t)}- \vec{a(t)} \times \vec{b(t)})/\delta t$ $\qquad $ (1) <br/>
| |
- | この極限が存在し、<br/>
| |
- | $\frac{d}{dt}\vec{a(t)} \times \vec{b(t)}+\vec{a(t)}\times \frac{d}{dt}\vec{b(t)}$<br/>
| |
- | になることを示せば性質8は証明できたことになる。<br/>
| |
- | 極限の計算が進むよう、右辺の式の分母は変形しよう。<br/>
| |
- | 関数の積の微分公式の証明と同じ技巧を用いる。<br/>
| |
- | $ \vec a(t+\delta t)\times \vec{b(t+\delta t)}
| |
- | - \vec{a(t)} \times \vec{b(t)}$ <br/>
| |
- | $ = \vec a(t+\delta t)\times \vec{b(t+\delta t)}
| |
- | -\vec a(t)\times \vec{b(t+\delta t)}
| |
- | +\vec a(t)\times \vec{b(t+\delta t)}
| |
- | - \vec{a(t)} \times \vec{b(t)}$ <br/>
| |
- | ベクトル積の性質3を利用すると、 <br/>
| |
- | $ = \left(\vec a\left(t+\delta t\right) -\vec a\left(t\right)\right)
| |
- | \times
| |
- | \vec b\left(t+\delta t\right)
| |
- | +\vec a\left(t\right)\times \left(\vec b\left(t+\delta t\right)- \vec b\left(t\right)\right) $
| |
- |
| |
- | この式を式(1)の右辺の分子の項に代入し整頓すると<br/>
| |
- | $ \quad \frac{d}{dt}(\vec{a(t)} \times \vec{b(t)})
| |
- | =\lim_{\delta t \to 0}
| |
- | \frac{\vec a(t+\delta t)\times \vec b(t+\delta t)- \vec a(t) \times \vec b(t)}
| |
- | {\delta t}$ <br/>
| |
- | $=\lim_{\delta t \to 0}
| |
- | \frac{\left(\vec a\left(t+\delta t\right) -\vec a\left(t\right)\right)
| |
- | \times
| |
- | \vec b\left(t+\delta t\right)
| |
- | +\vec a\left(t\right)\times \left(\vec b\left(t+\delta t\right)- \vec b\left(t\right)\right) }
| |
- | {\delta t}
| |
- | $ <br/>
| |
- | ベクトル積の性質4を使い、<br/>
| |
- | $=\lim_{\delta t \to 0}\left(
| |
- | \frac{\vec a(t+\delta t) -\vec a(t)}{\delta t}
| |
- | \times
| |
- | \vec b\left(t+\delta t\right)
| |
- | +
| |
- | \vec a(t)\times \frac{\vec b(t+\delta t)- \vec b(t)}
| |
- | {\delta t}
| |
- | \right)$ <br/>
| |
- | 極限の性質を使って、<br/>
| |
- | $=\lim_{\delta t \to 0}
| |
- | \frac{\vec a(t+\delta t) -\vec a(t)}{\delta t}
| |
- | \times
| |
- | \lim_{\delta t \to 0}\vec b(t+\delta t)
| |
- | +
| |
- | \vec a(t)\times
| |
- | \lim_{\delta t \to 0}\frac{\vec b(t+\delta t)- \vec b(t)}{\delta t}
| |
- | $ <br/>
| |
- | 式中の極限は、$\vec a,\vec b$が、微分可能なので存在し、 <br/>
| |
- | $\lim_{\delta t \to 0} \frac{\vec a(t+\delta t) -\vec a(t)}{\delta t}
| |
- | =\frac{d\vec a(t)}{dt}$ <br/>
| |
- | $\lim_{\delta t \to 0} \frac{\vec b(t+\delta t) -\vec b(t)}{\delta t}
| |
- | =\frac{d\vec b(t)}{dt}$ <br/>
| |
- | また、$\lim_{\delta t \to 0}\vec b(t+\delta t)=\vec b(t) $ なので、 <br/>
| |
- | 所望の結果が得られた。性質8の証明終わり。
| |
- |
| |
- | ===== 力のモーメントの性質 =====
| |
- | ベクトル積の性質が分かったところで、再び、力のモーメントの考察に戻る。<br/>
| |
- | 剛体の一点 $P$ に加えられた力 $\vec F$ の、原点周りの力のモーメントは、<br/>
| |
- | $\vec N= \vec r \times \vec F= \vec{OP} \times \vec F$ で定義した。<br/>
