物理/音と音波
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進行波の速さをVとし、n倍振動数を fn 、その波長をλn とかくと、 | 進行波の速さをVとし、n倍振動数を fn 、その波長をλn とかくと、 | ||
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時刻 t=0 における観測者と音源の距離を L とおく。<br/> | 時刻 t=0 における観測者と音源の距離を L とおく。<br/> | ||
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2016年8月8日 (月) 11:11時点における版
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音と音波
音波とは、狭い意味では、空気の粗密の振動が伝わっていく縦波である。
広義には、気体、液体、固体の中を伝わる縦波(粗密波)を音波という。
音波は波なので、反射、屈折、回折、干渉など、波に共通する特有の性質をもつ。
そのため、「4.1 波の性質」で述べたことは、すべて成立する。
音波の伝わり方
音波の速さ
乾燥した空気をつたわる音波の速さ V は
空気温度 t℃ が高くなると早くなり、
V=331.3+0.6t(1)
で表せる(注参照)。
液体や固体中の音波の速さは、空気中よりずっと大きい。
音速の測定や理論研究の歴史、種々の媒質中の音速については、
を参照のこと。
(注) 空気は静止していると仮定している。
一定速度で動く空気中では、
その空気に対する音の相対速度が、式(1)で表される。
音の3要素
音の3要素 とは次の3つである。
(1)音の高さ;
振動数の高い音ほど、高音に聞こえる。
1オクターブ高い音とは、振動数が2倍になることをいう。
ちなみに、人間の耳に聞こえる音は、振動数が20Hzから2万Hzの音である。
可聴音という。
(2)音の強さ;
音には強く聞こえる音と弱く聞こえる音がある。
音の強弱は、媒質の密度、波の振幅と振動数によって決まる。
媒質密度と振動数が同じならば、振幅の大きな音ほど強く聞こえる。
(3)音色;
発音体が違うと振動数と強さが同じ音でも、音の感じが違う。
これを音色あるいは、ねいろという。
波の多くは、波形が正弦関数で表せないので、
振動数や振幅が同じでも、波形が異なるため音色が異なる。
音の性質
以下の(1)から(7)までの音の性質については、
- [[wikibooks_ja:高等学校理科 物理I 波/音波と振動|高等学校理科 物理I 波/音波と振]動]で学んでください。
以下には、簡単に要点を補足をします。
この節では、座標系を考えるときは、空気が静止してみえる慣性座標系を用いる。
(1)音のうなり
振動数(または周波数)がわずかに異なる2つの音波(波)が干渉して、
振動数が中間とみなせる、
振幅がゆっくり周期的に変わる合成波を生ずる現象を言う。
(2)発音体の振動(その1)。弦の固有振動
張った弦をこすったり、はじいて振動させると、波が起き、両側に進行し、固定端で反射する。
反射波と進行波は重なり合って合成波である定常波ができる(注参照)。
弦の両端は固定され振動しないので、定常波の節になる。
この定常波の振動を、弦の固有振動、その振動数を固有振動数という。
(2-1)定常波の波長
両端の変位が零であることから、定常波動の波長 λ と弦の長さ l の間には次の関係が成立つことが分かる。
l=λ2n,(n=1.2,3,,,) 変形すると
λ=2ln,(n=1.2,3,,,)
ここで、nは定常波の腹の数。
上の式から、λ は n の関数であることがわかるので、λn とかく。
すると
λn=2ln,(n=1.2,3,,,)(1)
腹の数が1の固有振動を基本振動(1倍振動)、n≥2の固有振動を、n倍振動と呼ぶ。
ファイル:GENPHY00010402-01.pdf
進行波の速さをVとし、n倍振動数を fn 、その波長をλn とかくと、
V=fnλn
fn=V2ln(n=1.2,3,,,)(2)
が成立つ。
(注)「1.4.6.3 定常波と進行波」を参照のこと。
(2-2)弦を伝わる波の速さ
未完
(3)発音体の振動(その2)。気柱の振動
管の中の柱状の空気のことを気柱という。
管中の波は、その両端で反射し、元の波と反射波は重ねあって合成波をつくる。
この合成波は定常波になる。
その波長や周波数(振動数)は、ある固有の値しか取れない。
これらについて学ぶ。
波の変位量としてなにを用いているかで、同じ端でも自由端にも固定端にもなるので注意してくださ
い。
ウィキブックス(高等学校理科 物理I 波/音波と振動 1.3 気柱の振動)
(3.1) 気柱の固有振動
(3.2) 閉管の場合
閉管とは、一方が閉じ他端が開放されている音響管のこと。
この管の定常波は、片方の端が腹で他端が節になる。
(3.3) 開管の場合
開管とは、両端とも開放された音響管のこと。
波を空気の位置の振動とみると、両端は自由端であり、
