簿記経理/仕分・転記

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 毎日の取引を記録することが経理業務であるが,簿記でいう「取引」とは一般の取引と少し意味が違う.
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簿記では,資産・負債・純資産・収益・費用が増減する行動を「取引」と称する.
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 例えば「商品を購入する」という行動は,現金などの資産が減るので,取引であると言える.
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一方「事務所を借りる契約をする」という行動は,一般的には取引と言えるかもしれないが,
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資産・負債・純資産・収益・費用のいずれも増減しないから,簿記上では取引として扱わない.
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「事務所の借料を支払う」という行動は,現金などの資産が減るので,取引であると言える.
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 上記のような各勘定科目の増減に関わる行動を,簿記では仕訳という方法を使って,毎日の取引を記録する.
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仕訳では取引を借方,貸方の2つの側面に分け,図式化して記録する.
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=== 仕訳の例<sup>[w4]</sup> ===
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('''例''')商品(椅子)¥1,000.<span style="text-decoration: underline; ">00</span>を買い入れ,代金は現金にて支払う.
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| (借)備品(椅子) || 1,000.<span style="text-decoration: underline; ">00</span> || style="padding-left: 2em; " | (貸)現金 || 1,000.<span style="text-decoration: underline; ">00</span>
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 まず,取引を2つの事柄に分ける.
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例題の「商品(椅子)を現金1,000円で購入した」という取引は,『商品(椅子)を手に入れて』『現金1,000円を支払った』と考える事ができる.
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従って,この取引は「商品(椅子)の増加」と「現金の減少」という2つの側面に分けられる.
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仕訳表では,商品(椅子)が『備品』に変わっている.
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椅子・机などの事務用品の勘定科目は『備品』である.また現金・小切手などすぐに換金できるものの勘定科目は『現金』である.
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従って,この取引は「『備品』の増加」と「『現金』の減少」に置き換える.
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==== ステップ③ 勘定科目が 資産・負債・純資産・費用・収益のいずれに合致するか ====
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 『備品』『現金』は資産である.ゆえに,この取引は「『備品(資産)』の増加」と「『現金(資産)』の減少」
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 貸借対照表の借方(左)には資産,貸方(右)には負債と純資産がある.
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例)資産は貸借対照表の借方(左)にあるので,資産が増加したら借方(左)に仕訳する.
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例)資産は貸借対照表の借方(左)にあるから,資産が減少したら貸方(右)に仕訳する.
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== 参考文献 ==
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*[w2] [[wikipedia_ja:勘定科目|勘定科目 (Wikipedia)]]
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*[w3] [[wikibooks_ja:簿記/複式簿記の組織/複式簿記の基礎|複式簿記の基礎 (Wikibooks)]]
*[w3] [[wikibooks_ja:簿記/複式簿記の組織/複式簿記の基礎|複式簿記の基礎 (Wikibooks)]]
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*[w4] 簿記3級 無料学習サイト 【Study Pro】http://studyboki3.com/
== 関連項目 ==
== 関連項目 ==

2017年5月24日 (水) 07:31 時点における最新版

簿記経理 > 仕分・転記

目次

概要

 複式簿記には一定の原理からなる記帳法則がある[w1]. この原理は財産と資本との性質ならびに簿記の用語たる借方・貸方の何であるかを明らかにするもので, 貸借の原理とも称せられ,勘定記入の法則とともに通常勘定理論と呼ばれている. 勘定理論は実に複式簿記の基礎をなすものであって,簿記理論の最も重要な部分である[w3]

貸借の意義

 勘定口座の左方と右方とを表すために,簿記では借方・貸方という語を用いる. 貸借は事業を主とせず,相手方即ち口座を主とするもので,借方は口座主が借主または債務者たることを意味している. 複式簿記が進展してきて,これらの2つの語をそのまま受け継いでからは,その適用範囲は拡大され, 人名勘定以外の各種財産および資本構成部分の諸勘定に対しても用いられるようになった. 結局,貸借の語とは,単に口座の左右両側を示す「符牒」にすぎないものと解せられるに至った. もちろん,貸借の代わりに+-・増減・出入等と称することも差し支えない[w3]