| |
- | すると、<br/>
| |
- | x軸まわりの回転力(トルク)は、$T_{\vec e_x}=\vec N \cdot \vec e_x $ 、<br/>
| |
- | y軸とz軸周りの回転力も、それぞれ <br/>
| |
- | $T_{\vec e_y}=\vec N \cdot \vec e_y ,\quad T_{\vec e_z}=\vec N \cdot \vec e_z $ <br/>
| |
- | で表せることは、すでに説明した。<br/>
| |
- | ところが、もっと一般に、どんな軸の周りの回転力も、$\vec N$ から得られる。<br/>
| |
- | 定理;<br/>
| |
- | $\vec e$を、原点を始点とする大きさ1の任意のベクトルとする。<br/>
| |
- | すると、<br/>
| |
- | $\quad$ $\vec N \cdot \vec e$は、力$\vec{F}$の$\vec e$軸の周りの回転力になる。式で書くと、$T_{\vec e}=\vec N \cdot \vec e $ <br/>
| |
- | この式を、回転力の定義に基づいて言い換えると、<br/>
| |
- | 力$\vec{F}$のもとで、剛体を$\vec e$軸の右まわりに角度$\phi$だけ回転させたとき、
| |
- | $\vec{F}$のなす仕事$W$は、$W=T_{\vec e} \phi=(\vec N \cdot \vec e) \phi$ <br/>
| |
- | 証明;<br/>
| |
- | 9つに分けて示す。<br/>
| |
- | ⅰ)準備 <br/>
| |
- | 図のように、剛体の点 $P$ から、$\vec e$ 軸に垂線を下ろし、その足を $Q$ とする。<br/>
| |
- | 力 $\vec F$ のもとで、剛体が $\vec e$ を固定軸にして、<br/>
| |
- | 微小時間に、微小角$\delta \phi$ だけ回転したとする。<br/>
| |
- | このとき、$P$ が移った先を、$P'$ とする。<br/>
| |
- | ⅱ)回転角 $\delta \phi$ が微小なので、<br/>
| |
- | この回転中の $P$ の軌跡(円弧の微小部分)は、有向線分$\vec{PP'}$ で精度高く、近似できる。<br/>
| |
- | ⅲ)この間に力 $\vec F$ がなした仕事 $\delta W$ は、$\delta W=\vec{PP'} \cdot \vec F$ <br/>
| |
- | この仕事を、回転角$\delta \phi$で割ると、力の $\vec e$ 軸周りの回転力が得られる。そこで、$\vec{PP'}$ を、この定理で与えられている諸量を使って表現し、これを用いて、仕事を計算しよう。<br/>
| |
- | ⅳ)有向線分$\vec{PP'}$の方向を求める。<br/>
| |
- | $\vec{PP'}$ は、$\vec e$ 軸と垂直で$Q$ を通る平面$H$上にあり、<br/>
| |
- | $Q$を中心とする円の弧の微小部分をなすので、線分$QP$ と直交する。$\vec{PP'}\perp QP$
| |
- | <br/>
| |
- | また、$\vec e$ 軸と垂直で$Q$ を通る平面$H$上にあるので、
| |
- | $\vec{PP'}$は$\vec e$ 軸とも直交し、従って線分$OQ$と直交する。$\vec{PP'}\perp OQ$
| |
- | <br/>
| |
- | ゆえに、$\vec{PP'}$ は、3点O,Q,Pを通る平面 $OQP$ と直交する。<br/>
| |
- | すると、$\vec{PP'}$ は、平面 $OQP$ 上のすべての線分と直交する。<br/>
| |
- | ゆえに、$\vec{PP'}\perp \vec e$,$\quad \vec{PP'}\perp \vec{OP}$ <br/>
| |
- | これで、$\vec{PP'}$ の方向は、求まった。<br/>
| |
- | ⅴ)有向線分$\vec{PP'}$ の向き <br/>
| |
- | 点 $P$ は、$\vec e$ 軸の周りを右周りに回転するので、その向きは、
| |
- | $\vec e \times \vec{OP}$ と同じ向きである。<br/>
| |
- | ⅵ)$\vec{PP'}$ の大きさ。<br/>
| |
- | $\vec{PP'}$は、 $Q$ を中心とする、半径 $\| \vec{QP} \|$ の円弧の一部なので、
| |
- | その中心角$\delta \phi$ を用いて、$\| \vec{PP'}\|=\|\vec{QP}\|\delta \phi$ <br/>
| |
- | ⅶ)ⅳ)、ⅴ)、ⅵ)から
| |
- | $\vec{PP'}=\frac {\vec e \times \vec r}{\|\vec e \times \vec r \|}\|\vec{QP}\|\delta \phi$ <br/>
| |
- | ⅷ)$\vec{PP'}=\vec e \times \vec r \delta \phi$が成り立つ。<br/>
| |
- | なぜなら、<br/>
| |
- | $\|\vec e \times \vec r \|= \|\vec e \|\|\vec r \|\sin \theta =\|\vec r \|\sin \theta =\| \vec{QP} \| $ ,ここで $\theta$ は$\vec e$ と$\vec r$ の間の角。
| |
- | <br/>
| |
- | この式をⅶ)で得られた式に代入すれば、所望の結果が得られる。<br/>
| |
- | ⅸ)$\delta W=\vec{PP'} \cdot \vec F
| |