この管の定常波は、両方とも腹になる。
波を粗密の振動とみると、両端は固定端であり、
この管の定常波は、両方とも節になる。
(3.4) 開口端補正
なお、両端とも閉じた音響管を両端閉管という。管内の空気の固有振動は
両端を節とする定常波の振動である。
(4)固有振動と共鳴・共振
気柱の空気の振動など、振動する系は、それぞれ固有の振動数を持つ。
これを系の固有振動という。
振動系の固有振動数と等しい振動数の力をこの系に与えると
この系は激しく振動し始める。この現象を共鳴または共振と呼ぶ。
これについては下記もご覧ください。
(5)ドップラー効果
皆さんも、日ごろ
救急車のサイレンは、近づいているときは高い音に聞こえ、通り過ぎた瞬間に
低い音にかわることに気付いているでしょう。
一般に、音源の音を、音源に対し動いている人が聞くと、
元の音より高い周波数(=振動数)や低い周波数に聞こえる。
これを「ドップラー効果」という。
命題1
音速を Vs とする。
音源が周波数fの音を出し、静止している観測者に速度 V>0 で近づくとき、
観測者が聞く音の周波数 ˜f は、
˜f=VsVs−Vf (3)
である。 ここで、V<Vs である。
音源が通り過ぎて遠ざかるようになった瞬間に、観測周波数は急減し、
˜f=VsVs+Vf (3′)
証明
音源から時刻 t=0 から一秒間だけ音を出すとする。
時刻0での、音源と観測者との距離を L とすると、
この音が観測される時刻は t1=LVs
最後(t=1)の音は、音源と観測者の距離が L−V のとき発せられるので、
観測される時刻は t2=1+L−VVs
この間にf回の振動が観測されるので、一秒間あたりの振動数(周波数)は
ft2−t1=VsVs−Vf
命題2
静止音源が周波数fの音を出している。
観測者が速さ V(>0) で音源に近づいているときに聞くこの音の周波数 ˜f は、
˜f=Vs+VVsf (4)
ここで、 Vs は、音速である。
観測者が音源を通り過ぎた瞬間に、観測音の周波数は急減し、
˜f=Vs−VVsf (4′)
に変わる。
証明
音源から一秒間(時刻0から、時刻1まで)だけ周波数fの音を出すとする。
このときの観測者と音源の距離を L とおく。
すると、速さVで音源に近づく観測者が、
最初の音を聞く時間 t1 は、
L−Vt1=Vst1
最後の音を聞く時間 t2 は、
L−Vt2=Vs(t2−1)
これら2式から、
t2−t1=VsVs+V
この間に、音はf回 振動しているので、一秒当たりの振動の回数(周波数、振動数)は、
˜f=Vs+VVsf
同様に考えると、
観測者が音源を通り過ぎた瞬間からは、音源から 速さ V で遠ざかるため、
˜f=Vs−VVsf
が、得られる。
次に、一つの直線上を、音源と観測者がともに等速度で運動している場合の
ドップラー効果について考察する。
色々なケースを統一的に扱うため、空気が静止して見える一次元の慣性座標系を
用いる。
命題3
x軸上を、音源は速度 v で等速運動しながら周波数(振動数)fの音を出す。
観測者はx軸上を速度 u で等速運動している。
(1)観測者が音源の負側にいる場合
観測者は、
˜f=Vs+uVs+vf(5)
の周波数の音を聞く。 ここで、 Vs は音速である。
(2)観測者が音源の正側にいる場合
観測者は、
˜f=Vs−uVs−vf(5′)
の周波数の音を聞く。 ここで、 Vs は音速である。
証明
(1)の場合(図参照)
ファイル:GENPHY00010402-02.pdf
音源が時刻 t∈[0,1] の間だけ、周波数fの音を出すと仮定する。
時刻 t=0 における観測者と音源の距離を L とおく。
すると、観測者が最初の音を聞く時刻 t1 は
L−ut1=Vst1
を満たす。
時刻t=1のときの、観測者と音源の距離は L−u+v なので
観測者が最後の音を聞く時刻 t2 は、
L−u+v−u(t2−1)=Vs(t2−1)
を満たす。
これら2式から
t2−t1=Vs+vVs+u
この間に、観測者の聞く音は、f回振動しているので、
一秒間あたりの振動の回数(周波数あるいは振動数)は
˜f=f÷(t2−t1)=Vs+uVs+vf
(2) 観測者が音源の正側にいる場合
同様にして証明できるので省略。
証明終わり
(注)この命題から、観測者が音源とすれ違うか追い越すと、その瞬間に観測周波数は急変することが分かる。
最後に、超音波による血流速度の測定に応用される命題を説明する。
命題4
周波数fの音を出している固定音源に、観測者がいて、
速さ v で近づく板からの反射音を観測すると、周波数は
˜f=Vs+vVs−vf=(1+2vVs−v)f
証明
記述を簡単にするため、音源は、時刻0から一秒間だけ音を出すとする。
時刻t=0 の、音源と板との距離を L とおくと、
時刻 t における音源と板との距離は L(t)=L−vt で表せる。
(1)最初にだした音の反射音が聞こえる時刻 t1
(7)音の干渉
音も波なので、波の重ね合わせの原理が成立つ。
そのため一般の波でおこる干渉も起こる。