勘定記入の法則

 勘定では差引計算を行わないで,差し引くべき金額は反対側に加える.そして,増加側の合計と減少側の合計とを比較して,残高を求める. 従って各勘定は,一方に「増加」が,他方に「減少」が記入される. 例えば資産Aに属する諸勘定では,計算上「資産の増」を左方即ち借方に,「資産の減」を右方即ち貸方に記入する. したがって反対の性質を有する負債と、負債類似の資本に属する諸勘定では、記入関係が反対になり、増加を右方または貸方に、減少を左方または借方に記入する。

 各勘定への記入関係は以下のようになる[w3]. 向かって左側が「資産類似の資本」,右側が「債類似の資本」に属する諸勘定での記入である.

(借) 資産勘定 (貸)
増加 減少
(借) 負債勘定 (貸)
減少 増加
(借) 損費勘定 (貸)
増加 減少
(借) 資本勘定 (貸)
減少 増加
(借) 利益勘定 (貸)
減少 増加


仕訳

 毎日の取引を記録することが経理業務であるが,簿記でいう「取引」とは一般の取引と少し意味が違う. 簿記では,資産・負債・純資産・収益・費用が増減する行動を「取引」と称する.

 例えば「商品を購入する」という行動は,現金などの資産が減るので,取引であると言える. 一方「事務所を借りる契約をする」という行動は,一般的には取引と言えるかもしれないが, 資産・負債・純資産・収益・費用のいずれも増減しないから,簿記上では取引として扱わない. 「事務所の借料を支払う」という行動は,現金などの資産が減るので,取引であると言える.

 上記のような各勘定科目の増減に関わる行動を,簿記では仕訳という方法を使って,毎日の取引を記録する. 仕訳では取引を借方,貸方の2つの側面に分け,図式化して記録する.

仕訳の例[w4]

)商品(椅子)¥1,000.00を買い入れ,代金は現金にて支払う.

(借)備品(椅子) 1,000.00 (貸)現金 1,000.00

仕訳の4ステップ [w4]

ステップ① 取引を2つの事柄に分ける

 まず,取引を2つの事柄に分ける. 例題の「商品(椅子)を現金1,000円で購入した」という取引は,『商品(椅子)を手に入れて』『現金1,000円を支払った』と考える事ができる. 従って,この取引は「商品(椅子)の増加」と「現金の減少」という2つの側面に分けられる.

ステップ② 勘定科目を考える

 仕訳では,勘定科目 を使用する. 仕訳表では,商品(椅子)が『備品』に変わっている. 椅子・机などの事務用品の勘定科目は『備品』である.また現金・小切手などすぐに換金できるものの勘定科目は『現金』である. 従って,この取引は「『備品』の増加」と「『現金』の減少」に置き換える.

ステップ③ 勘定科目が 資産・負債・純資産・費用・収益のいずれに合致するか

 『備品』『現金』は資産である.ゆえに,この取引は「『備品(資産)』の増加」と「『現金(資産)』の減少」 ということができる.

ステップ④ 借方(左)・貸方(右)を考え,勘定科目と金額を記入する

 貸借対照表の借方(左)には資産,貸方(右)には負債と純資産がある. 貸借対照表において,借方(左)資産=貸方(右)負債+貸方(右)純資産で一致する.

 損益計算書の借方(左)には費用,貸方(右)には収益がある. 損益計算書において,貸方(右)収益ー借方(左)費用=利益が発生する.

 仕訳で,資産・負債・純資産・費用・収益が『増加』した場合 ⇒ これらの表(貸借対照表と損益計算書)と同じ側に記入する.

例)資産は貸借対照表の借方(左)にあるので,資産が増加したら借方(左)に仕訳する.

 逆に,資産・負債・純資産・費用・収益が『減少』した場合 ⇒ これらの表(貸借対照表と損益計算書)と反対側に記入する.

例)資産は貸借対照表の借方(左)にあるから,資産が減少したら貸方(右)に仕訳する.


参考文献

関連項目

演習課題

個人用ツール