- | =(\vec e \times \vec r \delta \phi) \cdot \vec F
| |
- | =(\vec e \times \vec r) \cdot \vec F \delta \phi
| |
- | =(\vec r \times \vec F)\cdot \vec e \delta \phi$ <br/>
| |
- | ⅹ)$ T_\vec e = \frac{\delta W}{\delta \phi} =(\vec r \times \vec F)\cdot \vec e =\vec N \cdot \vec e $ <br/>
| |
- | 定理の証明終わり。<br/> <br/>
| |
- | (注)剛体が固定軸の周りでなく、自由に回転するときでも、<br/>
| |
- | ある瞬間には、ある軸の周りの回転になっている。<br/>
| |
- | 力のモーメントは、どんな軸周りの回転力の情報も含んでいることが証明されたので、<br/>
| |
- | 回転運動一般に有効な概念であることが分かる。<br/>
| |
- |
| |
- |
| |
- |
| |
- |
| |
- | ====剛体の複数個所に作用する力の回転力 ====
| |
- | 次に剛体の多くの点に力を加えたときの回転力を求めよう。<br/>
| |
- | 力の作用点を$P_i(x_i,y_i,z_i)$、力を$\vec{F^i}\quad (i=1,2,,,n)$とする。<br/>
| |
- | これらの力のもとで剛体がz軸まわりを$\Delta\theta$だけ微小回転するときの、各力のなす仕事の合計は、<br/>
| |
- | $(\sum_{i=1}^{n}(x_{i}(\vec F^i)_{y}-y_{i}(\vec F^i)_{x})*\Delta\theta$ <br/>
| |
- | 従って、作用点$P_i(x_i,y_i,z_i)$の力$\vec{F^i}\quad (i=1,2,,,n)$の全体がもつz軸まわりの回転力は、<br/>
| |
- | $T_\vec{e_z}=\sum_{i=1}^{n}T^i_{\vec e_z} =\sum_{i=1}^{n}(x_{i}(F_{i})_{y}-y_{i}(F_{i})_{x}) \quad $ ここで$T^i_\vec{e_z}$は力$\vec F^i $のz軸まわりの回転力。<br/>
| |
- |
| |
- | 同様に、x軸まわりとy軸まわりの回転力も、それぞれ<br/>
| |
- | $T_{\vec e_x}=\sum_{i=1}^{n}T^i_{\vec e_x} =\sum_{i=1}^{n}(y_{i}(F^i)_{z}-z_{i}(F^i)_{y})$ <br/>
| |
- | $T_{\vec e_y}=\sum_{i=1}^{n}T^i_{\vec e_y} =\sum_{i=1}^{n}(z_{i}(F^i)_{x}-x_{i}(F^i)_{z})$ <br/>
| |
- | 力$\vec F^i $の原点周りに力のモーメント$\vec N^i$は$\vec N^i=(T^i_{\vec e_x},T^i_{\vec e_y},T^i_{\vec e_z})$で定義した。<br/>
| |
- | 全ての力の原点周りの力のモーメントも、同様に<br/>
| |
- | $\vec N=(T_{\vec e_x},T_{\vec e_y},T_{\vec e_z})$で定義する。すると、<br/>
| |
- | $\vec N=(\sum_{i=1}^{n}T^i_{\vec e_x},\sum_{i=1}^{n}T^i_{\vec e_y},\sum_{i=1}^{n}T^i_{\vec e_z})=\sum_{i=1}^{n}N^i$<br/>
| |
- | 全ての力の原点周りの力のモーメント$\vec N$も、上述の定理と同様の定理(定理の系と呼ぶ)が成り立つ。<br/>
| |
- | 定理の系 <br/>
| |
- | $\vec N$を剛体に作用する全ての力のモーメントとし、<br/>
| |
- | $\vec e$を、原点を始点とする大きさ1の任意のベクトルとする。<br/>
| |
- | すると、<br/>
| |
- | $\quad$ $\vec N \cdot \vec e$は、力$\vec{F}$の$\vec e$軸の周りの回転力になる。<br/>
| |
- | 式で書くと、$T_{\vec e}=\vec N \cdot \vec e $ <br/>
| |
- | この式を、回転力の定義に基づいて言い換えると、<br/>
| |
- | 力$\vec{F^i}\quad (i=1,2,,, n) $のもとで、剛体を$\vec e$軸の右まわりに角度$\phi$だけ回転させたとき、<br/>
| |
- | これらの力のなす仕事$W$は、$W=T_{\vec e} \phi=(\vec N \cdot \vec e) \phi$ <br/><br/>
| |
- | この系は、内積の性質を使えば、定理から、容易に導かれる。
| |
- |
| |
- | ====回転運動の方程式 ====
| |
- | $\vec N$ が、あらゆる回転軸にかんする回転力を表現していることがわかった。<br/>
| |
- | 力$F$と運動量の変化の関係をあたえるニュートンの運動方程式(第2法則)を変形して、<br/>
| |
- | 回転力$\vec N$にかんする方程式を導こう。<br/>
| |
- | 直交右手座標系$O-xyz$ を定める。原点 $O$ は、考察対象に都合のよい点を選ぶ。<br/>
| |
- |
| |
- | 剛体を$N$個の(質点と考えてよい)微小部分$P^i(i=1 \cdots N)$に分け、<br/>
| |
- | その質量を$m_i$、位置ベクトルを$\vec{r}^i(x_i,y_i,z_i)$とする。<br/>
| |
- | $P_i$が外部から受ける力を$\vec {F}^i$、<br/>
| |
- | $P_i$ が剛体の他の部分$P_j(j\neq i)$ から受ける力(内力)を$\vec {F}^{ij}$とおく。<br/>
| |
- | 後者は、剛体が変形しないよう、剛体の原子間に働かせる力に起因する。<br/>
| |
- | この原子間の力は、原子の電荷による電気力と、<br/>
| |
- | 原子同士が接近しすぎたときに作用する量子力学的力により生じる。<br/>
| |
- | 作用・反作用の法則(運動の第3法則)から、$\vec F^{ij}=-\vec F^{ji}$ 。<br/>
| |
- | さらに、剛体の2点間に働く内力の方向は、<br/>
| |
- | その2点を結ぶ直線の方向と同じだと、仮定する。<br/>
| |
- | =====各質点のニュートンの運動方程式 =====
| |
- | 各質点ごとに、ニュートンの運動方程式を立てると、<br/>
| |
- | $m_i\frac{d^2\vec r^i}{dt^2}=\vec F^i+\sum_{j\neq i}\vec F^{i,j} \quad (i=1 \cdots N)$ <br/>これを変形して<br/>
| |
- | $\vec F^i=m_i\frac{d^2\vec r^i}{dt^2}-\sum_{j\neq i}\vec F^{i,j} \quad (i=1 \cdots N)$ $\qquad (1)$ <br/>
| |
- | この式から、<br/>
| |
- | 力$\vec F^i$の回転力$\vec N^i=\vec r^i \times \vec F^i$にかんする式を導こう。<br/>
| |
- |
| |
- | =====$\vec N^i=\vec r^i \times \vec F^i$にかんする式の誘導 =====
| |
- | 式(1)の両辺に左側から、$\vec r^i$ のベクトル積を施すと、<br/>
| |
- | $\vec N^i=\vec r^i \times \vec F^i
| |
- | =\vec r^i \times (m_i\frac{d^2\vec r^i}{dt^2}-\sum_{j\neq i}\vec F^{i,j})
| |
- | $ $(i=1 \cdots N) $ <br/>
| |
- | ベクトル積の性質3と性質4により、<br/>
| |
- | $=m_i\vec r^i \times \frac{d^2\vec r^i}{dt^2}-\sum_{j\neq i}\vec r^i \times\vec F^{i,j}$ $\qquad (2)$ <br/>
| |
- | ここで、ベクトル積の性質8より<br/>
| |
- | $\frac{d}{dt}(\vec r^i \times \frac{d \vec r^i}{dt})
| |
- | = \frac{d \vec r^i}{dt} \times \frac{d \vec r^i}{dt}
| |
- | +\vec r^i \times \frac{d^2\vec r^i}{dt^2}
| |
- | =\vec r^i \times \frac{d^2\vec r^i}{dt^2}$ <br/>
| |
- | なので、
| |
- | $\vec N^i=m_i\frac{d}{dt}(\vec r^i \times \frac{d \vec r^i}{dt})
| |
- | -\sum_i\vec r^i\times \vec F^{i,j} <br/>
| |
- | = \frac{d}{dt}(\vec r^i \times m_i\frac{d \vec r^i}{dt})
| |
- | -\sum_{j\neq i}\vec r^i\times \vec F^{i,j} \qquad (3)$ <br/>
| |
- | 質点$P_i$の運動量を$\vec P^i$と書くと、<br/>
| |
- | $P^i=m_i\vec v^i=m_i\frac{d\vec r^i}{dt}$なので、<br/>
| |
- | $\vec N^i=\frac{d}{dt}(\vec r^i \times \vec P^i)
| |
- | -\sum_{j\neq i} \vec r^i \times \vec F^{i,j} $ <br/>
| |
- | 定義;'''角運動量'''(運動量のモーメントともいう)<br/>
| |
- | 質点の位置ベクトルを$\vec r$、運動量を$\vec p$と書くとき、<br/>
| |
- | $\vec l=\vec r \times \vec p$を,この質点の角運動量と呼ぶ。<br/>
| |
- | これを用いると、<br/>
| |
- | $\vec N^i=\frac{d\vec l^i}{dt}-\sum_{j\neq i} \vec r^i \times \vec F^{i,j} $
| |
- | <br/>
| |
- |
| |
- | ===== 回転の運動方程式の導出 =====
| |
- | 故に、<br/>
| |
- | $\vec N=\sum_i\vec N^i=\frac{d\sum_i \vec l^i}{dt}-\sum_i \sum_{j\neq i} \vec r^i \times \vec F^{i,j} \qquad (4) $ <br/>
| |
- | ここで、<br/>
| |
- | $\sum_i \sum_{j\neq i} \vec r^i \times \vec F^{i,j}=\sum \sum_{i<j}\vec r^i \times \vec F^{i,j}+\sum \sum_{i>j}\vec r^i \times \vec F^{i,j} \qquad (5)$ <br/>
| |
- | 式(4)の右辺の第2項の上付き添え字i,jを、それぞれ、j'と i'でおきかえられるので、<br/>
| |
- | $ \sum \sum_{i>j}\vec r^i \times \vec F^{i,j}
| |
- | =\sum \sum_{j'>i'}\vec r^{j'} \times \vec F^{j',i'}$ <br/>
| |
- | 内力は作用反作用の法則が適用できると仮定しているので、<br/>
| |
- | $\vec F^{j',i'}=-\vec F^{i',j'}$ 。この式を上の式の右辺に代入すると、<br/>
| |
- | $ \sum \sum_{i>j}\vec r^i \times \vec F^{i,j}
| |
- | =-\sum \sum_{j'>i'}\vec r^{j'} \times \vec F^{i',j'}$ <br/>
| |
- | この式の右辺の和をとる変数i',j' を i,j におきかえると、<br/>
| |
- | $\sum \sum_{i>j}\vec r^i \times \vec F^{i,j}=-\sum \sum_{i<j}\vec r^{j} \times \vec F^{i,j}$ <br/>
| |
- | この式を、式(5)の右辺の第2項に代入して整頓すると、<br/>
| |
- | $\sum_i \sum_{j\neq i} \vec r^i \times \vec F^{i,j}
| |
- | =\sum \sum_{i<j}(\vec r^i - \vec r^{j}) \times \vec F^{i,j}$ <br/>
| |
- | さらに、内力に関する第2の仮定により、$\vec r^i - \vec r^{j}$ と$\vec F^{i,j}$は同じ方向なので、ベクトル積の定義より、この項は、零となることが分かる。<br/>
| |
- | 故に、式(4)の右辺の第2項は零となり、<br/>
| |
- | $\vec N=\frac{d\sum_i \vec l^i}{dt} \qquad (6) $ <br/>
| |
- | が得られる。全角運動量を$\vec L =\sum_i \vec l^i $とおけば、<br/>
| |
- | 式(6)は、次のように書ける。<br/>
| |
- |
| |
- | '''命題;回転運動の関するオイラーの運動方程式'''<br/>
| |
- | 剛体の内力に上述の2つの仮定を付ける。このとき、<br/>
| |
- | 剛体に作用する全ての外部力の原点周りの力のモーメント$\vec N=\sum_i\vec N^i=\sum_i\vec r^i \times \vec F^i$と、<br/>
| |
- | 全角運動量$\vec L =\sum_i \vec l^i =\sum_i \vec r^i \times \vec p^i$の間には、<br/>
| |
- | $\vec N=\frac{d\vec L}{dt} \qquad $ (7)<br/> <br/>
| |
- | この命題の導出までは詳しく述べたが、本テキストではこれ以上は深入りしない。<br/>
| |
- | この先にも興味がある方は、次の記事をご覧ください。
| |
- | *[[wikipedia_ja:オイラーの運動方程式 |ウィキペディア(オイラーの運動方程式)]]
| |
- |
| |
- | ==== 固定軸の周りの剛体の回転運動の方程式====
| |
- | 回転運動の運動方程式から、任意の軸の周りの回転運動の方程式が簡単に導出できる。<br/>
| |
- | z軸周りの場合を例にとり、説明する。<br/>
| |
- | z軸周りの回転力は$T_{\vec e_z}=\vec N \cdot \vec e_z$なので、<br/>
| |
- | 回転運動の方程式から<br/>
| |
- | $T_{\vec e_z}=\vec N \cdot \vec e_z
| |
- | =\frac{d\vec L}{dt} \cdot \vec e_z$<br/>
| |
- | この式の右辺に,$L=\sum_i \vec r^i \times \vec p^i$ を代入すると<br/>
| |
- | 右辺<br/>
| |
- | $=\frac{d\sum_i \vec r^i \times \vec p^i}{dt}\cdot \vec e_z \qquad$ 微分の加法性から <br/>
| |
- | $=(\sum_i \frac{d \vec r^i \times \vec p^i}{dt})\cdot \vec e_z \qquad$ 内積の加法性から <br/>
| |
- | $=\sum_i(\frac{d \vec r^i \times \vec p^i}{dt}\cdot \vec e_z) \qquad$ ベクトル積の性質8から <br/>
| |
- | $=\sum_i(\frac{dr^i}{dt}\times \vec p^i+\vec r^i \times \frac{d\vec p^i}{dt})\cdot \vec e_z$ $\qquad \vec p^i=m_i\frac{d\vec r^i}{dt} $を代入し、ベクトル積の性質を用いると、 <br/>
| |
- | $=\sum_i(\vec r^i \times \frac{d^2 \vec r^i}{dt^2})\cdot \vec e_z$<br/>
| |
- | 故に、<br/>
| |
- | $T_{\vec e_z}=\sum_i(m_i\vec r^i \times \frac{d^2 \vec r^i}{dt^2})\cdot \vec e_z\qquad (1) $<br/>
| |
- | 剛体はz軸の周りを回転するので、<br/>
| |
- | その各点$P_i$(位置ベクトル$\vec r^i=\vec{OP_i}$)は、<br/>
| |
- | z軸と直交する平面上を、z軸を中心とする円を描いて運動する。<br/>
| |
- | この拘束条件を考慮して、<br/>
| |
- | 時刻$t$の位置ベクトル$\vec r^i(t)$の座標成分を書きなおすと、<br/>
| |
- | $\vec r^i(t)=(x^i,y^i,z^i)=(\hat{r}_i\cos\theta_i(t),\hat{r}_i\sin\theta_i(t),z^i) \qquad (2)$<br/>
| |
- | ここで$\hat{r}_i$は、点$P_i$とz軸との距離、<br/>
| |
- | $\theta(t)$は、$\vec r^i(t)$をxy平面に正射影した像がx軸となす角度である。図参照。<br/>
| |
- | 剛体につけておいた印$P_s$の位置ベクトル$\vec{OP_s}$を<br/>
| |
- | xy平面に正射影した像がx軸となす角(回転角)$\phi$を用いると、<br/>
| |
- | $\theta_i(t)=\phi(t)+\phi_i \qquad (3)$<br/>
| |
- | ($\phi_i$は、$P_i$ごとに決まる、定数)と書ける。<br/>
| |
- |
| |
- | 式(1)の右辺を、式(2)を利用して、変形すると、<br/>
| |
- | $=\sum_i m_i\left((\hat{r}_i\cos\theta_i(t),\hat{r}_i\sin\theta_i(t),z^i)
| |
- | \times
| |
- | \hat{r}_i(-\cos\theta_i\dot{\theta_i}^2-\sin\theta_i\ddot{\theta_i},
| |
- | -\sin \theta_i \dot{\theta_i}^2 +\cos \theta_i\ddot{\theta_i}, 0) \right)\cdot \vec e_z $<br/>
| |
- | $=\sum_i m_i\hat{r}_i\left((\hat{r}_i\cos\theta_i(t),\hat{r}_i\sin\theta_i(t),
| |
- | z^i)
| |
- | \times
| |
- | (-\cos\theta_i\dot{\theta_i}^2-\sin\theta_i\ddot{\theta_i},
| |
- | -\sin \theta_i \dot{\theta_i}^2 +\cos \theta_i\ddot{\theta_i}, 0) \right)_3$ <br/>
| |
- | ベクトル積の性質6より、<br/>
| |
- | $=\sum_i m_i\hat{r}_i$ <br/>
| |
- | $\left(\hat{r}_i\cos\theta_i(t)
| |
- | (-\sin\theta_i(t)\dot{\theta_i}(t)^2
| |
- | +\cos\theta_i(t)\ddot{\theta_i}(t))
| |
- | -\hat{r}_i\sin\theta_i(t)
| |
- | (-\cos\theta_i(t)\dot{\theta_i}(t)^2
| |
- | -\sin \theta_i(t)\ddot{\theta_i}(t) \right)$<br/>
| |
- | $=\sum_i m_i(\hat{r}_i)^2\ddot{\theta_i}(t)$<br/>
| |
- | ここで、$\theta_i(t)=\phi(t)+\phi_i$を代入すると<br/>
| |
- | $=(\sum_i m_i(\hat{r}_i)^2)\ddot{\phi}(t)$<br/>
| |
- | 以上により、<br/>
| |
- | $T_{\vec e_z}=\vec N \cdot \vec e_z$ <br/>
| |
- | $=(\sum_i m_i(\hat{r}_i)^2)\ddot{\phi}(t)\qquad (4)$<br/>
| |
- | が得られた。これがz軸を固定軸とする剛体の回転運動の運動方程式である。<br/>
| |
- | この方程式の変数$\phi$ は、一次元のスカラーなので、<br/>
| |
- | 質点がなめらかに拘束され、直線上を運動するときの運動方程式<br/>
| |
- | $F=m\ddot{x}$<br/>
| |
- | と、対比させる。すると、<br/>
| |
- | 質点に作用する力 $F$ <===> 剛体に作用する回転力$T_{\vec e_z}=\vec N \cdot \vec e_z$<br/>
| |
- | 質点の質量 $m$ <===> $I=\sum_i m_i(\hat{r}_i)^2$<br/>
| |
- | 質点の位置変数 $x(t)$ <===> 剛体のz軸周りの回転角変数$\phi(t)$<br/>
| |
- | 質点の速度 $\dot{x}=\frac{dx(t)}{dt}$ <===>$\dot{\phi}(t)$;剛体の角速度<br/>
| |
- | 質点の運動量 $m\dot{x}$ <===> $I\dot{\phi}$;剛体の角運動量<br/>
| |
- |
| |
- | という、対応関係があることが分かる。<br/>
| |
- | ===== z軸の周りの慣性モーメント =====
| |
- | この対応関係に基づき、次の定義をする。
| |
- | 定義;剛体の'''軸周りの慣性モーメント'''<br/>
| |
- | 剛体の固定軸まわりの回転運動を考える。<br/>
| |
- | 剛体の各微小部分$P_i$の質量を$m_i$,<br/>
| |
- | 回転軸までの距離を$\hat{r}_i)$とする。このとき、<br/>
| |
- | $I=\sum_i m_i(\hat{r}_i)^2$<br/>
| |
- | のことを、剛体の軸周りの慣性モーメントと呼ぶ。<br/><br/>
| |
- | この記号を使うと、z軸を固定軸とする剛体の回転運動の運動方程式は、<br/>
| |
- | $T_{\vec e_z}=\vec N \cdot \vec e_z$ <br/>
| |
- | $\qquad $ $=I\ddot{\phi}(t)\qquad (4)$<br/>
| |
- | と書ける。<br/>
| |
- | '''剛体の回転の運動エネルギー'''<br/>
| |
- | 剛体の各微小部分(質量$m_i$)の速度を $v_i$と書くと、<br/>
| |
- | その運動エネルギーは $\frac{1}{2}m_i {v_i}^2,(i=1 \cdots n)$なので、<br/>
| |
- | 剛体全体の運動エネルギーは、$K=\sum_{i}\frac{1}{2}m_i {v_i}^2$ <br/>
| |
- | 回転運動している各微小部分の速度は、$v_i=\hat{r}_i\dot{\phi}$と書けるので、<br/>$K=\sum_{i}\frac{1}{2}m_i {\hat{r}_i}^2 {\dot{\phi} }^2=\frac{1}{2}I{\dot{\phi} }^2,\qquad (5)$ <br/>
| |
- | '''物理振り子'''<br/>
| |
- | 剛体は、重心を通らない水平軸の周りで、重力の作用を受け振動する。<br/>
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- | これを物理振り子、あるいは実体振り子という。<br/>
| |
- | *[[wikipedia_ja:振り子 |ウィキペディア(振り子)]]
| |
- | 回転軸と垂直で、剛体の重心を通る平面を考え、<br/>
| |
- | 回転軸とこの平面の交点を原点$O$、重心を$G$と記す。図参照。<br/>
| |
- | 回転はなめらかで摩擦力は無視できるとする。<br/>
| |
- | すると、回転軸から、この剛体が受ける力は、剛体をこの軸に支える作用を持つだけで、剛体の振動に何の影響も与えない。<br/>
| |
- | そこで、剛体にかかる力は、重力だけと考えて良い。<br/>
| |
- |
| |
- | ===== 慣性モーメントの計算 =====
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- | 剛体$G$を、質点とみなせるほど小さいN個の小部分に分割し、番号をふる。<br/>
| |
- | 剛体$G$の慣性モーメントは、第i番目の小部分$G_i$の質量$m_i$と回転軸までの距離$\hat{r}_i$を用いて、<br/>
| |
- | $I=\sum_i m_i\hat{r}_i^2$<br/>
| |
- | で定義してきた。<br/>
| |
- | しかし、いくら細かく分割しても、小部分は大きさを持つため、<br/>
| |
- | この分割小領域のどの点を選ぶかによって回転軸との距離$\hat{r}_i$は、変わってしまう。<br/>
| |
- | そこで、空間の点$\xi$に対して、
| |
- | $\hat{r}(\xi)$を,$\xi$と回転軸との距離をあたえる関数と定め、<br/>
| |
- | 各$G_i$のなかから任意の一点$\xi_i$($G_i$の代表点と呼ぶ)を選びだし、<br/>
| |
- | $\sum_i m_i\hat{r}^2(\xi)$を、慣性モーメントの近似値を考える。<br/>
| |
- | これは代表点の選び方で変わってしまうが、分割を細かくしていくと、代表点のとり方によらず、一定の値に収束すれば、これが剛体の慣性モーメントと呼ぶのにふさわしいものとなる。<br/>
| |
- | この考え方を正確に展開して得られる数学が(リーマン)積分とよばれる分野である。<br/>
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- | ==== てこの原理と力のモーメント====
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- | てこの原理については、
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- | *[[wikipedia_ja:てこ|ウィキペディ(てこ)]]
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- | ==== 作用線の定理====
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- | 剛体の場合、作用線に沿って力の作用点を移動しても、力の作用は変わらない。何故かは、考えてみましょう。<br/>
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- | *[[wikipedia_ja:作用線の定理|ウィキペディア(作用線の定理)]]
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- |
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- | === 剛体のつり合い===
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- | いくつかの力が作用し、剛体が静止したままであるか、<br/>
| |
- | 重心が等速直線運動を続け、重心の周りの回転が変化しない場合に、剛体(に作用している力)は釣り合っているという。
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- |
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- | == 気体や液体の圧力と浮力==
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| = CAIテスト = | | = CAIテスト = |
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| *<span class="pops"> [[cai_ja:GENPHY00010002|CAIテストのページへ(新しいWindowが開きます)]] </span> | | *<span class="pops"> [[cai_ja:GENPHY00010002|CAIテストのページへ(新しいWindowが開きます)]] </span> |
質点が投げ出された場所を原点とし、飛んでいく方向に地面と水平に引いた半直線をx軸の正の側に、地面と直角で上方に向かう半直線をy軸の正の側とする座標を定める。図参照。
空気抵抗を無視すれば、質点に作用する力は、地球からの重力だけである。この力は、質点の質量を$M$,重力加速度を$g$とすると、質点の位置に関係なく常に、$\vec F=(o,-Mg)$である。
投げ上げた瞬間を時刻$t=0$とおくと、質点の初期位置は$\vec{r}(0)=(0,0)$,$\quad$ 初期速度は$\vec{v}(0)=(u\cos{\theta},u\sin{\theta})$
惑星の軌道面をxy平面にし、太陽をその原点にとる。円運動の半径を$r$,
太陽と時刻$t$における惑星を結ぶ線分が、x軸となす角度を$\theta =\theta(t)$とおく。
惑星の加速度;$\vec{\alpha}(t)=d\vec{v}(t)/dt=r(d^2\theta(t)/dt^2)(-\sin\theta(t),\cos\theta(t))$
$+r(d\theta(t)/dt)(-\cos\theta(t)\frac{ d\theta(t)}{dt},-\sin\theta(t)\frac{ d\theta(t)}{dt} )$
$= r(d^2\theta(t)/dt^2)(-\sin\theta(t),\cos\theta(t))-r( \frac{d\theta(t)}{dt})^2( \cos\theta(t), \sin\theta(t)) $
惑星に働く力;万有引力の法則より、太陽の方向に向いた、大きさ$GMm/r^2$の力なので
$\vec{F}(t)=-(GMm/r^2)(\cos\theta(t),\sin\theta(t))$
と表せる。
この力が、惑星の運動を変化させ、上述の加速度を生じさせたのだから、運動の第2法則$\quad m\vec{\alpha}(t)=\vec{F}(t)\quad$より、
$mr(d^2\theta(t)/dt^2)(-\sin\theta(t),\cos\theta(t))-mr( \frac{d\theta(t)}{dt})^2( \cos\theta(t), \sin\theta(t)$
$ =-(GMm/r^2)(\cos\theta(t),\sin\theta(t))$
変形すると、
$mr(d^2\theta(t)/dt^2)(-\sin\theta(t),\cos\theta(t))$
$ =(mr(\frac{d\theta(t)}{dt})^2-GMm/r^2)( \cos\theta(t), \sin\theta(t)) \qquad ------ \qquad (1)$
$(-\sin\theta(t),\cos\theta(t))$ と$( \cos\theta(t), \sin\theta(t))$は直交するベクトルなので、(1)式が成立する必要十分条件は、
$d^2\theta(t)/dt^2=0 \qquad ------ \qquad (2)$,
$mr(\frac{d\theta(t)}{dt})^2-GMm/r^2=0 \qquad ------ \qquad (3)$
である。
(2)式から、角速度$\omega(t)=\frac{d\theta(t)}{dt}=\omega_{0}$(定数)が
(3)式から、$mr(\frac{d\theta(t)}{dt})^2=GMm/r^2$が
得られる。
これらより、惑星は等角速度
$\Large{\omega_{0}=\pm\sqrt{GM/r^3}}$ $\qquad ------ \qquad $ (4)
で太陽の周りを回転することが分かり、ケプラーの第2法則が得られた。
ベクトル$\vec a,\vec b$の内積$ \vec a \cdot \vec b $は、$\|\vec{a}\|\|\vec{b}\|
\cos\theta$で定義する。
ここで、$\theta$は、ベクトル$\vec a,\vec b$のなす角($0\le \theta \le \pi$ )である。
力を受けた時の物体の運動は直線とは限らないが、運動の軌跡を細かく区切って眺めると、線分に近いので、物体の変位は、ごく短い線分をつなぎ合わせたものと考える。すると各線分毎に仕事を計算しそれをたせば、全体の仕事量を求めることができる。
仕事の定義$W=\|\vec F\|\|\vec s\| \cos\theta$から、仕事の単位は、力の大きさ$\|\vec F\|$の単位と長さ$\|\vec s\|$の単位を掛けたものになる($ \cos\theta$ は無単位なので )。
MKSA単位系では、力の大きさの単位は$N$(ニュートン)、長さの単位は$m$(メートル)なので、仕事の単位は$Nm$ となる。
これを$J$(ジュール)と呼ぶ。$J=Nm$である。